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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミクストレンド:『柔軟』『迅速』なシステムに」から

2024.11.12  日本経済新聞の記事「エコノミクストレンド:『柔軟』『迅速』なシステムに」から

社会情勢の変化が速く不確実な時代に必要な経済システムとは

コラムの著者 柳川範之夫氏(東京大学教授)は、現代はVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語)の時代であるという。政治情勢の国際的な不安定化、紛争の拡大、安全保障上の懸念など不安定な要素が山積している。また、生成AIを中心とした技術革新も経済環境を大きく変える要因だと言う。このような時代に日本としてはどのような経済システムを作るべきなのか、また企業レベルでは企業経営で何を軸にすれば良いのかを柳川教授は示唆している。

○暗黙知を客観化し、見える化することが柔軟性を生む

柳川教授はVUCA時代の経済や経営システムは柔軟であらねばならないと提案している。生じた変化に対して迅速に対応できる柔軟性をいかにシステムとして確保できるかが、日本に必要なことだという。

柔軟にまず対応すべきは教育や学びであるという。必要とされる能力やスキルが変化しているのに、教育内容が旧態依然としていては停滞してしまう。変化に合わせて、できるだけ柔軟に、教育内容やそれぞれの能力も変化させられるのが望ましい。先ごろ、近年の学校教育の改革が話題になったり、リスキリングやリカレント教育が重要視されているのも、社会の要求に対して柔軟に変化するためである。

日本社会の全体を見た時に柔軟性はどうだろうか。柔軟性を確保する上で大きく課題になるのが、規制やルールをどう柔軟かつ迅速に変えていくかが大きなポイントだと柳川教授は指摘している。しかも制度やルールが簡単に変えられないなら、技術環境が急速な変化を起こす時に追従できない。このとき結論の先延ばしや現状維持が幅を利かし、イノベーションに対するビジネスチャンスを逃すことになってしまう。今後は技術に対する規制やルールは迅速な改革が必要となる。

日本の企業では暗黙知の共有で、作り込みをして生産性を上げてきた構造があると言う。しかし、暗黙知の共有は、柔軟性に欠けるという致命的な弱点がある。やはり、暗黙知を客観化し、見える化を進めることで柔軟性を確保する工夫が必要だと言う。

これまでは動かないでじっとして外の嵐が過ぎ去っていく過越をすれば元の生活が帰ってきたが、これからはそうはいかない現実がある。嵐に伴って居場所も動いてしまうからである。その新しい居場所に向かって積極的に踏み出す柔軟性こそ、社会全体で求められていると柳川教授が推奨している。📉📈🏭🥩🐟🥦🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:『失われた40年』にしないために」から

2024.11.8  日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:『失われた40年』にしないために」から

国内拠点の充実し企業価値を上げるビジネス環境をつくることがキー

日本経済は低迷を抜けて新局面に入ったといわれている。今は、「もうデフレーションではない」、「金利がある世界になる」、「失われた30年は終わった」などのフレーズが出てきているが、コラムの著者 門間 一夫氏(みずほリサーチ&テクノロジー ズ エグゼクティブエコノミスト)は、3つは誤りだと言う。「失われた」をどう定義するかはさまざまだが、低成長を意味するのであれば、状況は改善しておらず、むしろ悪化しているという。

○失われた年数を増やすか実質賃金が上がる経済となるか

門間氏によれば、2019年から2024年前半まで4年半で、GDPの実質成長率は年率わずか0.1%に過ぎないと言う。物価が上昇しているので名目成長率は上がっているが暮らし向きを決めるのは実質成長率である。当たり前だが、実質成長率がほぼゼロなら、実質賃金が上がらない。2年以上続いた実質賃金の下落によって家計へのダメージは大きく、個人消費は低迷している。

だが、株価は2010年代初頭の約5倍にまで上昇している。株式の低迷は「失われた20年」の段階で終焉を迎えた。今も上昇トレンドにある。株価は代表的な日本企業の稼ぐ力を表すものであり、それらの企業は近年、株式目線の改革を着実に進めてきた。日本経済は少子高齢化、地方経済の疲弊、消費の低迷が続いているが、日本企業はそれらの影響を極力抑えるために事業の効率を図りつつ、グローバルに拡張戦略で利益を伸ばしてきた。

そこで門間氏は日本経済が分岐点にあるという。1つは、株価だけが上昇し、日本経済はこのまま「失わられた40年」「失わられた50年」になる道である。もう1つは、株価上昇と共に実質賃金がしっかり上がるようになり、国民生活も豊かになっていく道えある。今は労働需給が改善してきており、後者への道が少し開いている状況だという。ただ、この道が開けるかは、日本政府の経済政策によるところが大きい。

株主重視の傾向はこのまま続くし、資本運用立国を標榜する以上、株価が上がり続ける国であらねばならない。門間氏が指摘するポイントは、株主重視の企業改革を賃金の上昇や中小企業の成長にも広げる何かが必要だと言う。社会的責任だけでは何かにはなり得ず、利益成長に縛られたままなら日本から企業が逃げていく。門間氏は、その何かは「国内拠点を充実させ、企業価値の向上が結果として生まれ、そのために賃金を上げ、サプライヤーにも報いるような」ビジネス環境の構築ではないかと示唆している。新分野への挑戦機会が増え、エネルギー供給に不安なく、世界一の狭域水準にあって、海外からも優秀な人材が集まるという日本創生を新たな日本政府に門間氏は期待している。📉📈🏭🥩🐟🥦🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>AI研究第一人者の願い、安全な公共財へ協力を」から

2024.11.10  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>AI研究第一人者の願い、安全な公共財へ協力を」から

AIの急速な性能向上に科学者の理解が追いついていない危惧

コラムの著者 青木慎一氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、2024年のノーベル物理学賞の受賞者、ジョン・ホップフィールド氏(米プリンストン大学名誉教授)とジェフリー・ヒントン氏(カナダ、トロント大学名誉教授)の受賞記者会見は異常だったという。受賞の喜びよりも人工知能(AI)のリスクについて語る場面が目立ったからだという。両氏ともAIの急速な性能向上に不安を隠しきれず、人間が将来支配されるとの予想もでたという。先駆者の2人がAIのリスクを強調するのはなぜだろうか。

○勃興する核技術への科学者の訴えが頓挫した失敗を再度起こすのか

青木氏によれば、リスクや不安の要因は、AIの性能向上が科学者の理解をすでに超えているとの危惧である。AIの動作の大まかな原理はわかっているものの、なぜうまく答えを導き出せるのか、その根拠は何なのかなど未だに不明だからである。

多くの科学者はAIの過大評価だと指摘する人もいる。だが、AIは謎が多く、究明する必要があるとの認識は共通しているという。ここにAIがもつ社会的課題がある。AIの制御法を見つけられなければ、人間の命令に逆らったり、想定外の行動をとる可能性もあり、大惨事を招く恐れがあるという。

さらに危惧すべきは、AI研究や技術開発は世界で10万人といわれる科学者や技術者が携わっているが、安全性に取り組むのは1%にも満たないという。ヒントン氏がこの点でも「多くの若手が安全性に取り組みべきだと」と主張しているという。安全なAIを実現するには多国間協力と国際的な研究機関が必要であると2人は主張している。得られた知を世界で共有していくことが重要である。

この協力の背景に、第2次世界大戦末期の科学者たちによる核技術に対する国際協力の頓挫が蘇ってくるからである。大国の論理で、核技術は核開発競争を煽り、広島・長崎の被爆を回避できなかった。国連が9月にAIのリスクに関する理解や適切な対応を促す専門家パネルの設置を決めた。いまこそ国際ルールなど策定などを進めるべきであろう。🛜🧠🌿☀️🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<再考学び舎>期待高まる哲学どう生かす、違和感のセンスを磨く」から

2024.11.6  日本経済新聞の記事「<再考学び舎>期待高まる哲学どう生かす、違和感のセンスを磨く」から

現場での実践、原点回帰を提唱する哲学者にインタビュー

「正義論」や「存在論」、「現代思想」といった堅い書籍が売れているという。大学生のみならず社会人にも学び直しの機運が広がっているという。だが、最高学府の大学ではこうした要望に十分に応えられていないという。コラムの著者 、鷲田清一氏(哲学者・大阪大学名誉教授)にその課題を聴いた。

○現代社会がアマチュアだらけのプロ集団になっているのが哲学への期待の要因

■鷲田氏にまず、現状をどうみるか尋ねた:

「哲学が急に求められているとは思っていない。」「世界や社会が混乱し、先行きが見えず、不景気になったりすると、人々の関心がしばしば哲学に向かう。」

「時代に翻弄されたり押しつぶされりしないよう、一種の精神的武器として哲学が呼び出される」

「だが、21世紀になって哲学がより強く要請されるようになったのは確かである。」「科学技術や情報システムの発達で、世界がすごい速度で密接に結びつけられ、経済活動や政治をはじめ、たいていのことが世界中を巻き込むことになった。」「日常の暮らしがグローバルで多元的で全体を見通せない問題を抱え込むようになった。」

「科学者も官僚も政治家も専門分化して細部には詳しくても、担当分野以外ではずぶの素人で我々と変わらない。大きな流れを見通して、今やるべき課題に取り組むことができないでいる。」

「変な言い方だが、アマチュアだらけのプロ集団になっている。だから哲学に期待がかかる。」

■哲学はこのような期待に応えているか:

「時代を見通すには、それぞれの学問の根本に哲学がないといけない。だが、実際はそうはなっていない。」

「しかし、頼みの綱の哲学も閉じこもりがちで、細分化が進んで『哲学・学』が主流を占め、期待には応えていない。」「そこで鷲田教授は状況を変えようと努力してきた。」

「研究と哲学とは違う。哲学の原点に帰れと問題を提起した。まず、学者が頭の中で考え出すものではない。介護や教育の現場に行き、人々の生きる上で何が大切にしてきたのか、その哲学を汲み取ることが必要。」

■実践する際の重要なことは何か:

「『臨床哲学』は哲学の専門家が行うのではなく、やるのは現場の人々である。例えばエンジニア自身がエンジニアリングとは何かを深く考えることが臨床哲学で、難しい問題と対峙することになる。」

「すぐに答えが出ない問題を緻密に濃密に考え続ける。」「論理的に考えるのは当然であるが、忘れてはいけないのはセンスである。」「哲学には世の中が変だぞと感じる感受性、おかしな兆候に敏感に反応するアンテナが欠かせない。」

「この違和感があれば、世界の現実について、皆が『当たり前』と考えることに、果たしてそうかと問い返していける。思考の枠組みで初期設定されているので、この『当たり前』を疑うことは難しいがそこに哲学がある。」❓☀️🎓💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『アイデアが出ない』と悩むな」から

2024.11.4   日本経済新聞の記事「私見卓見:『アイデアが出ない』と悩むな」から

先行者がいるのはリーディングカンパニーになれるチャンス

コラムの著者 大林 尚朝氏(アナザーワークス代表)によれば、行政の起業支援や支援機関からのサポートが拡充され、起業しやすい環境が以前以上に整備されてきているという。大林氏も多くの若い起業家やこれから起業したいという大学生から相談を受けるという。こういった相談で多いのは、「起業したいけど、ぼんやりした発想で具体化できない、アイデアが浮かばない」というものである。大林氏は、アイデアの具体化についてヒントを与えている。

○アイデアが出たら実現させるための覚悟を決め、踏み出そう!

大林氏は、ほとんどのアイデアはすでに世の中に出ているということで、起業したい人や新規事業を立ち上げる人は知っておいてほしいという。いくら「日本初」とか「世界初」と言っても、大抵は類似の商品やサービスが展開されている。だからといって、問題かというとそうではないと、大林氏は示唆する。自分が知らなかったということは、まだ当たり前、つまり一般化されていない証拠である。その業界で圧倒的な企業がない状態で、むしろ自らリーディングカンパニーになるチャンスがあることを示していると考えるべきだという。生み出したアイデアに先行者がいるといって諦めてしまうのは、チャンスを自ら逃していることになる。

アイデアを生むためのアプローチは、大林氏によれば2つあるという:

  • プロダクトアウト的発想:「あったらいいな」という発想。このアイデアでは実現するための方法をひたすら考えることにある。あったらいいなが、いつもあるという状態にするためのアイデアを深掘りする。
  • マーケットイン的発想:課題解決を考えるアイデアの出し方。解決しなければならない社会課題をとらえて、そのアプローチで解決するのかを言語化していくことになる。さらに、そのアプローチが必須あるいは必ず必要であるという課題を持ち続けてアイデアを生み出していく方法である。

いずれの方法でも、大林氏によれば、アイデアを絵に描いた餅で終わらせないためには、「ビジネスで絶対にトップを取る」とか「自分が日本の社会構造を変える」といった強い「覚悟」を決めることだという。覚悟とは、起業家自身がその事業領域が好きで、ずっと没頭し、熱中できることであるべきだと大林氏は示唆している。⚡️💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵