科学

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>AI研究第一人者の願い、安全な公共財へ協力を」から

2024.11.10  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>AI研究第一人者の願い、安全な公共財へ協力を」から

AIの急速な性能向上に科学者の理解が追いついていない危惧

コラムの著者 青木慎一氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、2024年のノーベル物理学賞の受賞者、ジョン・ホップフィールド氏(米プリンストン大学名誉教授)とジェフリー・ヒントン氏(カナダ、トロント大学名誉教授)の受賞記者会見は異常だったという。受賞の喜びよりも人工知能(AI)のリスクについて語る場面が目立ったからだという。両氏ともAIの急速な性能向上に不安を隠しきれず、人間が将来支配されるとの予想もでたという。先駆者の2人がAIのリスクを強調するのはなぜだろうか。

○勃興する核技術への科学者の訴えが頓挫した失敗を再度起こすのか

青木氏によれば、リスクや不安の要因は、AIの性能向上が科学者の理解をすでに超えているとの危惧である。AIの動作の大まかな原理はわかっているものの、なぜうまく答えを導き出せるのか、その根拠は何なのかなど未だに不明だからである。

多くの科学者はAIの過大評価だと指摘する人もいる。だが、AIは謎が多く、究明する必要があるとの認識は共通しているという。ここにAIがもつ社会的課題がある。AIの制御法を見つけられなければ、人間の命令に逆らったり、想定外の行動をとる可能性もあり、大惨事を招く恐れがあるという。

さらに危惧すべきは、AI研究や技術開発は世界で10万人といわれる科学者や技術者が携わっているが、安全性に取り組むのは1%にも満たないという。ヒントン氏がこの点でも「多くの若手が安全性に取り組みべきだと」と主張しているという。安全なAIを実現するには多国間協力と国際的な研究機関が必要であると2人は主張している。得られた知を世界で共有していくことが重要である。

この協力の背景に、第2次世界大戦末期の科学者たちによる核技術に対する国際協力の頓挫が蘇ってくるからである。大国の論理で、核技術は核開発競争を煽り、広島・長崎の被爆を回避できなかった。国連が9月にAIのリスクに関する理解や適切な対応を促す専門家パネルの設置を決めた。いまこそ国際ルールなど策定などを進めるべきであろう。🛜🧠🌿☀️🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『アイデアが出ない』と悩むな」から

2024.11.4   日本経済新聞の記事「私見卓見:『アイデアが出ない』と悩むな」から

先行者がいるのはリーディングカンパニーになれるチャンス

コラムの著者 大林 尚朝氏(アナザーワークス代表)によれば、行政の起業支援や支援機関からのサポートが拡充され、起業しやすい環境が以前以上に整備されてきているという。大林氏も多くの若い起業家やこれから起業したいという大学生から相談を受けるという。こういった相談で多いのは、「起業したいけど、ぼんやりした発想で具体化できない、アイデアが浮かばない」というものである。大林氏は、アイデアの具体化についてヒントを与えている。

○アイデアが出たら実現させるための覚悟を決め、踏み出そう!

大林氏は、ほとんどのアイデアはすでに世の中に出ているということで、起業したい人や新規事業を立ち上げる人は知っておいてほしいという。いくら「日本初」とか「世界初」と言っても、大抵は類似の商品やサービスが展開されている。だからといって、問題かというとそうではないと、大林氏は示唆する。自分が知らなかったということは、まだ当たり前、つまり一般化されていない証拠である。その業界で圧倒的な企業がない状態で、むしろ自らリーディングカンパニーになるチャンスがあることを示していると考えるべきだという。生み出したアイデアに先行者がいるといって諦めてしまうのは、チャンスを自ら逃していることになる。

アイデアを生むためのアプローチは、大林氏によれば2つあるという:

  • プロダクトアウト的発想:「あったらいいな」という発想。このアイデアでは実現するための方法をひたすら考えることにある。あったらいいなが、いつもあるという状態にするためのアイデアを深掘りする。
  • マーケットイン的発想:課題解決を考えるアイデアの出し方。解決しなければならない社会課題をとらえて、そのアプローチで解決するのかを言語化していくことになる。さらに、そのアプローチが必須あるいは必ず必要であるという課題を持ち続けてアイデアを生み出していく方法である。

いずれの方法でも、大林氏によれば、アイデアを絵に描いた餅で終わらせないためには、「ビジネスで絶対にトップを取る」とか「自分が日本の社会構造を変える」といった強い「覚悟」を決めることだという。覚悟とは、起業家自身がその事業領域が好きで、ずっと没頭し、熱中できることであるべきだと大林氏は示唆している。⚡️💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>農業は温暖化の加害者か、環境共生型へ戻る契機」から

2024.11.3  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>農業は温暖化の加害者か、環境共生型へ戻る契機」から

温暖化ガスの2割以上が農林業由来

科学者組織である気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、世界で排出される温暖化ガスの2割以上が農林業由来であるという。さらに、コラムの著者 久保田 啓介氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、農業は少なくとも地球温暖化の観点からは有力な加害者とみなされ、温暖化ガスの大幅な排出削減を迫られているという。その対策として注目されているのがバイオ炭である。

○バイオ炭で大気中のCO2を植物に吸収させて化石燃料の消費の逆過程をとる

久保田氏によれば、国連食糧農業機関(FAO)の報告でも、作物の生産・加工から流通、廃棄までを含む食料システム全体でみると排出量の3割を占めるという。よく知られていることに牛が餌を反芻過程で出すゲップが温暖化ガスのひとつのメタンガスの主要な発生源であると言われている。米作りも水を張った田んぼの土壌中の有機物が分解して発生するメタンは、国内のメタン排出量の4割以上だともいわれている。

現代の農業は機械化が進み、燃料から出るCO2の量も無視できない。工場で加工する化学肥料にもエネルギーを使い、間接的にCO2を排出する。

先進国各国は、農業政策の舵を大きく切りつつあるという。温暖化ガスの排出が少ない農法や飼育法に切り替えたり、農薬や化学肥料の使用を控える動きである。自然本来の復元力を生かすリジェネラティブ(環境再生型)農業が重要だと言われ始めている。その中で世界的に注目されているのが未利用の木や竹、わななどバイオマス(生物資源)を蒸し焼きにして作る「バイオ炭」である。

承知のように植物は大気中のCO2を吸収して成長する。つまりこれを原料としたバイオ炭も炭素を蓄えている。分解しにくく、土壌にすきこむと数百年以上にわたって炭素を保持し固定し続ける。微生物の住処となって土壌を改良し、作物の収量を増やす効果も確認されている。欧州各国ではバイオ炭の普及を政策的に支援している他に、日本国内でも食品・飲料分野の大手製造メーカーや商社が活用の道に乗り出したという。

バイオ炭は、大気中のCO2を植物に吸収させて地中に戻すので、化石燃料の消費と逆の過程を辿ることになる。ここでも地球規模での炭素循環を視野に入れ、農業が環境共生型に戻るきっかけにしたいところだと、久保田氏は示唆している。🎋🌿☀️🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AI、多国間協力に光」から

2024.10.31   日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AI、多国間協力に光」から

インターネットと同様にAIの可能性と安全性は世界の公共財

コラムの著者 イアン・ブレマー氏(米ユーラシア・グループ社長)とマリーチェ・シャーケ氏(元欧州議会議員)によれば、近年、国際的な多国間主義は悉く厳しい状態にあるという。例えば、国際連合の安全保障理事会はロシアによるウクライナ侵略も阻止できず、パレスチナ自治区ガザとレバノンでは停戦もできていないという。国際連合のCOPでも温暖化対策に必要な加盟国の対応を十分に促進できていない。いまだ保護主義が強く、国家連合や経済圏に分断されている状況である。その中で多国間主義で希望が持てる事項としてデジタル技術と人工知能(AI)の世界的統治に関する包括的な枠組みであるグローバル・デジタル・コンパクト(GDC)を採択した。ここでの熱意は、世界中の誰もがAIの恩恵を受けられるようにすることだという。両氏は国連での取り組みについて解説している。

○AIには膨大な需要が存在するが、成長に目を光らせるインフラや仕組みが必要

ブレマー氏とシャーケ氏によれば、国連のグテレス事務総長は約1年前に国際的にAIをどのように統治すれば全人類の役に立つかの意見を求めた。ハイレベル諮問会議を立ち上げ、その報告書をコラムの著者らが執筆して報告した。各大陸から39人のメンバーが選出され、政府や学識経験者、市民団体、テック企業の代表で構成された。そこで、AIに関する国際科学パネルの設置を提言し基本的な承認を得た。

このパネル設置には、気候変動対策を通じて得た教訓がある。AI技術開発の進捗分析という難作業が不可欠で、これをパネルが担い、目標や議論、政策決定の判断材料として政策立案者に中立でかつ事実に基づく根拠情報が提供できることになる。

一部ではなく世界の誰もがAIの恩恵を受けられることを熱望するが故の活動である。共通の知識基盤の構築に加え、あらゆる国やコミュニティーでAIへのアクセスを強化する取り組みを勧告している。中には、国連がこのような統治をAIに行うことやその役割を疑問視する意見もある。国やテック企業が取り組むべき課題も山積しているが、インターネットの利用と同様にAIの可能性や安全性は世界の公共財である。🇺🇳🛜🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:AI導入に必要な慎重な姿勢」から

2024.10.29   日本経済新聞の記事「私見卓見:AI導入に必要な慎重な姿勢」から

AIを脅威ではなく善の力として活用させる視点からアプローチすべき

コラムの著者 スーザン・マーティン氏(英国規格協会(BSI)CEO)は、総務省の2024年度版情報通信白書を使って日本企業が他国に比べAIをあまり活用していない背景について考察し、そこから日本的なアプローチの特徴を考察している。

○新技術にすぐに飛びつくことなく見極める

マーティン氏は、同白書による活用をみると、日本では9.1%の人しかAIを「利用」しておらず、中国では56.3%だったという。マーティン氏のBSIの調査でも、日本のビジネスリーダーに対する世論調査で5分の1がAIをリスクと見做し、懸念事項として主にサイバーセキュリティを挙げているという。しかも、殆どの日本企業がAIへの投資を考えねば競争優位性は保てないかもしれないとも考えている。しかし、今後5年間の投資額は中国が100%であるのに対して日本はわずか3分の2にとどまっているという。

このようなAIの成熟度の遅れは、マーティン氏によれば、日本独自の価値観、つまり特に十分な検討をせずに新規導入したり、既存の手続きを変更するといったことには消極的であることが要因であると考えている。このような「様子見」戦略はAIの誇大宣伝が席巻する中では健全な態度であろう。日本も英国もAIの影響やリスクに対する懸念が主流になりつつあり、規制、管理、監視の強化といったネガティブな面が浮上している。

さらに日本における成功は、必ずしも一番になることではなく、社会全体の信頼を築き、うまく導入する点にある。日本企業の慎重なアプローチは、他国の成功や失敗から学び、真に社会に利益をもたらす方法で進歩をか加速させる位置付けにあるという。日本的なアプローチはAIに投資しながらも善の力として活用することにあると、マーティン氏は見ている。❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇬🇧