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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マニュアルNOW:説明書に工夫で売り上げアップ」から

2012.11.6   日経産業新聞の記事「マニュアルNOW:説明書に工夫で売り上げアップ」から

利用者目線の取説や事例集が売上を押し上げた

コラムの著者 高橋慈子氏(テクニカルライター)が話題にするのは、利用者の体験を豊かにする「ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上が製品やサービスの競争力の向上につながると考え、取説や事例集をUX向上ツールとして活用することである。

○タイガー魔法瓶の炊飯ジャー「タクック」と料理事例集「クックブック」

同製品は2月にタイガー魔法瓶が発売した一人暮らしの20代女性向けで、ご飯とおかずが同時に調理できるよう、内鍋の上に置けるクッキングプレートが付いた炊飯ジャーである。

一方、クックブックは、タクックで創れる40の料理法を紹介。「アジアン春雨丼」などカフェ風メニューの創り方と女性誌のようなおしゃれな写真と共に説明している。クックブックは、新しい調理器具を知ってもらって購入してもらうためにクックブックは必須だという。また、取説は、宣伝部が制作している。通常は、カタログは宣伝部門、取説は開発部門が担当する企業が多い中、宣伝部が担当する異色の企業である。

同社も以前は平凡な取説を制作していた。外部から「製品はよくても取説が良くない」と批判され、取説の改善に着手し、結果2005年業界団体のコンテストで受賞するまでになった。これが、利用者目の取説や事例集につながった。

事例集も料理研究家に頼らず、顧客対象に近い女性社員を中心にメニューを検討し制作コストを抑えつつ、製品特性に合った事例集を開発した。

製品と取説、事例集のセットでいろいろな場で紹介することで、製品そのものも予測を上回る出荷を達成したという。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「実践!ワークライフバランス(WLB)経営⑫:職場単位で自発的改善」から

2012.11.6  日経産業新聞の記事「実践!ワークライフバランス(WLB)経営⑫:職場単位で自発的改善」から

残業に対するネガティブキャンペーンの「遊び心」を持って

コラムの筆者 渥美由喜氏(東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長)は、WLBの職場環境の整備を行う際のコツについて触れている。

○陥りやすい間違った例

渥美氏が指摘する陥りやすい間違った事例を示す:

  • 同業他社や同じ規模の企業、地域特性の似た企業などの成功事例をモデルにしようとする
⇒導入を迫っても、抵抗を受けやすい。社風が違う、経済環境が違うや社員構成が違うなどの理由で抵抗してくる
  • 人事総務部門が業務改善策を決め、現場に伝えて実施を要請する 

 ⇒現場に「やらされ感」が漂う。抵抗を受け、長続きしない。

○自社内の成功事例をつくる

渥美氏がお勧めの方法は、現場から成功事例を創り、自発的な改善が進むように促すことである。渥美氏のアプローチを見てみよう。

(1)モデルとなる部署を決める

(2)体験型で職場改善に取り組むワークショップ型手法を用いる。

  • 抱えていそうな職場の課題を「匿名」で社員に○をつけてもらう
    • 匿名なら職制に関わらず意見が出やすい
    • 口に出すのをためらいがちな若手社員から意見が出易くなる
  • ワークショップの初めに集計結果を発表する
    • 「みんな、そうおもっているんだ」と、若い社員も気持ちが楽になり自由な意見が出しやすくなる
  • 5,6名のチームで職場の課題を洗い出す。課題に応じた改善策をまとめていく
  • 各チームが出した改善策について、期待される効果が大きいモノには青色のシール、コストが小さくやりやすいモノには赤色のシールを貼って投票する。
  • 結果をもとに個人と組織それぞれのアクションプランを出し、職場改善を進めていく

○残業のネガティブキャンペーン

残業が慣性なった職場で、「終業後のBGMで残業のイメージをネガティブに変えよう」という案が出た。

  • 午後6時:「遠き山に日は落ちて」のBGM:「これからは居残りの勉強タイムです」とアナウンス。
  • 午後7時:「明日があるさ」のBGM:「明日を夢見て希望の道のない人だけ残りましょう」とアナウンス。
  • 午後9時:「蛍の光」のBGM:「良い子はもう寝る時間です。深夜の徘徊は不良の始まりです」とアナウンス。

ちょっと、ユーモラスな設定だが、この職場では無駄の残業が確実に減ったという。遊び心のあるユニークな挑戦である。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:シェールガス革命とアラブの春」から

2012.10.30  日経産業新聞の記事「眼光紙背:シェールガス革命とアラブの春」から

米アップルの新体制

コラムの筆者は、一見無関係なシェールガス革命とアラブの春が結びつくとき、日本では無関係に居られないという。

○米の中東での影響力を低下させるシェールガス

技術革新の結果、岩盤からそれまで困難であったシェールガス(頁岩ガス)の採掘は可能となり、エネルギー価格の低下を起こし、米国内の社会・経済に影響を与え始めている。

大きな要因は米国の原油や天然ガスの自給率向上で、中東への依存度を相対的に下げることになる。つまり、産油国を自陣営に囲い込み、安定供給ルートを確保する必要が薄れつつあるということあd。

○米国の中東戦略の大きな変化

イラクやアフガニスタンで多くの犠牲を払った米国。民主化運動、アラブの春では、米国の中東戦略のかなめであった親米政権も崩壊してしまった。イスラム勢力が台頭し、反米感情も悪化している。

シェールガス革命で、驚愕の安全保障コストを中東に払い続ける必要性も薄らいだというわけだ。現在は、むしろ対中国を念頭にアジアに軸足を移そうとしている。

○日本のシーレーン防衛は

米国に対して日本は原油の8割以上を中東に依存し、原発事故以降も重要性ますます増しているとも言われている。原油輸送の大動脈であるシーレーンの防衛も今や米国主導ではない意識が必要だ。原油の安定調達はすでに自国のリスク管理にかかっている。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「市場トレンド私はこう読む:家庭用商品、オフィスに無償提供」から

2012.11.2  日経産業新聞の記事「市場トレンド私はこう読む:家庭用商品、オフィスに無償提供」から

ネスレ日本のコーヒーメーカー戦略

コラムの著者中村泰子氏(ブームプランニング社長)が語るのは、ネスレ日本が家庭用インスタント専用コーヒーマシン「ネスカフェ バリスタ」(9千円)をオフィス向けに無償提供する企画である。

○本格的コーヒーを狭い給湯室でも使えるメリット

国内販売台数が2009年の発売から累計100万台を突破した人気商品。インスタントコーヒーで、表面に泡のあるエスプレッソタイプやミルクを泡だてたカプチーノなど5種類のメニューがボタン操作でできるという。本格的なコーヒーを家庭で飲む世代にもいろいろな飲み方ができると好評である。

一方、オフィスでは経費節減でコーヒーサーバーの撤去も増えてきたが、同製品なら専用カートリッジを使うと、ブラックコーヒーが一杯約14円とお手軽でることや本格的コーヒーが飲めるとあって、オフォス向けに無償提供を考え始めた。この企画は予想の2倍を超えるペースで応募が増え、小さくて場所を取らない、来客時にも失敗がなく安心と好評とのことである。

家庭用商品を職場に提供することで、次は自宅を狙うという戦略だ。業務用と家庭用の境界が小さいせいかもしれない。cafehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:『仲良しクラブ』の危機?」から

2012.11.2  日経産業新聞の記事「眼光紙背:『仲良しクラブ』の危機?」から

米アップルの新体制

コラムの筆者は、巨大なハリケーンで甚大な被害の出た米東海岸とは別に、反対の西海岸で起こった企業内の嵐について語っている。

○米アップルの内紛?

嵐とは、ティム・クックCEOの体制で初めて退任者がでたことである。iPhoneやiPadのソフトの責任者、スコット・フォーストール上級副社長である。退任の理由は、協力推進のための組織変更としているが、米メディアによると地図ソフトの不具合など事実上の更迭だという。フォーストール氏は、昨年なくなったスティーブ・ジョブズの愛弟子といわれ、新製品のプレゼンも器用にこなす「ジョブズ・ミニ」的な存在だったという。カリスマの手法を誰よりも理解しているとの自負からか、クックCEOと意見対立が多かったという。

これからはカリスマではなく協力体制での商品開発とし、「仲良しクラブ」ではない企業経営となろう。ただ、異分子の排除で社内の良い緊張がなくなることはマイナス要因かもしれない。折しも社外では、グーグルやマイクロソフトの新製品が、覇権を握ろうと厳しい競争に入ってきている。happy01