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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:リッチモンドホテル、設備更新、先手打つ」から 

2016.7.7   日経産業新聞の記事「小野譲司の目:リッチモンドホテル、設備更新、先手打つ」から

現場と本部、71万人のリッチモンドクラブ会員で支える

コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、昨年12月に東京スカイツリータウン前に開業したリッチモンドホテルプレミア東京押上(東京・墨田)の稼働率が毎月上昇している背景について語っている。

○既存の設備、改装やアメニティーの見直しを一歩先んじて

同ホテルが他のリッチモンドホテルにない新しい試みをしている点がまず稼働率の上昇の要因のようだ;

  • 室内ビデオオンデマンド;無料、訪日客向けや子供向け番組を用意
  • 館内の朝食会場のレストランの混雑状況やコインランドリーの空き状況の情報提供
  • 洗面台;女性二人がメークできる
  • 空調;全室禁煙で天井埋め込みエアコンはプラズマクラスター

この結果、JCSI(日本版顧客満足度指数)で2年連続1位と高評価で、顧客層のばらつきも小さいという。ビジネスホテルの評価は設備の良否が大きな要素であることから、同ホテルでは、現場スタッフの声をとりあげ、既存の設備、改装やアメニティーの見直しを先行して行うという。これがブランドへの信頼と一貫した品質保持の基盤となる。さらに設備不良や老朽化によるスタッフの対応が減るため、接客や運営面の改善に動ける。マニュアルも本部主導ではなく、店舗の従業員が主体となり作成するという。

この顧客満足度の維持は、現場と本部、71万人のリッチモンドクラブの会員で支えられているという。cafehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「風向計: ほまれ酒造、海外アワード受賞歴でPR」から

2016.7.5   日経産業新聞の記事「風向計: ほまれ酒造、海外アワード受賞歴でPR」から

夢は生産と観光が一体となった日本酒版ナパバレー

コラムの著者 面川 真喜子氏(マーケットプランナー)は、今年5月兵庫県で開催されたインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2016の『SAKE部門』審査会で最高賞のチャンピオン・サケを受賞し、伊勢志摩サミットで各国首脳の手土産となった「会津ほまれ播州産山田錦仕込 純米大吟醸」について日本酒業界の構造的な課題について触れている。

○日本酒業界の構造的な課題とは

同社は、2012年に銀賞、それ以降は金賞受賞を続けている実力酒造。日本酒業界では中堅クラスになる蔵元であるが、日本酒は大手数社が寡占している業界で、幾つかの勝ち組もあるが大半は苦しい状況である。勝ち組でも製造にあたり、高齢化して後継者のいない農業に依存しているため、今後の原料米の確保も危機感がある。日本酒は日本文化ではあるが、このような構造的な課題を抱えている。

国内需要を海外展開から逆に引き込むことで、原材料も確保する考えでうごいているのが、ほまれ酒造である。この事例は、海外アワード受賞歴が海外展開のPR戦略に非常に重要な例である。将来は、カリフォルニアワインの事例にならって、生産と観光が一体化した日本酒版ナパバレーをつくり、訪日客へのニーズに応えたいという。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「拡大鏡:頭部保護帽、安全+ファッション性」から

2016.7.4   日経産業新聞の記事「拡大鏡:頭部保護帽、安全+ファッション性」から

障害のある少女の依頼から発展

コラムの筆者 栗坂 秀夫氏(パシフックデザインアソシエーツ代表)は、病院・施設用リネンサプライ、清掃、福祉用具の開発・製造、住宅改修を手がける特殊衣料(札幌市)が手がける保護帽「アボネット」の開発の経緯について語っている。

○安全性重視から使い勝手、ファッション性への配慮に

同社が2000年から産学官連携による福祉用具のデザイン開発・研究プロジェクトに取り組んだ中で生まれたファッション性と機能性を加味した保護帽「アボネット」を02年に販売開始をした。

この開発の原点に、障害のある少女の願いがあったという。少女の家族から「軽くて丈夫な保護帽を作って欲しい」という相談から同社が取り組んだ。通常安全帽は、ヘルメットで、外出時に着用できるような適当な保護帽がなかったという。当時現在のアボネットの原型となる頭部保護帽「愛帽」を94年に開発、これが発展した。特徴は、安全機能に重点を置きながら、使い勝手やファッション性を配慮し、帽子の内部に緩衝材としてポリエチレン製ビーズや高級ウレタンフォーム、メッシュなどを使った。

さらにアボネットは、少女の要望からさらに広がり、社会の変化や要望を取り込んでいる。衝撃吸収性能も客観的な評価指標で表示し、病気などで頭髪が少なくなった人たちも気持ち良くファッション性を配慮した製品も販売している。ソーシャルデザインの典型といえよう。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:寺田寅彦にみる科学研究、大局的観点も重要」から

2016.7.5  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:寺田寅彦にみる科学研究、大局的観点も重要」から

「天災は忘れた頃に来る」など滋味深い随筆も

コラムの著者 筒井泉氏(高エネルギー加速器研究機構准教授)は、夏目漱石の「吾輩は猫である」の寒川君のモデルとなった、東京帝国大学教授で物理学者の寺田寅彦について、その科学に対する姿勢に触れている。

◯本業である物理学者としてもユニークな存在

「天災は忘れた頃に来る」など、芸術と科学とを難なくこなす寺田寅彦は、当時からユニークな存在であったようだ。東京帝国大学では実験物理の研究室を主宰したが、地震研、航空研、理化学研究所にも研究拠点をもった。その研究テーマも多岐にわたり、

  • 音響
  • 磁気
  • 固体の結晶構造
  • 海水の潮汐振動
  • 魚群探知機の開発
  • 霜や雷雨、地震の発生
  • 火山や温泉の構造
  • 気流と渦の性質
  • 気球と火花放電
  • 割れ目や縞模様の生成

など多様である。さらにどの研究でも後継者を育て、新しい学問として発展する基礎を作った。

これらの研究テーマを貫くものは、偶然が支配する自然界の身近な現象になぜある種の規則性が現れるかという常識的な視点であった。これらは当時の学界では異端とされ歓迎されなかった。それでも晩年まで研究が継続できた背景は、専門という狭い世界ではなく、科学研究には大局的で常識的な観点も重要であることを、彼の実績が物語っている。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:進化する『没入』」から

2016.7.4  日経産業新聞の記事「眼光紙背:進化する『没入』」から

電話、ケイタイ、ゲーム機、そしてHMD

コラムの著者は、東京・秋葉原の「ヨドバシカメラ」のそばにある「広場」の様子をみて今後のデジタル・コミュニケーションについて語っている。

○宇多田ヒカルさんの"Automatic"の歌詞に注釈が必要な時代

さて。この「広場」に集まる若者は、一心不乱で携帯ゲーム機の画面をみて指先を無言で動かし、会話もないという。「すれちがい通信」と呼ばれるゲーム内のアイテム交換や簡単なメッセージのやり取りをしている、ゲーム仲間との「社交の場」だという。

このように若者の遊びや出会いの形を変えてきたのはコミュニケーションに関わる技術の進歩であるという。

さらに最近、1998年にヒットした「Automatic」(宇多田ヒカルさん)の楽曲に、注釈が必要ではないかと、ネットで盛り上がったという。

  • 7回目のベルで受話器を取った君、名前を言わなくても声で…

の歌詞で登場する「ベル」や「受話器」という単語がいまの10代から20代には通じないという。20年近く経ったいま、LINEに慣れたネット世代にはわからない。

さらに進化は進み、ヘッドマウントディスプレー(HMD)をつけてゲームに興じる世代が増えれば、仮想の遊び場が生まれることになる。もう、そこには「すれちがいの広場」は不要かもしれない。camerahappy01