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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「パッケージNOW:水の大型ボトル、側面に取っ手」から

2015.7.14   日経産業新聞の記事「パッケージNOW:水の大型ボトル、側面に取っ手」から

世界の水源を買う欧州の飲食メーカー

コラムの筆者 竹原あき子氏(工業デザイナー)は、フランスのクリスタン(Cristaline)の5リットルの大型飲用水ボトルについて言及している。

○低価格なブランドのボトルの工夫

世界中の水源を買っているスイスのネスレやダノンといった大手ではなく、日本での知名度は低い同社のブランドだが、他社に比べて安価である。秘密はフランス国内の⒉0カ所ある水源を持つことで低価格を実現している。

安いことからスーパーマーケットで販売する4分の1を占めるほどフランス人にとってはポピュラーなブランドだと竹原氏は述べている。彼女は注目するのは、1.5リットルではなくさらに大型な5リットルの大型ボトルである。リットルあたりの単価も下がることから、5キロを持ち運ぶ装置がパッケージデザインの話題になったという。

一般的な考えでは、ボトルを垂直に持ち上げるために半円形の取っ手をつけるものもあるが、同社のパッケージは、柔らかいプラスチックの取っ手を側面につけた、一見、頼りない作りである。なで肩ボトルの上部から斜め45度にテープを貼り、手にかかる部分だけ極薄のスポンジが入ったシートで囲ってある。

いつも持ち帰る客に聞いてみると、一度も切れたことはないという。つまり、ボトルの重量を側面に合わせて持ち歩く方が、垂直に持ち上げるよりも快適だという選択をおこなった。まさに発想の転換である。sweat02happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:Scatch!早朝・深夜に荷物配達」から 

2015.7.9   日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:Scatch!早朝・深夜に荷物配達」から

午前0時ぴったりに誕生日プレゼントも可能

コ ラムの著者 高岡 美佳氏(立教大学経営学部教授)は、ソフトバンクグループの新規事業を手がけるSBイノベンチャー(東京・湊区)が6月から都内の一部で始めた早朝・深夜の時間帯、24時間時間してECでの商品を受け取れるサービス「Scatch!(スキャッチャー!)」について触れ、顧客側の視点でのサービスが新規事業を生み出すことを示している。

○ECの便利さと宅配の不便さのギャップに注目

インターネットで購買した商品を早朝・深夜から指定時間での受け取りも可能という同サービス。さらに対象となるECサイトが日本国内のすべてであるという。

まず、全国のECサイトの指定というのは、スキャッチャー!の会員専用住所を入力してもらうことで、スキャッチャー!の倉庫で一度商品を預かり、指定の時間に宅配するという。「時感ぴったり便!」を利用した場合、24時間内希望する時間ぴったりに荷物が届くという。

EC市場も前年比14.6%増、宅配取扱個数も前年比3.1%とともに増加基調。単身世帯や共働き世代が年々増える中、こうしたサービスは魅力的だという。

さらに時間指定を活用して、午前0時ぴったりに誕生日プレゼントを贈るといった、利用者側のアイデアで用途も広がりそうである。presenthappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「流行を読む:合成紙『ユポ』のペーパーリース、耐水・耐久、陰影も美しく」から

2015.6.26     日経産業新聞の記事「流行を読む:合成紙『ユポ』のペーパーリース、耐水・耐久、陰影も美しく」から

特性が評価されると新しい市場が生まれる

コラムの著者 栗坂 秀夫氏(パシフィックデザインアソシエーツ代表)は、新しい紙材料『ユポ』を使った商品について触れている。

○耐水・耐久、さらに環境に優しい合成紙『ユポ』

この合成紙は結構注目を浴び、パッケージ、選挙ポスター、投票用紙など国内外で使われているという。さらに、その特性をしって商品としてクラフト製品を作っている事例を、栗坂氏は紹介している。

札幌を拠点とするプロダクトデザイナーの伊藤千織氏である。2011年から販売しているものにペーパーリース(紙製花輪)がある。ユポの特性を生かし、いきた植物では従来品は日持ちがしない。耐水性、耐久性に優れた点を生かし、軽くて使いやすい上に、光を通すので、美しい陰影ができる。クリスマスのディスプレーとして有名洋菓子店やパリのライフスタイルショップでも販売Sれている。

一見単純な作りのようだが、型抜きで作るには試行錯誤があったという。この苦労で、新市場にうって出ることができた。cakehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ピップエレキバンM、消費者の経験を意識」から

2015.6.25  日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ピップエレキバンM、消費者の経験を意識」から

製品を通じて消費者の経験をデザインすることで商機

コラムの著者 西川英彦氏(法政大学経営学部教授)は、ピップの『ピップエレキバンM』で多段階の効果が新市場を作る事例を紹介している。

○アトラクションゲームのように次々と体験を提供

多段階の効果が新市場を開く可能性について西川教授は語っている。ピップエレキバンは1972年に生まれた磁気付き絆創膏の草分け。ロングセラーではあるが、大きな改革ができず、売上減少が続いていたという。そこで再生に向け自社商品の課題出しを行い整理したという。結果として

  • 新製品を追加しても既存製品と食い合いを起こしていた
  • 使うのをやめてしまう人が増えている

といったことがわかり、何故新規顧客が増えないのかをさらに調査した;

  • 未利用者はエレキバンは年配の商品で自分向けでない
  • かぶれるのではないか
  • 効果がわからない

とわかり、中止した人も

  • 効果が感じられない
  • 肌がかぶれる
  • 即効性がない

と同様な意見が主流であった。中止者の6割が外用鎮痛消炎剤に流出していることも分かった。また肩こり製品の購入ユーザーの6割は複数の製品を併用して、新しい効能への感度が高いこともわかった。

 顧客の幅を広げて広告の対象を40代女性にした。このターゲットに共感出来る利用シーンや効能表現に変えた。さらに即効性の感じられる製品の開発も進めた。また、外用鎮痛消炎剤でメントール系製品には年齢に関係なく根強い人気があり、メントール入りの絆創膏を開発することにした。2012年発売したピップエレキバンMは、使い始めにメントールの体感できる効果を出し、従来のエレキバン同様に磁気でじっくり血行改善をはかる二段構えにした。

テスト販売でもターゲットの40代女性が獲得でき、既存製品との競合を起こしていないことも調査で分かった。この2段階効果で、下降トレンドから脱出、2013年には製品全体のリニューアルも行い、11年ぶりに業績を回復した。

このように消費者に製品を通じて経験をデザインすることも新市場の開拓に役立つことを示した。downwardrightupwardrighthappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「探査計:トースター、高くても心つかむ味」から

2015.6.22   日経産業新聞の記事「探査計:トースター、高くても心つかむ味」から

モノではなく、体験を届ける

コラムの著者 戸井田 園子氏(家電コーディネーター)は、扇風機に新風を巻き起こした家電VBのバルミューダ(東京都武蔵野市)のキッチン家電を取り上げ、その発想について語っている。

○バルミューダ・ザ・トースター

数千円から1万円程度の相場の中で、同社の製品は約2万5千円という強気の価格設定だという。それでも、すでに初回生産分は予約で完売する好調さだという。

同じキッチン家電で炊飯器はハイテク化するなかで、トーストを食べる人が多い割にトースターは大きく進化していない。そこを狙ったのがこのトースターである。

同製品はスチームテクノロジーと完璧な温度制御にあるという。庫内をスチームで充満させ、パンの表面を薄い水の膜で覆うと、表面が早く加熱され、中の水分やうまみを閉じこめられる。澱粉がα化する60℃前後、香りやうまみを引き出すメイラード反応が起こる160℃前後、焦げがつく炭化が始まる220℃前後の3つの温度を絶妙に調整し、究極の焼き上げを実現したという。

戸井田氏が指摘するように大手家電メーカーでも今までにない高性能製品が開発できるのに着目せずVBである同社が目をつけた。このように同社は定番になり進化が止まった家電を生き返らせるのが得意である。そこには、消費者が支払う対価の限界を決めつけない戦略がある。1日の始まりが美味しければきっと良い日になるといった思いを「モノではなく、体験を届ける」という信念で開発する経営ビジョンがある。breadhappy01