【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:ホテル業界の構造改革」から

2023.3.17  日経産業新聞の記事「SmartTimes:ホテル業界の構造改革」から

ホテル業界は抜本的な構造改革なしで立ちいかない状況

コラムの著者  柴田 励司氏(インディゴブルー会長)は、自ら社会人最初に入ったホテル業界の現状と構想改革の必要性について語っている。

○改革の軸は人件費を抑制するのではなく報酬をいかに多く払えるかの視点

 柴田氏によれば、総務省の労働力調査によると、2019年からの3年間で宿泊産業に従事する人が22.7%も減っているという。このような状況で全国旅行割の延長、円安、インバウンド解禁となり、ホテルや旅館は未曾有の人手不足となっている。つまり、需要はあるが人手不足で機会損失しており、対応ができない。採用も進まず、コロナ下での経営維持のための借入金の負担もある。このままでは抜本的な改革なしに立ち行かない状況である。

柴田氏は社会人をホテルの現場から始めたという。業界の知人も多いし、大手や中堅のイベントなどでも講演や講義を行なってきたという。改革の目標は、この業界の従事者の報酬を上げる発想である。これまでは人件費抑制ばかりであったが、いかに企業で付加価値を生み、報酬を多く払えるようになるかという構想改革である。大手や中堅ホテルでは、企画次第で何でもできる。宴会場をこれまでの使途だけでなく、デジタル技術を使ったアミューズメント会場、新しい商品やサービスの体験会場、コンパクトでかつスマートシティーの実験場など新しい価値創造の挑戦が可能であろう。

柴田氏はさらにホテル業界の構造改革を推進する際に不可欠なものは、既成概念の「人物像」の破壊であるという。ホテルの現場では「ゲストのリクエストにお応えする」ことが叩き込まれる。つまり、ゲストの希望ありきの考え方である。この受け身的な行動・思考パターンを破壊する。新しい価値創造は待ちの姿勢では生まれてこないという。また、ゲストに対して誰が対応しても同等のサービス品質を提供するという画一的な動き方も変えなねばならない。個性を出す対応で良いである。🥢🐟♨️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:値上げはニュースか、本来は頻繁に変わるもの」から 

2023.3.17  日経産業新聞の記事「横山斉理の目:値上げはニュースか、本来は頻繁に変わるもの」から

国内では商品の価格変動が小さいため値上げがかえってニュースに

コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授)によれば、前回に続いて小売価格について変動しやすいものとそうでないものについて考察している。

○横山教授の滞在先英国エジンバラでは大手チェーンでも商品価値が大変動

 横山教授によれば、スーパーマーケットで売られている商品には価格変動しやすいものとそうでないものがあるという。最も価格変動しやすい商品は青果物と鮮魚類で、自然環境に依存して収穫・漁獲量とタイミングが決まることから、旬の時期には品質が良くて安いものが出回る。価格は変動するが、その周期は季節などで決まり基本的に安定している。消費者も旬の時期の価格などが予想できる。

一方、価格が変動しにくい商品は、原材料から工場で作られる製菓など長期計画で生産量を決め、生産コストに基づいて価格を設定している。特に小売の段階で価格の変動は少ない。最近は青果物や鮮魚でも価格変動が小さいものがある。しいたけや鰤のように工場生産したり養殖できるようになったからである。また小売段階でチェーン店の成長も価格の安定に一役買っているという。コンビニエンスストアはその代表で、チェーン店は全国どの店でも、同い価格、同じ品揃え、サービスを大切にすることで、企業側が標準化によって管理がしやすく、消費者もイメージがしやすくなるというメリットがある。商品の価格はさらに変動しにくくなる。

国内では大きく商品の価格が変わらないので、たまに起こる値上げがニュースとなる。もっとも最近はウクライナ侵攻による原材料の高騰で、値上げが広がっている方がニュースになっている。メーカーはニュースになることで顧客離れてしまうのを恐れるため、小売や卸から仕入れ量を減らされないように仕入れやオペレーションを工夫して価格を現状で維持しようとする。原材料の高騰でこの価格維持が結構難しい状況である。

しかし、横山教授によれば、本来は農産物でなくても価格は変動するものであるという。横山教授の滞在先、英国エジンバラでは大手チェーンでも商品価値が大変動するという。企業がすぐに環境変化を売値に反映させるためである。消費者も理性的であれば、小売段階での価格変動はウクライナ侵攻による原材料の高騰といった理由があるはずで、値上げが許容範囲を超えたなら買わないだけである。🍌🧅🥬🌽🍅🛒🧺🦠🖋🔑🚕🚗🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒📕happy01🌏🇯🇵🇬🇧


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:目標が曖昧な訪日観光」から

2023.3.15  日経産業新聞の記事「眼光紙背:目標が曖昧な訪日観光」から

人数至上主義から経済効果や地方創生を重視するのは良いが

コラムの著者は国土交通省が開く交通政策審議会観光分科会でまとまった「観光立国推進基本計画」の改正案をみて、その内容がコロナ前の政府目標の変更が面倒だから曖昧にしていると批判している。

○インバウンドの数値目標は3つに

 コラムによれば、インバウンドの数値目標は、

  • 消費額5兆円の早期達成:岸田首相が早期に事前表明
  • 2025年に一人当たりの消費額(消費単価)は20万円
  • 外国人旅行者数は(コロナ禍前の)2019年水準超え

としている。人数至上主義を取りやめ、経済効果や地域創生を重視している点は量から質への転換で評価できるという。だが、表現のわかりにくさが混乱を呼んでいるという。まず、消費単価で2019年の約16万円から25%増である。これも航空運賃の高さもあり、現時点で日本を訪れているのは消費意欲が高い外国人といえる。すでにこの目標は達成されている。だが、今後、人数の増加にともなって客層が広がると消費単価は下がるだろう。

2029年超えという表現も曖昧だという。この文言を「2019年実績(史上最多の3188万人)超え」と受け取る報道もある。消費総額目標5兆円を単価目標20万円で単純に割ると2500万人で、以前政府目標であった2020年4000万人、2030年6000万人)の変更を曖昧にしたようにも見える。どうも曖昧な目標は業界に対して罪作りにならないか。🗼💡👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:顧客の期待、同じ人でも状況で変化」から 

2023.3.10   日経産業新聞の記事「小野譲司の目:顧客の期待、同じ人でも状況で変化」から

同一人物でも状況の影響を受ける

コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、前回に引き続きサービス産業生産性協議会による売上高上位企業の利用者を対象とした日本版顧客満足度指数(JCSI)調査を使って顧客のブランドへの期待についてコロナ前後での変化を考察している。

◯ブランドが自分のニーズをどれくらい満足させるか

 小野教授は、JCSIの中にブランドに対する期待に関する3つの質問から作成した合成指標を使ってコロナ禍(2020年前後)による影響をみている。消費者があるサービスを利用する際に、そのブランドが自分のニーズをどの程度満たしてくれるかを予想する。ここでいう「期待」とは、こうした、プラスとマイナスの予想を指す。

コロナ禍前後で業種ごとに変化のパターンがあるという:

  • 小売業:日常生活での重要性が高まった。ECなどの通信販売はコロナ禍でさらに期待が上昇している。マスクや消毒液などを扱うドラッグストアは医薬品や日用雑貨を購入する消費者を軸に期待が高まっている。「おうち時間」や「在宅ワーク」の影響でホームセンターや家電量販店への期待も上昇した。ただ、小売業はコロナ後元のスコアに戻っている。
  • エンタテイメント業や国内長距離交通、娯楽関連:コロナ前には期待が高まったが、コロナ後も期待の上昇が今も続いている。非日常的なサービス体験は、実際に体験する前の計画段階などがワクワク感が大きいことも関連しているという。
  • 銀行やクレジットカードなどの金融業:コロナ禍で明らかに低下した。支店の統廃合が進む中で実店舗をもつ銀行のCSも預金者の期待も低下している。各種のキャッシュレス決済の普及でクレジットカードも期待が低下している。

同じサービスでも個人差があるのは予想できるが、同一人物でも状況によって影響を受けることが調査では示していると小野教授は示唆している。👟👞🫗🧴📷🥢🍜🍔☕️🍣🍜🍺🍞🍽😷🦠📱💻📒🛒🎓💳⚡️🌍happy01💡🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:『ソバーキュリアス』と経済」から

2023.2.27  日経産業新聞の記事「眼光紙背:『ソバーキュリアス』と経済」から

かつてのスコッチウイスキーの英国の轍を踏むのか

ソバーキュリアス(Sober Curious)とは体質や病気のせいでお酒を飲まないのではなく、あえてお酒を飲まない生活スタイルで、コラムの著者はその生活スタイルが経済に影響を与えることについて語っている。

○日本酒はもはや全出荷額の10%以上を輸出する産業となった

ソバーキュリアス(Sober Curious)は、「お酒を飲まないシラフ状態」と「好奇心のある」という英語の結合したもので、コラムの著者によると「飲酒をしないことの利点を知る」ということらしい。

ソバーキュリアスの実践者の話では、酩酊で無駄にしている時間がいかに長く、アルコール分解で消耗している体力がいかに大きいかが実感してわかるという。もはや飲酒をする習慣に戻りたいとは思わなくなるともいう。

現状、2022年の日本のアルコール飲料のデータで輸出を見てみると、前年比21.4%増の1392億円と過去最高だという。しかも、日本酒は健闘し、出荷金額が4000億円前後で10%以上を輸出によるものだという。日本酒やJapanese whiskeyは日本の輸出産業となっている。

コラムの著者が酒の輸出に注目するのは、1980年代、日本が欧米と貿易戦争に火花を散らしていた頃を思い出すからだという。英国が日本に関税下げを最初に求めた主力輸出品がウイスキーとビスケットだった。ウイスキーは衰退する英国の輸出を伸ばす武器だったが、苦しい状態であったという。日本の酒造メーカーがソバーキュリアスの広がりで国内需要が低迷することに呼応して輸出を増やしたとすれば、かつての英国の轍を踏むのではないだろうか。🍶🥃🐠🏉⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋happy01🌏💡🔎🇯🇵🇬🇧