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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:4Kが残す禍根」から

2016.7.12  日経産業新聞の記事「眼光紙背:4Kが残す禍根」から

今の4Kテレビ単体では試験放送すら視聴できない事態

コラムの著者は、今市販されている4Kテレビでは2018年始まる4K放送は見られないという、販売店のせつめいぶそくについて語っている。

○放送サービスを所轄する総務省から6月末に販売店に要請

4K放送を4K画質で見るためには別途数万円するチューナーを買わねばならない。この事実を消費者にしっかり説明するように相談会から販売店に要請があったという。4K放送は今年8月から衛星を使った試験放送が始まる。すでに、昨年の夏同省の報告で、現在の4Kテレビ単体では、試験放送すら視聴できないと述べているが、販売店に異例の要請を行ったのは、周知されていない状況にあるからだ。

4K放送の混乱の要因は;

  • 東京五輪の開催が決まったことで、放送計画を大幅に前倒しした
  • 規格が整わないうちに、「4K対応テレビ」を見切り発車でメーカーが発売した→その背景に薄型テレビというだけでは売れなくなり、メーカーが目玉として発売

といった儲けを先食いしたことで4K、つまり

  • 官民(んみん)
  • ぞって
  • 後世に(うせ)
  • 禍根(こん)を残す

と汚名を着せられそうである。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「風向計: 公共サービス、IT国家が問う民主主義」から

2016.7.12   日経産業新聞の記事「風向計: 公共サービス、IT国家が問う民主主義」から

無料通話アプリ、スカイプを生んだエストニア

コラムの著者 広田 周作氏(電通コミュニケーション・プランナー)は、『国家や自治体が提供する公的サービスが、もし全てウェブサービスだったら?』を真剣に目指すICT先進国、エストニアの取り込みについて語っている。

○国家というオペレーティングシステム

民間のICT系の起業が盛んであるだけでなく、エストニアは、選挙、医療、徴税の仕組みなど、ありとあらゆる公共サービスについて、国家と民間とが協力し、ICTサービスを提供してようとしている。同国政府によれば、結婚・離婚・住居の売買以外の公共サービスをインターネット経由で行うことを可能であるとしている。国民の権利の1つにインターネットへのアクセス権まであるという。

同国政府の関係者が、首都タリンで開かれたITビジネス・カンファレンスで、将来のビジョンとして、国家サービスのソフトウェアを他国にも使えるように提供すると語ったという。「国家というオペレーティングシステム」を開発し、いつかは他国も使えるようにしたいと検討しているのだという。

国家や公共を無駄のない合理的なICTサービスとして再考すると、政治の透明性、合理的な経済政策、安心できる社会福祉制度など、本来、民主主義国家が夢を見てきた理想とは何であったのを深く考えさせられるという。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:有効需要のわな」から

2016.7.8  日経産業新聞の記事「眼光紙背:有効需要のわな」から

企業利益が高水準なのに労働と資本の余剰

コラムの著者は、世界経済、特に日本経済は「有効需要のわな」に陥ったという。その対策について論じている。

○100年間で生産性が数十倍上がっているのに働く時間は変わっていない

インダストリー4.0やICT革命で飛躍的に技術が進歩していることで企業利益は高水準にあるが、その利益が生かされていないという。

生産性上昇の一方で労働と資本の余剰が増加し、経済と金融の矛盾を深めている。日本経済を円高とデフレによって苦しめている真因は余剰資本を有効需要に転化する仕組みが欠けているせいである。

これに対する策として①所得政策②財政政策③金融政策が挙げられるが、これらの複合政策で、労働時間の圧縮と余暇の劇的拡大がより重要だとコラムの著者は指摘している。要は、働いて帰って寝るだけの生活では、消費は増えないということである。

この100年間で、生産性が数十倍と上昇しているのに、働く時間が全く変わっていないのでは、余暇を使った需要創造は難しい。労働時間の短縮、生活水準の向上を需要創造の根幹とすべきだと、コラムの著者は訴えている。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:科学立国の未来、若いお雇い英国人に託す」から

2016.7.8  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:科学立国の未来、若いお雇い英国人に託す」から

英国ネーチャー誌の日本人評

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、前回話題に出た英国のネイチャー誌に関連して当時のお雇い英国人について語っている。

◯明治政府の先見性

和田教授によると、1904年にネイチャー誌は再び日本のエンジニアの実力について賛辞を次のようにおくったという;

『日本の軍艦に見られる素晴らしい技術は、日本のエンジニアリングの状況を示す好例だ。海事については、西欧が与えることのできるすべてを彼らは学んだ。と同時に彼らは、自分たちのものを作ったのだ。英国の技術は日本人によって改良され、彼らの造った船は多くの面で世界の称賛をあびている』

と、日露戦争での日本海海戦で実力が世界に知らしめた。これを同誌は予測していた。さらに、

『日本の技術者や科学者による発明・改良を見れば、しばしばいわれる「日本人には独創性がない」という批判が、まったく当たっていないことがわかる。純粋科学でも、日本人研究者は知の開拓者としての地位を確立している。日本人教師や学生の発表は、ほかの先進国と比べて遜色ないものである。日本にはまだニュートン、ダーウィン、ケルヴィンは出ていないが、日本の大学には、世界のどこに出ても恥ずかしくない人たちがいる』

と述べている。さらにネーチャー誌の記事を書いたヘンリー・ダイヤー(当時25歳)に明治政府が科学技術教育の確立に尽力するよう、高額の給金で招いた「お雇い外国人」の一人として、成果を出した。ダイヤーも素晴らしいが、その若者に託した明治政府の見識も素晴らしいと、和田教授は語っている。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:ブランド新生のリスク」から

2016.7.7  日経産業新聞の記事「眼光紙背:ブランド新生のリスク」から

東芝の白物家電ブランド

コラムの著者は、中国の美的集団に白物家電部門を売却した東芝のブランドについて辛口で語っている。

○5年後白物家電売り場の勢力分布は?

夏のボーナス商戦の始まる矢先、東芝の白物家電ブランドは美的集団に移った。売り場では製品もサービスも以前と変わらないという。淡々と答えられたが、この先もそうだろうか。そうあって欲しいという気分があるが新生のブランドに戸惑う人もあるだろう。

ブランドは、購買行動の決め手の1つである。

  • 企業の理念と歴史
  • 生産から販売に渡るストーリー

の裏打ちがあって、ブランドは現実味を帯びるという。

  • 購入者が経験する信頼や愛着
  • 所有していりことの優越感

などの要素が上乗せされブランドの価値は高まる。ある意味でメーカーと消費者が協働して築くものである。ところが、メーカー側の事業主体や資本構成の変更はこの協働作業をリセットする原因にもなりかねない。ブランドは単なる識別記号ではないという。ブランド新生にはこのようなリスクが伴うとコラムの著者はやや辛口で語っている。5年後の白物家電の売り場の勢力分布はどう変わるであろうか。camerahappy01