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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「拡大鏡:パスタボックス、レンジ2分、仏学生ら舌鼓」から

2016.12.5  日経産業新聞の記事「拡大鏡:パスタボックス、レンジ2分、仏学生ら舌鼓」から

アクションの伴うネーミング

コラムの筆者 竹原 あき子氏(工業デザイナー)は、日本製と思いがちな3分待つカップ麺でフランスではパスタボックスという現地への工夫のある商品を紹介している。

○パッケージも上部が4角で紙のボックスには底がついていない

フランスでも2009年からパスタボックスという名前の商品が学生とビジネスピープルに人気上昇中だという。メーカーはSodebo社で、これまでのパスタをすのまま使ったものではなく、2分で食感がよくなる半生のパスタを開発したものである。経営者がイタリア人のパスタ職人の親父の味とかみごたえをインスタント食品で再現するために、祖母が作ってくれたクスクスの蒸しかたをヒントに調理教室の研修生と共同開発した。生クリームソースの水分による蒸気がカップ内に循環して蒸すとうった仕掛けである。

パッケージは上部が四角で、紙ボックスで底がない。内側に同じ形の底のついたプラスティック容器が入っている。蓋ととると先端がスプーンの部品とフォークの部品が出てきて、この2つを組み合わせると両端がフォークとスプーンの道具ができる。スプーンは生クリームをすくうためで、食べる🍝をボックスのままレンジに入れ、2分で調理完了。

プラスチックの容器と紙箱が離れてリサイクルボックスに手軽に捨てられるのもよく配慮されている。🍝pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:徘徊感知センサー、保険付きで不安解消」から 

2016.12.1   日経産業新聞の記事「高岡美佳の目:徘徊感知センサー、保険付きで不安解消」から

ユーザーの行動の背景にある意識構造を見る

コラムの著者 高岡 美佳氏(立教大学経営学部教授)は、フランスベッドが昨年12月に発売した徘徊感知器「認知症外出通報システム おでかけキャッチ WS−01」の開発の背景について語っている。

○従来の不便さを解消

この感知センサーは、認知症の人の徘徊を感知し、家族や介護者に音と光と画面で知らせる。玄関などに設置した本体セットの前を認証キーを持たない認知症の人が通過すると人感センサーが反応し、リビングやキッチンにいる家族らに伝わる仕掛けである。

特徴的なのは、従来のようなICタグなどを対象者につけない点で、何も身につけなくてもよく、ストレスがないという大きなメリットがある。この逆転の発想で、発売から1年間で累計出荷台数は約1千台になったという。

さらに、この製品に個人賠償責任保険附帯サービスを実施した。これには、

  • 高齢化の進展と認知症者数の増大
  • 徘徊による事故

などが引き金となり、

  • 行方不明にならないかという不安
  • 法律上の損害賠償責任を負う可能性

の2つの不安があることを「発見」したことだ。これをマーケティングの世界では、インサイトという。ユーザーの行動の背景にある意識構造を見抜くことで、消費のツボを見出したわけだ。この2つの不安を見事に1つの商品・サービスで解決した好例だと、高岡教授はその開発の背景を分析している。cafehappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:地産全消、地域の価値、企業発掘カギ」から

2016.11.24  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:地産全消、地域の価値、企業発掘カギ」から

これまでの全産全消からの脱却

コラムの著者 三浦 俊彦教授(中央大学商学部)は、自分のゼミ生とともにカゴメ富士見工場の見学した際の地産全消の考えにこれからの地域活性化のヒントがあると示唆している。

○地産地消をさらに進化

三浦教授によれば、地産全消に似た言葉に地産地消というものがあるという。地域の産品を地域で消費することであり、これにより地域の伝統的食文化が維持・継承され、地域経済の活性化にもつながると注目されている。

ただ食料自給率が高い北海道や秋田は、地域産品を全て地域で消費することができず、供給過多になってしまう。また、せっかくの地域の価値が全国に認知してもらえない。そこで、地産全消という考えである。

三浦教授のゼミがカゴメ富士見工場を見学し、そこで「野菜生活100」の季節限定商品をみて興味を持ったという。このコンセプトも地域の産品を全国で消費する地産全消である。

カゴメは

  • 沖縄産;シークヮンサーミックス
  • 大分産;かぼすミックス
  • 青森産;青森りんごミックス
  • 高知産;土佐文旦&ゆずミックス

など多彩な「野菜生活100」を展開している。地域産品の全国展開で、地域のブランド価値を高め、地域経済の活性化につなげる。さらに「地産全消笑顔でつなぐプロジェクト」というウェブサイトを公開し、消費者が各地の生産農家にメッセージを送れるサービスまで提供している。今までの全産全消は平均的で安定した商品を生みそれ自体は不可欠だが、効率重視の結果、東京一極集中や地方の疲弊を招いた要因の1つかもしれない。

地域の価値を全国に広げる地産全消の考えは、地域活性化による日本全体の底上げをするとともに企業に新しい戦略の切り口を与えると、三浦教授も高く評価している。pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:薬価制度と研究開発」から

2016.11.22   日経産業新聞の記事「眼光紙背:薬価制度と研究開発」から

オプジーポの薬価問題が発端

コラムの著者は、国産の画期的新薬として登場した小野薬品工業のがん治療薬「オプジーポ」の薬価設定を巡ってのルール改定が及ぼす影響について語っている。

◯研究開発費に大きな影響

問題は同治療薬の薬価(公定価格)が高額で医療財政が破綻すると指摘され、政府は通常の2年おきの改定時期を来年2月からの薬価を半額に引き下げるというルールへ変更を行おうとしているからである。

画期的であるからオプジーポは通常より高くなったという経緯がある。そこには、国産新薬開発を促すモチベーションもあった。しかし、今回は逆で、バイオの技術革新が、高額薬価がつきそうな再生医療や免疫薬も研究現場は控えるようになると言った悪影響がでそうだ。薬価が下がれば投資回収が見込めず、新薬研究が停滞するといった最悪のシナリオもでてくる。

さらに日本の薬価制度自体が複雑で、名前が公開されない関係者が深く関わり、ブラックボックスだという批判も多い。欧米のような投資対効果で透明性の高い薬価算定をすべきだと、コラムの著者は指摘している。camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「拡大鏡:ファンケルのサプリCM、老眼表すしぐさ絶妙」から

2016.11.21   日経産業新聞の記事「拡大鏡:ファンケルのサプリCM、老眼表すしぐさ絶妙」から

アクションの伴うネーミング

コラムの筆者 岩永 嘉弘氏(ネーミング&コピーライター)は、ファンケルの手元のピント力をサポートするサプリの「えんきん」のCMでのアクションについて注目している。

○類人猿ボノボの老眼のしぐさ

京都大学霊長類研究所が類人猿ボノボのしぐさを観察したところ、どうやら彼らの老眼の進行は人間と同じと分かったという。岩永氏は、そのしぐさをユーチューブでみて、老猿が腕を伸ばして毛づくろいしているシーンを何かににていると気に留めていた。

それは、ァンケルの手元のピント力をサポートするサプリの「えんきん」のCMで、初老と中年の男性が2人、腕を伸ばしたり縮めたりしながら、

  • 「もしかして、これですか」
  • 「うん、これだよ」
  • 「きてるね」
  • 「きてます」

という短いアクションが、えんきんのアイコンになっているという。

ネーミングが、言葉印だとすれば、アクションはまさに目に見える「目印」だという。目の老化問題とその対策は高齢化社会ではニーズがあり、そこに焦点をあてた商品が「えんきん」。その機能効能を親近感のある言葉と目印で発信したところが、シニア世代には受け入れられやすいという。

ちなみに、先の事例では、類人猿ボノボの研究では、人の老眼は読書やパソコンなどの目の酷使で進む、つまり文明病の部分があると思われていたが、それとは無関係で、猿の老眼も進行することがわかったという。ヒトの老眼は特別だというのは一種のうぬぼれのようである。pchappy01