【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(3)、予測した未来と異なる現実」から
2024/10/19
2024.10.16 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(3)、予測した未来と異なる現実」から
組織から個人が情報発信できるウェブ2.0の時代
コラムの著者 佐々木裕一氏(東京経済大学教授)は、前回に引き続きソーシャルメディアの歴史を追いながら、まずその光と影について語っている。
○マスメディアの圧倒的な優位性が揺らぐ
佐々木教授によれば、2005年以前はソーシャルメディアはサブカルチャーの扱いが多かったが、ECやインターネット広告などのビジネスチャンスが広がると利用者は増え、コピー型投稿から、マルチメディア(静止画、動画、音声など)が共有される時代に移ったという。
情報配信として絶対的優位性を持っていたマスメディアから企業や組織、コミュニティーが自身のメディアが持てるウェブ1.0に移行し、さらに進化して個人が低コストで情報発信できるというウェブ2.0に移っていった。情報の「個人の時代」が始まったのである。
社会の透明性が上がり、個人が触れることができる情報量が格段に増大したことは佐々木教授によればソーシャルメディアの光の部分だという。そこでは予想された薔薇色の未来ではなく現実は次のような特徴をもったソーシャルメディアであった:
- 熟議よりも動員: 各国の言語の違いはあるが、かつては個人による冷静な意見の交換やより深い交流が想定されていた。ソーシャルメディアは熟議を通しての、民主的な合意形成の基盤になると考えられていた。しかし、ソーシャルメディアは熟議よりも動員が得意で、スマートフォンが全盛な今は、「瞬間的な動員」となった。まさに2021年の米連邦議会議事堂襲撃事件はその象徴となってしまった。
- 大衆化と情動:ソーシャルメディアの急速な普及の帰結は、悪意ある者の偏在という事態であった。繰り返し極論を触れ周り、詐欺などの犯罪に巻き込もうとする。さらにソーシャルメディアでは動画の取り扱いが増え、理性よりも情動がより優勢な場と変質した。
- 経済格差の広がりや政治的主張の対立:ソーシャルメディアは格差の拡大や対立を深める要因となっている。
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