【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline: 社会の規制、理想はほどほど 寛容に」から
2017/01/07
2017.1.4 日経産業新聞の記事「TechnoOnline: 社会の規制、理想はほどほど 寛容に」から
人間社会は「そもそも公平でも正義でもない」
コラムの著者 筒井 泉氏(高エネルギー加速器研究機構・准教授)は、新年の思いとして、厳しい規制だけでは科学技術は発展しないと指摘する。
◯随筆家 山本夏彦のことば
筒井氏は、随筆家 山本夏彦の言葉;
「治まる時代というのは目こぼしがある御代」
を引いて、科学技術に関する社会の規制について語っている。もっとも山本夏彦は、税務署の過剰とも言える課税の姿勢を批判したものであるという。
「税吏は正義であり公平のつもりであろうが、金というものはそもそも公平でも正義でもない」
と続けているという。
制度というものは税制に限らず、一定の期間がたてばあちこちに不正や矛盾といった綻びがでるもので、その綻びを繕うために、理想論から過剰な制度を導入したりすると、途端に社会は動かなくなってしまう。
科学研究や技術開発は十分な時間と自由な発想のできる環境が理想だ。しかし、研究活動や研究費使用の不正防止のために、近年では研究者に研究倫理の研修や報告書の常時提出の義務付けがおこなわれているという。これらは正義からでたことであるが、その結果、研究成果を出すよりも、不正を疑われないように気を配ることになる。
不正は裁かれるべきであるが、研究や教育をふくめて社会活動は人間が行うもので、ノーミスはあり得ない。そこには一定のトラブルが生じる。正義感から言えばそのような状況を完全に撲滅することが理想だが、それでは目的が達成できなくなる。つまり、問題は常識的なバランス感覚が必要になる。そういう御代でなければ、科学技術の発展は生まれないかもしれない。💡
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