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2015.6.22   日経産業新聞の記事「探査計:トースター、高くても心つかむ味」から

モノではなく、体験を届ける

コラムの著者 戸井田 園子氏(家電コーディネーター)は、扇風機に新風を巻き起こした家電VBのバルミューダ(東京都武蔵野市)のキッチン家電を取り上げ、その発想について語っている。

○バルミューダ・ザ・トースター

数千円から1万円程度の相場の中で、同社の製品は約2万5千円という強気の価格設定だという。それでも、すでに初回生産分は予約で完売する好調さだという。

同じキッチン家電で炊飯器はハイテク化するなかで、トーストを食べる人が多い割にトースターは大きく進化していない。そこを狙ったのがこのトースターである。

同製品はスチームテクノロジーと完璧な温度制御にあるという。庫内をスチームで充満させ、パンの表面を薄い水の膜で覆うと、表面が早く加熱され、中の水分やうまみを閉じこめられる。澱粉がα化する60℃前後、香りやうまみを引き出すメイラード反応が起こる160℃前後、焦げがつく炭化が始まる220℃前後の3つの温度を絶妙に調整し、究極の焼き上げを実現したという。

戸井田氏が指摘するように大手家電メーカーでも今までにない高性能製品が開発できるのに着目せずVBである同社が目をつけた。このように同社は定番になり進化が止まった家電を生き返らせるのが得意である。そこには、消費者が支払う対価の限界を決めつけない戦略がある。1日の始まりが美味しければきっと良い日になるといった思いを「モノではなく、体験を届ける」という信念で開発する経営ビジョンがある。breadhappy01

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