科学

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「FINANCIAL_TIMES:AI導入、2番手にも勝機」から

2025.7.7  日本経済新聞の記事「FINANCIAL_TIMES:AI導入、2番手にも勝機」から

営業テクニックと深遠なものを混同すべきでない

コラムの著者 サラ・オコナー氏(FINANCIAL TIMES エンプロイメント・コラムニスト)は、AI導入に関して通常は楽観的であるが、そこに心理的な脅迫概念が入ると事情が違ってくるという。イギリスの政権で「今動き出せば、将来に向けて成長できる。動かなければ、取り残される」という言葉や、これに入れ込んだソフトウェア会社の宣伝文句はこれに近いという。本当に、選択肢が「今すぐ動く」か「取り残される」かの2つに1つしかないのかをオコナー氏は疑問を持っている。

○2番手が新技術で利用面が見えない時は優位にたてる

オコナー氏によれば、確かに先行者利益はあるし、自律型エージェントなどの新しいAIシステムをいち早く導入する企業に利益がもたらされる理由は明らかであろう。AIへの投資がコスト削減や生産性の向上につながれば、先行者は安価で良いサービスを顧客に提供でき、優位に立てる。

だが、一方で「2番手利益」も存在する。SNSの事例では、マイスペースをFacebookが追い抜き、検索エンジンではGoogleがアスクジーブスを抜いている。2番手が特に優位になるのは、新しい技術が何の役にたつのか不透明でリスクが高い場合である。スピードを犠牲にしたとしても、情報で優位に立てるからである。先行者のつまづきを頭に入れれば、より効果的に道筋が見えるからである。

だが、「今すぐ動かなければ取り残される」というメッセージは企業の事業戦略による強引な営業テクニックといえないことはない。まるでEC(電子商取引)でカウントダウンタイマーなどで「切迫感」をあおることに似ている。テック企業でもない我々は、営業テクニックと深遠なものを混同しないように気をつける必要があると、オコナー氏は示唆している。🧠🎓🏢🔥🌳🎓💡💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇬🇧


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews> 使用済み核燃料の再処理技術」から

2025.7.6  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews> 使用済み核燃料の再処理技術」から

活用のあり方説明を

コラムの著者 塙 和也氏(日本経済新聞社)によれば、日本政府は原子力発電立国として再処理技術の堅持には賛同するが、技術のメリット・デメリットを説明し、活用のあり方を論議すべきだとしている。

○イスラエル・イランの軍事衝突も最大の争点は科学技術

塙氏によれば、イスラエル・イランの軍事衝突も最大の争点は科学技術であるという。原子力発電所の燃料を作るウランの濃縮技術である。イスラエルや米国がイランの濃縮技術を叩くために濃縮施設を爆撃した。

ウランは自然では鉱山などから算出されるが、そのままでは原子力発電所の燃料には使えない。核分裂を起こし連鎖反応を起こすためにはウラン235の割合を核燃料とするまで必要な濃縮を行う必要がある。一方、濃縮度を高めれば、核兵器にも転用できる厄介ものでもある。

日本にも濃縮施設があり、日本原子力研究開発機構(JAEA)で岡山県の人形峠の施設と青森県にある日本原燃の工場である。日本は原子力発電用燃料の加工、再利用という純粋な民生利用として技術を培ってきた。国際的に信頼を得ており、国際原子力機関(IAEA)も監視している。

その中で当初の計画にあった再処理工場の稼働も30年遅れている。ここで原子力発電の政策について日本政府の説明が必要だと塙氏は提言している。💡🎓🧠🏢🗻🔥🌳🎓💡💬📻⚡️🏙️🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep_Insight:Deep_Insight:大学病院がなくなる日」から

2025.7.3   日本経済新聞の記事「Deep_Insight:大学病院がなくなる日」から

高度医療を軸にした収入・収益方程式が通用しない

コラムの著者 矢野 寿彦氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、主要国で世界一の数を誇る「病院大国ニッポン」の医療体制は異質だという。財政が社会保険と税という公的な仕組みで賄われているにも関わらず、そのお金を使って医療を提供する病院の8割が民間の運営という。この体制の中で81ある医系大学病院のおよそ半分を占める国立大学の場合、2004年の法人化の影響は大きい。大学はお金を稼ぐ必要に迫られ、本来の「教育」と「研究」が主だった医学部付属病院が「診療」の場にシフトした。そこに消耗品のコストが高い高度医療の利幅が減り、勤怠管理の厳格化で人件費が高騰、インフレによる医療材料費も上がって、経営を圧迫しているという。

◯静かな医療崩壊

矢野氏によれば、国立大学病院の経営悪化の要因はいくつかあるが、現状23年度、24年度と2年連続での赤字は日本の医療システムを根幹を揺るがす事態だという。経営に行き詰まると、医療界全体に影響を与え、静かな医療崩壊が始まることになると危機感を矢野氏は抱いている。

ドイツ医療に源流のある医局講座制からなる大学病院は1961年に始まった国民皆保険とともに大きな下支えとなって日本の医療を支えてきた。医師を育てる教育、新たな治療法を探る研究、それに診療という医療・医学の3つの機能全てが委ねられている。

医学部教授を頂点としたピラミッド型組織は2004年から始まった新たな医師研修制度や24年の働き方改革によって歪みが浮き彫りになっていく。

何もかも大学病院頼みでは医療の持続性が損なわれていく。一般的な外来診察を切り離し、地域の病院を統合してそこの研修の機能も分担させる。臨床研究の領域に薬学や工学の知を積極的に取り入れる。教育や研究に対して診療報酬という「医療の財布」と別建てにした財政支援も必要だと矢野氏は示唆している。

大学病院が無くなる前に「縮小社会」に見合った医療のグランドデザインを日本政府は描き、改革を断行しなければならない。🩺🏥🧑‍⚕️📱📈📉🧠💬💻🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<知の挑戦>米コーネル・テック」から

2025.6.25  日本経済新聞の記事「<知の挑戦>米コーネル・テック」から

実践型で理系の起業家育成

コラムの著者 西邨 紘子氏(日本経済新聞社 ニューヨーク支局)によれば、理系分野の起業家育成に力を入れ、トランプ政権下で大学研究の助成金差し止めが相次いでいる中でも、国外から起業を目指し、ニューヨーク市に集まる留学生を受け入れていきたいという。

○イスラエル工科大学と共同で設置した大学院のコーネルテックが中核

コラムによれば、理系分野ではイスラエル工科大学と共同で設置した大学院のコーネルテックが中核で、専門の異なる学生が少人数のチームを組み起業を実践するプログラムを提供しているという。すでにその実績は、起業で100社を超え、累計で企業価値10億ドル(約1430億円)となっている。

2011年、ニューヨーク市がニューヨーク市内ルーズベルト島の再開発とハイテク産業活性化を目指し、STEM(科学、技術、工学、数学)系大学の誘致を公募した。20件近い応募のうち、同大学のプロジェクトが選定された。キャンパスは、マンハッタンから地下鉄で1駅、イースト川を挟み国連ビルを臨む地域で、15年に着工、17年に開設した。東京ドームがすっぽり入る敷地に研究棟や宿泊施設など5つの建物が並んでいる。規模も、STEM教育から起業法、MBAのコースも提供している。2017年に300人だった学生は2024年度に1000人を超えた。

コーネルテックで特色的なカリキュラムに、全ての専攻で「スタジオ」と呼ぶ実践プログラムが必修になっている。情報工学、ビジネス、法律、デザイン工学など専攻が異なる学生の5人程度のチームに振り分けられ、共同で1つの課題に取り組む。大学が協業する実在企業、例えばGoogleやニューヨーク・タイムズなど大手企業が課題を提示する。チームで新しいテクノロジー製品やサービスを開発することを、入学後最初に実践する。その後修了時まで多くの起業家向けプログラムや支援があり、大学側も企業とのマッチングを進めている。

トランプ政権下で大学研究の助成金差し止めが相次いでいる中でも、同大学は、国外から起業を目指し、ニューヨーク市に集まる留学生を受け入れていきたいという。🗽💡🎓🧠🏢🗻🔥🌳🎓💡💬📻⚡️🏙️🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「AIは法人格を持てるか」から

2025.6.16   日本経済新聞の記事「AIは法人格を持てるか」から

販促や採用、サービス急拡大

コラムの著者 瀬川 奈都子氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、利用者の目的を遂行するために、自ら状況に応じた判断を行い、人間を代行・代理するAIをAIエージェントと呼ぶという。AIエージェントは、生成AIよりも自律性が高く、取引の交渉や売買契約、マッチングサービスなどで人間に代わり意思決定することも想定されている。このような状況にいくつかの法的課題が指摘されており、本コラムでは課題に向けての解説を行なっている。

◯「責任」のルール課題に

コラムによればAIエージェントの利用拡大と普及に伴って、将来的に様々な交渉や契約などを代行することが見込まれる。AIといえども完全なものではないことや民法など法的な地位が確立されていないことから、AIが問題を起こした時に誰がどのような責任を取るのかといった安全に利用するためのルールづくりが課題となっている。

AIエージェントは生成AIに続く有望なサービスとして注目されている。マーケッツ・アンド・マーケッツ(インド調査会社)によれば、2030年には全世界で現在の7倍に近い526億ドルの市場規模が見込まれるという。いずれは複数のエージェントが協同して動作したり、判断に関わる部分も担ったりするサービスに発展する可能性を秘めているという。

国内外の企業で昨秋以降、複数のサービスを相次ぎはじめた。分野的にはマーケティング支援サービスが導入にもっとも進んでいる。例えば、小売店の購買データなどを統計化して分析し、AIが無数の仮想顧客をつくってリサーチする。それをメールマガジンなどの配信に利用して、この工程を自律的にAIエージェントが行うといったものである。

AIエージェントをマーケティング分野以外に進んでるのが人事採用の分野で事例も増えている。専門家によれば、将来は応募者側も自らの志向や能力に合った企業をAIエージェントに選定させて応募書類を送るなどが一般化しそうだという。

こういった応用事例が増えるにつれて法的なルールが必要などいう議論も湧き上がっている。日本総合研究所が3月に公表した報告書では、AIエージェントをめぐる法的課題を次の4つに分類した:

  • 契約の当事者や責任の所在の明確化:自律化の進化で人間が介在せずに様々な取引契約を締結する可能性が出てくる。だが、AIは法的な権利能力を有していない。民法上の「代理人」の地位もない。
  • 消費者の保護と救済制度の導入:利用者が意図しない契約の取り消しなど救済制度の検討。
  • プライバシーなどに関わるデータの責任管理の明確化:AIが取得・処理するデータの管理責任や個人情報保護法との関係が未整理。
  • 損害賠償責任の分担の明確化:AIの開発者、提供者、利用者の責任分担のあり方の整理。

解決策として、専門家の間で議論が始まっている。その1つがAIに企業と同じように法人格を与えることである。海外ではEU中心にこの案には否定的な意見が目立つ。だが、救済を優先するならば、関わる複数の企業が法人格を持つAIに財産を持たせて賠償金に充てるという考え方である。企業側も自主的な解決策を探っている。🧠📱📈📉🧠💬💻🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇪🇺