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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『サイロ化』に潜む新たな危険」から

2024.9.5  日本経済新聞の記事「私見卓見:『サイロ化』に潜む新たな危険」から

専門性よりも一般常識が重んじられた時代は終焉

コラムの著者 小林 暢子氏(EYジャパン パートナー)は、企業が直面する課題の複雑化が元になって、これまでも問題視されてきた組織間の厚い壁がコミュニケーションを阻む「サイロ化」が新たな種類の危険を引き起こすことについて警鐘を鳴らしている。

○「リスクを最小化するには、何もしなければ良い」という最悪のシナリオが発生

小林氏によれば、確かに大企業において、組織間の壁でコミュニケーションが悪く「サイロ化」することは今までも問題視されてきたという。例えば、社内の意思疎通の齟齬だけでなく、社外にも及び、同じ取引先に違う部署から別々に接触するといった失態が起こる。だが、近年は、ビジネス環境の複雑化やこれに対応する課題が要因となって、サイロ化が新しいリスクを招くことがあるという。

課題の複雑化に対応するため企業はスタッフに専門性を求めることになる。そのため、企業がリスク管理、サステナビリティー(持続可能性)、D&I(多様性と包摂性)といった新部門を充実させ、専門性を高めていった。

小林氏が問題視するのは、サイロ化によって組織内の意見が部分最適(その組織内のみに通用する解決策)に陥り、偏った論理が、部分最適を擁護する論理に刷り変わって、他の部署からの攻撃を防ぐ「武器」となることであるという。つまり、企業全体として生かすべき事案が潰されたり、全体最適(全社的に通用する解決策)が損なわれてしまう恐れがあるという。例えば、リスク管理を重視するあまりに、極端に言えば、「リスクを最小化するには、何もしなければ良い」という極論に陥ってしまう。

これまではビジネス環境の変化が比較的遅く、企業運営においても専門性よりも一般常識が重視されたが、昨今は専門化が進み、隣の部門であってもお互いのものの見方がわからず、共通言語が失われていく。さらに声高な一部門による、一見最もらしい論理で他部門への「武器」として働くと手がつけられなくなり、暴走する危険性がある。

このような新たなサイロ化のリスクに対して、小林氏は、経営トップに今以上に部分最適に惑わされないバランス感覚をもった判断が必要となると示唆している。世界市場のトレンドも専門性偏重に向かっているが、日本に普及し始めたジョブ型人事も、専門性を軸に考えがちである。サイロ化が進むリスクを考えると、あえて専門性に逆らい、バランス感覚をもった幹部の育成が求められるのではないかと、小林氏は提案している。👓💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「春秋:『大酒飲み型』台風と気象予報」から

2024.9.3 日本経済新聞の記事「春秋:『大酒飲み型』台風と気象予報」から

想定に反する動きに気象技術者を迷走させた台風10号

コラムの著者が紹介しているのは、半世紀前に科学誌に寄せたエッセーで迷走する台風を擁護したお天気博士の倉嶋厚氏である。曰く、目の前の物理的条件に沿って台風は動いているだけであると。台風に言わせれば、標準的な動きばかり頭にある気象技術者の方が「迷走」しているのではないかと、冗談めいたエッセーを掲載しているという。

○気象庁や米軍など気象機関ごとに台風10号の予測に差異

コラムの著者によれば、エッセーは半ば冗談かもしれないが、予報に携わる人々にはやはり厄介なウロウロ台風であったようだ。倉嶋氏によれば米海軍の気象学の教科書でも迷走台風は評判が悪かったという。「大酒飲み型」などと名前をつけて分類され、基本コースから外れた個性派として嫌われものだったそうだ。

今回各地に被害をもたらした台風10号も、予報官の手を煩わせたようである。本州の真ん中あたりに直行すると思いきや、西に曲がって九州へ。その後も動きは千鳥足で、速度も遅い。進路の予想は難しい。被害も広範囲に広がった。

今回、気象庁や米軍など気象機関ごとに台風10号の予測に差異があったという。これからの季節、直撃の台風が多い季節になる。くれぐれも予想の迷走だけは避けたい。🌥️☔️☀️🌊🌪️🌀🏃‍♀️🏠🚲🍼👶📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『AIの民主化』を進めよう」から

2024.9.4  日本経済新聞の記事「私見卓見:『AIの民主化』を進めよう」から

専門家や外部委託に頼るのではなく社員でそれぞれの職種、業務で活用

生成AIの登場で、AI技術の存在がより身近になり、生活やビジネスでの利用が広がってきている。コラムの著者 佐藤 豊氏(Dataiku Japan社長 カントリーマネージャー)はビジネスが意思決定の連続の中、データが業務の副産物でしかなかったものが企業戦略の資源として認識されてきていることを指摘している。データをAIを使って企業はよりよい顧客体験を創出したり、生産性を向上させたり、イノベーションを加速できると言う。あらゆる業務でAIの活用は全社的な効果が期待できる。佐藤氏は、AI活用の課題を示している。

○AIの民主化のメリットを社員自身が実感することが成功へのキー

佐藤氏によれば、生成AIがこれまでのAIと異なる点は、言葉で指示できること、従来より少ない学習時間でデータ、テキストや映像を活用できることだという。適切な指示とデータがあれば、人間が時間をかけて行なっていた調査、レポート作成などはAIによって瞬時に行われ、大量のデータに基づいた判断やインサイトの提供ができるようになった。

一方、企業活動は意思決定の連続で、データからAIによって意思決定を検討することもできるようになる。「データドリブン経営」の基盤となる企業文化や環境を育むことにもなる。確かに、データをAIを使って企業はよりよい顧客体験を創出したり、生産性を向上させたり、イノベーションを加速できる。しかし、データ分析などの人材の手当を考えると、引く手あまたのデータサイエンティストを採用することは困難で、外注で専門組織に頼ることは自社のビジネス上のウイークポイントとなる可能性もある。

そこで佐藤氏は「AIの民主化」を提唱している。AIの民主化とは、AIを一部の専門家だけが利用するのではなく、社員がそれぞれの職種や業務の文脈でAIを使いこなすことで、全社的に業務改革を推進することだと言う。全社的な取り組みには誰もが業務に必要なデータにアクセスできる環境を整備し、社員のスキルレベルを上げねばならない。AIに関するトレーニングや研修などの知見を得ることやAIの民主化によるメリットを実体験できるように進める必要がある。さらにデータを活用することが会社の意思決定に関われると実感することが成功へのキーだと佐藤氏は指摘している。時間や手間のかかる作業をAIで自動化して労働時間を削減し、より創造的な業務に時間を振り向けることができるようになる。AIを主体的に使うことは社員の能力開発につながるとも言える。👓💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「令和なコトバ、パワーファミリー、旅・趣味・食に思い切って使う」から

2024.9.2  日本経済新聞の記事「令和なコトバ、パワーファミリー、旅・趣味・食に思い切って使う」から

消費意欲の高さはパワーカップルを上回る

コラムの著者 福光 恵氏(ライター)のパワーファミリーのイメージ紹介が面白い。福光氏は東京都心に住んでいるが、セレブではなく最初に住み始めたころは古い物件が多く、意外に家賃がお手頃だったという。ところが10年ほど前から、何億円もする新築マンションの新住人と古くから住んでいる旧住民との生活レベルなどの格差が拡大しているという。このような状況で、パワーファミリーとはどのような家族像なのだろうか。

○都心の住宅地の生活レベルの格差

福光氏のたとえで、この生活レベルの差を言うと、自分が寝落ちをしないように堅焼きせんべいをバリバリ食べながら徹夜仕事をしているとき、近くの高級マンションのペントハウスでシャンパンを片手にジャグジーに入っているカップルとかに見下ろされたら…、一言「面白くない」状況。

そこでパワーファミリーの紹介。以前には先のイメージ通りのパワーカップルという高収入の夫婦を指す言葉があった。パワーカップルは高収入の「家族」を指す言葉で、特に厳密な定義はないが、世帯収入1500万円前後で、夫婦2人のDINKS構成が多いと言う。一方、パワーファミリーは世帯収入は同様で高収入であるが、違うのは子どもがいることであるという。

家計簿アプリを提供するスマートバンク(東京都品川区)による世帯年収1400万円以上のパワーファミリー調査では、お金を使うところと、使わないところにメリハリを付ける消費が特徴であるという。

  • 「特に思い切って使う」カテゴリー:旅行、趣味、食品が御三家。
  • 「節約する」カテゴリー:上記以外の食品、生活用品、インテリアなど

となっている。約9割が「証券口座」を保有していたり、約7割が「月5万円以上、NISAで積立投資」をしていたりするのはいかにも現代的だが、意外に、約半数は貯蓄額1000万円以上で、それ以外は100万〜500万円と言う家庭も20%あるという。つまり、使いっぷりがいいイメージも注目される理由なのだと福光氏は指摘している。💴💰🍘🧳🏙️💡🛠️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:若手が研究に専念できる時間を増やせ」から

2024.9.2  日本経済新聞の記事「社説:若手が研究に専念できる時間を増やせ」から

資金不足に加え時間不足が科学技術力の衰退に

社説は、研究者が研究の時間がとれない本末転倒の状態である日本の大学に対して、科学力の強化のために日本政府と大学は若手研究者の活躍の場を妨げているこの問題の解消を早急に務めることを強く述べている。

○大学本部が研究開発を組織的にマネジメントする力が求められる

社説によると、文部科学省がこの夏、大学に在籍する研究者の勤務実態に関する最新の調査結果を公表したという。年間の勤務時間で研究に費やす時間の割合は、約32%と、この20年余りで14ポイント減少したという。つまり、実質研究以外の仕事を勤務時間の3分の2を使って遂行していたことになる。

では、研究者の研究以外の業務とは、大学の教育現場、社会貢献をこなしたり、入試時期では試験監督などの業務を指す。さらに医学部になると診療が加わる。ある調査報告では、助教の肩書を持つ若手医師の場合、研究時間ゼロの割合が15%、週1〜5時間が約半数を占めていたという。2024年の働き方改革で医師の残業時間の規制が強まり、日本の医学研究が先細りする懸念が強くなっているという。

国立大学を中心とした日本の大学は、研究開発の担い手でもある。資金不足に加え、時間不足が科学技術力の低下につながっていることは否めないという。ここへきて国立大学の法人化から20年が経過した。今こそ大学本部が、研究開発を組織的にマネジメントする力が試されている。実験を補佐する専門スタッフや研究を支える事務職員を増員し、研究者が研究に専念できる環境づくりは必要である。☁️🧪🧠💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏happy01🇯🇵