科学

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『正義志向するAI』を国産で」から

2024.8.7 日本経済新聞の記事「私見卓見:『正義志向するAI』を国産で」から

偽情報が正しい情報を量的に圧倒し、有意義な情報が手に入らない状況も想定

コラムの著者 鳥澤 健太郎氏(情報通信研究機構フェロー)によれば、ChatGPTの公開以来、パンドラの箱を開けたように、さまざまな素晴らしい応用とともに、偽情報やマルウェアの作成など濫用が後を経たない。生成AIをめぐり人類は厳しい局面に立っていると言える。生成AIはデータとコンピュータがあれば質はどうであれ、誰でも作れ、開発者が不明な「野良AI」まで現れてきている。このような野良AIの攻撃に対処することは極めて困難となっているという。

○複数の異なる「正義のAI」を開発し、人間も介在して相互に検証し妥当な正義を実現する

鳥澤氏によれば、野良AIの恐ろしさは、膨大な偽情報を作成し社会にばら撒き、正しい情報を量的に圧倒することである。本当に必要な情報を手に入れにくくなる最悪の事態もありえるという。これまで近代以降、社会は「根拠ある、正しい」情報の共有を前提として動いてきた。偽情報を発せれば、発信者は信用を失い、罪と問われる。しかし、この共通規範が吹っ飛べば、その影響は甚大である。

鳥澤氏はこれに対抗するには、「正義を志向するAI」を開発して偽情報をチェックさせ、可能な限り根拠ある反論を行わせる以外に方法はないと考えている。ただし、正義の定義は人や集団、組織によって異なるので、「唯一」の正義のAIを主張しているわけではなく、複数の異なる正義のAIの出力を相互検証し、議論させ、人間が介在して、妥当な正義を実現できる可能性もあるという。日本としては、このような正義のAIを開発すれば、固有の文化を主張でき、そうならなければ、国のアイデンティティーが他国のAIによってかき消されることになろう。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>増えない研究時間、教育との役割分担を」から

2024.7.14  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>増えない研究時間、教育との役割分担を」から

大学の改革が前提で教育専任社の待遇や地位を高める意識改革も必要

コラムの著者 松田 省吾氏(日本経済新聞社サイエンスエディター)によれば、文部科学省が6月に大学の研究者の年間職務時間に占める研究時間の割合などを調査した結果を公表したという。前回2018年度の調査よりも研究時間の割合は32.1%と減っており、厳しい状態が続いているという。

○分離の必要性は以前から指摘されていたが現場でも求められている

松田氏によれば、研究比率が減っているのは教育活動の相対的な増加にあるという。文部科学省も各大学の事情もあるだろうが、研究に力を入れている大学を見てみるとどうであろうか。6月に世界最高水準の研究大学を目指す「国際卓越研究大学」の第1号に選ばれることが固まった東北大学では、研究時間の割合は34.5%だったという。専門職スタッフの増員や、研究支援体制の拡充など将来は50%とする目標を掲げているという。

同大学の学長も、完全に教育業務がないというよりも、どちらかに重点を置くような分担を考えているという。現場では、研究と教育の分離が求められているようにも見える。だが、研究と教育の分離は以前より議論されているが、大学の改革、例えば教育専任人事の評価や待遇、地位の向上などの意識改革がなければ、抜本的な解決にはならないと松田氏は指摘している。💊🎓🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「科学の時代ゆえの陰謀論、経験科学は統計をベースに考察される」から

2024.7.14  日本経済新聞の記事「科学の時代ゆえの陰謀論、経験科学は統計をベースに考察される」から

WHOを舞台に討議されたパンデミック条約の仕切り直しの背景

コラムの著者 矢野 寿彦氏(日本経済新聞社)は、新型コロナウイルスの教訓として次なる感染症の脅威に世界が一丸となって戦おうという呼びかけにWHOを舞台として約2年間、パンデミック条約の交渉が続けられたが、残念ながら合意できず仕切り直しになった。その背景に先進国と発展途上国との対立、そして予期せぬデマが世界を駆け巡り交渉に悪い影響を与えたという。

○一人ひとりの不安への答えがない

矢野氏によれば、その悪いデマとは:

  • 「WHOが超国家的な力を持ち、加盟各国の主権が奪われる」
  • 「ワクチンの強制接種が始まる」
  • 「彼らは新たな感染症を生み出そうとしている」

といった流言飛語がSNS上で世界を駆け巡ったという。出所は不明で、「闇の政府(Deep States)」の存在を信じる「Qアノン」とも言われているが実態はわからない。

陰謀論として政治化する恐れもあり、ネット上の戯言と片付けられないところが悩ましいと、矢野氏は指摘している。

コロナ否定論や反ワクチン運動、温暖化懐疑論や地球は球体でなく平面だとする地球平面説まで奇々怪々、荒唐無稽な言説が、合理性、客観性を重視するデータ社会、科学の時代に、なぜ人は信じてしまうのか。

その要因の1つに矢野氏は、「脳は怠け者」とした特徴があり、もやもやした感情を抱くと、その原因を追求し理由付けしたがるところにあるという。「納得のいく答えが見つかれば、それが真実は深く考えない」と社会心理学者の橋元良明氏(東京大学名誉教授)は説明している。新型コロナウイルスの感染拡大では科学の限界が顕になった。さらにワクチン接種で亡くなる人や苦しむ人も現れた。

自然科学や社会科学、医学といった経験科学は突き詰めると「統計」をベースに考察される。人間がその対象となった場合、それは統計学的な平均を扱うことになる。つまり「一人ひとりの不安に対する答えがなく、逆にはぐらかされたようにも感じてしまう」と、鶴田想人氏(大阪大学特任研究員)は語っている。💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🦠


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:研究費助成、学部生も対象に」から

2024.7.12  日本経済新聞の記事「私見卓見:研究費助成、学部生も対象に」から

研究開発分野で認められるレベルにない研究費

コラムの著者 北畠 真氏(京都大学医生物学研究所 助教)は、京都大学で新しい「産業革命」と呼ばれている合成生物学の研究をしているという。その研究成果の国際コンテスト「iGEM」であるが、米中の研究チーム数に比べ日本は極めて少数で、その背後に研究費の差があり歴然としているという。

○研究助成の対象が多くは博士課程または大学院で学部生にまで及んでいない

北畠助教によれば、これは自分の研究領域だけでなく、世界の優秀な学生と最先端の研究で競い合い、時には協力して、研究成果に基づくより良い社会を作ろうとする意欲的な学生は日本にも多く存在する。つまり、ポテンシャルはあるわけで、研究環境を整えるための支援が足らないという。優秀な学生は学部生であっても画期的な研究成果を生み出すことができる。こういった学生を学部生だからといって区別せずに、自由な発想で研究開発にあたらせるべきだというのが北畠助教の主張である。

日本にも若手研究者助成制度があるが、あくめでも博士課程前期以上のレベルで、学部生は、実験も、国際大会の参加費も交通費も全て手弁当である。つまり、日本の大学生が本格的な研究発表をしたり、海外で発表するなどを想定していないのが現状である。欧米、中韓、シンガポールなどの人材教育との認識差が大きい。

また、プロの研究者向けに固定されている研究助成の門戸をもっと広げ、学部生も対象にすべきと北畠助教は提案している。やる気のある若手を支えることで、日本の科学技術の水準も上がり、起業などのシーズを増やすことができよう。🤔😴🛏️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇨🇳


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「あすへの話題:AIとどう向き合うか」から

2024.7.8  日本経済新聞の記事「あすへの話題:AIとどう向き合うか」から

ガンジーの「7つの社会的罪」の1つである「人間性なき科学」の怖さ

コラムの著者 國分 文也氏(丸紅会長)は、最近の生成AIの普及の速さと能力の発達に驚き、そしてその活用について述べている。

○美味しい店探しでは國分氏に軍配!?

國分氏は、AIの文字を新聞紙上で見かけない日はもはやなくなったと感じている。その始まりは、米オープンAI社が2022年11月30日に一般向けに発表したChatGPTであるという。わずか1年半前のことで、そこからは堰を切ったように研究発表やビジネスや日常生活での応用が広がった。

これまでの新技術の普及とはレベルも違う。インターネットや携帯電話、デジタル化はサービス開始から人口の半分を超えるまで5年から10年以上かかったという。生成AIはすでにPCのWebブラウザに標準装備され、認識しないうちに人口の半数以上が利用、普及しているだろう。

能力の発達や進化も驚異的である。当初は単純なテキストベースの応答、いわゆるチャットボットであったが、それが作文や翻訳、さらに高度な動画制作まで行えるようになっている。しかも、フェイクニュースや偽情報など著名人の顔や音声を巧みに利用した詐欺も急増して社会的問題になっている。

生成AIがこれまでの新技術と大きく違い、普及と進化の速度のレベルが段違いであるという。多くの人が生成AIの利活用を考える上で、「まずはどんどん使ってみてみよう」というスタンスに違いない。だが、AIには表現しにくい不気味さ、危うさを感じるという。國分氏も対話型AIのヘビーユーザーだと自認しているという。だが、使う側でしっかりした考えがないと玉石混交の情報の海に溺れかねないという。

國分氏が引用しているマハトマ・ガンジー氏が1925年に指摘した「7つの社会的罪」に、「人間性なき科学」という罪があるという。どんな時代でも科学技術は使い方次第だという。こういった面から、人間の心のないAIが自己進化する世界だけは避けたい。そのためにも良いAIの利活用のための国際的な公約、ルール、規制が必要だという。

最後に國分氏は、今のところ「美味しい店」を見つけ出す能力はAIには負けていないと自負しているそうだ。👶💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵