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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:中小視点のコンプラ体制が重要」から

2024.8.5 日本経済新聞の記事「私見卓見:中小視点のコンプラ体制が重要」から

リスクテイクを正しく実現するコンプライアンス体制が中小企業には重要

コラムの著者 田中 雅敏氏(明倫国際法律事務所 代表弁護士)によれば、日本企業の99.7%を占める中小企業の成長を伸ばすことは日本経済の再起に向けた喫緊の課題だという。大企業では徹底したリスク回避であるが、中小企業では経営判断に小回りのきくことを特色を生かすためには法務自体の異なった視点が必要だと言う。

○中小企業のコンプライアンスは大企業の「小さい版」ではない

田中氏によれば、中小企業の法務は、大企業の「小さい版」ではなく、経営資源も限られた中で法務体制も脆弱な中での業務となる。一方、大企業にはない点である、意思決定や社内の決済は速さが勝負となる。これはスタートアップ企業同様、経営の舵取りの仕方によっては高い成長性が期待できると言う。

中小企業の悩みは、企業規模に比べて過大なコンプライアンスを、大口取引先の大企業の基準に合わせて求められることである。厳密なビジネスプランやリスク管理、BCPや生産継続体制の確立などである。だが、中小企業にとって最も重要なことは、悩みである過大なコンプライアンスにあるのではなく、リスクを単純に回避することは、生産性の低下やビジネスチャンスを逃しかねないということにある。

田中氏はここで中小企業の重要な判断について逸話を紹介している。

  • 大手メーカーから出資を受けているある中小企業は、経営判断にあたりメーカー側の決済をいちいち待たねばならないことになっていた。
  • あるとき、中小企業側が大手の決済スピードを改善するように求めたが、大手企業は「さまざまな可能性を考えていくのでその分遅くなる」と応じたと言う。
  • そこで中小企業の社長は、大手企業の関係者に以下のように言い放った:
    • 「このスピード感で商機を失うのが、一番のリスクではないですか?そのリスクは検討したのですか?」

中小企業で、大企業的に「念の為に、これはやめよう」と考えてしまうのは好ましくないと田中氏は指摘する。中小企業では適切な経営判断でリスクテイクを正しく実現するという、中小企業の視点でのコンプライアンス体制を作ることであろう。また、このリスク管理のセンスをもつ社員を確保・育成すべきだとも指摘している。👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『紅麹』サプリにみた二律背反、機能うたう制度、1つに」から

2024.8.4  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『紅麹』サプリにみた二律背反、機能うたう制度、1つに」から

特定保健用食品、機能性食品、栄養機能食品の相違がわかりにくく混乱を招く

テクノロジーとシステムには必ず「安全性」と「利便性」という二律背反(トレードオフ)が存在する。ICTでは情報セキュリティーがこれにあたり、原子力発電では安全規格が堅固になるにつれ、電力会社からみれば利便性が低下した。ここに挙げた、「紅麹」サプリも二律背反のジレンマから逃れられず、健康食品による健康被害を引き起こしたのではないかと疑われている。コラムの著者 矢野 寿彦氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、小林製薬の国民の関心が高いヘルスケア製品を扱う際に安全性よりも利便性をばかりに目を向けたのではないかと考えているが、その背景に多くの健康関連の制度が輻輳して未整理のまま一本化もできずにいることに課題があると指摘している。

○機能性表示食品の制度維持はメーカー側の性善説が前提

矢野氏によれば、機能性表示食品を巡る規制のあり方に大きな不備があると指摘している。この制度は規制改革の流れの中で15年までに開始されたという。製造・販売には事業者が安全性や機能(効果)に関する論文やデータを「自ら」集め提示すればよいというもので、日本政府や専門家による審査はない。

そこで問題になるのが、巧みな広告宣伝で希薄な科学的根拠(エビデンス)であってみ「医薬品」のような効果があると消費者に訴求している点である。健康ビジネスを主軸に考えるメーカーにとってはうってつけの制度であろう。実際次々と先生品が登場し、市場は急成長、スタートから7年ほどで5,000億円の市場となっている。制度自身がメーカーの性善説によるものとなっており、消費者にとっては安全性が第1であるはずなのに、事業拡大を考える一部の企業では誇大広告を駆使してしまう。すでに15年前に大手日用品メーカーが手がけヒットした「体に良い食用油」から、分解すると発がん性物質を生成する疑いのある成分が検出され、社会問題となった。結局、当時のメーカーが特定保健用食品の表示許可を取り下げ事態は収拾した。

日本政府としても健康食品を高齢化社会におけるセルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする)の一環として見るなら、政府や第三者機関の審査やチェックは不可欠であろう。エビデンスも消費者に正しく明確に伝える必要があろう。さらに、特定健康用食品、機能性表示食品、栄養機能食品の3種類を明快に誤解の生まない形で制度を一本化して整理し、サプリメント法などの制定も考える必要があると矢野氏は提唱している。💊🎓🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「春秋:トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループの略)と水」から

2024.8.2 日本経済新聞の記事「春秋:トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループの略)と水」から

水のように臨機応変の性質をもつ犯罪グループ

コラムの著者がこのところ警察白書でも問題視されている、トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループの略)について、その形態について触れている。

○多くの悪事を重ね、SNSで集めた末端メンバーは使い捨て

コラムの著者によれば、トクリュウは先ごろ公表された警察白書の巻頭で特集されているという。集合と離散を繰り返し、特殊詐欺や強盗、違法風俗と悪事を重ねているという。犯罪グループの末端メンバーもSNSなどで募り、使い捨て。このような組織では全貌が掴みにくいためトクリュウと呼ばれている。まさに水のように変幻自在の液体のようで、白書では、「治安対策上の脅威」と記している。

4〜6月に824人を摘発したが、水流のごく一部であろう。これまでのような下っ端をお縄にして親分を追い詰めるという手法が通用しない。抜本的な対策はなく、他の組織犯罪同様、資金源を突き止め断って活動を弱めるしかない。社会を挙げて知恵を絞らなければ、水を堰き止めて全部抜くような奥義は今のところない。🏃‍♀️🏠🚲🍼👶📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:ESG情報開示はAI活用で」から

2024.7.31  日本経済新聞の記事「私見卓見:ESG情報開示はAI活用で」から

企業はESG情報をAI活用を前提に量・質共に充実、透明性を確保すべき

コラムの著者 中久保 菜穂氏(シェルパ・アンド・カンパニー CEIO、ESG責任者)によれば、膨大で広範囲な情報となるESG(環境・社会・企業統治)の確認や分析にはAIが活用されていくことが増えるという。人間のアナリストに比べ、その評価に情報処理速度より高速で、正確であり、参考情報の範囲は広く、量も多く、客観性も向上するという。さらにAI活用によるこれまでの課題解決にもつながるという。

○AI活用で、ESGウォッシュ対策や人間の持つ無意識の心理バイアスを排除できる効果が期待できる

中久保氏によれば、現在の企業のESG情報は、有価証券報告書や統合報告書など多様な文書で開示されている。ファイルの形式も多岐にわたり、評価時には日本政府や第三者機関による調査データも参考にする必要があるという。このように膨大で広範囲な情報となるESG(環境・社会・企業統治)の確認や分析にはAIが活用されていくことが増えるという。

さらにAI活用による効用もある。例えば、ESGウォッシュ対策である。実態が伴わない見せかけのビジネスにより、ステークホルダーに誤解を与える「ESGウォッシュ対策」にも有効である。AIを用いれば、企業はモニタリング機能を向上させることができ、SNSやNGOなどの報告がほぼリアルタイムで参照でき、サプライチェーン全体のモニタリングができる。

さらに、人間の意識に潜む無意識のバイアスを排除して、評価の客観性を担保できる期待がある。ただ、AIにも学習データによってバイアスを持ちうることも認識しておく必要がある。

このようにESG評価でAIを使うことはもう不可逆となっており、それなら企業側もAI活用とアナリストの評価の両者があることを前提に情報の量と質の向上、さらに透明性の確保をこれからも進める必要があろう。🧠📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:認証不正、制度設計は柔軟に」から

2024.7.29  日本経済新聞の記事「私見卓見:認証不正、制度設計は柔軟に」から

ルールの前提となる状況や条件は刻一刻と変化し予測不能

コラムの著者 吉野 直人氏(西南学院大学商学部教授)が提唱するのは、国が安全基準を決めて具体的な試験方法や条件はメーカーに一任することで、現状の課題解決を図れるのではないかという。自動車メーカーの型式指定を巡る認証不正問題で明るみに出た国の規定とは異なる試験方法や手順が取られていた。その原因とは。

○医薬業界で行われている市販後調査も必要

吉野教授によれば、今回の不正はメーカーの順法精神の低さと不正を指摘できない職場風土を批判する一方で、元来の国の規制のあり方やルール自体の問題を指摘する声もあるという。

自動車メーカーが例え国の基準よりも厳しい方法で実施しても、ルールに則らないことには違いなく「不正」となる。確かに虚偽記載やデータの改竄のケースは問題外であるが、規制する側に課題はないのであろうか。

組織においてルールと現場の手順に乖離があることはしばしばであるという。これは、ルールの前提となる状況や条件がダイナミックに変化していることにも影響を受けている。事前にこのダイナミックスを予測することは難しい。そうなると現場ではルールから切り離されて、安全性が求められる現場ではリスクの温床となっていく。

このリスクを抑えるため、認証制度にも当局への申請を通じて試験方法の見直しの道がある。ただし、多くの車種や技術の多様化で、モデルチェンジや設計変更が頻繁に行われる中で試験方法の変更に対するコストは大きくなり、実質的には見直しされない状態となる。さらに現場でいくら工夫しても国の規定に反するのであれば検査不正として問題視されてしまう。

つまり規制と裁量のバランスが中途半端な状況が続いていることが不正の要因にもなっている。他業界である医薬品業界の安全基準のように、国は基準だけを決めて、試験方法や条件はメーカーに一任するといった設計の方が柔軟であるのではないかと、吉野教授は提案している。その際も、市販後調査のようなフィードバックでルールの見直しを考えられることも重要であろう。🚗🚕🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵