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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「ヒットのクスリ:『黒ひげ』危機から勝利一発へ」から

2025.4.25  日本経済新聞の記事「ヒットのクスリ:『黒ひげ』危機から勝利一発へ」から

お蔵入りは敗北じゃない

コラムの著者 中村直文氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、新人研修のこの時期を期に、モノやサービスの価値の相対性について発売から今年7月に50周年を迎えるパーティーゲーム「黒ひげ危機一発」(タカラトミー製)を事例に解説をしている。

◯当初は「黒ひげを飛ばした人が勝ち」というルールであった

中村氏によれば、発売から4年後、勝ち負けは自由設定になり、1995年には「飛び出させたら負け」になり、初期のアイデアはボツになった。罰ゲーム的に黒ひげを利用した人気のクイズ番組の影響や、飛び出ると驚く様子が「負けっぽい」感じであったからである。

しかし、今年7月に「飛んだら勝ちで喜ぶ方が、より楽しさを共有できるのでは?」と原点回帰に踏み切る。この喜びをシェアするところが現代にマッチしている。だが、人は「得より損」に気を取られやすく、負けの方がドキドキ感があり、中村氏はまたまたもとのルールに戻るのではないかと予想している。

企業が「これは当たる」と考え、押し付けるアイデアは時として受けない。しかし、時代が変わればボツネタもビジネスチャンスを生むことがある。何が受けるかは時代によって変わる。その際、企業は顧客が意見を出しやすい組織の柔軟さを育む努力が大事である。中村氏によれば、アイデアはすべって転んで、飛んでいくモノだそうだ。🧸👦👶🏫💬👩🤝👨💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「FINANCIAL_TIMES:人間の知性は衰退を始めたか」から

2025.3.24  日本経済新聞の記事「FINANCIAL_TIMES:人間の知性は衰退を始めたか」から

2010年をピークに思考力や問題解決力が低下

コラムの著者 ジョン・バーンマードック氏(FINANCIAL TIMES チーフ・データ・リポーター)によると、この10年ほど前から人間の知性、つまり理解力が低下傾向にあるということを示すデータが増えているという。その背景は何か。

○あらゆる年齢層で低下

オックスフォード英語辞典では、知性は「理解する能力」と定義されている。バーンマードック氏は、その能力を実際に適用する力がどうなるかを多くのデータから考察している。

多くの人が、人間の脳が生物的に10年ほどの短期間で根底から変わったということはないだろう。だが、様々なテストにおいて平均的な人間の思考力や新規の問題を解く力は2010年代初期でピークに達し、以降は低下しているという。

OECDによる「学習到達度調査(PISA)」(読解力、数学、科学の3分野で15歳の能力を測る国際調査)の最新結果をみると、新型コロナウイルス禍に伴う教育現場の混乱の影響が大きい。だが、バーンマードック氏は、この災禍で、より長期的かつ広範な知性の衰退が明確に見えにくくなったという。

長期的にみると3分野のスコアはいずれも2012年前後で頭打ちになり、多くの場合、コロナ禍の影響下にあった時期より2012〜18年の方が大幅に低下しているという。これは10歳代に限らず成人にも同様の傾向が見られ、2024年に公表された最新版調査では、あらゆる年齢層で低下している。他の調査である米国「モニタリング・ザ・フューチャー」調査も傾向は同様だという。

この変曲点に注目すべき理由は、バーンマードック氏によれば知性と思考テストの結果動向が類似しているだけではない。情報がオンラインで手に入るようになり人間と情報との関係が変化し始めた時に呼応しているという。こうしたことは結果として活字離れや視覚メディアへの移行の促進に繋がった。ウェブ時代からSNS時代には、我々の行動は自発的なものから受動的な消費に変化しているともいう。

バーンマードック氏によれば幸いなことに人間の基本的な知性は衰えてはいない。しかし、それをどう生かすかは潜在能力と応用力の両方で決まる。後者はデジタル社会に蝕まれていることにバーンマードック氏は警鐘を鳴らしている。🧠🎓🏢🔥🌳🎓💡💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:日本のアニメ、データ分析が重要」から

2025.3.21  日本経済新聞の記事「私見卓見:日本のアニメ、データ分析が重要」から

世界で地域間の視聴者の嗜好を分析予想し、良質なコンテンツを作る必要がある

コラムの著者 ダグラス・モンゴメリー氏(テンプル大学日本校特任准教授)は、世界有数の文化大国として、日本はその地位を不動のものとするために、先進的なデータ分析を導入して、そのビジネスチャンスなどを十分に活かす必要があると説いている。

◯日本は観光立国としてデータ分析に投資すべき

モンゴメリー氏は、日本のアニメの勢いを持続させるためには、従来の方法を超えて、視聴者の嗜好や世界のトレンド、新興国市場に関して実用的なインサイトを与える最先端テクノロジーを導入しなければならないと提唱している。

さらに、日本の文化輸出品の中で、アニメは頂点に君臨し、国境、人種、文化の隔たりを超え、普遍的な言語となっている。良質な作品は興行収入やストリーミングサービスを席巻しているだけでなく、商品帝国を生み出し、日本への観光を促進している。

さらにモンゴメリー氏は日本の優位な地位を盤石にするためにも高度なカスタマーに対する分析への投資が必要だという。世界各地の視聴者の嗜好の違いを予測してクリエーターがより深く共鳴するコンテンツを生み出すことを可能にすべきである。リアルタイムのデータ分析は、文化輸出の成功を追跡するのに役立ち、どのフランチャイズやテーマが世界規模で成功する可能性が高いかについてのインサイトを提供する。

アニメ主導の観光は、かつてそれほど注目されていない静かな街を賑やかに変えた。このようなシナジー効果を十分に活用するために、日本はデータ分析への投資を惜しんではならない。クリエイターだけに頼っていてはダメで、高度な分析力をコンテンツ戦略に取り込み、日本は意図的・効率的にソフトパワーを拡大しなければ世界の最前線から転げ落ちることになろう。📕👦👶🏫💬👩🤝👨💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「ヒットのクスリ:マリオ×花札×銭湯コラボ、任天堂、祖業と革新の遊び心」から

2025.3.7   日本経済新聞の記事「ヒットのクスリ:マリオ×花札×銭湯コラボ、任天堂、祖業と革新の遊び心」から

祖業と中興の祖のコラボの展開

コラボ全盛の時代である。キャラクターやブランドが手を組むことで既存品・サービスの価値を再発掘し、ファンを楽しませる。コラムの著者 中村 直文氏(日本経済新聞社 編集委員)は、意外なコラボを東京・原宿で見つけたという。複合商業施設の「ハラカド」地下1階の小杉湯原宿で、任天堂の花札とゲームキャラクター、マリオブラザーズがコラボしたグッズがあるという。

◯スマホゲームとは異なり任天堂は「お茶の間」で楽しむことを追求

中村氏の発見したコラボは、任天堂の祖業の商品である花札と、同社のゲームキャラクター、マリオブラザーズがコラボしたグッズで、

  • 松をバックに鶴に乗ったマリオ(1月)
  • ピーチ姫と桜(3月)
  • クッパ大王と桐(12月)

などがその一部。マリオ花札をあしらったTシャツやバッグ・ポーチ、ハーフタオル、レターセット、ペアグラスなど、ありそうでなかったグッズである。花札とマリオはデザイン的に見ると実に親和性が高い。1〜12月まで季節ごとの植物を多彩に描いた花札の絵柄に対して、マリオの世界も赤や黄色、緑など色鮮やかで、相乗効果を生み出している。

さらに意味深長で、祖業の花札と任天堂を世界的なゲーム企業に押し上げたマリオという「中興の祖」だけに、大袈裟に言えば歴史的な価値を備えている。

さらに任天堂と原宿の銭湯の出会いが興味深い。小杉湯原宿は90年続く東京・高円寺の銭湯「小杉湯」2号店として開店した。祖業の花札という遊びを伝統文化として残していきたい任天堂は、最先端のファッションが広がる原宿に、銭湯という昔ながらの価値を残すという同じ思想で共鳴したという。まずは、銭湯とのコラボが動いた。

スマートフォンゲームとは違い、任天堂は花札だけでなく、ゲーム機を家族や友達らと遊ぶ「お茶の間」で楽しむことを追求している。♨️🎴💬💻🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:AI学習、素材への対価は」から

2025.3.5  日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:AI学習、素材への対価は」から

かつてのナップスター事件と異なり大企業が違法にIPを違法に利用

コラムの著者 ジョン・ソーンヒル氏(FINANCIAL TIMES イノベーション・エディター)によれば、英国を代表する女性ミュージシャンのアニー・レノックスやケイト・ブッシュなど100人を超えるアーティストが2月下旬、音のない(サイレント)アルバムの公開を支援したという。いわゆる曲に入っておらず、スタジオの雑音しかしない。この無音の抗議は大手テック企業による無断の作品利用に対するものである。日本新聞協会も2024年、AI企業による「報道機関の努力へのタダ乗り(フリーライド)が許容されるべきでない」との声明を発表している。

○抗議は新技術に関係法令の整備が追いついていない場合の典型

ソーンヒル氏によれば、抗議は新技術に関係法令の整備が追いついていない場合の典型であるという。巨大テック企業が自社の生成AIモデルの学習用にインターネットの中から素材データをかき集め、詩や画像、音楽、動画の模造品を次々に発信するようになった。このような状況を著作権法が制定された当時は夢想だにしなかった。模造品があまりに巧妙な出来なので受け手側は本物だと受け取ってしまう。しかし、いかなる人でも団体でも他人の知的財産(IP)から利益を得るべきではない。これは不可侵であると、ソーンヒル氏は強調する。

英国に限らずどの国も芸術や音楽、広告、デザインなどの価値創造産業は自国の経済には極めて重要であろう。ただ、この不可侵のIPを実社会にどう落とし込むか、AI時代に合うように著作権法をどう変えるかに諸国も苦慮している。

また、コンテンツクリエーターがIPによって収益が安定的に確保できる新規の経済モデルが必要であるのも課題である。これに対して幾つかのスタートアップが挑戦して試行している:

  • 米プロラタAI:質問回答エンジンの回答でコンテンツが使われる度にAI企業への収益の一部を制作者が受け取れる仕組みを作っている
  • 米トールビット:法的に不確実性を減らすために、コンテンツ使用料がAI ボットやデータ収集ツールからWEBサイトに直接支払われる仕組みをとっている
  • 英ヒューマン・ネーティブ:AI企業がコンテンツ制作者からデータのライセンス供与を受けられるような仲介市場を構築している

似たようなことが2000年、音楽共有サービス、ナップスターなどを消費者が使って音楽データを違法に共有した事件があった。著作権を顧みない楽曲のコピーや販売が急増し、レコード業界は大打撃を受けた。だが現代は当時と違って、コンテンツを違法に使用するのは個人やグループではなく、巨大で、れっきとしたロビー活動を行う企業であるという差がある。👩‍🎤♪🎧📺💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇬🇧🇺🇸