【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:アニメ聖地、観光おこしに」から

2023.7.7  日経産業新聞の記事「SmartTimes:アニメ聖地、観光おこしに」から

現実と虚構が混在する非日常の場に仕立てる創意が必要

コラムの著者 伊藤 伸氏(東京大学特任准教授)は、アニメ作品の中で登場した場所を訪問する聖地巡礼について地域振興と観光誘客などについて考察している。

○聖地数は増加し、地域間の競争は激化

最近、観光地を訪れると、名所旧跡といったスポットでもないのに、多くの人で賑わっているところに出くわす場合がある。多くの人は熱心に写真を撮っている。これはアニメ映画などに登場した場面で描かれている場所を訪問する「聖地巡礼」であるという。 

伊藤准教授によれば、昭和期にはテレビドラマのロケ地に観光客が集まる現象が認められたが、アニメの聖地は全国に広がって、地域や観光の振興の有力な手段として注目されているという。日本のアニメに対する外国人人気もあって、海外からの観光客を集める聖地もあるという。地元でさえ気付いていなかった身近な観光資源が聖地となって脚光を浴びることもある。

2000年後半以降アニメ聖地への社会的な関心が高まり、聖地の担い手は、

  • 来訪者(観光客)
  • 制作者(アニメ提供者)
  • 地域(地方自治体や企業、住民)

であるという。さらにデジタル技術の発達でアニメの描写も精緻となり、背景も実際の風景に近づいていく。つまりファンである来訪者は、アニメの鑑賞→聖地での体験→動画投稿やブログなどの情報発信で、人気が拡散していく。こうした行動や現象は、体験や物語性の価値を重視する消費への転換となっている。

多くの実証研究で地方自治体の聖地への取り組みが観光入り込み客の増加と結びつく結果が得られているという。だが聖地の徐々に増加し、聖地間の競争も激化している。観光客は非日常の体験を望んでおり、聖地での成功を一過性のものにしないためにも地域に必然性のあるストーリーと体験型のサービスによって現実と虚構が混在する非日常の場として仕立てる創意工夫が必要となる。📷🏙️💳💴💲💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「トレンド語り:ファームトゥテーブル、輸送のCO2を最小に」から 

2023.6.21  日経産業新聞の記事「トレンド語り:ファームトゥテーブル、輸送のCO2を最小に」から

サステナビリティー時代に対応できるのは工業化以前の小さな経済圏か

コラムの著者 岩崎 博論氏(武蔵野美術大学教授)は、米国ミシガン湖畔にある「グラナーファーム」と滋賀県彦根市にあるクラフトビール醸造所「彦根麦酒(ヒコネビール)」の地産地消の事例を挙げ、持続可能な社会は工業以前の地産地消の小さな経済圏が重要ではないかと考察している。

◯地産地消よりよりスケールの小さなファームトゥテーブル

岩崎教授によれば、持続可能性(サステナビリティー)への配慮を背景に物流における脱炭素が注目され、フードマイレージの概念も生まれてきたという。食品の輸送に対する環境負荷を「重さ×距離」で可視化することで消費者にCO2排出の少ない食品流通の選択を促す動きである。

究極のフードマイレージが、今回岩崎教授が紹介するファームトゥテーブルである。それは、農場(ファーム)で採れた食材を同じ場所に設けたテーブル(食卓)で提供するというコンセプトだという。

米ミシガン湖畔の「グラナーファーム」は最新の形態だという。厳しい寒さに耐えられる大きな温室と、収穫した食材を提供するレストラン。ショップやイベントスペースもあり、イベントや買い物もできるというスポットになっている。

一方、国内では滋賀県彦根市にあるクラフトビール醸造所の「彦根麦酒」は目の前で育てた大麦とホップを使ってビールを醸造する。まさに、ファームトゥテーブルのコンセプトどおり、その場で試飲もできるという。

こうした生産と消費の場を直結したファームトゥテーブルは、地元で採れた素材を使って消費するという地産地消がごく自然に進められたものである。このような小さな経済圏が地球を救うのではないだろうか。🍺💻📳🍂🥻👔💡🚕🥬🥕🍞🐱📶📺🦠😷🍲🍵🏢📶🏢💡⚡️🌏happy01📂🌍🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:スーパーマーケットにも訪日外国人、ブランド評価高める好機」から 

2023.6.16  日経産業新聞の記事「横山斉理の目:スーパーマーケットにも訪日外国人、ブランド評価高める好機」から

SNSなどで海外への情報発信も可能に

コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授・英スターリング大学訪問研究員)がインバウンド需要で外国人が体験したいが、不便やリスクのある地元スーパーマーケットでの販売について考察している。

○訪日外国人が購買体験したいがリスクのある地元のスーパーマーケット

 横山教授によれば、日本は東京五輪・パラリンピックの招致をきっかけに世界に対して「おもてなしの国」を主張し、大部分において快適な状況にあると言えるという。訪日外国人が立ち寄る飲食店には写真付きのメニューや食品サンプルがあり、外国語のメニューもある。礼義正しい、対応が迅速かつ正確といった意味でおもてなしを超えて外国人の不便を解消しようとしている。

その一方で、外国人訪問者が不便を感じる場所もまだまだあるという。その1つが地元のスーパーマーケットである。これらのスーパーマーケットは基本的に近隣住民の日常生活で買い物する場所なので、日本語表記が基本である。販売している商品のメーカーも自社製品を日本語で表記している。

最近の外国人旅行者は、観光地だけでなく、日本人が日常生活を送る場所で同じことを体験することを求めている。それが異文化体験であるからである。だが、そこで困ったことがある。

  • 1つは身体に取り込む商品である食料品や化粧品のような商品の購入場面である。アレルギーなどの健康問題や宗教や主義による禁忌などが関わるから問題となる。多くは事前に情報を得て深刻な状況に陥らないように調べていく。
  • 一般の旅行者や外国人居住者では、ベストでない商品を購入しても深刻な事態には陥らないが、商品の選択を誤ると、不便や不満を感じることになる。そんなとき、ビジュアルな情報は貴重で、現物を確認しながら、外国語表記あるいは自国言語で表記されるサイトにQRなどで誘導することは有用だろう。

このような表示によるおもてなしは自社ブランドの評判を上げる可能性もある。SNSが海外でも有用であることから、対応の良し悪しがそのまま自社ブランドの評判になる。DXで各メーカーも外国語対応はさほどコストのかかることでないので、対応しない手はないと横山教授は示唆している。🎁🍌🧅🥬🌽🍅🛒🧺🦠🖋🔑🚕🚗🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒📕happy01🌏🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「新風シリコンバレー:『もう一つの谷』の物語」から

2023.6.13  日経産業新聞の記事「新風シリコンバレー:『もう一つの谷』の物語」から

シリコンの谷ではない農業の谷の物語

コラムの著者 フィル・キーズ氏(米インタートラストテクノロジーズ ディレクター)は、地球温暖化の影響か、米カリフォルニア州では天候不順で旱魃や大型台風による洪水で被害を受けることが多くなったという。あおりは、シリコンバレーのお隣で南方のSalinasという谷間の地域で深刻な農業被害に見舞われているという。

◯テック業界が立ち上がる前は、シリコンバレーも農産地だった

 キーズ氏によれば、カリフォルニア州は10月から4月が雨季であるが、ここ数年間、雨不足による旱魃被害や台風の大雨と強風で洪水やビルの窓ガラス被害などが起きているという。地球温暖化が目に見える形で現実となっているという。

嵐は、シリコンバレーの南のSalinas地域に大きな被害をもたらし、特に全米にレタスとイチゴの重要な産地であるという。シリコンバレーもテック企業が進出する前は、農産地であったが、テック企業が密集し始めると農業の中心地は、Salinas地域に移動した。

今回の台風の被害は深刻で、農産物の被害以前に堤防の決壊による洪水で町全体が水没してしまった。約2800人の住民の避難が必要で、農業従事者が多い。農業被害は、収入減につながり、今後の収穫にも影響を与えてしまう。

さらに、Salinas市の中心にあるHartnel College はアグリテック中心の起業プログラムを推進している。農業被害は、支援にも響き、さらに対象となる農業自体が厳しい中でのスタートアップとなればさらに状況は厳しいと言える。🚜🥬🍓📶📈💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:ディスカウントストア、プロ野球と似た体験、提供」から 

2023.6.9   日経産業新聞の記事「小野譲司の目:ディスカウントストア、プロ野球と似た体験、提供」から

楽しさと落胆が混在する感情の起伏が鍵

物価高でディスカウントストアの存在感が増えているという。コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)によれば、ディスカウントストアは新型コロナウイルス禍における密を避けてのまとめ買いや物価高対策の手段として選択されている。手段としては食品スーパーや総合量販店との差はないはずなのにその違いは、顧客の感情や満足度にあるという。

◯テーマパークやプロ野球観戦と似た顧客経験

ディスカウントストアは大量に仕入れたナショナルブランド(NB)商品を低価格で販売するだけでなく、割安なプライベートブランド(PB)によって品揃えによって自主性を打ち出している。店舗も郊外立地が多く、広大な駐車場でまとめ買いをするには都合よくできている。

小野教授によると、JCSI(日本版顧客満足度指数)調査の「顧客満足度」の過去10年の推移を見てもオーケー、コストコ、トライアル、ドン・キホーテといったディスカウントストア系のチェーンが食品スーパーマーケットや総合量販店を常に上回っている。物価高における節約手段なら食品スーパーマーケットや総合量販店でも機能的には変わらないのにJCSIでは異なっている。どうやら、「近くにあるから便利」、「PBが増えた」「クーポンが使える」「まとめて買える」といった顧客の合理的な評価には支えられているが、それだけでなく、「見ているだけで楽しい」「初めて見る商品」「米国を感じる」「常に同じ売り場にあり安心」といった驚き、楽しさ、ワクワク感、安心といった感情的な評価も反映していると、小野教授は分析している。

広大な店舗を歩きまわる「宝探し」の感覚を味わうこともディスカウントストアの大事な顧客価値であると、顧客の感情経験を定量的に調査した感動指数(JCSI調査2022年度)で、倉庫のような大きな店舗で日本では見かけない商品なども扱うコストコが調査対象の小売業のうち飛び抜けていることからも裏付けられているという。一方で、接客を始め、顧客が不満を感じることも多いため、楽しさと落胆が混在することも多い。テーマパークやプロ野球観戦と似た顧客経験がそこにはあるのだろう。🧺🏬🛒🥢🍜🍔☕️🍣🍜🍺🍞🍽😷🦠📱💻📒🛒🎓💳⚡️🌍happy01💡🇯🇵