【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:陰り始めた?インバウンド消費」から

2023.8.4 日経産業新聞の記事「眼光紙背:陰り始めた?インバウンド消費」から

コロナ禍以前の課題が解消されていない

コラムの著者によれば報道ではインバウンド消費が隆盛のような様子に写っているが実際は差異があると統計から疑念が湧くという。つまりコロナ禍前の課題が解消されずにいることが、インバウンド消費が今後低迷するのではないかと危惧している。

○観光地に落ちない「ザル経済」も課題

観光庁の四半期ごとに発表している「訪日外国人消費動向調査」では、2022年秋以降の1人あたりの旅行支出の推移は:

  • 2022年10−12月期:確報値で、21万2千円
  • 2023年1−3月期:2次確報値で、21万1千円
  • 2023年4−6月期:1次確報値で、20万5千円

で、わずかに下がり続けている。まだインバウンド消費がメジャーでなかったビジネス客や長期滞在者が中心であったころ:

  • 2022年7−9月期:試算値で、31万5千円

でかなり高かった。

これには新型コロナ禍以前から指摘されてきた人数が増えても1人あたりの消費額は低下か横ばいで壁に突き当たっていた。団体客でクルーズ客船が中心で消費額が低いツアーであったからだという。

もう1つの課題は、ブランド品で、これまでは日本製であれば売れたが、今は日本から見た海外ブランドの購入が増えてきているだという。同額であっても日本製と日本輸入製では売り上げは同じであっても日本に残る利潤が少ない。つまり経済効果に影響を与える。

また観光地での利益が少ないのは東京などの企業が入り込み、利潤を本社に奪われ、ざるで水を汲むような「ざる経済」に陥っている。

どうやら課題未解決のままでは業界全体が地盤沈下を起こす。そろそろテコ入れが必要な時だという。🚢📈📉🔍✏️📖💡💡👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡happy01🌏💡🔎🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:コンビニエンスストアを企業から見ると、売り上げ以上の価値」から 

2023.7.28  日経産業新聞の記事「横山斉理の目:コンビニエンスストアを企業から見ると、売り上げ以上の価値」から

消費者のみならず企業側にも存在意義が大きいコンビニエンスストア

コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授・英スターリング大学訪問研究員)は、日本のコンビニエンスストアの価値を顧客視点と企業視点で考察して、改めてその存在意義が大きいことを感じている。

○居住者にも訪日外国人にもありがたい存在

 横山教授によれば、日本におけるコンビニエンスストアの存在感は群を抜いているという。まずは顧客視点で訪日外国人などにとってはどうか。

  • すぐに立ち寄れる場所にあり長時間営業
  • 気の利いた2000から3000品目の品揃え
  • 犯罪に巻き込まれることなど皆無

で、見知らぬ地で安心を得られる価値は大きいという。

日本の居住者にとっても重宝である:

  • 公共料金の支払いやチケットの発券
  • 荷物の受発送
  • ATMの利用
  • 各種証明書の交付

などがあり、長時間営業は防犯の拠点として機能し、全体として治安維持に貢献している。災害時には、地方自治体との協定により帰宅困難者を支援したり、災害対策基本法に基づき指定公共機関としての役割も果たせる。まさに社会インフラのライフラインの面がある。

つぎに企業側の視点でみると、コンビニエンスストアの販売力は大きい。2022年のコンビニエンスストアの市場規模は11兆1775億円(日本フランチャイズチェーン協会)で小売業界での占める割合は大きい。メーカーから見ればコンビニエンスストアは大きな販路であり、それ以上ブランド価値を生む場にもなっているという。海外からの訪問客でコンビニエンスストアでの買い物は印象に残るエピソード記憶になる。さらにSNSなどで繰り返し思い出されたり拡散する。日本の居住者にとっても災害時や子どもの初めての買い物体験などメーカーにとって大きなブランド形成の素地になるという。店舗に自社ブランドを採用してもらうことは苛烈な競争がそこにある。🏧🏪🎁🍌🧅🥬🌽🍅🛒🧺🦠🖋🔑🚕🚗🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒📕happy01🌏🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:値上げ容認に意外な伏兵」から

2023.7.13 日経産業新聞の記事「眼光紙背:値上げ容認に意外な伏兵」から

日銭商売を前提にしたビジネスモデルにはつらい伏兵対策

コラムの著者が考察しているのが1年半前から始まった物価上昇がスーパーマーケットなど小売業にどのような影響を与えているかで、その伏兵を探っている。

○2014年4月の消費税率が5%から8%に引き上げられた時期よりも大きい昨今の値上げ

コラムの著者によれば、確かに2014年の消費税率引き上げよりも大きな値上げラッシュではあるが、小売業が身構えていた売り上げ減にはならず、顧客離れは杞憂に終わっているという。インタビューした食品スーパーマーケットは今年度に入ってからの既存店舗の売上高は2%前後の増加で推移し、利益も予算をクリアしているという。

スーパーマーケットとしてはメーカーの値上げを相殺しようとセールをしようにも、光熱費の値上げで運営コストも嵩み、値引きの原資を捻り出せない。仕方なく値札の書き換えを余儀なくされ、苦戦を覚悟していたという。

しかし、消費税率引き上げ時よりも大きな物価上昇にもかかわらず、消費者がその痛みを感じていないのはなぜか。インタビューに応じたスーパーマーケットの役員は「クレジットカードを含む電子マネーの普及にあるのではないか」と分析し、伏兵は精算時に支払い金額が上がった実感が少ない電子マネーであるという。当該スーパーマーケットの電子マネー(クレジットカードを含む)の売上高は全体の6割超だという。2014年に比べるとほぼ倍の増加という。1回あたりの買い物金額が、現金払いの顧客では2,350円、電子マネーでは2,430円だったという。

だが、伏兵の電子マネーは、小売業では日銭商売であるビジネスモデルである点から厳しさを持っている。手数料の支払いと代金回収の期間の長さが課題である。📈📉🔍✏️📖💡💡👦👧🧑‍🦯👩‍🦯⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:紀文が代替練り製品、原料高騰へ知恵で対抗」から 

2023.7.14  日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:紀文が代替練り製品、原料高騰へ知恵で対抗」から

販売価格に転嫁せず知恵を絞った解決策とは

コラムの著者 高岡 美佳氏(立教大学経営学部教授)が紹介している製品は、紀文食品の「大豆でつくった 丸天シリーズ」で、丸天、根菜天、黒豆天の3種類があり、いずれも大豆たんぱくを主原料にしている。高岡教授は魚肉の高騰を違う形で回避する挑戦的な試みとして注目している。

◯魚肉の代替品は少なく挑戦的な試み

この商品は6月19日から7月30日まで応援購入サービスサイト「Makuake」で魚肉を使わないさつま揚げとして予約販売しているという。魚肉を使わずに紀文は魚肉練り製品の長年の開発を通じて培ったタンパク質加工技術を活かして、大豆タンパクから練り製品を作り出すことに成功した。高岡教授によれば、植物由来の原材料を使用した食品は近年脚光を浴びている。しかし、多くは畜肉の代替品であり、魚肉の代替品というのは珍しい。まだ未開拓な領域である。同社はこの挑戦的な試みを2年前に企画からスタートしたという。

製品の食感や味の追求、流通チャネルの検討を経て、「Makuake」での販売にこぎつけた。7月11日現在で目標達成率は151%と、大幅に超過している好スタートである。サイトの応援者からも多くのコメントが寄せられているという。

練り製品の最も一般的な原料であるスケソウダラのすり身が数年前に比べ、漁獲量の不安定さや海外需要の高まりで高騰しているという。単純にこれをメーカーとして価格転嫁するのではなく、知恵を絞ってそれを回避する策を模索してきた。練り製品は和食には欠かせない製品でもあり、植物由来の需要の高まり、魚離れなどの課題に挑戦する本製品は業界トップとして注目されている。🫛🥢🐟👧👦📗🔉🚚☕️🍮🖥🍶😷🦠🏢🗒🏪🏢💡🔎⚡️happy01🌏🏡👝📦🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:アニメ聖地、観光おこしに」から

2023.7.7  日経産業新聞の記事「SmartTimes:アニメ聖地、観光おこしに」から

現実と虚構が混在する非日常の場に仕立てる創意が必要

コラムの著者 伊藤 伸氏(東京大学特任准教授)は、アニメ作品の中で登場した場所を訪問する聖地巡礼について地域振興と観光誘客などについて考察している。

○聖地数は増加し、地域間の競争は激化

最近、観光地を訪れると、名所旧跡といったスポットでもないのに、多くの人で賑わっているところに出くわす場合がある。多くの人は熱心に写真を撮っている。これはアニメ映画などに登場した場面で描かれている場所を訪問する「聖地巡礼」であるという。 

伊藤准教授によれば、昭和期にはテレビドラマのロケ地に観光客が集まる現象が認められたが、アニメの聖地は全国に広がって、地域や観光の振興の有力な手段として注目されているという。日本のアニメに対する外国人人気もあって、海外からの観光客を集める聖地もあるという。地元でさえ気付いていなかった身近な観光資源が聖地となって脚光を浴びることもある。

2000年後半以降アニメ聖地への社会的な関心が高まり、聖地の担い手は、

  • 来訪者(観光客)
  • 制作者(アニメ提供者)
  • 地域(地方自治体や企業、住民)

であるという。さらにデジタル技術の発達でアニメの描写も精緻となり、背景も実際の風景に近づいていく。つまりファンである来訪者は、アニメの鑑賞→聖地での体験→動画投稿やブログなどの情報発信で、人気が拡散していく。こうした行動や現象は、体験や物語性の価値を重視する消費への転換となっている。

多くの実証研究で地方自治体の聖地への取り組みが観光入り込み客の増加と結びつく結果が得られているという。だが聖地の徐々に増加し、聖地間の競争も激化している。観光客は非日常の体験を望んでおり、聖地での成功を一過性のものにしないためにも地域に必然性のあるストーリーと体験型のサービスによって現実と虚構が混在する非日常の場として仕立てる創意工夫が必要となる。📷🏙️💳💴💲💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵