科学

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「1億人の未来図:方言、30年たったら、ねぐなるんだが?」から

2025.5.19  日本経済新聞の記事「1億人の未来図:方言、30年たったら、ねぐなるんだが?」から

明治以降に同化政策

コラムの著者 、広沢まゆみ氏、浦崎唯美子氏(日本経済新聞社)によれば、国内から多くの方言が消えつつあると言う。国連教育科学文化機関(ユネスコ)からも国内8地域の言葉が危機認定されており、話し手の減少が進んでいると言う。研究者の中には各地の方言が30年後消滅する可能性を指摘している。

○国連教育科学文化機関(ユネスコ)から国内8地域の言葉が危機認定

国内最大の方言辞典とされる1992年刊行の現代日本語方言大辞典によれば、日本国内は北海道、北関東、北陸、近畿など20種、沖縄では奄美、沖縄、宮古など5種類の方言があるという。ユネスコは、2009年に世界で消滅の危機のある言語は2500に上ると認定した。日本国内ではアイヌ語が「極めて深刻」、八重山語や与那国語が「重大な危機」、八丈語、奄美語は「危険」とされたと言う。

要因は明治以降の政府の同化政策が大きいと言う。江戸時代は各藩の言葉が大きく異なっていたが、明治期に東京の中流社会の言葉が国語の標準になった。専門家によれば「近代国家として言語の統一が明治政府の大きな課題であった」からだという。明治政府の富国強兵政策に基づき、軍隊などの組織で円滑に意思疎通をする必要があったとの見方もある。特に沖縄地方では明治時代から太平洋戦争後にかけて方言の使用が禁じられ、話し手が激減した。戦後も学習指導要領には1950年代ごろまで、方言ではなく全国に通じる共通語を勧める記載があったという。さらにテレビなどのメディアの発展で、急速に共通語が浸透した。都市への人口集中や地方の過疎化が進み、共通語が中心の生活となった。こうした時代背景で日本国内でも世代によって捉え方が異なると言う。

生まれた頃にすでに方言が薄れていた若年層では方言に対する抵抗感が小さい。コラムの著者らによれば、日本大学の専門家の調査では、20代は出身地の方言が好きで積極的に使う「積極的方言話者」が25%ほどで全世代で最も多かった。関西や九州はこの傾向が強い。だが、他の地域では減少傾向であった。いま、AIを使って共通語への翻訳を行う実証実験を行なって、消滅を防ぐために音声やテキストのアーカイブ化をすすめている。🎧📺💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews> 核融合発電の実用化視界に」から

2025.5.4  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews> 核融合発電の実用化視界に」から

日本の産業結集に期待

コラムの著者 吉川 和輝氏(日本経済新聞社 客員編集委員)によれば、「夢のエネルギー」と言われてきた核融合発電を実現化することが国内外のスタートアップや企業、研究機関での研究開発の成果で目処が立ってきたという。日本はこの分野で出遅れ感があったが、2030年代の発電実証を目指した民間主導のプロジェクトがスタートしている。

○日本の産業界には核融合産業のサプライチェーンをつくるポテンシャルがある

核融合発電は、重水素や三重水素(トリチウム)などを燃料とし、超高温度のプラズマ状態で原子核を融合させ、その際に出る膨大なエネルギーを利用するものである。発電など核融合の平和利用を目指した研究は第2次世界大戦後、各国で本格化して、日米欧やロシア、中国など7カ国・地域が参加する国際熱核融合実験炉(ITER)がフランスで建築中である。

吉川氏によれば、これまでの実用化への道は平坦ではなかったという。過去実現性に関しては何度となく先送りされ、2024年にはITERの運転開始時期の延期も決まった状態である。だが、ここ数年、北米や欧州で核融合発電の早期事業化を計画するスタートアップが次々と登場してきた。実用化への期待が今高まっている。

日本でも京都大学発のスタートアップである京都フュージョニアリング(東京都大田区)は注目されている。2030年代の核融合発電実証を目指すプロジェクト「FAST」を2024年11月を同社が発表した。FASTには大学の核融合研究者や、プラントメーカーなどが賛同し、国内で建設予定地を確保してから2〜3年後を目処にプラント建設を始める。現在の目標は、2万世帯分に相当する1万キロワットの電力を15分間連続で発生させることである。

京都フュージョニアリングは2019年に創業し、核融合発電の事業化に不可欠な燃料供給やエネルギーの取り出しに関わる技術を提供している。また、米国のMIT発のスタートアップ、コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)の核融合炉を小型化するための高温超電導線材を日本のフジクラが供給するといった、日本企業には核融合産業のサプライチェーンを作るポテンシャルがあるという。☀️🎓🧠🏢🗻🔥🌳🎓💡💬📻⚡️🏙️🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇫🇷🇩🇪🇷🇺🇨🇳


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:学会統治が必要な時代に」から

2025.5.1  日本経済新聞の記事「私見卓見:学会統治が必要な時代に」から

社会からの独立から社会問題の解決に寄与

コラムの著者 島田 裕平氏(東京大学大学院法学政治学研究科博士課程)によれば、学会に社会が期待することが拡大するにつれて、社会への説明責任が求められるようになった。まさに企業統治(コーポレート・ガバナンス)が求められるように、学会統治(アカデミー・ガバナンス)が求められているという。

◯学会内部のガバナンス体制は旧来のままが多数

島田氏によれば、学会統治が社会に及ぼす影響も小さくないという。例えば、医学系学会が経済や社会に果たす役割は近年急速に高まっているという。新型コロナウイルス禍で外科系の学会が手術トリアージを提言したことは記憶に新しい。また体外受精などの不妊治療である生殖補助医療は、学会のガイドラインによって規制されているのが現状であると言う。つまり、学会の方針は、患者が手術へアクセスすることを事実上制限し、精子・卵子提供時における家族の範囲を決定するほどの影響力を持っていると言える。

このように、今の学会は、純粋なアカデミック活動から、市場経済や市民生活へと活動領域を拡大させている。さらに悪いことに意思決定プロセスが透明でない場合も多い。理事会を中心とする学会の権威が一方的に学会の方針を決定することも少なくない。社会や経済への影響を考えると、企業統治の発想に学ぶことが多いと言う。

学会は手続きの透明性を高め、ガバナンスを担保することで、社会的な説明責任を果たしていく必要があると、島田氏は提言している。🎓🏥🧑‍⚕️👦👶🏫💬👩🤝👨💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews> 南海トラフ地震と富士山噴火」から

2025.4.27  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews> 南海トラフ地震と富士山噴火」から

連動見込み被害想定を

コラムの著者 小玉 祥司氏(日本経済新聞社 編集委員)は、想定外に起こる災害として、南海トラフ地震と富士山の大噴火の連動があるという。日本政府の有識者会議は3月に発表した富士山噴火の降灰対策と南海トラフ地震の被害想定を行なっているが、抜け落ちているのが両者の連動での被害想定だという。

○直近の富士山大噴火前に大地震が発生していた

小玉氏によれば、宝永年間1707年12月16日に富士山が大噴火した。2週間以上続いた噴火で噴出した大量の火山灰が風に乗って現代でいう首都圏にも達し、東京都心でも5cm以上も積もったと記録されているという。この宝永大噴火が始まる前の10月28日に発生した宝永大地震は、遠州灘から四国沖までの南海トラフが震源であったという。地震の規模はマグニチュード8.6と推定され、東海地方から四国・九州の被害想定は少なくとも死者5000人以上、倒壊家屋5万9000戸、津波による流出家屋も1万8000戸に上った。当時の経済の中心、大阪は被害が甚大であったという。

この宝永大噴火、宝永大地震とその4年前に起こった元禄地震も合わせての天災に江戸幕府の財政も大きく傾いたという。筆がえって令和の現代では、噴火降灰による火力発電所や浄水場の機能停止、送電網の寸断などの公共インフラの機能停止が長引く。さらに南海トラフ地震でM9クラスが起こった場合、被害は死者最大29万8000人に達すると予想されている。

もちろん、小玉氏が言うように南海トラフ地震と富士山噴火が連動するとは限らない。だが、宝永大噴火から約300年が過ぎても富士山が噴火する危険性は高まっていると思われる。🫨🌋🎓🧠🏢🗻🔥🌳🎓💡💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<科学で迫る日本人>多様な列島、鳥・虫が激減」から

2025.4.20  日本経済新聞の記事「<科学で迫る日本人>多様な列島、鳥・虫が激減」から

人間が及ぼす影響の解明が必要

コラムの著者 松田省吾、黒田 愛奈氏(日本経済新聞社)によれば、生物減少の主因がわかるにつれ、自分たち人間が知ることは限られているという自覚をもって真相を探り続けることが、豊かな生態系や環境を守ることに繋がり、日本人の特徴である謙虚さと勤勉さが欠かせないとしている。

○身近な種類が絶滅危惧種に判定されるほどの減少率

著者の両氏によれば、生物多様性に富んだ「ホットスポット」である日本列島に変化が生じているという。都会では普段あまり目にしない昆虫や鳥などが大きく数を減らしているという。衝撃的であったのは、環境省と日本自然保護協会が2024年10月に公表した調査結果であった。スズメやイチモンジセセリなど身近な種類が環境省のレッドリストで絶滅危惧種と判定されるほどの減少率になったからである。

これは日本列島に限らず、世界的な傾向でもあるという。先駆けは2017年のドイツで、米国では2025年版の報告書で、それぞれ昆虫や鳥類の減少を報告しているという。昆虫の専門家である大阪府立環境農林水産総合研究所の石井理事長によれば、日本の生物多様性国家戦略にも掲げられている:

  • 開発と乱獲
  • 里地・里山の荒廃
  • 外来生物や農薬
  • 気候変動

といった要因が挙げられるという。人が環境に及ぼす影響は温暖化だけでなく、有機フッ素化合物やマイクロプラスチックなど新たな問題が次々と出ている。様々な要因が関係しており、詳細な影響を科学的に示すのは簡単ではない。だが、自分たち人間が知ることは限られているという自覚をもって真相を探り続けることが、豊かな生態系や環境を守ることに繋がり、日本人の特徴である謙虚さと勤勉さが欠かせないとしている。🗾🦆🐝🎓🧠🏢🔥🌳🎓💡💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵