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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:不確定性原理の修正で競争激しく」から

2012.1.23   日経産業新聞の記事「眼光紙背:不確定性原理の修正で競争激しく」から

基礎理論から応用へ世界で競争激化

コラムの著者が取り上げているのは、量子物理学の基本理論として出てくる「ハイゼンベルグの不確定性原理」に欠陥があることを、名古屋大学の小澤正直教授らが証明したことだ。(▶参考)小澤教授らの不等式を2003年に提案、今回その正しさが証明されたことにある。

この理論を応用すると、産業の発展に大きく寄与するという。その1つが、盗聴不能な量子暗号技術の高度化や現在のスーパーコンピューターより桁はずれに高速な計算ができる量子コンピューターの実現に道を開くことになるという。小澤教授の理論を使えば、量子情報を測定するときの誤差を測るという、従来不可能とされていたことが可能となる。量子情報が、測定したり、生業したりするための「物差し」や「道具」が揃うことになる。

基礎物理学で日本の大学で大きな成果が出たことは快挙である。しかし、産業界も、この基礎理論を応用するところで世界のリードを行う必要があろう。物理に国境はない。世界の最先端の研究者や技術者がしのぎを削る段階に入ったといえる。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:弱体化コンテンツ産業の反撃」から

2012.1.20   日経産業新聞の記事「眼光紙背:弱体化コンテンツ産業の反撃」から

ネット普及で辛酸をなめたコンテンツ業界の反撃

コラムの著者が焦点としているのが、米議会で、ネット産業対メディア産業の論争にまで発展した、著作権保護法案である。サイト運営者には著作権侵害防止の責務を負わせ、違法サイトへのリンク削除の義務を負わせる、SOPA(オンライン海賊行為防止法)とPIPA(知的財産保護法)についてである。

表面上は、ネット上の言論・表現の自由と著作権の保護のバランスをいかにとるかという議論である。検閲に当たるとして、グーグルやフェイスブックは猛反対し、ウィキペディアも英語サイトを一時閉鎖して”オンライン・ストライキ”を構えた。

反面の議論は、これまで世界の主要国では、著作権保護よりもネットの普及を優先してきたことにある。結果的に辛酸をなめたのは、音楽CDなどの業界で、今回の法案の背景には、世界市場規模が10年前に比べ3割縮小したことへの反撃であるという。

著作権保護制度は、権利者とそれ以外の市民との利益配分の調整弁である。そこへネットの発達によって、この利益配分に異議が出てきたという見方もあるわけだ。music


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline:キログラム原器見直し」から

2012.1.20  日経産業新聞の記事「TechnoOnline:キログラム原器見直し」から

原器の見直し、精密計測技術が背景に

コラムの著者 山﨑弘郎氏(東京大学名誉教授)が語るのは、長さや重さの標準についての変化である。といっても、長さや重さが変わるというのではなく、メートルやキログラムと言った単位の計測基準になる原器と呼ばれるモノについての変化である。

長さの単位、メートルは、筆者が小学生時代には「メートル原器」なるものがあって、それを元に定められていた。重さの単位、キログラムも「キログラム原器」がフランスが保管しているプラチナ合金の分銅で決められていた。

ところが、長さは真空中の光の速度が不変であるという物理法則の前提を元に、一定時間進む距離からメートルを定義することになり、「メートル原器」は不要となった。(▶参考)この時間も物理法則から導き、他の基本量である電圧や電気抵抗も定義も物理法則から導き出されているという。

原器として利用され続けてきたのが「キログラム原器」である。(▶参考)ところが、実際は、原器の質量を精密測定できることになり、その増減が明らかになると、普遍的な物理法則による量としての定義が必要となってきた。

計測標準が経年変化や環境によって変化してはならないことから、時代の最先端の知見と技術を使用して、変わらないものを探索し、原器の代わりに物理量の数式モデルを使って、それを支配する定数を固定化することで、変わらない標準量を定義することとなった。

質量のキログラムも、多くの代替方式が複数提案されてきたが、原器の安定性に勝るものがなかった。今回取り上げられたプランク定数による物理モデルで決められた数値も、6ケタまで確定しているが、下の桁は未定になっている。(アボガドロ定数を使う提案もある。)これから実験で最も確かな数値が確定すれば、キログラム原器の寿命も決まるという。

時代は、原器というモノから、物理学によるモデルを信頼し、環境条件に依存しない計測標準へ変化しつつある。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:直販サイト」から

2012.1.19 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:直販サイト」から

今後のアパレルECサイトのヒントはファッション雑誌の編集手法にあり

コラムの著者 高岡美佳氏(立教大学経営学部教授)が紹介する事例は、アパレルブランド NEWYORKERを扱うダイドーリミテッドで展開されている、テイストを揃え、ファッションに関するハウツーを写真入りで紹介しているの直販サイト(▶参考)である。

この手のサイトは、ZOZOTOWNのような、多数のアパレル商品を扱うEC(電子商取引)サイトとは趣がことなるという。つまり、実店舗で言えば、テイストが一致した数ブランドを限定的に販売するセレクトショップのような位置付けであるという。

興味深いのは、これまでファッション雑誌が提供してきた「マフラーの巻き方」や「コートのベルトの結び方」「テキスタイルBOOK」といったハウツー情報と商品を一緒に提供することで、販売員がいない直販サイトで、少しでも実店舗に近い感覚で消費者に楽しんでもらおうという狙いである。直接的な売上貢献に関しては少ないが、長期的には、ブランドイメージのアップにつながるとの期待がある。

顧客ターゲットを絞り、1つのテイストで商品やコーディネイト例、ちょっとしたハウツー情報などを掲載する方法は、これまでのファッション雑誌が採ってきた手法ともいえる。高岡教授は、今後のアパレルECサイトの可能性はこう言ったセレクトショップ感覚にあると指摘している。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長⑩」から

2012.1.18 日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長⑩」から

目的あっての規則やルール

コラムの著者 キヤノン電子社長 酒巻氏は、会社での規則の意味について語っている。ピーター・ドラッガー(▶ 参考)関係の著書『プロフェッショナルの条件』の一部を引用して、ドラッガーが説いたギリシャの彫刻家フェイディアスの逸話で、企業での規則の意味と徹底の重要性を指摘している。

【ギリシャの彫刻家フェイディアスの逸話】

  • あるときフェイディアスは、アテネのパルテノンの屋根に建つ彫刻群を完成させ、会計官に請求書を送った。
  • だが会計官は「彫刻の背中は見えない。誰にも見えない部分まで彫って請求してくるとは何事か」と言って支払を拒否した。
  • これに対してフェイディアスはこう言った。『そんなことはない。神が見ている』

・酒巻氏によると、この逸話の意味は、「働いてお金を頂くからには、誰も見ていないからといって絶対に手抜きなどしてはいけない。良心に従い、真摯に向き合うべき」という。

会社の製造での規則を破って4度締めないといけないねじを誰も見ていないからといって3度で済ませたりしたらどうだろうかということである。製品の不良の恐れはあるし、それが原因で大きな製品事故になりかねない。さらに言えば会社の社会的な信用も失墜する可能性もある。酒巻氏によれば、「規則なき組織は滅びる」という。

【管理職とルール】

・酒巻氏が管理職に対して考えてほしいこととは、

規律のための規則やルールは、社員を抑えつけるためのものではなく、不良や事故の防止のように、会社の目的や目標をより安全に効率よく達成するためのものである

という認識だという。

・キヤノン電子での事例

  • 茶髪での現場作業⇒○
  • ズボンをずりおろしてはく、「腰パン」での現場作業⇒×(厳禁)

「茶髪」は、作業の安全や製品の不良の原因ではないが、「腰パン」は作業中にズボンが挟まれたりして危険であり安全が確保できない可能性がある。

・決まりを3回破ると解雇

酒巻氏によると、一見基本的であるような規則でも目的が安全や環境に基づくものであり、その確保の基本であれば、この内容は厳しくないという。つまり、一人の不心得者のせいで、重大事故を引き起こしたり、信用をなくしかねない事態が発生する。言い換えれば、会社をつぶしかねない。

誰が見ていなくてもきちんと規則どおりにねじを4度しめる。これが信頼と安全、ひいては雇用の確保につながるからだ。happy01