時事問題

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「中外時評:遠隔医療の普及を阻む壁」から

2025.1.15  日本経済新聞の記事「中外時評:遠隔医療の普及を阻む壁」から

法律的解釈や診療報酬のルールなどが壁に

コラムの著者 柳瀬 和央氏(日本経済新聞社 論説委員)によれば、人口減少と高齢化が加速する日本社会において遠隔医療は住民サービスを提供する「頼みの綱」になってきているが、活用を阻む制度上の壁が消えないという。その背景について柳瀬氏は解説している。

○現場のアイデアや努力に国のルールが追いついていない

柳瀬氏は、72の有人離島がある長崎県を事例に遠隔医療の課題について述べている。路線バスの縮小やタクシー会社の撤退などで通院に困る高齢者が増加した長崎県五島市では、2023年から遠隔医療の設備を整えた車両が福江島内を巡る「モバイルクリニック」の運用を始めた。専用車両に遠隔医療でも体内の音を聴ける電子聴診器などの医療機器を搭載し、看護師が乗り込んで患者の自宅付近に配車する。患者は車内で看護師のサポートを受けてオンラインで医師の診察を受ける。

2024年10月までにオンライン診療の回数は438回。通院負担が減るのみだけでなく、医師が患者宅まで出向く往診や訪問医療よりも診療の効率が上がり、診察を受ける患者も増加した。

問題は、点滴、注射、尿検査といった処置や検査を車内で実施できないことがある。看護師が医師の指示のもとで行う医療補助行為について、日本国内のルールで「診療報酬を請求できるとの規定がない」ことで見送られているからである。また、専用車両が法令上、医療を提供できる場所として位置付けられていないことも制約であるという。また、診療報酬の行き先が、現場の医療機関であるとは限らない事例などもルールの整備が必要な場合も見受けられる。

遠隔医療のメリットは患者側以外に医療機関側にもある。医師の養成にもベテランの医師の助言をリアルタイムで受けながら診察でき、へき地での勤務がしやすくなる。さらにコンパクトに持ち運びできる遠隔医療システムの登場も追い風になっている。現場の取り組みを経済的に支える診療報酬の課題や法改正は遠隔医療の喫緊の課題であると、柳瀬氏は提言している。🩻🚑💉🩺👦👶💬👩🤝👨💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「4社に1社、AI活用へ道:CES、公開技術でロボットや自動運転」から

2025.1.14  日本経済新聞の記事「4社に1社、AI活用へ道:CES、公開技術でロボットや自動運転」から

米巨大テック企業への依存が強まるジレンマ

米ラスベガス市で開催された世界最大のテクノロジー見本市「CES」でAI技術関係が約4500社・団体の4分の1であったという。コラムによれば、外部公開された技術のおかげでAI製品やサービス開発は効率化されたが、CESの展示から分かるように似たようなものになっている。また、米巨大テック企業の依存度が強まるといったジレンマを抱えてしまっているという。

○公開情報で製品開発は効率化されたが、似通り斬新さに欠ける

コラムによれば、CESはかつてテレビなどのデジタル家電の展示が中心であった。2010年代後半にデジタル家電市場が成熟し始めると、主役はEVなどのモビリティーに移行し、2024年からはAIが中心となった。2025年からAI技術が対話型AIからロボットなどの物理空間に移り、半導体AIのリードであるエヌビディアなどは「フィジカルAI」と呼んでいる。同社は、ロボットや自動運転向けに使えるシステムを無償提供すると宣言している。

ICTではすでにインターネット経由で仕様公開されたオープンソース型のAIもクラウドコンピューティングの普及で広がっている。既存のAI技術で独自製品が開発できるようになったと語るスタートアップも出てきた。KPMGUSの幹部も、AI技術を使って生活と融合した形で価値を築くことを競う競争状況となっていると述べている。

今回のCESでは米テック企業の基盤技術を使う動きが目立ったという。クラウドサービスには米アマゾンのAWSや米MS、米Googleが世界の7割のシェアを握り、AIの主要モデルも米オープンAIや米メタ、米アンソロビックといった企業が開発を先導している。ただ、このような先行巨大テック企業への依存は、独自製品やサービスの開発による差別化が難しくなるジレンマを生んでいる。🚗🤖📕📗💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:マスク氏、米同盟国を『口撃』」から

2025.1.13  日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:マスク氏、米同盟国を『口撃』」から

歴史上にない米大統領と世界有数の大富豪の「共同大統領」的な言動

コラムの著者 エドワード・ルース氏(FINANCIAL TIMES USナショナル・エディター)は、米起業家イーロン・マスク氏がトランプ次期米大統領の事実上の「共同大統領」のような振る舞いに注目している。米国の「悪徳資本家」と呼ばれた富豪のロックフェラー家やカーネギー家も当時の大統領と対等に振る舞ったわけではなかった。マスク氏は、ドナルド・トランプ氏と同様にプーチン大統領率いるロシアを称賛し、欧州を軽視している。今回の政権ではどうなっていくのか。

○ドイツ、英国、そしてフランスの政府が抱える新たな課題に

ルース氏によれば、共同大統領のマスク氏の任務に民主主義を掲げる同盟国の政権を交代させることも含まれているようだという。

  • ドイツ:2月に総選挙。マスク氏はドイツを救えるのは極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」だけだと発言。
  • 英国:英労働党のスターマー政権打倒を呼びかけ。突如として英国の児童福祉にこだわり始める。同政権で女性や少女に対する暴力問題を担当するジェス・フィリップス政務次官に対して「レイプ・ジェノサイド(集団殺害)の擁護者」のレッテルを貼っている。

だが、マスク氏はロシアや中国については沈黙を守っている。

  • ロシア:推定2万人のウクライナ人の子ども達が自宅から連れ去られ、強制的にロシア人家庭の養子にされることについては沈黙。
  • 中国:EV大手のテスラは同国での事業規模が大きいため、リスクを避け沈黙。

マスク氏は、ドナルド・トランプ氏と同様にプーチン大統領率いるロシアを称賛し、欧州を軽視している。欧州の自由民主主義に対して抱く嫌悪感はルース氏によれば本物に写っている。またロシアが利する条件であってもウクライナ戦争は終わらせたいというトランプ氏の焦りと同様にマスク氏も協調している。今回は楽観的な見方はできないとルース氏も予想している。📺💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸🇩🇪🇬🇧🇫🇷🇺🇦🇷🇺🇨🇳


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:メタのチェック廃止は問題だ」から

2025.1.13  日本経済新聞の記事「社説:メタのチェック廃止は問題だ」から

安易な目先の損得勘定での決定ではないのか

社説によれば、SNSなどを運営する米メタが、第三者機関による事実確認、ファクトチェックを米国で廃止するという。代替対策を講じるものの、偽情報などの増加の懸念があり、憂慮する事態だという。同社は、2016年以降、Facebookのみならずインスタグラムに対してもファクトチェックをしてきた。だがマーク・ザッカーバーグCEOは「政治的に偏り、信頼性を破壊した」という。

○方針転換の説明が不十分との声も

社説によると、同社は代替機能として誤情報や対立を煽るような投稿に対して利用者が注釈を加える「コミュニティーノート」を導入するという。この機能はすでに2021年導入した旧Twitter(現X)に追従した形になる。

この時期に同社の方針変更となった背景に、ドナルド・トランプ次期大統領をはじめとする保守派の批判があるという。米テクノロジー大手にはリベラルな思想を持つ社員が多いと言われ、保守派はこれを偏向的と断定している。さらに、トランプ氏は政権復帰後、締め付けを強めると表明している。

ファクトチェック自体も一部行き過ぎの面がなかったわけではない。しかし、この時期に全面的な廃止は社説によれば極端な判断で問題が多いと指摘している。代替案のコミュニティーノートにも課題があり、先行してこの機能への依存を強めたXの変質に対して多くの疑問を抱く利用者は少なくない。

SNSでは投稿を拡散させた利用者が金銭的な対価を得られる傾向が強まり、真偽が必ずしも定かでない情報も広まり易くなってる。テック大手は米国に限らず日本国内においても目先の損得勘定に基づいて安易な判断に傾くと世界で規制強化の流れを強めることになる。自分の首を自分で締めることにもなりかねない。🛜👦👶✒️📕📗💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇺🇸🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:デジタル敗戦、繰り返すな」から

2025.1.11   日本経済新聞の記事「Deep Insight:デジタル敗戦、繰り返すな」から

1990年代の悪夢の再来を避けよ

コラムの著者 梶原 誠氏(日本経済新聞社 コメンテーター)によれば、1980年代末、世界の株式時価総額の上位は金融機関をはじめとする日本企業が独占していたという。しかし、今やエヌビディアなどの米テック大手のマグニフォセントセブン(M7)ととって代わられている。どこで日米の企業の明暗は別れたのか。

○エヌビディアの例

梶原氏によれば、日本企業は、米企業にうかうかしていると、反転の機会なく大差で負けてしまう悪夢が再び襲うかもしれないという。その証左として米CESの主役が米半導体大手エヌビディアのCEOの業態変革があるという。同社は、半導体産業からロボットや次世代自動車を設計する担い手への脱皮を図っている。成長性も高く、投資家は放っておかない。同社の株価は、CESでの同社の講演前に史上最高値を記録している。

CESは家電見本市から企業の進化を示す幅広いテクノロジーの中身を披露する場に大きく変化してきた。そして、ウォール街がCESに急接近してきた。

1980年代以降、米企業は会社の形が変わることも厭わず、ICTに投資を注ぎ込んだ。MSがWindows95を発売してインターネット元年とされた1995年以降、情報化投資は加速し続けた。日本の企業の投資は何とか伸びを保った程度で、米企業との差は開き続けている。伝統的な日本企業が変化を恐れ、バブル崩壊と金融危機でICTへの投資どころではなかった。1995年から2022年までの投資額の伸び率は米企業の17倍に対して、日本企業は高々2倍程度である。

ICTへの投資は生産性の向上に繋がり、日本企業は生産性でも世界水準から置いていかれるようになった。危うさがはじければ、実体経済も揺らぐ。日本企業は株高に安住せず、逆風を突いて成長できる「脱出速度」をためねばならない。📱💬💻🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇫🇷🇩🇪🇬🇧