【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:オープンAI、営利化の不安」から
2024/10/12
2024.10.10 日本経済新聞の記事「Deep Insight:オープンAI、営利化の不安」から
法人の起源は非営利にある
こう説くのは経済学者として資本主義や会社について研究考察し、多くの著作を著した岩井 克人東京大学名誉教授である。コラムの著者 村山 恵一氏(日本経済新聞社 コメンテーター)は、岩井克人教授が心配する生成AIでお馴染みのオープンAIについて解説している。
○非営利と営利は水と油ではなく連続性がある
村山氏によれば、岩井教授は「イノベーションを成功させて持続させるには、どこかで必ず非営利的な要素がいる」と考えているという。その実例が米Googleだという。同社の出発点も非営利的であった:
- ミッション:「世界中の情報を整理し、だれでもアクセス可能にする」
- モッチー:「邪悪になるな」
- 従業員の創造性を引き出す、非金銭的なインセンティブ:社会的尊敬、文化的環境、就業時間の20%を自由に使えるルール
以前より、リスクマネーを確保するために上場したが、種類株によって創業者が圧倒的な議決権を握っている。短期視点の利益追求を追う株主に解雇されない安心感を従業員に与えた。経営理念など非金銭的な目標が従業員を長期的な視野で研究開発に向かわせた。その結果は、検索分野で首位で、資本主義の評価でも群を抜いた大成功をもたらした。
オープンAIも1995年に非営利団体(NPO)として発足した。「人類全体のためになるデジタル知能を進化させる」ことを高らかに宣言した。2019年、営利的な要素を取り入れ、ハイブリッド組織となったが、利益配分に制限をつけ非営利性をぎりぎりで保った!つまり、Google流のインセンティブで従業員を奮い立たせ、ChatGPTの実現となった。
岩井教授はこの後のオープンAIの動きが不安だという。そこには資本主義社会の歴史を左右しかねない課題を含んでいるという。つまり、
- 産業革命後:産業資本主義が世界を席巻。大規模な機械設備に投資し、労働者を安価で大量に雇って利潤を得るビジネスモデルであった。
- ポスト産業資本主義:1070年代以降、創造的な人材が牽引するイノベーションで利潤を上げるビジネスモデル。勝ちの中心が人間が必要となる。
- AIは学習するデータ量が多ければ多いほど性能が高まる「スケーリング則」が働く。開発やサービス提供には莫大なコンピュータパワーと電力が不可欠で、大きな設備投資を必要とする。これは以前の産業資本主義の再来となる。
このようにオープンAIの行方は、営利と非営利のバランスをどうとれば革新的な企業となれるのかという資本主義の普遍的なテーマを浮き上がらせてきた。🚀💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇯🇵🇺🇸
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