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2011年1 月

【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の特集記事「三度目の奇跡、第1部私は45歳①:先例なき時代に立つ」から

2011.01.01の日本経済新聞の特集記事「三度目の奇跡、第1部私は45歳①:先例なき時代に立つ」より

幕末の国難、第二次世界大戦の敗戦の2度の奇跡。もう奇跡は自ら動かねばありえない。先例なき今は、『外で稼ぎ、内で付加価値を生むこと』だ

コラムでは、平均年齢が、1960年代初め20代後半だった日本が、今や45歳となったことで、安定にしがみつく内向きから経済からの脱出を問う。

事例の最初として、住友化学の技術顧問の談話だ。今でこそ、大きな事業の柱となった韓国での製造。当初技術の空洞化を恐れるがあまり、反対論や疑問視された。しかし、国際競争の速さに、韓国進出で培った感覚で乗り越えたとのことだ。進出を怠っていたら、今の事業はなかったという。

日産が海外製造を積極的に推進している。技術の空洞化ではなく、最適な調達とコスト削減で、海外で稼ぐためだ。日本は、付加価値の高い製品を生む拠点と割り切っている。日本総研ビジネス戦略研究センター所長の山田久氏はコラムで「製造業がグローバル市場で稼ぎ、富を国内で還流させる」と語っている。外で稼ぎ、内で創ることが、この閉塞感の打開策だ。

事例の3つめは、若者の社会復帰を支援するNPOの話だ。引きこもりから社会復帰するとき、多くの親が大手正社員にこだわるという。この安住主義が、親子の企業イメージのギャップを生んでいるという。就活で「お祈りメール(企業からの御断りの結語が『お祈りします』と判を押したように送られることから)」ばかりというのは、学生側に問題があるというよりも、両親の企業イメージが過去の成功体験のイメージそのもので現実的ではないという。大企業であれば安定で長期安住。もはやそんな企業は日本でも数少ない。

また、国内での就職は海外赴任を「悪」とみていると見える。グローバルな人材を必要としている企業が多い中、学生が国内にしがみつくのも、国内安定、変化を好まないと見える。

先例なき時代、大局的に挑戦できることが、この国に一番必要な荒療治かもしれない。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「TechnoOnline:賞の価値」から

2010.12.21の日経産業新聞の「TechnoOnline:賞の価値」より

海外の受賞の戦略

コラムの筆者 東京大学名誉教授 山崎弘郎さんが、解説するところによると、国際音楽コンクール優勝者のコンサート出演も学術賞の受賞式と記念講演も、賞のプレゼンスを高める戦略があるという。

受賞後のアウトプットを求めることで、厳しいが大きなチャンスを与えられるという。さらに、受賞者が演奏会や記念講演後に大きな成果を出せば、賞のプレゼンスも上がるというわけだ。

一方、受賞者は、受賞によって、これまでにない知見や人的なネットワークを構築できる。つまり、賞を与えるのは、成果に対する称賛であると同時に、研鑽を促す人材の育成や技術の発展といった長期的な戦略も隠されているという。

2010年に多くのノーベル賞や高名な賞が日本人に与えられた。だが、この長期的視点を活かし、更にノーベル賞などの高度な成果に挑める人材を育てられるかも、世界からは注目されていることを忘れてはならないだろう。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:君、部下を呼びつけることなかれ」から

2010.12.28の日経産業新聞の「眼光紙背:君、部下を呼びつけることなかれ」より

権藤博さん(元横浜ベイスターズ監督)のコーチング

コラムは、権藤氏の米国でのコーチ修行で開眼したポイントを紹介している。内容は野球だけでなく、ビジネスの管理職には必要なスキルともいえる。

  • Don't over teach (教えすぎるな)
    • 手取り足取りでは、指導される方が「考えない」。自分で判断できてこそ、一人立ちができる。
  • 部下を呼びつけることなかれ
    • 用事があれば指導者自らが動くこと。監督が選手を呼びつけると、「それだけで選手は不信に陥り、『ドキッ』とする」という。選手時代に呼び出しでは良い思いがないという。
  • 一人の指導のために全員での会議は開かない
    • 一人の指導を行うときは、他のメンバにとっては無駄な時間となる。気付いたら、指導者自らが本人の目の前で伝える方が良い

やはり名監督には、選手側の目線があり、それによって伝えることを共有できている。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「米IT、『有為転変』の1年」より

2010.12.28の日経産業新聞の「米IT、『有為転変』の1年」より

ネットサービスの高度化で、新端末、クラウド、ソーシャルメディアが台頭

コラムは、『柳の下のどじょう』を、iPod、iPhone、iPadと連続して手に入れた米アップルは絶好調な要因を掘り下げている。端末自身の魅力もあるが、キーは音楽コンテンツから始まり、動画、マルチメディア、ゲーム、ソフトウェアアプリケーション、さらに電子書籍までもネットサービスで購入できるサービス基軸の端末である点。

さらにブロードバンド化して高速なデータ転送が可能なインターネットでは、専用のハードウェアなしで、ERPやCRMといった高度なサービスを生んだ。クラウドである。さらに、ハードウェアから、クラウド、さらにサービスまで一貫したソリューションを提供する「アプライアンス」もオラクルがサン・マイクロシステムズを統合してから始まっている。まさに企業顧客の囲い込み戦略だ。

企業利用とは異なって、高速インターネットは、フェイスブックで代表されるSNSを社会にもたらした。情報の量や速度での差異ではなく、質で情報を選び、選別は個人の知人や友人の評価といった口コミで左右される。このような「ソーシャルメディア」によって、かつてこれほど企業のそばまで生活者が近付いたことがなかったことから、マーケティング戦略の変容も余儀なくされてきている。1つの口コミで、売上が数億円変動する時代でもある。

SNSは更に位置情報を取り込み「どこで」の情報も含んで、情報共有の大変革は今年も大きな話題を生むだろう。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「PC産業変革急ぐ(下)」より

2010.12.28の日経産業新聞の「PC産業変革急ぐ(下)」より

脱・売り切り=サービス販売

コラムでは、前回のコラム同様、コモディティー(汎用品)となったPC市場の打開策についての解説だ。NECビッグローブの古関常務も新端末の発表はPCのような地味なものではなく、米アップル社のジョブス氏のように、演出を入れ、PCとは異なった路線であることを強調している。

何が異なるのか?米アップル社のiTunes Music StoreやApp storeのようにコンテンツの販売や手数料で儲ける仕組みである。端末の差別化が難しい今、以下に良質のコンテンツ集め、顧客に結びつけるかといった「サービス事業」に替ってきている。

本来のハードウェアメーカーとしてはソフトウェア基盤の構築は苦手とするところ。ガラパゴスを発売したシャープや世界的なソフトウェア基盤を構築しようとする東芝も発展は未知数。

ただ、ビジネスモデル変化は、すでに起こっている(▶ 参考 『産業のサービス化論』へのアプローチ: 北陸先端科学技術大学院大学 サービス経営コース編)という。製造業のサービス化はクラウドやコンテンツのネット販売によって促進され、専用のハードウェアを不要としている。さらに東芝のように、異業種のコンテンツ事業者とグローバル戦略で組まねばならない。

付加価値が商品の内部であったことが、商品を含めた目に見えないコンテンツやサービスの開発に移行しつつあるようだ。