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2015.5.4   日経産業新聞の記事「TechnoOnline:研究所のあり方、地味でも本筋追う道を」から

世間からの注目で浮足立った研究は?

コラムの著者 和田 昭允氏(東京大学名誉教授)は、旧東京帝国大学航空研究所が国際航空連盟が公認した世界記録での偉業とその後の研究員の姿勢について触れている。

○周回航空距離の世界一

銀色に輝くジュラルミンの流線型をしたスマートな機体の左右に深紅の翼を細く長く伸ばした「航研機」。1938年5月13日午前4時55分、3人乗りの航研機は千葉県木更津飛行場を離陸、銚子を経て群馬県太田の中島飛行機の本館上空を左旋回、神奈川県平塚の航空灯台を周り、木更津飛行場に戻る1周401.759Kmのコースを29周し、世界記録を樹立した。

航研は2年で世界記録を獲得する計画を立て、当時の文部省に承認を受けた。航研機の成功は、機体とエンジンを別のチームで行い、エンジンの開発を従来エンジンの改良として二兎追うことをやめ、航研の本来の使命である空気力学の洗練に集中したことである。あとは使えるものは何でも使おうという現実主義の徹底も成功のキーとなった。

ただ、この成功で世間的に有名になった研究員は派手になり、地道な研究をなおざりにしたという。ここにも良き教えがあった。airplanehappy01

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