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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:カスハラ対策に潜むリスク」から

2024.9.12  日本経済新聞の記事「私見卓見:カスハラ対策に潜むリスク」から

持続可能な経営の原点は「顧客満足」

コラムの著者 金築 俊明氏(経営コンサルタント)は、旅館業法の改正や航空会社のカスタマーハラスメント対策で根本的な対策になっていないことに言及し、原点にある顧客満足度を上げ、顧客不満を解消する努力が重要であると説いている。

○顧客不満につながりそうな要素を洗い出して1つずつ解消していく努力が最善策

顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対策を講じる企業が増えている。金築氏によれば、旅館業法が改正され、カスハラを繰り返す顧客を宿泊拒否することができるようになり、航空会社もカスハラに対する方針を策定しているという。

一方で、これらの対策は、一歩間違うと、ハラスメントを増幅させ、経営の危機を招くリスクが潜んでいると金築氏は指摘している。

  • 顧客からの正当な苦情でさえ、ハラスメントとみなすことで、サービスの大幅な低下を招く
  • 安易にハラスメントルールを持ち出すことで、顧客からの不満・不信を招き、顧客喪失につながる
  • ホテルなどの予約サイトでに掲載されている写真やサービスの内容を見て顧客が現地に着き、記載されていた内容と違っていれば苦情の対象になる。例えば設備の点検などの休止しているとの詳細な情報を掲載することや現地で広告の内容に誤りがあれば丁寧にお詫びした上で、顧客の納得する代替案を示して誠実な対応をする責任がある

不誠実な対応はカスハラを生む原因となる。さらにハラスメント行為をした顧客に対して法的に拒否できるようになっても、苦情や要求をハラスメントとして扱うことはかえって、顧客の怒りを助長させるだけであるという。経営者も従業員もカスハラ対策に軸を向ける前に、顧客をどう満足させるかの軸(顧客満足度の向上)で考えるべきだという。顧客不満になりそうな要素を全て洗い出し、1つずつ解消していく努力を日々続け、ハラスメントの発生可能性を小さくする。従業員への教育も重要で、従業員の誤った顧客対応を見て見ぬふりは避けねばならない。原点は、顧客満足度の向上が持続可能性のある経営につながることを再確認しておくべきだと金築氏は示唆している。♨️💢💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:『脱・株主第一』は止まらず」から

2024.9.11  日本経済新聞の記事「FINANCIAL TIMES:『脱・株主第一』は止まらず」から

米テキサス州での法廷闘争は言論の自由、企業経営に大きな影響を与える

コラムの著者 ジリアン・テット氏(FINANCIAL TIMES コラムニスト)は、米テキサス州政府を持続可能な事業慣行を推進する企業団体「アメリカン・サステナブル・ビジネス協会(ASBC)」が提訴したことを取り上げ、これが言論の自由や企業経営の戦略に大きな影響を与えると述べている。

○単なるESGの是非論争からさらに複雑な課題へ

テット氏によれば、米テキサス州政府が提訴された内容はESG(環境・社会・企業統治)戦略を掲げている企業をブラックリストに指定することにした2021年、2022年の州政府の決定を不服としていることである。

同州の右派の政治家が、当初、ESG活動家が気候変動に関する見解を他人に強いることを阻止する対策としてブラックリスト指定を正当化したものという。だが、ASBCの原告側は、この決定が、暗に金融界に化石燃料の支援を強いることであり、言論の自由のルールを破っているのは、反ESG運動の方であると訴えた。つまり今回の訴訟は法律的な「返し技」である。

この訴訟のポイントは2つあるとテット氏は述べている:

  • 5年前のESGという言葉が大流行した当時とは、取り巻く風潮が大きく変わったこと:
    • 2019年米経営者団体のビジネス・ランドテーブル(BRT)は米経済学者ミルトン・フリードマンが提唱した「株主第一」からの脱却にそって、代わりに社会の利益と価値観を取り入れる「ステークホルダー(利害関係者)」の枠組みを提唱した。
    • 以後、ESGやDEI(多様性、公平性、包摂性)が右派の格好の標的となる
    • 一方、実業界や金融界の多くは政治的標的となることを避けるためにこのような言葉は控えている。
  • 反ESG運動が見かけの上よりも複雑になってきた。運動の先は見えない:
    • 一見、20世紀終盤のフリードマンの考えに戻ろうとする試みに見えたが、意外にも株主第一に戻ることを名国にするのは少数派である。従業員、サプライヤー、コミュニティーというステークホルダーと社会の利益重視を求めているのは、左派だけでなく反ESG派にもいる。

テット氏は、このような変化の要因が企業に対する社会の態度の変化にあると見ている。フリードマンの論説が強い時には市民は一般的に社会課題の解決を企業ではなく米政府の役割だと考えていた。つまり企業の透明性に期待を置いていなかった。今は企業がイニシアティブをとるべきという考えが優勢である。また、経営者も次第に自分たちが事業を営む社会的、文化的背景をもはや無視できないと感じ始めている。

一方、企業への最大のショックは、過去10年、ESGではなく、気候変動、パンデミック、ジェンダーの権利、政治的対立、戦争が別の世界から起こった。つまり、ESGという旗印の是非とは別に、ステークホルダー主義が繁栄してきているということである。迫り来る米大統領選挙と同様にテキサス州のこの訴訟の行方をステークホルダーは知らねばならないとテット氏は指摘している。🏢💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「あすへの話題:再生可能エネルギー」から

2024.9.9  日本経済新聞の記事「あすへの話題:再生可能エネルギー」から

再生可能エネルギーは自然や地域との共生が大前提

コラムの著者 國分 文也氏(丸紅会長)は、東海道新幹線の車窓の風景から太陽光発電から再生可能エネルギーの次への段階について語っている。

○災害問題やパネルなどの廃棄問題の対策が次へのステージ

國分氏が東京駅から西へ車窓を楽しむと、緑豊かな山や農地が広がり始め、緊張が解けていくという。ただ、風景の中に太陽を受けて銀色に光る物体が頻繁に目に飛び込んでくるという。小規模な太陽光発電施設である。畑と住宅の間の狭い空間や山の急斜面のわずかな空き地にも嵌め込むように太陽光発電パネルが設置されているという。

太陽光発電施設には、広大な土地に多数のパネルを設置した「メガソーラー」と呼ばれる大規模なものから、限られた土地に小規模に建設されたものまでさまざまである。國分氏も、誤解を恐れずにいえばと、前置きしながら、小規模な施設の中には周囲の環境や土地の条件に似つかわしくないと感じるものがあるという。

再生可能エネルギーは自然や地域との共生が大前提である。しかし、これが、地滑りや崩落といった災害の原因になっては本末転倒で、行政においても対策への仕組み作りが進められているが、今や線状降水帯による桁違いの豪雨などを見ると安心していられない。

もはや「再生可能エネルギーといえば何でも増やせ」という時代は終焉を迎え、地域の安全や景観といった秩序ある開発を強力に推進する時代となっていると國分氏は指摘している。さらに耐用年数を超えた太陽光発電パネルの処分問題もクローズアップされている。再生可能エネルギーの開発そのものが、強制と循環に基づく新しいステージに突入したと、國分氏は示唆している。🍵💡☀️⚡️🧅💬📗📕👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「推し博物館に寄付いかが、クラウドファンディング活況」から

2024.9.7  日本経済新聞の記事「推し博物館に寄付いかが、クラウドファンディング活況」から

コロナ禍が契機/特典ツアー魅力

コラムの著者 草塩 拓郎氏(日本経済新聞社)は、滋賀県立琵琶湖博物館(滋賀県草津市)を事例に博物館や美術館が新たな財源にクラウドファンディング(CF)を使って財源の確保と特典で熱心なファンを惹きつける効果があることを示したいる。

○英米の比べ寄付収入の少ない国内

コラムによれば、知と文化を担う博物館や美術館の新たな財源としてCFが名乗りを上げているという。まだまだ欧米に比べ、取り組みは遅れているが、新型コロナウイルスの感染症拡大で入館数が激減したことをきっかけに普及は広がっているという。CFの導入は財源の多様化ができることや普段は立ち入れない展示の舞台裏を見学できるといった特典で熱心なファンを惹きつける効果もあるという。

滋賀県立琵琶湖博物館では、2023年2月に、ビワコオオナマズを展示する水槽が割れる事故が発生した。幸いなことに怪我人は出ず、ナマズも無傷であったという。しかし、水槽を点検すると、複数の傷が見つかり、全ての水槽を修理するには数千万円以上かかる。そこで、同博物館は、来館者がくぐるトンネル型水槽の窓と、他の6つの水槽の修理費を2023年11月から2024年1月にCFで寄付金を募集した。担当部門長は、目標の500万円も集まらないのではないかと不安であったが、実際は、1159万3千円が集まったという。募金の返礼として日本の主な淡水魚を感謝状や琵琶湖に棲む生物などを盛り込んだデスクトップの壁紙を用意。普段は立ち入れない淡水に棲む希少な魚を保護する施設への見学ツアーなども人気を集めたという。寄付が体験につながり、さらに熱心なファンを再生産する好循環ができてきた。

博物館や美術館は国や地方自治体が支出する公的収入と、入館料やグッズの販売などによる事業収入の2本を財源としている。ところがコロナ禍で入館数が激減し、文化庁の調べによると全国の博物館の9割が休館し、入館料収入は2019年の半分以下となった。

指導した日本国内のCFも課題が残る。財源に占める寄付収入の割合は1%程度以下の博物館が多く、米英の大手博物館の10分の1程度であるという。博物館や美術館を市民が支える意識がまだ低く、寄付を集めるノウハウを持つ人材も不足しているという。さらに寄付に関する税制も改善の余地があると、CF大手のREADYFOR(東京・千代田)の広安みゆき氏(認定ファンドレイザー)も指摘している。寄付文化を日本に根付かせる広い施策が必要なようだ。💴🖼️🐡🐟🦭🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『サイロ化』に潜む新たな危険」から

2024.9.5  日本経済新聞の記事「私見卓見:『サイロ化』に潜む新たな危険」から

専門性よりも一般常識が重んじられた時代は終焉

コラムの著者 小林 暢子氏(EYジャパン パートナー)は、企業が直面する課題の複雑化が元になって、これまでも問題視されてきた組織間の厚い壁がコミュニケーションを阻む「サイロ化」が新たな種類の危険を引き起こすことについて警鐘を鳴らしている。

○「リスクを最小化するには、何もしなければ良い」という最悪のシナリオが発生

小林氏によれば、確かに大企業において、組織間の壁でコミュニケーションが悪く「サイロ化」することは今までも問題視されてきたという。例えば、社内の意思疎通の齟齬だけでなく、社外にも及び、同じ取引先に違う部署から別々に接触するといった失態が起こる。だが、近年は、ビジネス環境の複雑化やこれに対応する課題が要因となって、サイロ化が新しいリスクを招くことがあるという。

課題の複雑化に対応するため企業はスタッフに専門性を求めることになる。そのため、企業がリスク管理、サステナビリティー(持続可能性)、D&I(多様性と包摂性)といった新部門を充実させ、専門性を高めていった。

小林氏が問題視するのは、サイロ化によって組織内の意見が部分最適(その組織内のみに通用する解決策)に陥り、偏った論理が、部分最適を擁護する論理に刷り変わって、他の部署からの攻撃を防ぐ「武器」となることであるという。つまり、企業全体として生かすべき事案が潰されたり、全体最適(全社的に通用する解決策)が損なわれてしまう恐れがあるという。例えば、リスク管理を重視するあまりに、極端に言えば、「リスクを最小化するには、何もしなければ良い」という極論に陥ってしまう。

これまではビジネス環境の変化が比較的遅く、企業運営においても専門性よりも一般常識が重視されたが、昨今は専門化が進み、隣の部門であってもお互いのものの見方がわからず、共通言語が失われていく。さらに声高な一部門による、一見最もらしい論理で他部門への「武器」として働くと手がつけられなくなり、暴走する危険性がある。

このような新たなサイロ化のリスクに対して、小林氏は、経営トップに今以上に部分最適に惑わされないバランス感覚をもった判断が必要となると示唆している。世界市場のトレンドも専門性偏重に向かっているが、日本に普及し始めたジョブ型人事も、専門性を軸に考えがちである。サイロ化が進むリスクを考えると、あえて専門性に逆らい、バランス感覚をもった幹部の育成が求められるのではないかと、小林氏は提案している。👓💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵