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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑫エイブラハム・マズロー」から

2011.8.3   日経産業新聞の記事「マネジメントの肖像⑫エイブラハム・マズロー」から

高度経済成長への警鐘とマーケットのグローバル化の課題を論じたセオドア・レビット

コラムの著者 ブース・アンド・カンパニー岸本義之ディレクターが示す今回の人物は、米国の心理学者エイブラハム・マズローと彼の人間関係学派に連なる人たちだ。(▶ 参考Abraham_maslow

1950年代からの高度経済成長において、人手不足が深刻となり、企業の業績を上げるためには労働者の効率を上げることが至上命題となった。このため、労働者のモチベーションに対する調査研究が活発化したという。

マズローは、研究対象を問題のある人々の行動ではなく、成功し、満たされた人々を観察して、そこに共通の特徴を見出そうとした。また、動物とは異なり、外的な報酬や制裁などではなく、人間の個性に基づく内的な要因にモチベーションの影響があるのではないかと考えた。人は、一般的な欲求が満たされると、利己的でない行動をとれるようになると考え、ある欲求が満たされると、他の欲求の追求に移るプロセスがあるとした。これがマズローの欲求階層説(▶ 参考)である。(1943年に発表。1954年に本格的に展開。)

マズローは、人間の基本的欲求を低次から

  1. 生理的欲求(physiological need)
  2. 安全の欲求(safety need)
  3. 所属と愛の欲求(social need/love and belonging)
  4. 承認の欲求(esteem)
  5. 自己実現の欲求(self actualization)

の5段階に分類した。また、「生理的欲求」から「承認の欲求」までの4階層に動機付けられた欲求を「欠乏欲 求」(deficiency needs)とする。生理的欲求を除き、これらの欲求が満たされないとき、人は不安や緊張を感じる。「自己実現の欲求」に動機付けられた欲求を「成長欲 求」としている。

マズローの欲求階層説は、人間の行動の一般的な説明であったが、職場におけるモチベーションに関する研究はフレデリック・ハーズバーグ(▶参考)、ダグラス・マグレガー(▶参考)などが進めた。

フレデリックは、著書『仕事と人間性』で、監督、対人関係、作業条件、給与などの衛生要因は職場への不満の要素で、達成、職務満足はモチベーションの要因であり、両者はまったく異なると説いた。マグレガーは、1960年の著書『企業の人間的側面』で、労働者は生まれながらにして怠惰であり、仕事は金を得るために必要悪とみなすX理論と人は働くことを求めており、自ら進んで責任を引き受けることさえあるというY理論を紹介した。この考えはあまりに両極端であるということから、晩年これらを包括したZ理論を打ち立てた。

何れにしても、人間の心理を研究ことが、労働の意味を再定義する契機となったといえよう。

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