宗教

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「陰謀論、考えるヒントに:哲学、認知科学の新書や小説続々」から

2024.11.12  日本経済新聞の記事「陰謀論、考えるヒントに:哲学、認知科学の新書や小説続々」から

真偽を検証する精度が上がり、陰謀論が炙り出されるように

コラムの著者 中野 稔氏(日本経済新聞社)は、世界的に氾濫する陰謀論を取り上げた書籍の刊行に注目している。哲学や認知科学の観点から分析したり、小説の材料になったり、さらに、我々が陰謀論にどう向かい合うかのヒントになるのではないかと示唆している。

○倫理的な徳に比べ知的な徳が軽視されているとの意見も

中村氏は、3人の著作で陰謀論をどう取り上げているかを示している。

  • 山田圭一氏(千葉大学教授):「フェイクニュースを哲学する」(岩波新書、2024年9月発行)
    • 「インターネットは瞬時に膨大な情報を入手できる利便性と引き換えに真偽不明の情報に直面する事態をもたらした。そこにフェイクニュースや陰謀論も含まれる」
    • 「何が確かなものか」「何を信じれば良いのか」を考える哲学の認識論を用いて、インターネットの特殊性を考察した。
    • 「今は倫理的な徳に比べ、知的な徳が軽視されているのではないか。知的な徳とは、相手の言うことを聞いた上で正しいかどうかを吟味する態度。人格形成にはどちらも不可欠」
    • 異なる意見を傾聴し、妥当性をじっくり検討することが求められると、中村氏は示唆している。
  • 久保(川合)南海子氏(愛知淑徳大学教授):「イマジナリー・ネガティブ」(集英社新書、2024年9月発行)
    • 陰謀論や霊感商法など「私たちが簡単に操られる理由」を解説
    • 心と現実世界を繋ぐ認知科学の概念「プロジェクション」がもたらす否定的な側面を挙げているという。
    • 前著では「プロジェクション」のポジティブな面を解説したので、悪い働きについてこの著作が語っている。
    • 有名な陰謀論である「1969年のアポロ11号月面着陸の捏造説」を取り上げ、映像がでっち上げというプロジェクションによるアブダクション(仮説形成)の1つだと説いている。
    • 先行きが見えない時代にはプロジェクションは喚起されやすい傾向にあるという。その振る舞いを知っての付き合い方が重要だ。
  • 小川哲氏(直木賞作家):小説集「スメラミシング」(河出書房新社)
    • ヘブライ語からギリシャ語に訳された最古の聖書をめぐる「七十人の翻訳者たち」など宗教と神がテーマの6編を収めている
    • 「現実の世界はそれほど秩序立っていないのに、そこに繋がりを見出す陰謀論は小説に近い。作家は陰謀論について考えた方がいいと考えていた」
    • SNSのカリスマアカウント「スメラミシング」の崇拝者と投稿を解説する「私」との対話や、電車好きの「僕」の母に束縛された半生が描かれている。「陰謀論を内側から描くことを考えた」

3氏の著作から、中野氏はこれまでよりも真偽を検証する精度が上がり、かえって陰謀論が炙り出せれたのではないかと見ている。一方で、「インターネットやSNSの影響で、ますます同じ物語を信じる人が増え、AIでそれが加速されるかもしれない」と見ている。中野氏の陰謀論への対策は、あらかじめさまざまな物語に触れて、人々の感情の動きを知っておくしかないようだという。📕🛜🚀🌕🔥🥩🐟🥦🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:ロシア、恐るべき闇の力」から

2024.10.3   日本経済新聞の記事「Deep Insight:ロシア、恐るべき闇の力」から

新興国・途上国に限らず米国もターゲット

コラムの著者 秋田 浩之氏(日本経済新聞社 コメンテーター)によれば、多くの戦死者を自国軍に出しながらも、ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領の執念は常軌を逸している。その攻撃も火器による軍事力だけでなく、汚職、利権、脅迫、情報操作など裏工作を使って、ターゲットの国家の中枢に入り込みロシア色で染め上げていく戦略をとる。秋田氏は、これらが民主主義の世界的危機だとして警告している。

○ジョージアやモルドバに軍事介入を狙う

秋田氏によれば、クレムリンの「闇の力」に本気で対抗しなければ民主主義の危機であると警告している。その分水嶺が、ロシアの隣国ジョージアの10月26日に行われる同国の議会選挙であるという。ジョージアは2008年にロシアに侵攻され、約2割の国土を占拠されたままである。

その裏工作の主なものは以下のようだという:

  • 利権ネットワークを使った影響工作:ジョージアの「影の権力者」、ビジア・イワニシビリ氏に新ロシア路線を働きかけ。
  • 脅迫や威嚇:スパイ機関トップ、2024年10月議会選で野党が勝てば政治介入の可能性を示唆。
  • 経済カード:ジョージアとの経済交流を深める。2023年5月以降、直行航空便再開し、ビザも緩和。

ジョージアは世論を見れば旧ソビエト連邦圏でも有数の親欧米国で、各種調査では国民の8割がEUへの加盟を望んでおり、事実2023年12月にはEUの加盟候補国になっている。ところがジョージア政府は真逆の方向で、政権与党「ジョージアの夢」は親ロシアを鮮明にしており、強権体制に移行しようとしている。同党党首の主張も過半数をとれば事実上野党を禁止すると主張し、現野党の指導者もロシアの軍事介入につながる衝突を招いたとして裁判にかけるという、信じがたいものである。

裏工作によるロシアの猛威は、世界に広がっている:

  • 東欧諸国で、民主主義への不信を煽る工作:全米民主主義基金、2024年の報告書から
  • 20カ国以上の政治家・政府関係者に影響力を及ぼすために、2014年以降、3億ドル以上を支出:米国務省の分析、2022年9月時点から
  • 2024年11月の米大統領選挙に情報介入:米政府、ロシア工作員や怪しいネットサイトの摘発を進める

ジュージアのみならず旧ソビエト連邦圏のモルドバも10月20日に大統領選挙があり、ロシアの介入が懸念される。民主主義がクレムリンの「闇の力」に負けてはならない。🚀💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇷🇺🇬🇪🇲🇩


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AIがアフリカを変える」から

2024.8.8 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AIがアフリカを変える」から

高成長のアジア地域に続く経済圏

コラムの著者 チリティ・マルワラ氏(国連大学長)によれば、かつては「希望のない大陸」と呼ばれていたが、この数十年で状況は一変しているという。ステレオタイプな認識は影を潜め、高い成長を続けているアジア地域に続く経済圏として期待されている。新型コロナウイルスの感染拡大と気候変動がアフリカ諸国へ甚大な悪影響を与えてきたのは確かである。しかし、AIの導入で多くの課題が解決されようとしているという。

○人工知能(AI)の導入によりアフリカ経済が抱える問題はかなり解決

マルワラ学長によれば、AIによりアフリカ経済の課題解決の事例は以下のようである:

  • 精密農業:AIとデータによる農業で、農家の収穫量を最適化でき、食料不安に対処。
  • オンライン診療:専門医と即時に連絡でき巡回診療待つしかなかった地方や農村部にヘルスケア革命をもたらす
  • AI主導のフィンテック:金融サービスへのアクセスを拡大できる。
  • AIによる輸送ルートの最適化:輸送コストを下げられる

総じてAIにより、アフリカ諸国の1人当たりの所得や労働生産性を向上させるために必要で、持続可能な経済成長を実現できる可能性を持っているという。

アフリカで問題である地域紛争の抑制にAIが役立つ。SNSなどの分析で紛争リスクを定量化して、紛争が起こる前にアフリカ連合(AU)が介入できる措置が取れる。人々が不満を抱えている問題を特定して、各国政府に政策の対応を促すこともできる。だが、現在のアフリカの経済成長率は執拗な貧困や失業問題を改善させるには低すぎるが、アフリカの人口は非常に若く、今後も増加する。教育分野におけるAIの導入が学習のギャップを埋め、若者が教育にアクセスできる機会を増やすことになろう。

AIの導入による利益を最大化し、リスクを最小化する配慮ももちろん重要である。現在アフリカには厳しいデータに関する規制がなく、知らないうちのデータが収集され悪用される恐れがある。AI規制はあらゆるレベルで検討すべきであると考えている。国際社会、AUやEUなどの地域、国家、産業界のそれぞれの規制を決め、技術の進歩と安全性の確保のバランスを取る必要がある。

AUは2002年に発足したばかりであるが、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の運用開始やアフリカ共通パスポートの導入などが進みはじめている。AIによってより経済統合は進むとみていると、マルワラ学長は語っている。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇿🇦🇰🇪🇪🇹🇸🇩🇪🇬🇬🇳🇨🇩


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:レイシズム、全体像を理解して」から

2024.7.30  日本経済新聞の記事「私見卓見:レイシズム、全体像を理解して」から

日本の国際標準からを憂う以上に大きな危険性もある歴史観

コラムの著者 村田 勝幸氏(北海道大学大学院教授、アメリカ史)によると、人気ロックバンド"Mrs. GREEN APPLE"の新曲「コロンブス」のミュージックビデオ(MV)を巡る論争が、見た目より厄介な問題を含んでいるという。その問題とは。

○人気ロックバンドの新曲のミュージックビデオが巻き起こした騒動

村田教授によれば、MVはコロンブスの衣装を着たアーティストが、押しかけた館で開いたパーティーで類人猿を啓蒙し、導くといった内容で、確かに入植者植民地主義やレイシズム(人種差別)を思い起こさせてしまうという。

今はコロンブスに対する歴史観は、アメリカ大陸の発見者ではなく、先住民支配の先駆者、つまり支配者第1号と捉える見方が定着している。そこに見る見方を政治的妥当性という観点で見た結果である。今回のMVの騒動は、人種的正義に関する認識で、日本が国際標準に比べて遅れていることを露呈してしまったことによる。

一方、当事国である米国ではそんな単純な結果ではない。近年米国での自国史において白人によるレイシズムが果たしてきた一連の影響や役割を学校で教えることを禁じる動きがあるという。その際に、批判の中心的な標的となっているのが、「批判的人種理論(CRT)」である。CRTでは、米国の歴史や社会構造の基盤にレイシズムがあると解く。これに対して、トランプ前大統領らは白人に罪悪感をもたらす分断的な主張だと、激しく批判を展開してきた。

興味深いことに、政治的妥当性に関する理解が米国では一定程度共有されている一方で、米国の歴史でレイシズムを教えることを禁じるという、一見矛盾したいるが、政治的妥当性の裏にレイシズムがあるというCRTととらえるなら、2つの対照的な動きは原因と結果として捉えることもできる。当該のMVを読者はどうと捉えるか。🎵🎶🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「テクノ新世 もっと人間らしく(2):牧師もブッダもAI、『生成された神』に祈れるか」から

2024.6.18  日本経済新聞の記事「テクノ新世 もっと人間らしく(2):牧師もブッダもAI、『生成された神』に祈れるか」から

教典8万点学習、信仰への技術の浸透をどこまで許すか

コラムの著者によれば、キリスト教、イスラム教、仏教までも今やAIを使い、科学技術の発展と反比例してきた宗教の影響力を取り戻そうとしているという。

○ブッダボットも登場

コラムの著者によると、古代インドの仏典を機械学習し、ChatGPTを介した現代風の言葉で質問に答える「ブッダポット」を京都大学の熊谷誠慈教授(仏教学)を開発したという。このAIボットは8万点ある膨大な原始仏典の学習を続けており、熊谷教授は、

「ブッタなら確実にこういう言うだろうというレベルに近づく道は見えてきた」

と語っている。仏教界では法事はおろか葬式ですら不要論が広がる中での危機感がある。

イスラム教もAIの利用に積極的である。教義に関する質問に答えるチャットボットの運用が今年3月からスタートしている。キリスト教ではウィーン大学の神学研究者ジョナス・シマーレイン氏は約1年をかけて、聖書を学び自然な言葉で説教をするAIを開発した。信者からは「悪魔崇拝者の所業だ」と批判があったが、一方で若い世代からは「神の存在を感じた」と好意的な意見もあるという。

近代以降、科学技術の発展は目覚ましく、それに反比例するように宗教の社会的影響力は弱まってきた。だが、AIを利用することで今度は宗教が存在感を高めようとしているという。さらにそれが進めば、2015年に元米Googleの技術者がAIを神格化した仮想の教会をネット上に設立し物議を醸し出した。果たして「生成された神」に人間がひれ伏すことへの懸念は宗教界にもある。くしくもG7でローマ教皇フランシスコは

「AIを適切に制御できるかに人間の尊厳がかかっている」

と述べた。まさにその時である。👶💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇩🇪🇺🇸🇮🇹