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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>不登校対策も1人1台端末で、AIが教育『生態系』変革」から

2024.8.25  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>不登校対策も1人1台端末で、AIが教育『生態系』変革」から

学校や保護者でけでなく地域や企業を巻き込んだエコシステムを生んでいる

コラムの著者 久保田 啓介氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、日本政府のGIGAスクール構想で児童生徒に1人1台ずつ配られ学習端末の利用が広がり、学校にさまざまな変化を起こしているという。

○求められる技術標準

久保田氏によれば、GIGAスクール構想の主眼はICTを活用して一人ひとりの理解や進度に応じた「個別最適な学習」に取り組むことであったという。しかし、端末を使った応用は広がっている。子どもたちの心や健康管理、授業の出欠や成績などの把握が担任教師が行う支援まで広がっている。

さらに授業の出欠や成績などを合わせ、膨大なデータをAIで分析し、不登校の予兆などを掴んで未然に防ぐといった活用例もできてきた。

また学校教育でデジタル化は教育サービスの担い手にも変化をもたらしたという。学習プラットフォームを開発するハードウェア、ソフトウェア会社に加え、健康管理や心理分析などでノウハウを持つ企業も教育に参入してきている。これまで日本では義務教育は学校と行政が担い、「企業やビジネスの領域は学習塾や予備校、通信教育」という暗黙の了解があって、学校と企業の垣根は欧米に比べて高いと思われてきた。だが、デジタル化がその関係を変え、学校や保護者だけでなく地域社会や企業を巻き込み、新しい教育エコシステムを生んできている。

そこで問題になるのが技術標準だと、久保田氏は指摘している。児童生徒の名簿や成績表が紙からデジタルになっても、転校すると読み取れないのでは困る。デジタル教材もユニバーサルで機種の違った端末でも使える技術標準が必要となる。世界では1000以上の企業や教育・行政機関が参加する標準化団体「1EdTechコンソーシアム」がこの分野の標準作りを進めているという。国内でも2016年に日本1EdTech協会が設立され、日本勢が、新技術を提案する事例もあるという。

今後は学習端末やAIが学校と企業の垣根を払って、子どもたちの学びの環境を良くする好循環が生まれることを久保田氏は期待している。👩‍💻🎓🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「中外時評:AI先行投資に潜むリスク」から

2024.8.21  日本経済新聞の記事「中外時評:AI先行投資に潜むリスク」から

生成AIの活用の期待値が「経理」、「法務」、「人事」とも下がっている

すでに日経の社説にも先行投資のリスクについて述べられているが、コラムの著者 田中 暁人氏(日本経済新聞社 論説委員)はさらに巨大テック企業と顧客企業の味方の差を浮き彫りにして、生成AIブームがそれほどでもないことを示している。

○目先の業務の効率化やコスト削減を目論みが期待以下だった

田中氏によれば、巨大テック企業のようにクラウドサービスやネットサービスといったデジタルプラットフォームで高い世界シェアを握り、莫大なキャッシュを安定的に稼ぐ収益モデルをもっているところと、目先の業務改善や効率化、コスト削減を考えている顧客企業では、生成Aiに対する投資期間が大きく違うのは当然であるという。

田中氏によれば、2022年11月中旬、東京都内で日経の単独インタビューに応じた米マイクロソフト(MS)最高経営責任者(CEO)のサティア・ナデラ氏から、この先10年で最も重要なデジタル技術は何かという問いに、

「疑う余地もなくAI(人工知能)だ」

と即答が返ってきたという。インタビューの2週間後、米スタートアップのオープンAI社が生成AI「ChatGPT」を公開したことで、一気に生成Aiが世の中に普及した。すでにMSは2019年に同社に出資している。さらにMSでは顧客企業への事業化を進めてきた。つまり、自社の業務アプリ群に生成AI技術を組み込み、メールの返信やスライドの作成などAIが支援するサービスをいち早く投入し収益化に繋げている。さらにMSのクラウドサービス経由で他の企業や組織に生成AIを使えるようにして、同事業の売り上げも増加しているという。処理系を半導体に行わせたり、AIを搭載するタブレット端末などにも参入している。当時は、同社の株式時価総額が世界最大となった。

しかし、その後同社の増収増益にも関わらず、株価は下落し始めている。背景に、社説にあるデータセンターなどの先行投資が大きすぎるとの懸念であるという。だが、本当のところは、「企業が生成AIを導入するハードルが思った以上に高いことがわかってきた」と、オープンAI社と提携関係にあるコンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーの安達広明パートナーは指摘しているという。AIに処理させるための自社のデータの整理や分類に手間取ったり、処理までにこぎつけたものの、想定と違ったアウトプットが返ってきて役立たずとなったケースもあるという。

巨大テック企業は先行投資は体力的にできるだろうが、顧客企業にとっては中長期的な付き合いよりも短期的なソリューションが欲しいところであろう。実際ベインの調査では「経理」「法務」「人事」といった各部門での応用が期待値に削ぐわっていないようである。

ここは、短期的なソリューションを見出し、顧客企業と連携する方がより多くの応用と収益性が出るのではないだろうか。💴🏢🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「科技立国、『科学技術指標2024』から:日本の研究力低迷、『3つの不足』が影響」から

2024.8.20  日本経済新聞の記事「科技立国、『科学技術指標2024』から:日本の研究力低迷、『3つの不足』が影響」から

研究資金・多様性・国際協力が不足

文部科学省の科学技術・学術政策研究所がまとめた「科学技術指標2024」では、他社の論文からの引用数が上位10%に入る「注目論文数」で日本は2023年版と同様に世界13位にとどまったという。コラムの著者らによれば、この低調の要因は、研究予算、多様性、国際協力の「3つの不足」によるものだという。

○韓国やイランが上位

コラムの著者らよれば、同指標でみると韓国は9位、イランは12位と日本よりも上位である。研究活動の活発さを示す全分野の総論文数で日本は前年と同じ5位。3つの不足について見てみよう:

研究開発費を見ると、日本は名目ベースで2000年に比べ2022年は3割増加。だが伸長は、米国の3.4倍、中国の31.2倍、韓国の8.1倍と比べて見劣りがしている。研究費が不足すれば、優れた成果を出すのは難しい。研究開発費総額のGDP比をみると、日本は3.7%で米国(3.6%)や中国(2.4%)を上回っているが、実際は研究の主力である企業の割合が高いからだという。大学にも十分な資金を投じる必要があろう。

研究現場の人材の多様性はどうか。女性研究者の割合を調べると、日本は企業や大学、公的機関などのいずれの部門も主要国に比べて低い。女性研究者が十分に働けずに機会損失が生まれ、科学研究力や産業競争力の低下を招いている可能性もあるという。さらに女性研究者をうまく育てられない社会的要因もあるという。中高生の進路選択で自然科学系の研究職を視野に入れない無意識のバイアスがあるという。

さらに日本の国際協力は、「内向き志向」が強い。他国の多様な専門性を持つ人材と協力することで質の高い研究が進められ、研究者の国際な認知度も高めることができるはずである。まさにグローバルな研究ができる環境づくりも必要であろう。🔍🔬🔭📓🪐🚀💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:『株嫌い』80年目の脱却を」から

2024.8.16 日本経済新聞の記事「Deep Insight:『株嫌い』80年目の脱却を」から

「貯蓄から投資へ」の機会は何度もあった

コラムの著者 梶原 誠氏(日本経済新聞社 コメンテーター)によれば戦後79年で日本経済には、国民が企業の成長を支えて共栄できる「貯蓄から投資へ」のチャンスが幾度もあったという。過去の潰えた原因は株安にあったという。今回の日本政府の政策は大丈夫なのか。

○失敗の原因は株安

日経平均株価は先月、4万2000円を超え、過去の最高値を更新した。しかし、8月5日には4451円も急落して今年の値上がり分を帳消しにして乱高下が続いている。このほど導入された少額投資非課税制度(NISA)で投資を始めた人も株式市場のこの動きに当惑しているという。

梶原氏によれば個人金融資産の半分は2000兆円を超える現預金が休眠しているという。企業側も金融機関からの融資だけであればリスクを取る元手としては頼りにくく、株式に期待する。個人の現預金を株式に投資してもらい、企業が成長すれば、株高で個人も資産が作れるという、「ピープルズキャピタリズム(みんなの資本主義)」と呼ぶ日本経済の悲願である。

しかい、多くの試みが失敗してきた。そればかりか、「株は悪」という10年以上も癒えない株嫌いのトラウマを残してしまった。梶原氏は3つの事例を示している:

  • 1947年、日本銀行や証券界が始めた「証券民主化運動」。戦前、財閥が持っていた優良株を社員、地域住民、顧客らに分売し、個人株主の比率を上げ、1949年には69%とした。しかし、ドッジ不況がこれを襲い、株価は暴落し、個人んは損失に耐えきれず、株式を手放した。企業や銀行が受け皿となり、悪名高い株の持ち合いが始まってしまった。
  • 1987年、バブル景気真っ盛りの時期。日本政府が保有しているNTT株を売り出して上場させ、多くの個人株主を生んだ。だが、1990年からの株価急落で、多くの人が深傷を負った。
  • 1996年、日本政府が打ち出した「金融ビッグバン」。株式売買手数料の自由化と確定拠出型年金の導入で貯蓄から株式へのシフトを狙った。しかし、2000年のハイテク株のバブル崩壊や長期デフレで、預貯金の方が有利になった。

今回は新NISAを軸とする「資産運用立国」政策である。デフレは脱却しつつあり、預金の優位性は崩れたことから過去よりは成功のチャンスが大きいと梶原氏は述べている。34年ぶりの日経平均株価の高値更新は、投資家の心の傷を癒やし始めた。2019年に言われた「老後2000万円問題」という国民の切実な需要が原動力にあるという。

振り返ってみれば、ピープルズキャピタリズムの原点は、1945年の敗戦時にある。当時、証券民主化運動を率いた日本銀行の一万田尚登総裁は、目的を「産業の復興、発展」と位置付け、「おカネは銀行に預けなくていいですよ。長く預けていい人は株をもちなさい」と全国を説いて回ったという。企業も動き、1946年に東京通信工業(現ソニーグループ)を創業した井深大氏は、同社の「設立趣意書」で「日本再建、文化向上」を創業の目的に掲げた。個人株主づくりの構想を練り上げていたことがこの趣意書からも伺えるという。💴🏢🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「経済教室:イノベーション経営の国際規格、価値創造へ自社を客観評価」から

2024.8.13  日本経済新聞の記事「経済教室:イノベーション経営の国際規格、価値創造へ自社を客観評価」から

既存企業でもイノベーション創出力が弱ければVBとの連携でも成果がでない

コラムの著者 西口 尚宏氏(上智大学特任教授)は、一国の経済成長と繁栄にはイノベーションの実現が必須であると説いている。スタートアップの成長性と既存企業によるイノベーション創出がその両輪であるという。スタートアップも既存企業も共にイノベーションを起こすことで社会への価値提供、経済成長、雇用増加が期待できる。西口教授は、欧州が主導で進めているイノベーション経営の国際規格を利用し、日本企業が競争力を向上させる方法について触れている。

○イノベーションが起きない企業には共通のパターンがある

西口教授によれば、日本の既存企業はイノベーションの創出力が弱いという。そのためにスタートアップと連携しようとするが、自社のイノベーション創出の強化とスタートアップ連携の両立させることが世界のイノベーション経営のトレンドだという。イノベーション創出力が弱い企業は、社会価値を自ら生み出せず、スタートアップ連携からも成果が出てこない。

さて、スイスのビジネススクールIMDの世界競争力ランキングで上位を占める欧州では米国のように一部の天才的な起業家の力に頼らず、組織的なイノベーション創出のためのマネジメントシステムの共通言語を構築し、欧州全体の競争力を高めようとしている。これを機に2013年国際標準化機構(ISO)を軸にイノベーション経営の国際標準化が開始された。欧州が急いだのは、GAFAMに代表される米企業の台頭への危機感であったと言われている。

標準規格の策定時に議論となったのは、イノベーションが起こらない企業には国籍を問わず共通のパターンがあったことである:

  • イノベーションに意欲的な社員の活動が属人的なもので終始し、組織的な活動に発展していない
  • イノベーションに本来必要な試行錯誤が許されていない、あるいは軽視されている
  • 教育や予算などイノベーション支援への経営トップの関与がない

が挙げられている。国際規格ISO59002では、このような状況が起こり得るとして、イノベーション活動の成功確率を上げるためにの経営システムのあるべき姿を示している。経営者の役割は特に重点的に描かれているという。

国際標準化で大きな議論は、インベンション(発明・技術革新)とイノベーション(価値創造)を区別する合意であった。日本ではイノベーションを技術革新と混同するケースが少なくないという。この2つを区別することで、発明・技術革新は新しい存在だが、それが価値を生むかどうかはわからない。一方、イノベーションは具体的な価値創造が実現している存在物(プロダクト、サービス、プロセスなど)と定義している。さらにこのイノベーションをを起こすプロセスも以下のように合意したという:

  • 機会の特定
  • コンセプトの創造
  • コンサプトの検証
  • ソリューションの開発
  • ソリューションの導入

である。この仮説検証を繰り返す非直線的なプロセスがイノベーションを起こすという。西口教授は今後認証を審査する人材育成やイノベーションを起こす起業家の存在が重要であるという。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵