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2011.11.16 日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長⑤」から

異能と異端を履き違えるな

コラムの著者 キヤノン電子社長 酒巻氏が語っているのは、ユニークな製品・サービスの開発に欠かせない「異能な人財」に対する重要な示唆だ。

先ず、人財の見極めについて、酒巻社長は、技術戦略の際に必要な「選択」(鋭い先見性)と「集中」(強い指導力)をもつ感能力に秀でた人財(異才、異能を持つ人財)と事業戦略の際に必要な「創造」(新しいコンセプトの創造)と「維持」(新しいアイデアの展開)を持つ意志力に秀でた人財に分類している。

酒巻社長は、これらの異能が異端でないところに注意が必要だと指摘する。異能を持つ人財は、組織の中ではうきあがったところがある。つまり、天性の洞察力で、凡人の先が読め、「どうせ失敗するからやめた方が良い」などと、正論を吐くが、周囲からは「未経験のくせに生意気だ」と煙たがられる。また、折角軌道に乗ったプロジェクトでも途中から飽きやすく、それが周囲からはいい加減に見える。

こういった人財は稀少で、一見異能に見えても、生意気だけの異端かもしれない。判断のポイントは、自分の独創的な考えをいくら持っており、先を読む力がそのくらいあるかで酒巻社長は分かるという。会議や報告など様々な機会を通じて観察すると、思考の射程距離はごまかせないという。ただの異端は何れ馬脚を現すそうだ。

もう1つのポイントは、異能の排除風土を職場に作らないこと。選択と集中の感応力を鈍らせ、商品開発力を低下させるからだ。こうした風土は企業としての挑戦の機会や機運を奪うことになりかねない。「挑戦のない企業に、社員も株主も夢を見ない」との酒巻社長の名言!

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