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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『AIの民主化』を進めよう」から

2024.9.4  日本経済新聞の記事「私見卓見:『AIの民主化』を進めよう」から

専門家や外部委託に頼るのではなく社員でそれぞれの職種、業務で活用

生成AIの登場で、AI技術の存在がより身近になり、生活やビジネスでの利用が広がってきている。コラムの著者 佐藤 豊氏(Dataiku Japan社長 カントリーマネージャー)はビジネスが意思決定の連続の中、データが業務の副産物でしかなかったものが企業戦略の資源として認識されてきていることを指摘している。データをAIを使って企業はよりよい顧客体験を創出したり、生産性を向上させたり、イノベーションを加速できると言う。あらゆる業務でAIの活用は全社的な効果が期待できる。佐藤氏は、AI活用の課題を示している。

○AIの民主化のメリットを社員自身が実感することが成功へのキー

佐藤氏によれば、生成AIがこれまでのAIと異なる点は、言葉で指示できること、従来より少ない学習時間でデータ、テキストや映像を活用できることだという。適切な指示とデータがあれば、人間が時間をかけて行なっていた調査、レポート作成などはAIによって瞬時に行われ、大量のデータに基づいた判断やインサイトの提供ができるようになった。

一方、企業活動は意思決定の連続で、データからAIによって意思決定を検討することもできるようになる。「データドリブン経営」の基盤となる企業文化や環境を育むことにもなる。確かに、データをAIを使って企業はよりよい顧客体験を創出したり、生産性を向上させたり、イノベーションを加速できる。しかし、データ分析などの人材の手当を考えると、引く手あまたのデータサイエンティストを採用することは困難で、外注で専門組織に頼ることは自社のビジネス上のウイークポイントとなる可能性もある。

そこで佐藤氏は「AIの民主化」を提唱している。AIの民主化とは、AIを一部の専門家だけが利用するのではなく、社員がそれぞれの職種や業務の文脈でAIを使いこなすことで、全社的に業務改革を推進することだと言う。全社的な取り組みには誰もが業務に必要なデータにアクセスできる環境を整備し、社員のスキルレベルを上げねばならない。AIに関するトレーニングや研修などの知見を得ることやAIの民主化によるメリットを実体験できるように進める必要がある。さらにデータを活用することが会社の意思決定に関われると実感することが成功へのキーだと佐藤氏は指摘している。時間や手間のかかる作業をAIで自動化して労働時間を削減し、より創造的な業務に時間を振り向けることができるようになる。AIを主体的に使うことは社員の能力開発につながるとも言える。👓💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:若手が研究に専念できる時間を増やせ」から

2024.9.2  日本経済新聞の記事「社説:若手が研究に専念できる時間を増やせ」から

資金不足に加え時間不足が科学技術力の衰退に

社説は、研究者が研究の時間がとれない本末転倒の状態である日本の大学に対して、科学力の強化のために日本政府と大学は若手研究者の活躍の場を妨げているこの問題の解消を早急に務めることを強く述べている。

○大学本部が研究開発を組織的にマネジメントする力が求められる

社説によると、文部科学省がこの夏、大学に在籍する研究者の勤務実態に関する最新の調査結果を公表したという。年間の勤務時間で研究に費やす時間の割合は、約32%と、この20年余りで14ポイント減少したという。つまり、実質研究以外の仕事を勤務時間の3分の2を使って遂行していたことになる。

では、研究者の研究以外の業務とは、大学の教育現場、社会貢献をこなしたり、入試時期では試験監督などの業務を指す。さらに医学部になると診療が加わる。ある調査報告では、助教の肩書を持つ若手医師の場合、研究時間ゼロの割合が15%、週1〜5時間が約半数を占めていたという。2024年の働き方改革で医師の残業時間の規制が強まり、日本の医学研究が先細りする懸念が強くなっているという。

国立大学を中心とした日本の大学は、研究開発の担い手でもある。資金不足に加え、時間不足が科学技術力の低下につながっていることは否めないという。ここへきて国立大学の法人化から20年が経過した。今こそ大学本部が、研究開発を組織的にマネジメントする力が試されている。実験を補佐する専門スタッフや研究を支える事務職員を増員し、研究者が研究に専念できる環境づくりは必要である。☁️🧪🧠💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>女子の理系阻む親の思い込み」から

2024.9.1  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>女子の理系阻む親の思い込み」から

STEM分野で女性が活躍するには一つずつ障害を取り除く努力を

コラムの著者 青木 慎一氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、日本は、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の大学入学者の女子比率がOECD加盟国中19%と最低であるという。国内の産学官が女子中高生の理系志望を増やそうと躍起になっている。生徒の意識は変わりつつあるが、保護者の意識は遅れているのが現状であるという。

○保護者が障害になる例も

青木氏によれば、2024年、慶應義塾大学など24大学が協力し、研究室ツアーや女子学生との交流会を催している。NECや理化学研究所など企業・研究機関とも連携して進めているという。このように大学や地方自治体の取り組みも活発である。そこでは理工系の大学を卒業して活躍する身近なロールモデルの効果は大きいという。「参加した生徒の意識が変わった」と関係者は一様に口を揃えている。

OECDの順位は最低であるが、徐々に変化は見られるという。工学部入学者の女子比率は10年度までは10%程度であったが23年度は17.3%になった。人気だった志望学科を見ても生物や化学、建築の他に電気・電子系を志望する女子が増えている。「男性が多い印象の職種で女性が活躍し始め、受験生の意識が変化した」と河合塾が1月の大学入試共通テスト後の調査でわかった。就職状況の良さも影響しているという。経済団体連合会によると、理工系出身の女性の採用を増やす意向の企業は6割にも上る。

だが、問題は受験生の周囲の意識であるという。東京工業大学の桑田薫副学長は「保護者が障害になっている」と話している。医学部・薬学部・農学部の各学部は女性が3〜5割いるのに、理工系はその半分である。医歯薬系に比べキャリアが見えにくく、保護者が不安を抱くケースもあるという。企業側は、女性が働きやすい職場環境を整える必要がある。一方で、家庭の男女の性的役割に対する意識が強いと、女生徒は理工系に進まない傾向にあり、「女子は数学が苦手」という偏見を持ちがちで障害になっているという。

このようにSTEM分野で女性が活躍するには、様々な障害があり、これらを1つずつ取り除いていくしかないと青木氏は述べている。👩‍🎓🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:AIが殺傷決める兵器に世界で歯止めを」から

2024.8.30  日本経済新聞の記事「社説:AIが殺傷決める兵器に世界で歯止めを」から

自律型致死兵器システム(LAWS)の恐怖

社説によれば、AIを使った兵器が実戦で使用される例が増えてきているという。さらに進んで、人間が関与せず、AIの判断のみで人命を奪う自律型の兵器として使われる恐れがあるという。これに対しては容認できない。社説は、国際社会がその開発や利用に歯止めが必要であると主張している。

○規制を巡る立場は各国で隔たりがある

社説によると、すでにイスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの空爆目標の選定にAIを使っているという。無関係の民間人が多くの巻き添えになったとも報じられているという。AI頼みが過剰な攻撃をもたらす懸念が拭えない。

ロシアの侵略を受けたウクライナは、反撃に対してAIを搭載したドローン(無人機)を投入しているという。ロシアの石油施設への攻撃に使われたとの報道もある。

AIのレベルもさらに進んで自律型致死兵器システム(LAWS)と呼ばれるものが注目されているという。人が介在せずともAI自ら判断して、人を攻撃する兵器を指す。人を殺すかどうかの最終決定が完全にAI任せとなる。この兵器は、火薬、核兵器に続く軍事面の「第3の革命」とも言われている。

国連のグテレス事務総長は「機械が自律的に人間を標的にすることをは越えてはならない一線である」と警告し、2026年までに法的拘束力のある規制をつくるように各国に呼びかけている。日本政府は国連が提出した見解で、LAWSの自国の開発を否定した。

規制を巡る各国の立場に隔たりがあり、国連総会は昨年末に「対応が急務」とする決議を採択したものの、ロシアなどが反対し、中国は棄権した。またLAWSの定義さえも合意に至っていない。まず米中ロを含むすべての軍事大国が参画して実効性のある議論を進める必要がある。人口減で防衛の担い手が難しくなる社会では、その巧拙が問われている。🔫🛫🗼🧠💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏happy01🇯🇵🇺🇸🇨🇳🇷🇺🇮🇱🇺🇦


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:他社の営業秘密、侵害を防げ」から

2024.8.27 日本経済新聞の記事「私見卓見:他社の営業秘密、侵害を防げ」から

転職者を萎縮させることなく実力を発揮できる体制づくりのために

コラムの著者 石本 貴幸氏(KSIパートナーズ法律特許事務所 弁理士)によれば、転職者の増加につれて徐々に顕在化している犯罪が転職先で使用することを目的に前職の営業機密を不正流出(持ち込み)することが増えているという。前職の企業にとっても大きな損害にも繋がり、持ち込まれた企業にも転職者への対応がリスクを抱えることになる。このような事態が怒らないための対策について、石本氏は言及している。

○前職の営業秘密を無断持ち込み

石本氏によれば、顕在化した事例として、2つを紹介している:

  • 日本ペイントホールディングスから菊水化学工業へ転職者:日本ペイントの塗料の配合などの営業機密を不正に持ち込んだ。
  • ゼンショーホールディングスからカッパ・クリエイトへ転職した社長:ゼンショーホールディングスの取引先などの営業秘密を不正に持ち込んだ。

このような事案は氷山の一角で、転職者が増加するにつれてどの企業でも起こり得る状況だという。このような営業秘密の持ち込みに対する対策が求められる。まずは不正持ち込みを防ぎ、次にこれを使用することがない対策となる。

具体的な対策として、自社への転職者に「他社の営業秘密を持ち込まない」誓約書を求め注意喚起を行う。すでに転職者が持ち込んでしまっていたら、注意喚起では対策にならない。他社の営業秘密の不正使用は犯罪であることをセミナーなど人事教育を行う必要がある。また、他社の営業秘密の不正使用が気づいた場合、通報窓口を社内に設ける。また、上記のカッパ・クリエイトの事案のように、転職者が上司となり、部下に他社の営業秘密の不正使用を指示することもあろう。部下は上司の指示と犯罪行為との板挟みとなることも考慮して、通報窓口はこういった場合の積極的に関与できる体制をつくる必要があろう。

一方、他社から流入した情報が全て営業秘密であるとは限らない。特に技術情報には、公知の情報であっても気付かない場合もありうる。転職者からの情報が、営業秘密であるかどうかの判断も必要である。誓約書も人事研修も通報窓口も、自社のすべての従業員が萎縮することなく、自社内で実力を発揮するためのものであるという認識も重要である。👓💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵