科学

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:技術革新の担い手育成、今こそ」から

2025.3.6   日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:技術革新の担い手育成、今こそ」から

HECでは「考える」「教育する」「行動する」を重視

コラムの著者 インゲ・ケルクロ・デヴィフ氏(仏HEC経営大学院 イノベーション&アントレプレナーシップ研究所上級エクゼクティブ・ディレクター)によれば、産業競争力を強化するには生産性の向上とイノベーションが必要だという。今は何もしないという選択肢はないという。産業再興のチャンスでもあり、担い手の育成が欠かせない。

◯気候、AI・機械学習、CO2の除去、宇宙、次世代コンピューティングを事業化を加速するテーマに選定

デヴィフ氏によれば、HECではディープテック(先端技術)はビジネススクールだけでは取り扱えないため、理工学科学校(エコール・ポリテクニーク)と共同で修士コースを設定し、「考える」、「教育する」さらに「行動する」を重視しているという。

特に、気候、AI・機械学習、CO2の除去、宇宙、次世代コンピューティングにはアクセラレーション・プログラム(事業化加速プログラム)を設置し、成功率を上げているという。

技術の進展は高速で、応用法も変化がはげしい。だが、起業への道筋や基本的な方法論は変わってはいないという。事業の立ち上げだけでなく、規模の拡大まで想定し戦略を立てる。その際、「実践を通じて学ぶ」姿勢も重要である。製品やサービスの試作や試行、失敗時の対応策などを実地に即して考えさせる教育も行う。その結果は年間500以上のスタートアップ企業が誕生し、3年後の事業継続率は約85%だという。13社がユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)に達した。

近年の若年層の意識も大きく変わってきたという。これまで金融機関やコンサルティング会社への就職希望者が多かったが、HECの卒業生の約25%が最初から起業家を目指している。🪚💬💻🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇫🇷


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>核融合の投資熱とリスク」から

2025.3.2  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>核融合の投資熱とリスク」から

可能性を絞りすぎると劣る技術の巨費や労力を投じて遠回りになる

コラムの著者 松田 省吾氏(日本経済新聞社)によると、核融合発電は、研究者でも見通しがたたない長期的な研究テーマであるという。近年、2030年代の発電の実現を目指すという海外のスタートアップの登場で注目が集まり、投資が過熱しており、日本政府と関係機関は、この投資熱にうかされないで冷静なリスク管理が必要だという。

○要素技術で革新的なスタートアップが登場し再び話題に

松田氏によれば、夢の技術と呼ばれる核融合発電は、長年、日米欧中などの国際協力で取り組む国際熱核融合実験炉(ITER)計画や、レーザーでプラズマを封じ込める「レーザー式」とITERのように磁気でプラズマを閉じ込める「トカマク方式」の研究が目立つぐらいであった。

ところが、近年、核融合発電が注目されるのは、プラズマの封じ込めや材料などの要素技術でイノベーティブな技術を掲げるスタートアップが登場してきたからだという。専門家はその多くのイノベーティブな技術の8〜9割は以前からアイデアはあったものの、研究の対象として後回しになったものが多くあった。そこに光が当たったことが今回の注目点である。

専門家は、今後生まれる可能性のあるイノベーションを取り込める計画にする必要があるという。期限のある目標を設けると、現段階で確からしそうな技術を軸にした保守的な計画になりかねないことを危惧しているという。そこには柔軟な戦略が求められる。☀️🏢🔥🌳🎓💡♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇨🇳🇪🇺


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<読むヒント>昭和100年に何を学ぶか(政治・経済編)」から

2025.2.26  日本経済新聞の記事「<読むヒント>昭和100年に何を学ぶか(政治・経済編)」から

興亡史に再生のヒント

コラムの著者 玉利 伸吾氏(日本経済新聞社 元編集委員)が「昭和」が始まってやがて100年の節目で、国の行方を考察している。昭和は、グローバル化が進む20世紀であり、世界恐慌、第2次世界大戦の敗戦、高度経済成長、バブル経済の崩壊などの激動を受けて日本の国際的な位置も変わったという。

○内閣官房に「昭和100年関連施策推進室」を設置

玉利氏によると、この推進室は、1926年12月改元から100年となる2026年に「記念式典」などの施策を行うために設置したという。

昭和は、戦争へ突き進んだ戦前と敗戦から再起した戦後に区切られる。1920年生まれの作家、安岡章太郎氏も「昭和を考えると、やはりその中心を”戦争”におかざるを得ない。そして、”戦後”もまた戦争の延長だと思う」と自伝的回想「僕の昭和史」で昭和63年までの歴史を振り返っている。

世界の強国に対抗できる国を目指す「富国強兵」のための仕組みが政治の機能不全を招いた。軍事が優先となった結果、「史上空前の大敗北」に行き着いてしまった。昭和20年(1945年)の敗戦時、国土は焦土となり、経済も荒廃を極めた。国民は食糧難と超インフレーションに苦しみ、精神的にも深い傷を負った。

この惨状から繁栄が芽生えていく。連合国軍の占領下、民主主義で国の制度を変え、激変した国際情勢などを背景に、日本は経済活動を急速に回復させる。1950年代半ばから1970年初頭までは年率70%という驚異的な成長を続け、「経済大国」に変貌する。

猪木武徳氏(大阪大学名誉教授・経済学者)は著書「経済成長の果実」で次のように述べているという:

「高い貯蓄率とその貯蓄を次々と新しい技術を体化した投資へまわすことによって産業の生産性を高め、国際競争に勝ち抜くことのできる経済的な体力を整えていった」

と分析している。

だが、昭和が終わる1980年代末には、政治・経済の仕組みが制度疲労を起こす。高度経済成長を引っ張った「追いつき型経済」では、世界の変動に対応できなくなっていった。つまり、他国に先駆けて「最先端中の最先端を行く製品を作ること」ができなくなってしまった。

世界は情勢を変え、混迷を深めている昨今である。日本が低迷を脱し、再生を目指すには、政治・経済の仕組みの見直しが欠かせない。玉利氏は、そのヒントが激動の時代「昭和」にあると信じている。🏠🏢🔥🌳🎓💡♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「核心:ロボタクシーが都心を走る」から

2025.2.24  日本経済新聞の記事「核心:ロボタクシーが都心を走る」から

意外な心配事は自動運転技術が外来に頼り切りになること

コラムの著者 西條 都夫氏(日本経済新聞社 上級論説委員)は、タクシー大手、日本交通の取締役で配車アプリGOの会長を務める川鍋一郎氏にインタビューし、無人タクシーの実現性について考察している。

○新規技術が受容されるには、技術、経済性、社会性の克服が必要

西條氏によれば、日本交通は米アルファベット傘下のウェイモと組んで自動運転車両を25台導入し、東京都内7区で近く実証実験を行うのだという。川鍋氏によれば3年後には何とか無人タクシーに乗れるようにしたいという。

なぜ無人運転をタクシー会社が導入するのか。まずは、足元のタクシー不足の緩和につながる。さらに人件費がほとんどをしめるコストを抑えることもできる。だが、大きな課題は安全性の向上であるという。例えば2024年にタクシーの絡む死亡事故は46件発生。この中で酔っ払いなどの道路で寝る、路上横臥が3割を占める。一方、レーザーなどを搭載した自動運転車では、夜目の利く千里眼で川鍋氏によれば検出によって痛ましい路上横臥事故などは激変するという。海外保険会社の調査では有人運転よりも無人運転の方が事故率も低いとも言われている。

とはいえ、自動運転が普及するには3つの障壁があると西條氏は指摘している:

  • 技術の壁:緊急自動車への対応や信号のない交差点での動作などまだまだ改善の余地がある。
  • 経済性の壁:自動運転の開発と展開には巨額の投資が必要である。さらに車両コストも「1台1億円」と呼ばれ、遠隔監視の経費も大きい。
  • 社会的受容性の壁:どこまで自動運転が普及し、普通のこととして受け入れられるか課題である。

さらに、川鍋氏の心配は、車両が国産開発ではなく、外国製である点、外来の技術に頼ることへのリスクもあると感じている。🚕🏠🏢🔥🌳🎓💡♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>種から作るイチゴの可能性」から

2025.2.23  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>種から作るイチゴの可能性」から

挑戦の継続が革新生む

コラムの著者 鹿児島 昌樹氏(日本経済新聞社編集委員)は、大半のイチゴ栽培とは異なり、種から育成する「種子繁殖型」を研究開発し、生産現場の高齢化や人手不足、作付面積の減少を解決しようと動き出した、共同開発の事例を紹介している。

○「挑戦の継続」「人集め」「目標の設定」が研究開発の要諦

鹿児島氏によると、各県のブランド品種がひしめくイチゴ市場で、「うた乃」という新品種が本格的に登場したという。これまでのライバルの栽培法とは違う、革新的な「種子繁殖型」の本格的な登場だという。

これまでの「栄養繁殖型」とは何が違うのか。これまでは、親株から伸びたツル(ランナー)の先にできる子苗を増やして育てるものである。親株のクローン栽培で、親と同じ味や色彩の実がなる。大半のイチゴは、「栄養繁殖型」である。

「栄養繁殖型」の長所は、品種の開発が容易である。交配を重ねて味や色、形、収量など優れた特性を持つタイプができたら、それを親株にしてランナーの先にできる子苗を増殖させる。だが、短所として、親株が病気や害虫に蝕まれるとランナーも子苗も影響を受けてしまう。したがって栽培者や農家は細心の注意を払って1年中親株を管理する必要がある。

一方、「うた乃」をはじめとする種子繁殖型は種から育てる。親株の病気などが種に伝染するリスクが少なく、たくさん採れる種で苗を量産でき、親株の管理は不要である。この「うた乃」は三重県農業研究所が研究開発した。「育苗の期間と労力を大幅に削減できる」と同研究所の小堀純奈主査研究員が説明している。一方、「種子繁殖型」にも短所がある。特性が優れたタイプができても種で受け継がせることが難しいのでランナーを利用する。

「うた乃」の研究開発は2009年に始まった共同研究が起点であるという。三重県農業研究所は、種子繁殖型で先行していた千葉県や香川県、農業・食品産業技術総合研究機構と協力し、遺伝子型を揃えたイチゴを交配して種子繁殖型イチゴ「よつぼし」を作り出した。よつぼしは、スーパーマーケットや観光農園、ガーデニング店などに販路を広げた。計画を牽引した三重農業研究所の元研究者である森利樹氏に研究開発で心掛けたことを尋ねると、「挑戦の継続」「人集め」「目標の設定」を掲げたという。可能性を考えて挑み続け、さまざまな専門家を巻き込んで知恵を持ち寄り、ぶれずに目標達成を目指す。どんな研究開発にも当てはまる要諦である。🍓🏠🏢🔥🌳🎓💡♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵