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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(6)、偽情報が拡散してしまう理由」から

2024.10.21   日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(6)、偽情報が拡散してしまう理由」から

「頭を使って」判断すれば偽情報の拡散を減らせる可能性がある

コラムの著者 佐々木裕一氏(東京経済大学教授)は、前回のソーシャルメディアの悪影響を受けて、ソーシャルメディアで偽情報が拡散する理由について幾つかの仮説を紹介している。

○人間の2つの認知過程と確証バイアスによる仮説

佐々木教授によれば、ダニエル・カーネマン氏(行動心理学者)が提唱した人間の2つの認知過程で偽情報の拡散を説明しようとしているという。2つの認証過程は「システム1」と「システム2」と名付けられている:

  • 「システム1」
    • 高速で「直感的な」過程
    • 主役のシステムで低コストで判断できるが、後の「システム2」も使わないと正確な意思決定はできない
  • 「システム2」
    • 注意力を伴った「頭を使う」作業に必要な過程

さらに、カーネマン氏は人間は自分の考えに沿う内容を本当だと信じ、意に沿わない内容は嘘だと思う傾向があるという、確証バイアスも考察している。さらにゴードン・ペニークック氏(米コーネル大学准教授)はカーネマンの2つの認知過程と確証バイアスをソーシャルメディア上の偽情報との関係を解く研究を進めているという。ペニークック准教授は、偽情報を嘘だと見抜けないのは確証バイアスのせいではなく、システム2による分析的思考が足らないことが要因だとする実証的論文を発表している。

つまり、偽情報を拡散させないためには、もう少し「頭を使って」判断すれば、減らせる可能性があるということになる。

ところで我々がシステム2を作動させにくいのはどうしてなのか。佐々木教授は、作動させにくい要因が情報過多だと考えている。世の中に情報がお多過ぎて、「頭を使って」て分析することが億劫になっている。🛜💬📱👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:民主主義脅かすニュース離れ」から

2024.10.21  日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:民主主義脅かすニュース離れ」から

ニュースの遮断は自分でやるべきことを他人に委ねることになる

コラムの著者 ジェマイマ・ケリー氏(FINANCIAL TIMES コラムニスト)は、自分の個人的な興味で「自己啓発」のジャンルをポッドキャストで聴くこと好きなのだが、最近気がかりな傾向があることに気付いたという。いわゆる「最高の人生を送る」ために、多くのポッドキャストがニュースの完全遮断を勧めているという点である。

○痛ましいニュースや恐ろしいニュースから離れて心の健康を守りたい

ケリー氏によれば、ニュースを「痛ましいニュースや恐ろしいニュースから離れて心の健康を守りたい」ことから避けていることは理解できる。だが、「完全遮断」は意味が異なるという。

英ロイター・ジャーナリズム研究所が2024年夏に公表した報告書によると、世界で「時々あるいは頻繁にニュースを避ける」と答えた人が過去最高の39%と、2017年の29%から急増しているという。このように心の健康のためのニュースを避ける傾向は理解できるが、完全遮断は、自分でやるべきことを知らないで、他人に委ねることになるという。つまり、何が真実で何が間違っているのか、誰が正しく、誰が間違っているかをニュースという方法で教えてもらっていることを放棄することになる。国家レベルで考えると、民主主義において、国の指導者たちに責任を負わせる権利と責任の両方を放棄することになろう。候補者や候補者の政策について何も知らずにどうやって正しい国家運営を促し、適切な指導者を選ぶことができるのであろうか。

確かに多くの批判を浴びている「主要メディア」だが、客観性の面で改善する余地がある。だが、こういったメディアを遮断して、世界共通の真実を見出すことができるのか。恐らくは現実に対する認識の歪みが蔓延ることになろう。👩‍🦯🏢💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(5)、楽観視できない悪影響」から

2024.10.18   日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(5)、楽観視できない悪影響」から

政治や個人のメンタルヘルスなどにすでに影響を与えている

コラムの著者 佐々木裕一氏(東京経済大学教授)は、前回のソーシャルメディアと人間性の関係を受けて、ソーシャルメディアの課題について考察している。

○人間自体、メディアとの付き合いが歴史的に短い

佐々木教授によれば、米ニューヨーク大学のジョナサン・ハイト氏(社会心理学者)が積極的にソーシャルメディアの問題を提言しているという。

  • 2022年、「米国社会がこの10年で桁外れにバカになった理由」という過激な記事を掲載:
    • ソーシャルメディアでは相手を罵倒したり、攻撃も露わにして影響力を得ようとする投稿者がいるため、穏健派の発言力が低下しているという。このため妥協を見出す政治そのものが失われているという。
  • 2024年、「不安の時代」でディジタルネイティブのZ世代に焦点を当てて掲載:
    • 身体を使った経験や対面での交流時間がスマートフォンの利用時間に奪われ、果ては精神的不調をきたすことが多いという理論を展開している。

以上の各論に対する実証研究はないと佐々木教授は指摘している。理由は、ソーシャルメディアの受発信源であるスマートフォンに対するヘビーユーザーとそうでないユーザーを長時間観測することが難しいなどの課題があって実証できないとされている。

佐々木教授はさらに、ハイト氏以外に2023年亡くなられた認知科学者の鈴木宏昭氏が残した言葉を引用している:

「1つの事件を100回聞くのと、同種の異なる事件を100個聞くことの区別がそもそも人間にはできない(あるいは、まだできるようになっていない)のではないか」

「人間はもともと記号の操作をする存在ではなくて、自分の身体をうまく動かすことが人間にとっての知性であった」

と語ったという。ソーシャルメディア以前のマスメディアの受け手であったテレビでも、その誕生からたかだか70年しかたっていない。鈴木氏の語った錯覚をいまだに十分に克服してはいない。ましてやスマートフォンとソーシャルメディアの間は10年ほどの年月である。この環境を克服するにはまだまだ時間が足らない。🛜💬📱👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(4)、習慣化の理由は人間の特性」から

2024.10.17   日本経済新聞の記事「やさしい経済学:ソーシャルメディアの光と影(4)、習慣化の理由は人間の特性」から

社会的報酬を求める人間の持つ特性をソーシャルメディアが顕在化させる

コラムの著者 佐々木裕一氏(東京経済大学教授)は、前回に引き続きソーシャルメディアの持つ特性で人間が利用を習慣化する背景について考察している。

○利用頻度を高め、滞在時間を伸ばすソーシャルメディアの戦略

佐々木教授によれば、ソーシャルメディアの利用が長くなる理由に、人間が社会的報酬を求める存在であると述べている。他人から褒められ、感謝されれば自分の存在意義を感じるからだという。学術的研究でもソーシャルメディアにセラピー効果があると報告されている。

さらに佐々木教授は、その他の理由にソーシャルメディアにある「アーキテクチャー」の存在があるという。ここでいうアーキテクチャーとは、人の行動を制御するプログラムが作るネットワークサービス上の情報環境という定義で、我々の行動をアーキテクチャーが制御しているという。それに、「ついついしてしまう行動」が習慣化するアーキテクチャーも内在している。

さらに商用的にソーシャルメディアは、利用者の利用頻度を高め、滞在時間を延ばすようにアーキテクチャーが内在している。一方で、このような人間の弱さに付け込まないサービス開発の必要性を訴えている米国の団体もあると、佐々木教授は述べている。🛜💬📱👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:自己効力感を高めよう」から

2024.10.18   日本経済新聞の記事「私見卓見:自己効力感を高めよう」から

自分を信じる度合いが強いほど困難な状況でも挑める

コラムの著者 工藤 紀子氏(日本セルフエスティーム普及協会 代表理事)は、VUCAの時代に「自分にはできる」という確信と信頼、つまり自己効力感(セルフエスティーム)が極めて重要だと指摘している。自己効力感とは何で、それをどう活かし、習得するのかについて言及している。

○セルフエスティームは漠然とした自信ではなく、科学的に高めることができる自信

工藤氏によれば、実践や経験を積むといった科学的な手法で高めることができる自信が自己効力感(セルフエスティーム)であるという。業務に限らず、勉強やスポーツによって完遂する能力、問題を克服する力にも関連している。つまり、何かをやり遂げたいときに、そこに向かう自分の能力を信じることができるのが自己効力感である。

まずは、ありのままの自分を認めることから始める。そして、それを受け入れ、大切にする。そうすれば、自分に価値を感じ、自分を信頼することができる。ここでのトレーニングは、自分で成功や失敗を直接体験する「達成・成功体験」である。過去の成功や逆境を乗り越えた経験を思い出し、書き出してみると、自分では見えていなかった行動と結果の関係に気づくことがあるという。このようなトレーニングでえた行動と結果の関係に気付くが自己効力感を高めていく。身近で具体的な目標を設定し、これらを達成することで小さな成功体験を積み重ねることも効果的である。

また、他者の成功体験を手本にする「代理体験」もトレーニングとして有効だという。他者の成功体験の話や、成功者のドキュメンタリー番組を見聞きすることも有効である。

そして心身ともに健康である「生理的・情緒的状態の管理」も不可欠である。工藤氏によれば、これらのトレーニングを日常生活に段階的に取り入れ、繰り返し実践することが、自己効力感を高め、自分の行動を主体的にコントロールできるレベルに到達するという。🪜❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵