科学

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「AIは法人格を持てるか」から

2025.6.16   日本経済新聞の記事「AIは法人格を持てるか」から

販促や採用、サービス急拡大

コラムの著者 瀬川 奈都子氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、利用者の目的を遂行するために、自ら状況に応じた判断を行い、人間を代行・代理するAIをAIエージェントと呼ぶという。AIエージェントは、生成AIよりも自律性が高く、取引の交渉や売買契約、マッチングサービスなどで人間に代わり意思決定することも想定されている。このような状況にいくつかの法的課題が指摘されており、本コラムでは課題に向けての解説を行なっている。

◯「責任」のルール課題に

コラムによればAIエージェントの利用拡大と普及に伴って、将来的に様々な交渉や契約などを代行することが見込まれる。AIといえども完全なものではないことや民法など法的な地位が確立されていないことから、AIが問題を起こした時に誰がどのような責任を取るのかといった安全に利用するためのルールづくりが課題となっている。

AIエージェントは生成AIに続く有望なサービスとして注目されている。マーケッツ・アンド・マーケッツ(インド調査会社)によれば、2030年には全世界で現在の7倍に近い526億ドルの市場規模が見込まれるという。いずれは複数のエージェントが協同して動作したり、判断に関わる部分も担ったりするサービスに発展する可能性を秘めているという。

国内外の企業で昨秋以降、複数のサービスを相次ぎはじめた。分野的にはマーケティング支援サービスが導入にもっとも進んでいる。例えば、小売店の購買データなどを統計化して分析し、AIが無数の仮想顧客をつくってリサーチする。それをメールマガジンなどの配信に利用して、この工程を自律的にAIエージェントが行うといったものである。

AIエージェントをマーケティング分野以外に進んでるのが人事採用の分野で事例も増えている。専門家によれば、将来は応募者側も自らの志向や能力に合った企業をAIエージェントに選定させて応募書類を送るなどが一般化しそうだという。

こういった応用事例が増えるにつれて法的なルールが必要などいう議論も湧き上がっている。日本総合研究所が3月に公表した報告書では、AIエージェントをめぐる法的課題を次の4つに分類した:

  • 契約の当事者や責任の所在の明確化:自律化の進化で人間が介在せずに様々な取引契約を締結する可能性が出てくる。だが、AIは法的な権利能力を有していない。民法上の「代理人」の地位もない。
  • 消費者の保護と救済制度の導入:利用者が意図しない契約の取り消しなど救済制度の検討。
  • プライバシーなどに関わるデータの責任管理の明確化:AIが取得・処理するデータの管理責任や個人情報保護法との関係が未整理。
  • 損害賠償責任の分担の明確化:AIの開発者、提供者、利用者の責任分担のあり方の整理。

解決策として、専門家の間で議論が始まっている。その1つがAIに企業と同じように法人格を与えることである。海外ではEU中心にこの案には否定的な意見が目立つ。だが、救済を優先するならば、関わる複数の企業が法人格を持つAIに財産を持たせて賠償金に充てるという考え方である。企業側も自主的な解決策を探っている。🧠📱📈📉🧠💬💻🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇪🇺


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『選択と集中』政策の現実」から

2025.6.15  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『選択と集中』政策の現実」から

重点分野も投資少なく

コラムの著者 青木 慎一氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、日本政府は20年近く科学技術予算の「選択と集中」を継続してきたが、その絶対的な投資額は米国や中国はおろか他の先進国よりも少ない。さらに集中した投資でも資金力から世界から劣後しているという。

○小粒でも優れた成果を出し国際的に認知されねばならない

青木氏によれば、2021年に始まった「第6期科学技術・イノベーション基本計画」で、日本政府は量子技術を国家戦略の1つに位置付けている。社会や経済をこの技術は大きく変える可能性を秘めている。しかも、安全保障上も不可欠である。

例えば、量子コンピューターは現在のスーパーコンピュータで何年もかかる計算を瞬時に終わらせることができる。新素材開発や創薬、金融リスクの評価などへの応用など幅広い用途が期待されている。さらに量子技術で暗号通信、認知症やがんを早期発見するセンサーなども応用できる。

だが、日本政府大胆な研究開発の投資を進めるとしたが、実績は米中から大きく引き離され、先進国の中でも下位である。米マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、日本政府が2022年度までに投じた資金は約18億ドル(約2600億円)で、トップの中国の8分の1に過ぎないという。

選択と集中の象徴とされるiPS細胞の研究開発も同程度である。重点分野でも、日本政府が投資した資金は先頭争いをするレベルには程遠い状況で、厳しい財政状況や人手不足、大学や企業の研究力の低下を考えると、他国との連携や補完が必要となる。その中でインパクトのある成果を出さねばならない。この時の課題は、他国との連携に必要な国際性や開放性の低さにある。さらに悪いことに、日本の存在感の低下である。青木氏は、小粒でも優れた成果を出し国際的に認知されねばならないと危機感を募らせている。💡🎓🧠🏢🗻🔥🌳🎓💡💬📻⚡️🏙️🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep_Insight:スマホの次は『錯覚』革命」から

2025.6.12   日本経済新聞の記事「Deep_Insight:スマホの次は『錯覚』革命」から

人の5感は完全に独立しておらず、影響しあっている

コラムの著者 村山 恵一氏(日本経済新聞社 コメンテーター)によれば、ICTの世界でiPhoneは歴史を変え、スマートフォン革命が始まった。それから18年が経過している。いよいよ「スマホの次へ」の時代に入るという。具体的な形態は未知数だが、AIや視覚、聴覚など人間の5感に訴えることで人とコンピューターの距離が今以上に近づくと村山氏は予測している。

◯本人には嘘や幻ではなく、真実味のある体験ができるVRの世界も

鳴海拓志氏(東京大学大学院准教授)によれば人間の5感は、完全に独立しているわけではなく、それぞれ影響し合ったいるという。人間は複数の感覚情報を統合して捉え、矛盾があれば辻妻を合わせようとするという。同様に、人間の感覚にさまざまな方法で働きかけると、見えないものが見えると思わせたり、曲がったものをまっすぐと感じるという。物理的な現実と知覚が矛盾することで、錯覚が起こる。

AIやAR、VRに囲まれた「スマホの次」の世界は錯覚の世界であろう。だが、本人には嘘や幻ではなく、真実味のある体験ができ、これを価値としてビジネスを考えることもできるという。例えば、熟練工の溶接技術などはVRを使うことによって、スキルアップでき人材不足も補えるという。このように錯覚をてこにすれば、新たな体験や利便性が作れ、人の潜在能力を引き出せるかも知れない。📱📈📉🧠💬💻🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews> 核のごみ『呼び水』効果空振り:手挙げ式の見直しを」から

2025.6.8  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews> 核のごみ『呼び水』効果空振り:手挙げ式の見直しを」から

専門家も処理地選定のプロセス見直しを問題提起

コラムの著者 矢野 寿彦氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、原子力発電所から出る高レベルの放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分地の選定が進んでいないという。第1段階の文献調査を受け入れた地方自治体、さらに専門家からも現状では問題が多いと見直しの声が高まっているという。

○最適な地域を見つけるために多くの候補地から選定という前提が崩壊

矢野氏によれば、青森県六ヶ所村の貯蔵施設にいま英仏から返還されたガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)1830本が一時保管されているという。4月26日で、最初の28本が搬入された丸30年が経過した。保管開始後の30〜50年で搬出するというのが地元との合意事項である。残り20年を切った状態である。

これだけ選定が困難であるのは、過去の選定プロセスの変化も絡んでいると矢野氏はみている。専門家も「(処分地を選ぶ)プロセスは見直す局面に来ていると思う」(経済産業省・特定放射性廃棄物小委員会委員、東京電機大学の寿楽浩太教授)「そもそも前提が崩れてしまった」というのが寿楽教授の意見である。「選定の目的は十分に適した場所を1カ所見つけること。多くの候補地を相対評価し、文献から概要、精密へと調査を進め、絞り込む。このコンセプトから乖離した」。

選定地も「文献調査地点の広がりが見られず、結果として北海道だけの問題になっている」とNUMO(原子力発電環境整備機構)の募集したパブリックコメントでも古言を呈している。

歴史的に日本政府は処分地選びに2015年方針を転換し、国が前面にでることとした。ところが2017年に公表した「科学的特性マップ」で、地質的な知見だけで敵地を探すのは困難であるとし、断層処分の難しさを示した。そこで採用されたのが「手挙げ方式」で、結局、地元の発意に頼ることとなり、原子力政策に馴染みの「立地問題」にすり替わった。これでは社会の関心は薄れ、国民的議論は巻き起こりにくい。

先の「科学的特性マップ」を見ると、原子力発電の恩恵を受けてきた首都圏や関西圏の陸地は「敵地」となっている。矢野氏はここで発想の転換をして、この「敵地」にある都道府県知事に、核のごみに協力する覚悟を日本政府が責任を持って問うことから始める「トップダウン式」はどうかと提言している。💡🎓🧠🏢🗻🔥🌳🎓💡💬📻⚡️🏙️🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇫🇷🇬🇧


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:海外研究者を呼べる大学に変わる好機だ」から

2025.6.8 日本経済新聞の記事「社説:海外研究者を呼べる大学に変わる好機だ」から

国際的な知のコミュニティーへの貢献は日本の大学でも責務

社説によれば、トランプ米政権が米国内の有力大学へ不当な圧力を強めいていることから、研究者や留学生の国外流出が始まったという。世界各国では優秀な頭脳の獲得に素早く動いたが、日本の大学の動きは鈍かった。ようやく今になって受け入れを表明した。これを機に海外から研究人材を呼び込めるよう、大学改革を進めねばならないと提言している。

◯海外では留学生ではなく正規学生として入学する道がある

社説によれば、EUではフランス、エクス・マルセイユ大学などが3月に受け入れ作を発表、カナダやオーストラリアも素早く対応し、香港科技大学など中国の大学も動いたが、日本の大学は反応が鈍かった。

日本は有力大学でも国際化は遅れている。外国人の教員比率は10%ほどで、留学生も15%弱にとどまる。海外から選ばれる大学となるには、研究や勉学に打ち込める環境の整備も不可欠である。さらに、日本の大学では研究以外の事務作業が多く、研究者を支援するスタッフの充実は急務であるという。

留学生の受け入れにも問題がある。海外では留学生ではなく正規学生として入学する道を開いている。日本はまだまだ限定的である。入学や編入学を積極的に認め、定着するように支援すべきである。

外国人研究者や留学生が定着して活躍すれば、人口減少が進む日本で社会や経済を支える人材になり得る。高度専門人材を求める企業にとっても大いに利点がある。国際的な知のコミュニティーへの貢献は研究大学の責務でもある。👩👨🚀✒️📕📗💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇯🇵🇺🇸🇫🇷🇨🇦🇦🇺🇭🇰