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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:アディダスの環境イベント、顧客巻き込みビジネス変革」から 

2022.12.2   日経産業新聞の記事「小野譲司の目:アディダスの環境イベント、顧客巻き込みビジネス変革」から

社会課題に対して本業によってユーザーを巻き込むことで自らの変革する

コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、前回のブランディング戦略に続いて、アディダスの環境イベントでのブランド戦略について考察している。

◯北欧発の環境イベントに自らも学生と参加

 小野教授が自分の大学の学生と参加した環境イベントは、ランニングコミュニティー「アディダス ランナーズ トウキョウ」が開催する、「プロキング」である。プロキングとは、スウェーデン語「拾う(Plocka upp)」とジョギングを合わせた造語で、世界に広がっているという。

イベントでは、お揃いのコミュニティーTシャツを着て、コーチに先導されながら2キロ程の往路をゆっくりと走り、折り返し地点のカフェで小休憩。飲み終わったコーヒーカップに拾ったゴミを入れ、復路へと返す。ゲーム感覚で面白く、ゴール後は、気づいたことやサステナビリティー(持続可能性)全般について自分は何ができるかを小グループで話し合うセッションを経て、今後のアクションに繋げて終了する。

企画したアディダスはスポーツメーカーとして原材料を再生可能なサステナブル素材に移行する目標を掲げている。廃プラスチックが海洋汚染を引き起こすことに対してポリエステル商品が多いメーカーとしてのグローバルな取り組みである。同社のシューズやウェアには「サステナブル素材」の表記が増えているという。原材料からリサイクルまでビジネスシステムの変革を企業だけでなく、ユーザーの意識や行動の変革も、プロキングのような環境イベントによって巻き込み、実際の体験によってゴミ問題や廃プラスチック問題に気づいてもらう切っ掛けで実現しようとしている。ブランディングとしては地味な活動であるが、社会課題に対して本業を通じてユーザーを巻き込み、いかに取り組むべきかを考えるケースだと、小野教授は語っている。👟👞🫗🧴📷🥢🍜🍔☕️🍣🍜🍺🍞🍽😷🦠📱💻📒🛒🎓💳⚡️🌍happy01💡🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「SmartTimes:デジタルコンテンツのわな」から

2022.11.21   日経産業新聞の記事「SmartTimes:デジタルコンテンツのわな」から

コスパならぬタイムパフォーマンスを重視する視聴者

コラムの著者 栄籐 稔氏(大阪大学教授)は、我々視聴者、特に若年層はせっかちになり、コストパフォーマンスならぬタイムパフォーマンスをサービス提供者は意識して、公共性のあるバランスのとれたコンテンツを準備する仕組みがどんどん消えているという。

○フック(印象的な場面、言動)で視聴可否が決まる

 栄籐教授によると、インターネット上のストリーミングサービスによって楽曲や映像コンテンツが大きく変容しようとしているという。まずは提供時間の短縮化である。

これまでの楽曲は3分30秒が通常であった。これは古いレコードの最大記録時間が4分だったからだという。それが米国のポップスでは演奏時間が2分になろうとしているという。つまり、イントロの後に落ち着いた曲調のしんみりした歌詞が続きサビとなる構成が一般的であったが、今や、いきなりサビの部分から始まるという。

楽曲提供側からみればサビを先行させフック(印象的な場面、言動)を聴かせることで、繰り返して聴くことを促し、ストリーミングでは最初の数秒で再生可否が行われる中で選択されるように意図したものだという。同様な時間短縮がYouTubeで代表される動画共有サービスでも起こっている。

もう1つは、楽曲や動画の良いところ取りで要約コンテンツが元投稿者との利益配分や暗黙の了解で再投稿され、2次利用が急速に進んできたことである。これもコンテンツの変容であろう。

視聴者はせっかちになり、有限な時間をいかに有効に使うかというタイムパフォーマンスを最大にすることが目的になってきている。それを進めるのがパーソナライズ化である。さらに提供者のリコメンドや視聴履歴の分析でこの現象が助長されて、結果、面白いフックで始まり、心地良いフックでしめるコンテンツのみを視聴する生活になってしまう。栄籐教授はそういった視聴の価値に疑問を持っている。公共性のあるバランスのとれたコンテンツを準備する仕組みを消滅させるべきではないのかという。🎵🏢🏥👩👨🚘🚗📶🩺📈😷💻💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:人間拡張の原理、メタバースが広げるもの」から

2022.11.18  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:人間拡張の原理、メタバースが広げるもの」から

20世紀メディア論から考察

 コラムの著者 三浦 俊彦氏(中央大学商学部教授)は、人間拡張について論じたマーシャル・マクルーハン著「メディア論 人間の拡張の諸相」(みすず書房)を取り上げ、最先端のメタバース(仮想空間)が人間の何の拡張なのかについて考察している。

◯目、口、耳、手足の拡張の先

 三浦教授によれば、20世紀のメディア論の大家であるマクルーハンで、技術やメディアは人間の身体の拡張だと考えてきたという:

  • 石斧:手の拡張
  • 車輪(自動車、自転車):足の代わり
  • ラジオ:耳の代わり
  • テレビ:目の代わり

と考え、人間の身体能力以上にその能力を拡張してきている。

インターネットは目や耳を拡張し、好きな時に世界の人々と繋がり、世界のニュースがわかり、世界の商品を買えるようになり、空間や時間を拡張した。

時間面は、テレビが放送時間の制約があったが、インターネットでは好きな時間に動画配信サイトなどから視聴できる。またショッピングも店舗の営業時間に無関係にインターネット上で注文ができる。放送時間・営業時間の枠を超えて消費者の行動が24時間行えることになった。

空間面では、初期ではPCのある職場か自宅に限られていたが、携帯電話やスマートフォンが普及すると、身体拡張の地点を広げ、能力を空間的にも広げた。

さらに口の能力をインターネットは拡張した。消費者がネットでの配信ができるメディアを持つようになった。もともとはマスメディアと言われるように企業が所有するものであったが、ブログサイトからYouTubeのチャンネルまでで消費者が所有できるようになった。マクルーハンの口の拡張は同著ではメガホンを例示したが、今はYouTubeなど音量の拡張以上に時空間的に口の能力を拡張した。

今や消費者は、好きな時に、好きなことを、好きな場所から世界に発信できるようになった。さて、今話題のメタバースは何の拡張であろうか。🥩🐮🍫🎍🍄📙📖👚🚗📰✏️🗒🍷💻🏢⚡️📖🎓🔎🌏happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「関沢英彦の目:画像生成AIが問うもの、イメージ言語化力の重要性」から 

2022.11.4  日経産業新聞の記事「関沢英彦の目:画像生成AIが問うもの、イメージ言語化力の重要性」から

日本の閉塞感は「現実の言語化」より「イメージの言語化」を軽視したため?!

 コラムの著者 関沢 英彦氏(発想コンサルタント)によれば、テキストから画像を自動的にAIが生成するアプリが注目されているという。そこで異なる画像がでる時にテキスト、つまり言語とイメージの関係が興味深いという。

◯2022年度から運用がされている高校の国語が「現代の国語」と「言語文化」に分離

 関沢氏は、この国語の分離の要因を、画像自動生成AIアプリの利用での気づきで考察している。同アプリは入力する言葉で画像の質が大きく変化するという。思い描くイメージを言葉で表す「イメージの言語化」力が問われるという。つまり、画像自動生成AIアプリの例は、言葉に凝縮したコンセプトの重要性を示していることである。脳内にイメージした形態・映像・思考を言葉でデザインする能力は、イノベーションの原動力でもある。

関沢氏によると言葉は以下のように分類できるという:

  • 言葉のデザイン力
    • 現実の言語化:手順や規則、出来事を知らせる役割、現実に存在するものが対象
    • イメージの言語化:思い描くイメージを言葉に表す役割、まだ存在しないものが対象

以上に、2022年度から運用がされている高等学校の新学習指導要領での「現代の国語」と「言語文化」の分離を当てはめてみる。さらに選択科目に「論理国語」と「文学国語」が追加されている。ちまり、これらを「言葉のデザイン力」に当てはめると以下のようになる:

  • 現実の言語化:「現代の国語」と「論理国語」、指導要領では実社会で必要とされる
  • イメージの言語化:「言語文化」と「文学国語」、伝統や文化の継承や感性・情緒の育成とされる

この位置付けに関沢氏は疑問があるという。実社会で役立つのは、「現代の国語」と「論理国語」で養われる「現実の言語化」だけかという疑問である。「言語文化」と「文学国語」で培われる「イメージの言語化」は、ICTの発達した現代社会を動かす上でさらに重要性が増しているのではないか。

企業の製造現場では「現実の言語化」が必須であるが、研究開発や商品開発では、「イメージの言語化」の優れた人材が必要であろう。組織は、イメージを言葉にして未来が描けるトップの有無で決まるのではないか。どうやら日本では、イメージの言語化を軽視してきたことが、閉塞感の要因のようだと関沢氏は指摘している。💭💬📖🖋🏫🎩📕👩✋⛑🕠💪🏃‍♀️📺📶💺💻🏠👧👩😷🦠❤️🌍happy01🌎🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:イタリア食品の個人輸入、小生産者からも購入可能に」から 

2022.10.14  日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:イタリア食品の個人輸入、小生産者からも購入可能に」から

中間マージンを節約できる個人輸入が注目されている

コラムの著者 高岡 美佳氏(立教大学経営学部教授)によれば、洋服や靴、ファッション雑貨の個人輸入の経験者は多いが、食品を個人輸入したことのある人はまだまだ少ないという。

◯個人輸入のための越境ECの効用

 高岡教授が紹介しているのは、2021年末にテスト運営を始めたイタリアから日本へ越境販売するオンラインショップ「フレッシュ・イタリー・デリ」で2022年11月より取扱品目と配送の頻度を増やして本格稼働するという。

一度の購入は正味重量で計10キログラムまでで、国際便の送料は全国一律1500円。食品を個人利用で輸入する場合16666円以下は関税がかからず、イタリア法人から直接購入できるという。そのため、輸入会社の倉庫費用、小売店などのマージンなども発生しない。同品質の食品を比較的安価に入手できる。

価格以外のメリットもある。イタリアは小規模な生産者が多いので、法人が事業として輸入する場合、審査・検査があるので、少量ではコストが見合わず、結果として大手の生産者の売れ筋商品ばかりが市場に出る。日本国内で、イタリア食材・食品を探すのに苦労をしないのは、多くが大規模な生産者の商品であるからである。

今回のような越境ECであれば、これまで日本で輸入できなかった小規模生産者の食材・食品を適価で購入できることになる。🍝🍅🍴🍽👧👦📗🔉🚚☕️🍮🖥🍶😷🦠🏢🗒🏪🏢💡🔎⚡️happy01🌏🏡👝📦🇯🇵🇮🇹