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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:顧客起点の経営を目指せ」から

2024.11.21   日本経済新聞の記事「私見卓見:顧客起点の経営を目指せ」から

顧客満足を大前提に企業活動で顧客の力を生かす経営

コラムの著者 高田 優哉氏(コミューンCEO)が理想と考える社会は、組織と人の間にある垣根がなくなり、助け合う共創関係ができることだという。さらに、企業においては顧客との間にある垣根が消え、共創関係ができれば「顧客起点経営」が実現される状態にあることになる。高田氏は、顧客起点経営が今望まれる背景と多くの産業で実現できることを説明している。

○背景に日本の人口減少がある

高田氏によれば、顧客起点経営とは顧客満足を大前提の起点として、企業活動のあらゆるアクションに顧客の力を生かすことだという。例えば、高田氏によると、

  • 顧客の声を生かした製品開発
  • 顧客の声を生かしたプロモーション
  • 顧客の紹介により新規顧客を獲得
  • 製品の活用方法が顧客間で共有されて問題が解決する

といった事例である。

顧客起点経営が重要になってきている背景は、日本の人口減少で市場が縮小することと生産年齢人口割合の低下にあるという。つまり新しい市場から新たなニーズを創造するための人件費は年々上昇し、既存顧客やコアユーザーを起点として売上を創出することの方が優位になっているという。利益を維持するためには、多くの顧客に、より少ない社員で対応しなければならない。そこで、顧客満足を追うとともに、顧客の力を借りることでコスト減に繋げる経営手法が顧客起点経営となる。

高田氏は、顧客起点経営が、様々な温度感で、多様な思惑を持つ顧客全体をより広く捉えて、彼らを生かす取り組みで、あらゆる業種、業態に通用するとみている。👩🤝👨💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵💶


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:強いロボット、弱いロボット」から

2024.11.19   日本経済新聞の記事「Deep Insight:強いロボット、弱いロボット」から

強いロボットは万能であるかは未知数だが、産業競争力は抜群

コラムの著者 中山 淳史氏(日本経済新聞社 コメンテーター)が、書店で思わず手に取ったのは「<弱いロボット>から考える」(岡田美智男(豊橋技術科学大学教授・ロボット開発者)著)であった。ストロング、スーパー、ハイパーやギガなどの横行する現代にアンチテーゼのような視点の著書である。むしろ日本は戦後、この弱さをバネにしてのし上がった。来るべき強いロボットの時代にどう生きるべきかを中山氏は考察している。

○過去、PCが米国を、スマホが米国、韓国、中国をの成長を牽引した

中山氏によれば、岡田教授の弱いロボットとは、

  • 自分だけでは作業が完結できない掃除ロボット
  • 子どもに読み聞かせをしている最中に「次どうだっけ?」と話を忘れてしまうロボット

といった、不完全で頼りない機械ばかりだが、健気で微笑ましい。岡田教授によれば、

「AIが何でもできてしまえば、人間はすることがなくなる。人間が機械を補完できるようにプログラムし、両者がゆるく依存し合う関係こそが社会をしなやかに保つ秘訣」

という。これに対して米国はトランプ次期政権で逆の雰囲気で強いロボットを目指している。最近の米国発のニュースにはストロング、スーパー、ハイパー、ギガなどの言葉で溢れていると言う。米モルガン・スタンレーによれば、AI学習などに使うクラウドコンピューティングへの世界の設備投資額は2025年に2887億ドル(約45兆円)に達し、人類を月に送った米アポロ計画への累積投資額を超えるという。さらに全体として生成AIへの開発投資はアポロ計画の約30倍に膨らむとの予測もある。

米国のみならず2位の中国も強いロボットを志向すると思われる。となれば日本企業はどうか。このまま強いロボット国から脱落するのか。

確かに強いロボットが万能かどうかは未知である。しかし、産業競争力を牽引することは間違っていないと、中山氏は説く。かつてのテレビやオーディオが日本を、ウィンテルのPCが米国を、スマートフォンが米国や韓国、さらに中国の成長を牽引してきた。やはり日本経済にも強いロボットが必要である。では、なぜ、次の技術がうまれないのか。

岡田教授によれば、弱いロボットを作っていたころの好奇心や冒険心を忘れてしまっているのではないかという。ホンダやソニーも創業時は、身の回りのありあわせや払い下げ物資まで活用して強いものを作り上げていった。競争から脱落しないためにも、弱かった時代の精神を遡るのも一手だと中山氏は勧めている。次に来る新しい価値観を先取りした米中に負けない、強いロボットを見出す時は今であろう。🤖🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇨🇳


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『公正な移行』、EUを参考に」から

2024.11.19   日本経済新聞の記事「私見卓見:『公正な移行』、EUを参考に」から

EUではすでに基金などをもとに支援実行フェーズ

来るべき脱炭素社会への移行を考えると、労働者や産業、地域経済への負の影響が出てくる。国際的にも2015年に採択されたパリ協定でも「公正な移行が不可欠」と記載され重要視されている。コラムの著者 栂野 裕貴氏(日本総合研究所 調査部研究員)は、欧州連合(EU)の状況をもとに、日本での公正な移行の進め方について提言している。

○日本企業にもGXの重要性は理解できるが、自治体などの実行支援が後手

栂野氏によれば、すでにEUでは「公正な移行メカニズム」を導入し、中核の「公正な移行基金」を設立して現在175億ユーロ以上となっているという。この基金は、域内の企業や労働者の資金供給となり

  • 中小企業の事業転換支援
  • 中小企業の研究開発支援
  • 労働者向け支援:リスキリング

が対象になっている。EUの移行メカニズムには次のような特徴があるという:

  • 脱炭素移行に伴う悪影響を強く受ける東ヨーロッパへの資金配分が大きい
    •   東欧には産炭地域が多いため、石炭需要の減少の影響が大きい。
  • 移行に対する課題や目標の達成に必要な事業を記した「公正な移行計画」を各地域が作成。欧州委員会による審査を受ける。審査を通じて、各地域の実情に即した支援が可能となる。
  • 地域に対する情報提供や能力開発の支援もある
    • 欧州委員会は申請に必要な情報や優良な事例をウェブで公開。各地域の公的機関や企業の計画遂行能力の強化に向けて専門家も派遣。

日本も欧州も脱炭素社会への移行は必須である。日本企業も産業構造の転換が不可欠であり、公正な移行への取り組みが必要である。しかし、現実は十分とは言えないと栂野氏は指摘している。特に中小企業は依然として少数にとどまり、多くの中小企業が資金・人材・ノウハウなどの支援を必要としている。さらに伴走型の支援が重要で、企業が立地する地方自治体に大きな役割が期待されているが、対応に限界がある。日本政府はEUを手本に脱炭素移行の悪影響が大きい地方自治体に的を絞って、移行計画や情報提供の強化、資金支援などで公正な移行の後押しをすべきと、栂野氏は指摘している。💨⚡️💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵💶


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「『AI作曲家』に疑念:『人間離れ』の著作権登録、市場ゆがめる」から

2024.11.18  日本経済新聞の記事「『AI作曲家』に疑念:『人間離れ』の著作権登録、市場ゆがめる」から

日本音楽著作権協会(JASRAC)では「著作者が自分の作品と保証すれば受け付ける」

音楽業界で生成AIによる作品を自分が作ったと偽る「AIゴーストライター」への疑念が広がっているという。コラムの著者 瀬川 奈都子氏(日本経済新聞社 編集委員)は、不適切なAI利用は、本来は創作者に配分されるべき収益を侵食し、流通する作品全体の質をさげるとみている。また、専門家の間では、著作権法の見直しが議論になっていると言う。AIの生成物を著作物とみなせないところに違反条項が適用されないためである。新技術が法律との間でどう解釈されるか、また創作物の世界を生成AIが荒らしまくることを防御することも考えなばならないと指摘している。

○日本政府は「AIが自律的に作ったものには著作権は生じない」と知的財産戦略本部が整理

瀬川氏によれば、音楽著作権管理のNexToneによれば、「おかしいと思ったが『AIではなく人が作曲した』と言われたら受け入れざるを得ない」が現状だと言う。

AI創作物についての日本政府の整理
  創作過程 著作権の有無
AI創作物 人はAIに簡単な指示をするだけ(自律的) 著作権は生じない
AIを道具として利用した創作物 人の創作意図と創作的寄与がある 著作権が生じる

(出典:日本政府の知的財産戦略本部「新たな情報財検討委員会報告)

JASRACにも2023年度は3年前の2倍近い約18万曲が新規登録されたという。2023年8月には指針を作成し、AIが自律的に作詞作曲した作品は登録できないと明記したと言う。申請件数が不自然に多い場合は創作過程を問合せ、「著作者が自分の作品と保証すれば受け付ける」としている。

上表は2017年に日本政府が整理したもので、欧米でも基本的には考えは同じであると言う。だが、NexToneの事例のように実際の現場では簡単に割り切れず、「AIゴーストライター」を特定する決め手がないためである。不適切なAI利用は、本来は創作者に配分されるべき収益を侵食し、流通する作品全体の質をさげるとみている。

一方、著作権法にも議論が専門家の間で行われている。同法121条は著作者名を偽った著作物の複製物を頒布した者は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金を科すことになってる。しかし、生成AIの生成物は、同法の前提である「著作物」でないため、この条文は適用できないと言う。専門家の一部には物理的に見分けることが難しい状況では、同法を改正しても実効性に疑問があるという。AI生成物には電子透かしなどを法的に義務付けるべきだとの意見もある。

生成AIは人間の創造性の新しいところにいかすこともできよう。一方、安易な集金ツールとして創作市場を席巻し、荒廃しかねない。🎤🛜♪♩🎻📉📈🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:スマホ依存がもたらす経済的帰結」から

2024.11.15  日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:スマホ依存がもたらす経済的帰結」から

学業や賃金に影響を与える「ショック」を利用して長期的スマホ利用の経済的影響を研究

世界的に多くのの国や地域で、未成年者のスマートフォンやネットゲームの利用すべきかどうか議論になっている。コラムの著者 渡辺安虎氏(東京大学教授)は、規制の是非や根拠を考える前に、スマートフォンの過剰な利用が利用者にどのような影響を与えるかを理解すべきだと言う。渡辺教授は、最近の米ウィスコンシン大学マディソン校と中国の経済学者が共同で発表した研究に注目しているという。

○スマートフォンの長期利用が成績を下げることは確認できた

渡辺教授氏によれば、この研究では、中国の大学生のスマートフォン利用データを取得し、個々の学生の授業出席や成績との関係、さらに将来の就職や賃金まで結びつけたデータを作成し、分析を行った。

分析の際に考慮しなければいけない点がある。学業や賃金に及ぼす影響を考える時、「逆向きの因果」と呼ばれる問題が発生することだと言う。スマートフォン利用の学業に及ぼす影響を測定したいも関わらず、逆に学業がうまくいかないからスマートフォンの利用時間が増えるという影響をとらえかねない。

こうした問題を解決するために、この研究では、学業や賃金に直接影響せず、スマートフォン利用を通じてのみ学業や賃金に影響を与える「ショック」を活用している点である。この研究では世界的大ヒットゲーム「原神」のリリースと中国政府による未成年者のゲーム導入規制を「ショック」として利用して、統計的因果推論を行なっている。

結果として、スマートフォンの長期利用が成績を低下させているということは確認できたという。興味深いのは、その影響の半分以上が友人からの間接的効果だという結果である。若年層のスマートフォン利用は、友人関係と想像以上に強い関係であることがわかり、また、成績低下は授業への遅刻や早退とも強い相関を示した。

さらに就職後の賃金も低下させており、大学生に週3時間のゲーム規制を実施すれば、約1%賃金が上昇すると試算している。スマートフォンのヘビーユーザーほどメンタルヘルスが悪く、就職の出願数も低下し、仕事に不満を持つこともわかったという。

今後も利用場面ごとに規制の是非やその具体的な形について議論が続くと渡辺教授はみている。これらの研究を集め蓄積し、具体的なデータやエビデンスに即した議論を行う必要があると示唆している。🛜📱📉📈🏭🥩🐟🥦🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇨🇳🇺🇸