【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:平易な日本語を心がけよう」から

2024.8.22 日本経済新聞の記事「私見卓見:平易な日本語を心がけよう」から

英元首相サッチャー氏の話法がプレインランゲージの起源の1つ

日本の省庁の行政策を紙一枚で説明する資料を「曼荼羅」と呼ばれるそうだが、関係部局の情報が満載で、必要な情報が見出しにくく、情報間の関係もわかりにくいという。省庁に限らず企業の年次報告書にはCEOの挨拶などの掲載があるが長文であるにも関わらず、投資家には経営方針が伝わりづらいと言われている。コラムの著者 山田 肇氏(東洋大学名誉教授)は、英国のサッチャー元首相が起源の1つと言われている「プレインランゲージ」について紹介し、日本国内でも官民学でも平易な日本語や他の言語での表現が必要だと示唆している。

○欧米では公文書をプレインランゲージに義務化

山田教授によれば、サッチャー英元首相の話法は明確な言葉遣いで国民に直接訴えて支持を集めたという。情報の受け手が必要な情報を容易に見つけ、理解し、使用できる「プレインランゲージ」の起源の1つと言われている。

米国でも移民が多いため、全ての国民に理解できるように政府は公文書をプレインランゲージで作成する義務があるという。EUは全文書を加盟国の各言語に速やかに翻訳するためにプレインランゲージを採用している。こうした国・地域ごとの政策を集約して、国際標準化機構(ISO)は2023年に明確な表現のポイントであるプレインランゲージ原則を規格化したという。

明確な表現の重要なポイントに読者の特定がある。米国政府では、中学卒業レベルの人が理解できることが公文書の義務としている。次にタイトルや見出しを工夫して、何について書かれているかすぐに判断できるように工夫し、さらによく知られている用語を使うことが重要となっている。さらに、

  • 一文一意
  • 二重否定の回避

を心がけ、読者のフィードバックで改善を続ける。また、明確度を評価するAI診断システムの準備も行われているという。

日本国内だからといって企業もプレインランゲージを論議しなければ、国際的な情報開示には程遠くなる。2025年4月から東証プライム市場では上場会社には日本語と英語で投資家情報を開示する義務が課せられる。行政も曼荼羅ではなく、プレインランゲージ原則に沿った海外にも通用する平易な表現が必要となると、山田教授は指摘している。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇬🇧🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「中外時評:AI先行投資に潜むリスク」から

2024.8.21  日本経済新聞の記事「中外時評:AI先行投資に潜むリスク」から

生成AIの活用の期待値が「経理」、「法務」、「人事」とも下がっている

すでに日経の社説にも先行投資のリスクについて述べられているが、コラムの著者 田中 暁人氏(日本経済新聞社 論説委員)はさらに巨大テック企業と顧客企業の味方の差を浮き彫りにして、生成AIブームがそれほどでもないことを示している。

○目先の業務の効率化やコスト削減を目論みが期待以下だった

田中氏によれば、巨大テック企業のようにクラウドサービスやネットサービスといったデジタルプラットフォームで高い世界シェアを握り、莫大なキャッシュを安定的に稼ぐ収益モデルをもっているところと、目先の業務改善や効率化、コスト削減を考えている顧客企業では、生成Aiに対する投資期間が大きく違うのは当然であるという。

田中氏によれば、2022年11月中旬、東京都内で日経の単独インタビューに応じた米マイクロソフト(MS)最高経営責任者(CEO)のサティア・ナデラ氏から、この先10年で最も重要なデジタル技術は何かという問いに、

「疑う余地もなくAI(人工知能)だ」

と即答が返ってきたという。インタビューの2週間後、米スタートアップのオープンAI社が生成AI「ChatGPT」を公開したことで、一気に生成Aiが世の中に普及した。すでにMSは2019年に同社に出資している。さらにMSでは顧客企業への事業化を進めてきた。つまり、自社の業務アプリ群に生成AI技術を組み込み、メールの返信やスライドの作成などAIが支援するサービスをいち早く投入し収益化に繋げている。さらにMSのクラウドサービス経由で他の企業や組織に生成AIを使えるようにして、同事業の売り上げも増加しているという。処理系を半導体に行わせたり、AIを搭載するタブレット端末などにも参入している。当時は、同社の株式時価総額が世界最大となった。

しかし、その後同社の増収増益にも関わらず、株価は下落し始めている。背景に、社説にあるデータセンターなどの先行投資が大きすぎるとの懸念であるという。だが、本当のところは、「企業が生成AIを導入するハードルが思った以上に高いことがわかってきた」と、オープンAI社と提携関係にあるコンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーの安達広明パートナーは指摘しているという。AIに処理させるための自社のデータの整理や分類に手間取ったり、処理までにこぎつけたものの、想定と違ったアウトプットが返ってきて役立たずとなったケースもあるという。

巨大テック企業は先行投資は体力的にできるだろうが、顧客企業にとっては中長期的な付き合いよりも短期的なソリューションが欲しいところであろう。実際ベインの調査では「経理」「法務」「人事」といった各部門での応用が期待値に削ぐわっていないようである。

ここは、短期的なソリューションを見出し、顧客企業と連携する方がより多くの応用と収益性が出るのではないだろうか。💴🏢🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「科技立国、『科学技術指標2024』から:日本の研究力低迷、『3つの不足』が影響」から

2024.8.20  日本経済新聞の記事「科技立国、『科学技術指標2024』から:日本の研究力低迷、『3つの不足』が影響」から

研究資金・多様性・国際協力が不足

文部科学省の科学技術・学術政策研究所がまとめた「科学技術指標2024」では、他社の論文からの引用数が上位10%に入る「注目論文数」で日本は2023年版と同様に世界13位にとどまったという。コラムの著者らによれば、この低調の要因は、研究予算、多様性、国際協力の「3つの不足」によるものだという。

○韓国やイランが上位

コラムの著者らよれば、同指標でみると韓国は9位、イランは12位と日本よりも上位である。研究活動の活発さを示す全分野の総論文数で日本は前年と同じ5位。3つの不足について見てみよう:

研究開発費を見ると、日本は名目ベースで2000年に比べ2022年は3割増加。だが伸長は、米国の3.4倍、中国の31.2倍、韓国の8.1倍と比べて見劣りがしている。研究費が不足すれば、優れた成果を出すのは難しい。研究開発費総額のGDP比をみると、日本は3.7%で米国(3.6%)や中国(2.4%)を上回っているが、実際は研究の主力である企業の割合が高いからだという。大学にも十分な資金を投じる必要があろう。

研究現場の人材の多様性はどうか。女性研究者の割合を調べると、日本は企業や大学、公的機関などのいずれの部門も主要国に比べて低い。女性研究者が十分に働けずに機会損失が生まれ、科学研究力や産業競争力の低下を招いている可能性もあるという。さらに女性研究者をうまく育てられない社会的要因もあるという。中高生の進路選択で自然科学系の研究職を視野に入れない無意識のバイアスがあるという。

さらに日本の国際協力は、「内向き志向」が強い。他国の多様な専門性を持つ人材と協力することで質の高い研究が進められ、研究者の国際な認知度も高めることができるはずである。まさにグローバルな研究ができる環境づくりも必要であろう。🔍🔬🔭📓🪐🚀💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:『株嫌い』80年目の脱却を」から

2024.8.16 日本経済新聞の記事「Deep Insight:『株嫌い』80年目の脱却を」から

「貯蓄から投資へ」の機会は何度もあった

コラムの著者 梶原 誠氏(日本経済新聞社 コメンテーター)によれば戦後79年で日本経済には、国民が企業の成長を支えて共栄できる「貯蓄から投資へ」のチャンスが幾度もあったという。過去の潰えた原因は株安にあったという。今回の日本政府の政策は大丈夫なのか。

○失敗の原因は株安

日経平均株価は先月、4万2000円を超え、過去の最高値を更新した。しかし、8月5日には4451円も急落して今年の値上がり分を帳消しにして乱高下が続いている。このほど導入された少額投資非課税制度(NISA)で投資を始めた人も株式市場のこの動きに当惑しているという。

梶原氏によれば個人金融資産の半分は2000兆円を超える現預金が休眠しているという。企業側も金融機関からの融資だけであればリスクを取る元手としては頼りにくく、株式に期待する。個人の現預金を株式に投資してもらい、企業が成長すれば、株高で個人も資産が作れるという、「ピープルズキャピタリズム(みんなの資本主義)」と呼ぶ日本経済の悲願である。

しかい、多くの試みが失敗してきた。そればかりか、「株は悪」という10年以上も癒えない株嫌いのトラウマを残してしまった。梶原氏は3つの事例を示している:

  • 1947年、日本銀行や証券界が始めた「証券民主化運動」。戦前、財閥が持っていた優良株を社員、地域住民、顧客らに分売し、個人株主の比率を上げ、1949年には69%とした。しかし、ドッジ不況がこれを襲い、株価は暴落し、個人んは損失に耐えきれず、株式を手放した。企業や銀行が受け皿となり、悪名高い株の持ち合いが始まってしまった。
  • 1987年、バブル景気真っ盛りの時期。日本政府が保有しているNTT株を売り出して上場させ、多くの個人株主を生んだ。だが、1990年からの株価急落で、多くの人が深傷を負った。
  • 1996年、日本政府が打ち出した「金融ビッグバン」。株式売買手数料の自由化と確定拠出型年金の導入で貯蓄から株式へのシフトを狙った。しかし、2000年のハイテク株のバブル崩壊や長期デフレで、預貯金の方が有利になった。

今回は新NISAを軸とする「資産運用立国」政策である。デフレは脱却しつつあり、預金の優位性は崩れたことから過去よりは成功のチャンスが大きいと梶原氏は述べている。34年ぶりの日経平均株価の高値更新は、投資家の心の傷を癒やし始めた。2019年に言われた「老後2000万円問題」という国民の切実な需要が原動力にあるという。

振り返ってみれば、ピープルズキャピタリズムの原点は、1945年の敗戦時にある。当時、証券民主化運動を率いた日本銀行の一万田尚登総裁は、目的を「産業の復興、発展」と位置付け、「おカネは銀行に預けなくていいですよ。長く預けていい人は株をもちなさい」と全国を説いて回ったという。企業も動き、1946年に東京通信工業(現ソニーグループ)を創業した井深大氏は、同社の「設立趣意書」で「日本再建、文化向上」を創業の目的に掲げた。個人株主づくりの構想を練り上げていたことがこの趣意書からも伺えるという。💴🏢🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:消費主導の経済回復を本格的な流れに」から

2024.8.17  日本経済新聞の記事「社説:消費主導の経済回復を本格的な流れに」から

企業は賃上げに終始せず人材育成とデジタル化で投資計画を実行せよ

社説の著者によれば、停滞が続いてきた個人消費に反発の兆しが出てきたという。内閣府の2024年4〜6月期のGDP速報値は年率に換算した前期比で3.1%増え、2四半期ぶりにプラスに転じたという。消費は5四半期ぶりに上向いた。それではこの回復基調を絶やさないためにはどうすれば良いか。

○政策は家計や企業が安心してお金が使えるような論争を期待

社説では、消費は、前期比1.0%増加で、自動車以外の衣料品や外食などで前向きな動きが見られたという。企業の設備投資も0.9%増とプラスに転じたと報している。市場の予想では今後も緩やかな成長が続くと見ているが、消費の本格回復には物価高を乗り越える所得増の定着が欠かせない。これまでの賃上げ基調と生産性の向上で賃金と物価の好循環が実現できれば、消費者の節約志向も和らぎ、企業も価値とコストに見合う価格設定ができるだろう。

反面、気掛かりな要因もある:

  • 最近までの株式市場や為替の急変動の余波。円安の修正が進めば、輸入物価から国内物価へと及ぶ上昇圧力が和らぐ。一方で株式が再度不安定になると消費者の心理が冷え込む。
  • 中東情勢の緊迫で原油の国際市場が高騰する懸念がある。

このような状況でポスト岸田政権には財政や社会保障の持続性を鑑み、生活者や企業が安全に投資できるような建設的な政策論争を期待したい。さらに企業は不透明な環境の中で、成長加速に挑む戦略が必要で、単なる賃上げにとどまらず、人材の育成、デジタルへの投資など計画を練って、実行してほしいと期待している。💴🎤🪐🚀💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏 happy01🇯🇵🇺🇸