【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「WAVE:データー市場の非対称性」から

2023.2.16   日経産業新聞の記事「WAVE:データー市場の非対称性」から

データの品質保証への提案

コラムの著者 辻中 仁士氏(ナウキャストCEO)は、ミクロ経済の入門コースで紹介される「市場の失敗」を例として、「レモン市場」を取り上げ、データ流通の市場にも応用できないかと考察している。

○売り手の圧倒的有利が不正を招く

 「レモン市場」とはレモンの皮が厚くて、外見から中身がわからないことから、生産コストが高い、高品質な商品が市場から駆逐され、低品質な商品が出回る、と言う構図を示す。

辻中氏によれば、データの流通市場にもまさに「レモン市場」的な側面があると言う。同氏の経験ではデータには品質の高低が明らかに存在すると言う。例えばスマホの位置情報では欠測値があったりスマホのホルダーの状態、サンプル数の大小などでデータの精度にばらつきが生じる。

このような状況でもデータの売り手は買い手には対して圧倒的に情報優位性を持つことから、売り手のデータが低品質でもその事実は買い手にはわからない。そこに売り手の不正が入り込む余地がある。「過去のデータを操作して、正答率が高く見えるようにしよう」という不正操作を売り手側が行っても買い手は一見して気付くことは極めて少ない。

ではこのような不正が起こりやすい「市場の失敗」をどう乗り越えれば良いのか。

辻中氏は、シグナリングや公的介入がまずは正攻法だという。この内、データ流通市場でのシグナリングは、独立した機関が高品質なデータを「認証」することだという。買い手が品質の高低がわかるイメージである。いわゆる「認証制度」を作らなくても大学の研究者にデータを提供して研究してもらうのも実質的な認証として機能するという。アカデミアの立場は一定の独立性があるし、低品質なら研究材料にはならないからだ。研究実績の多いデータは品質の高さが認められているといえる。😷📡🛰🏢🏥👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ウニそっくりの豆腐、関連づけの妙が生む技術」から

2023.2.17  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ウニそっくりの豆腐、関連づけの妙が生む技術」から

多様な事象を関連づけが、革新的な商品アイデアとなることも

 コラムの著者 西川 英彦氏(法政大学経営学部教授)は、いくつかの事象を関連づけて、これまでにない革新的商品のアイデアを作ることを事例を示して説明している。

◯A✖️B→Cの異種間融合でアイデアを

 西川教授が紹介するアイデアの創造に関する好例は、豆腐製造最大手の相模屋食料(前橋市)のケースである。

ネット上で「豆腐なのにウニ」と話題の「うにのようなビヨンド豆腐」を同社は生み出した。2022年3月の発売以来、累計380パックを出荷するヒット商品である。

商品化までに進むきっかけは、「豆腐の味はシンプルで、クセのある味がないから、また食べたいとならない」と社長の鳥越淳司氏の言葉からクセのある極みはウニや魚介系の旨みだしであるとの考えを掛け合わせて、あえてクセのある同商品のアイデアに繋がったという。

アイデアの名著であるジェームズ・W・ヤング著「アイデアのつくり方」では、

  • 「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何者でもなく、
  • その組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見出す才能に依存するところが多い」

であるという。またアイデアは比較的リラックスした時に出てくるという。

同社はM&Aした8社の豆腐メーカーでもこのような関連づけが積極的に実施されている。2021年9月に生まれた「肉肉しいがんもどき〜INNOCENT MEAT〜」もハンバーグのようながんもどきで、アイデアから生まれたものである。そこには京都タンパクから譲渡されたがんもどきを作る際の伝統的手法である「手捏ね」の技術と、鳥越社長の「豆腐ならではの植物肉」の掛け算であるという。🥤💡♬📱🍟🏥📷💻🍺🦠🎓🏢📈🔎⚡️🌍happy01📶👦👧💡🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:物価高とコストパフォーマンス、高所得層の方が厳しい目」から 

2023.1.27   日経産業新聞の記事「小野譲司の目:物価高とコストパフォーマンス、高所得層の方が厳しい目」から

物価高の傾向が続くなら異なった消費スタイルも

物価高が進むと商品・サービスのコストパフォーマンスに対する消費者の評価が低下するが、興味深いことに「価格が上がればコストパフォーマンスが下がる」とは限らないという。コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、サービス産業生産性協議会による売上高上位企業の利用者を対象とした日本版顧客満足度指数(JCSI)調査を用いてこの現象を分析している。

◯同じスーパーマーケットでも異なる価格戦略でJCSIに変化がある

 小野教授が利用しているJCSIは、「価格に品質が見合っているか」などの複数の質問の回答をもとに算出した100点満点のスコアである。

  • 2021年:政府主導の料金値下げで携帯大手3社を中心に携帯電話(スマートフォン)のコストパフォーマンスは急上昇。
  • 2016年ごろから小売自由化が始まった電力・ガスは料金競争でコストパフォーマンス評価は上昇したが、2021年から全国的な料金値上げで急落。

といった傾向がJCSIから読み取れる。さらにスーパーマーケットやドラッグストア、飲食サービスを詳細に見ると、興味深い傾向があるという。

  • 各社の価格戦略による相違:特売に依存するスーパーマーケットはJCSIは低下し続けているが、総菜などユニークな品揃えで付加価値を訴求するチェーンやEDLP(Every Day Low Price, 毎日低価格)のチェーンストアは2022年では横ばいか僅かに上昇している。EDLPは一定水準の価格を維持するために消費者が特売品を買い逃すことが少なく、価格への安心感が影響。
  • 所得水準による相違:スーパーマーケットに関して年収1千万円を超える高所得者層の方がコストパフォーマンス評価の低下が顕著であるという。その要因は、商品・サービスに対する品質評価の低下である。「値上げに見合う品質ではない」という評価である。

このまま原材料の高騰と円安が当面続くとすると、物価高の影響を受ける消費者のスタイルも大きく変わると小野教授は示唆している。👟👞🫗🧴📷🥢🍜🍔☕️🍣🍜🍺🍞🍽😷🦠📱💻📒🛒🎓💳⚡️🌍happy01💡🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:賃上げ前に物価抑制を」から

2022.12.15  日経産業新聞の記事「眼光紙背:賃上げ前に物価抑制を」から

欧米では物価高そのものが企業や個人の経済活動に負担と考え物価抑制を最優先

コラムの著者は、物価高が世界に広がる中でその対応が欧米と日本とで大きく違うことについて触れている。

○日本は物価が上がることは既知であるので物価抑制よりも賃金をあげることを優先

 コラムの著者によれば、欧米は景気の犠牲を覚悟に金融引き締めで、物価抑制に着手している。一方、日本は欧米よりもまだ物価上昇率が低いとして、物価を抑えるよりも、その負担を軽減するために、物価高を吸収するだけの賃金の引き上げが望ましいと、日本政府は財界に働きかけているという。労働組合もいつになく大幅な賃上げの目標を掲げている。

だが、原材料コストや仕入れコストの上昇が経営を圧迫しており、特に飲食業の業況が急に悪化しているという調査もある。仕入れコスト高が累積すれば「物価高倒産」を引き起こす。さらに仕入れコスト高に賃金コスト高が加われば、企業は価格転嫁をするしか道はない。またまた物価高の悪循環が進む。

政府には無理な賃上げを求めず、原材料コストや仕入れコストを抑制するために円安抑制をするべきで、物価高の悪循環を断ち切るべきではないのか。📈🚗🚀⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:低い食料品EC化率、引き上げ策に近道なし」から 

2022.12.9  日経産業新聞の記事「横山斉理の目:低い食料品EC化率、引き上げ策に近道なし」から

結局反復的に買ってもらうことっで評価を高めるしかない

コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授)は、前回に引き続き日本の食料品のEC取引化率の低さについて詳細に分析している。

○店頭に来てもらっても払拭できない懸念

 横山教授は、日本での食料品のEC化率の低い原因として、前回の分析では「食料品は実際に検分して選びたい」という顧客ニーズによるものと指摘している。確かに海外でも同様の顧客ニーズはあるが、小売側の工夫である程度改善しようとしているという。

事例としては、購入した消費者の触覚的評価を映像で示し、農産物のオンライン購入における消費者の懸念をある程度抑止したという調査結果もあるという。

食料品の品質には以下の2つが考えられるという:

  • 店頭に来て検分することである程度解決できる懸念:野菜や果物の傷み具合、精肉の脂肪量、魚の鮮度などで顧客側の目利きのスキルに依存。目利き力が低い人はオンラインでも品質の問題は解決できない。あまりにも品質が悪ければ今度は小売業者の信用問題となる。
  • 店頭に来ても払拭できない懸念:体験後、つまり食してわかるような品質に対する問題である。味や食感は見た目とは異なる場合などもある。こうした購入時の品質評価の難しさに対処するために、産地や生産者表示をしたり、果物ならその糖度表示をしたりしてある程度は標準化できる。ただ完全な懸念の払拭にはならない。

結果として、購入を繰り返し、徐々に「商品」または「カテゴリー全体」または「店全体」の評価を高めていくしかない。小売業者としては日々の商品政策が重要になり、生産者は良品追求を地道に行う姿勢が重要となろう。🍌🧅🥬🌽🍅🛒🧺🦠🖋🔑🚕🚗🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒📕happy01🌏🇯🇵