【ヒット商品】ネタ出しの会 4. 実行編 ヒット商品ネタを実現する8つのトレーニング⑥上位概念からさらにアイデアを拡げよう!
2010/06/23
上位概念から再度アイデアをだす
「おとなのチョコドリンク四季限定版」で、「手軽に勤務時間でも息抜きができる場の提供」を上位概念としてみます。勤務時間で手軽とは?息抜きができる場とは?
準備や気構えが必要な息抜きではないですね。手軽とは、思いついたときに「ふっと」できること。もちろん、ビジネスでのことですから、リフレッシュが目的です。チョコレートに限らず、コーヒーや喫煙、ちょっとしたおしゃべりなどがあります。また、お菓子などもあるでしょう。ストレッチ体操、読書もあるかもしれません。
何れにしても長時間ではなく、空き時間で、休息して、話をしたり、身体を動かしたりすることで、気分を転換します。忙しいビジネスの現場で、ほっとする場を提供すること。でも、意外に最近の職場では、こういった場が少なくなってきています。例えば、喫煙所は、徐々に全面禁煙と健康志向での企業が増えることでなくなりつつありますし、給湯室も、セルフサービスに。オフイスの自動販売機も節電で、わびしいものがあります。社員食堂も不況でコンビニエンスストアのアウトソーシングにかわり、エコ指向で、容器を回収する仕出し弁当の奨励といった「逆風」状態です。上位概念があっても、現実的なアイデアでは、どれも実行に否定的な結論です。発想の触媒を思い出しましょう。例えば、「逆転」です。食堂を昼休みだけでなく、一時的に憩いの場にすることです。社員食堂をカフェスタイルやバーにするというアイデアです。さらに、社員食堂からコーヒーやリフレッシュ用のお菓子などの出張販売を行うというアイデアです。これなら空き時間の会議室がリフレッシュルームに変身できるかもしれません。
上位概念と出てきたアイデアを組み合わせる
「おとなのチョコドリンク四季限定版」では確かに商品アイデアでしたが、上位概念を入れると、足りないものも見えてきます。リフレッシュの場所などもそうです。このように、上位概念に沿ったアイデアに具体性があれば、元のアイデアと組み合わせて、新たなアイデアを出すことができます。
「おとなのチョコドリンク四季限定版」企画では、上位概念も考慮して、キャンペーンとしてお客様の社内巡回販売を行うこととしました。キャンペーン期間中の従業員の反響や意見を聞くのも狙いです。
上位概念が抽象的であり、実現が現在困難である場合、元のアイデアを拡げることは困難です。しかし、アイデアノートには、上位概念をメモしておきましょう。将来、実現が可能となる技術などが開発されると、アイデアは飛躍的に広がるからです。
当時は空想と考えられていたもので実現したものに「イリジウム計画」があります。この計画は、携帯電話の国際電話版として衛星を使っておこなうもので、米国のモトローラ社が提唱したものです。1998年にサービスが開始されたのですが、実はサービス開始の20年前に構想があり、技術者や専門家でも実現不可能の話として一笑されたものでした。当時はまだ、携帯電話も自動車のトランクに無線機を積んで受話器を社内のコンソールボックスにつけたものが主流でした。とても、手軽に持ち歩けるものではありません。そんな時代に、国際的な携帯電話メーカーである同社は、各国の無線方式や無線基地局に依存しないで、通話ができるシステムができるはずだということで始めたのが、イリジウム計画です。計画は、当初は77個の衛星連動基地局で計画されたため、原子番号77のイリジウムにちなんで名づけられものでした。同社は、77個で全地球の通信のインフラストラクチャをつくるのが、携帯電話の上位概念としてあったのです。
当時は、衛星投入の投資に見合わず、サービスは無理との声がありましたが、結局衛星を打ち上げ、サービスを提供したのです。(結局は最初の危惧通り、投資に見合わず、一旦サービスは中止となりましたが。)ただし、この計画は無駄であったわけではありません。その後、国際通話も可能で、どの国に持っていても規格が統一されたものとして発展していったのです。
今回のプラクティスは、上位概念を使って出たアイデアと元のアイデアを組み合わせることで、広げる体験をしてみましょう。本来はあなたのアイデアの上位概念を使った練習が良いのですが、上位概念があるとは限らないので、例でこれを体験します。
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