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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:ESG情報開示はAI活用で」から

2024.7.31  日本経済新聞の記事「私見卓見:ESG情報開示はAI活用で」から

企業はESG情報をAI活用を前提に量・質共に充実、透明性を確保すべき

コラムの著者 中久保 菜穂氏(シェルパ・アンド・カンパニー CEIO、ESG責任者)によれば、膨大で広範囲な情報となるESG(環境・社会・企業統治)の確認や分析にはAIが活用されていくことが増えるという。人間のアナリストに比べ、その評価に情報処理速度より高速で、正確であり、参考情報の範囲は広く、量も多く、客観性も向上するという。さらにAI活用によるこれまでの課題解決にもつながるという。

○AI活用で、ESGウォッシュ対策や人間の持つ無意識の心理バイアスを排除できる効果が期待できる

中久保氏によれば、現在の企業のESG情報は、有価証券報告書や統合報告書など多様な文書で開示されている。ファイルの形式も多岐にわたり、評価時には日本政府や第三者機関による調査データも参考にする必要があるという。このように膨大で広範囲な情報となるESG(環境・社会・企業統治)の確認や分析にはAIが活用されていくことが増えるという。

さらにAI活用による効用もある。例えば、ESGウォッシュ対策である。実態が伴わない見せかけのビジネスにより、ステークホルダーに誤解を与える「ESGウォッシュ対策」にも有効である。AIを用いれば、企業はモニタリング機能を向上させることができ、SNSやNGOなどの報告がほぼリアルタイムで参照でき、サプライチェーン全体のモニタリングができる。

さらに、人間の意識に潜む無意識のバイアスを排除して、評価の客観性を担保できる期待がある。ただ、AIにも学習データによってバイアスを持ちうることも認識しておく必要がある。

このようにESG評価でAIを使うことはもう不可逆となっており、それなら企業側もAI活用とアナリストの評価の両者があることを前提に情報の量と質の向上、さらに透明性の確保をこれからも進める必要があろう。🧠📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:認証不正、制度設計は柔軟に」から

2024.7.29  日本経済新聞の記事「私見卓見:認証不正、制度設計は柔軟に」から

ルールの前提となる状況や条件は刻一刻と変化し予測不能

コラムの著者 吉野 直人氏(西南学院大学商学部教授)が提唱するのは、国が安全基準を決めて具体的な試験方法や条件はメーカーに一任することで、現状の課題解決を図れるのではないかという。自動車メーカーの型式指定を巡る認証不正問題で明るみに出た国の規定とは異なる試験方法や手順が取られていた。その原因とは。

○医薬業界で行われている市販後調査も必要

吉野教授によれば、今回の不正はメーカーの順法精神の低さと不正を指摘できない職場風土を批判する一方で、元来の国の規制のあり方やルール自体の問題を指摘する声もあるという。

自動車メーカーが例え国の基準よりも厳しい方法で実施しても、ルールに則らないことには違いなく「不正」となる。確かに虚偽記載やデータの改竄のケースは問題外であるが、規制する側に課題はないのであろうか。

組織においてルールと現場の手順に乖離があることはしばしばであるという。これは、ルールの前提となる状況や条件がダイナミックに変化していることにも影響を受けている。事前にこのダイナミックスを予測することは難しい。そうなると現場ではルールから切り離されて、安全性が求められる現場ではリスクの温床となっていく。

このリスクを抑えるため、認証制度にも当局への申請を通じて試験方法の見直しの道がある。ただし、多くの車種や技術の多様化で、モデルチェンジや設計変更が頻繁に行われる中で試験方法の変更に対するコストは大きくなり、実質的には見直しされない状態となる。さらに現場でいくら工夫しても国の規定に反するのであれば検査不正として問題視されてしまう。

つまり規制と裁量のバランスが中途半端な状況が続いていることが不正の要因にもなっている。他業界である医薬品業界の安全基準のように、国は基準だけを決めて、試験方法や条件はメーカーに一任するといった設計の方が柔軟であるのではないかと、吉野教授は提案している。その際も、市販後調査のようなフィードバックでルールの見直しを考えられることも重要であろう。🚗🚕🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「個人情報、保護強化に逆風:課徴金・団体訴訟導入に企業反発、法改正、公開で議論へ」から

2024.7.15  日本経済新聞の記事「個人情報、保護強化に逆風:課徴金・団体訴訟導入に企業反発、法改正、公開で議論へ」から

当局は個人情報保護と企業活動のバランスをにらんだ舵取りを迫られる

記事の著者 瀬川 奈都子氏(日本経済新聞社編集委員)によると、ICTの進展に機動的に対応するため3年ごとに個人情報保護委員会が検討し改正されるが、改正の目玉とされる課徴金や団体訴訟制度の検討案に経済界が「データ活用が萎縮する」と強く反発している。

○EUの一般データ保護規則(GDPR)の影響が大きい

記事によれば、6月27日に個人情報保護委員会は法改正の検討に向けた「中間整理」を公表したという。目を引いたのは課徴金と団体訴訟の導入を巡る厳しい表現であったという。これについて経済界が猛反発している。経済団体連合会、新経済連盟、日本IT団体連盟など8つの事業者団体は4月4日付けで、これら2制度に反対し、個人情報漏洩などの報告義務の負担軽減や3年ごとの見直しのプロセスに対して透明性を上げる要望を示している。

自由民主党にもこの反発が波及し、個人情報保護委員会の政策立案と執行の両面を担うことを分離すべきなどの意見も出ているという。世界的には個人情報の利活用よりも保護を重視するEUのGDPRの影響を大きく受けているといいう。

企業側が規制強化を懸念している一方で、消費者団体側は既存の救済システムでは不十分との意見が根強いという。現法では情報漏洩などに対して「事業者側の故意」または「財産的請求と合わせて請求する」ことが要件で、被害の立証が難しいために団体訴訟が事実上難しい。

社会に受け入れられる洗練されたICTサービスやデジタル産業を発展させるためには、事業者側も消費者側も論議を尽くして適切なルールを見出さねばならない。個人情報保護委員会の舵取りは極めて難しい。💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>増えない研究時間、教育との役割分担を」から

2024.7.14  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>増えない研究時間、教育との役割分担を」から

大学の改革が前提で教育専任社の待遇や地位を高める意識改革も必要

コラムの著者 松田 省吾氏(日本経済新聞社サイエンスエディター)によれば、文部科学省が6月に大学の研究者の年間職務時間に占める研究時間の割合などを調査した結果を公表したという。前回2018年度の調査よりも研究時間の割合は32.1%と減っており、厳しい状態が続いているという。

○分離の必要性は以前から指摘されていたが現場でも求められている

松田氏によれば、研究比率が減っているのは教育活動の相対的な増加にあるという。文部科学省も各大学の事情もあるだろうが、研究に力を入れている大学を見てみるとどうであろうか。6月に世界最高水準の研究大学を目指す「国際卓越研究大学」の第1号に選ばれることが固まった東北大学では、研究時間の割合は34.5%だったという。専門職スタッフの増員や、研究支援体制の拡充など将来は50%とする目標を掲げているという。

同大学の学長も、完全に教育業務がないというよりも、どちらかに重点を置くような分担を考えているという。現場では、研究と教育の分離が求められているようにも見える。だが、研究と教育の分離は以前より議論されているが、大学の改革、例えば教育専任人事の評価や待遇、地位の向上などの意識改革がなければ、抜本的な解決にはならないと松田氏は指摘している。💊🎓🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「科学の時代ゆえの陰謀論、経験科学は統計をベースに考察される」から

2024.7.14  日本経済新聞の記事「科学の時代ゆえの陰謀論、経験科学は統計をベースに考察される」から

WHOを舞台に討議されたパンデミック条約の仕切り直しの背景

コラムの著者 矢野 寿彦氏(日本経済新聞社)は、新型コロナウイルスの教訓として次なる感染症の脅威に世界が一丸となって戦おうという呼びかけにWHOを舞台として約2年間、パンデミック条約の交渉が続けられたが、残念ながら合意できず仕切り直しになった。その背景に先進国と発展途上国との対立、そして予期せぬデマが世界を駆け巡り交渉に悪い影響を与えたという。

○一人ひとりの不安への答えがない

矢野氏によれば、その悪いデマとは:

  • 「WHOが超国家的な力を持ち、加盟各国の主権が奪われる」
  • 「ワクチンの強制接種が始まる」
  • 「彼らは新たな感染症を生み出そうとしている」

といった流言飛語がSNS上で世界を駆け巡ったという。出所は不明で、「闇の政府(Deep States)」の存在を信じる「Qアノン」とも言われているが実態はわからない。

陰謀論として政治化する恐れもあり、ネット上の戯言と片付けられないところが悩ましいと、矢野氏は指摘している。

コロナ否定論や反ワクチン運動、温暖化懐疑論や地球は球体でなく平面だとする地球平面説まで奇々怪々、荒唐無稽な言説が、合理性、客観性を重視するデータ社会、科学の時代に、なぜ人は信じてしまうのか。

その要因の1つに矢野氏は、「脳は怠け者」とした特徴があり、もやもやした感情を抱くと、その原因を追求し理由付けしたがるところにあるという。「納得のいく答えが見つかれば、それが真実は深く考えない」と社会心理学者の橋元良明氏(東京大学名誉教授)は説明している。新型コロナウイルスの感染拡大では科学の限界が顕になった。さらにワクチン接種で亡くなる人や苦しむ人も現れた。

自然科学や社会科学、医学といった経験科学は突き詰めると「統計」をベースに考察される。人間がその対象となった場合、それは統計学的な平均を扱うことになる。つまり「一人ひとりの不安に対する答えがなく、逆にはぐらかされたようにも感じてしまう」と、鶴田想人氏(大阪大学特任研究員)は語っている。💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🦠