利用例

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:強いロボット、弱いロボット」から

2024.11.19   日本経済新聞の記事「Deep Insight:強いロボット、弱いロボット」から

強いロボットは万能であるかは未知数だが、産業競争力は抜群

コラムの著者 中山 淳史氏(日本経済新聞社 コメンテーター)が、書店で思わず手に取ったのは「<弱いロボット>から考える」(岡田美智男(豊橋技術科学大学教授・ロボット開発者)著)であった。ストロング、スーパー、ハイパーやギガなどの横行する現代にアンチテーゼのような視点の著書である。むしろ日本は戦後、この弱さをバネにしてのし上がった。来るべき強いロボットの時代にどう生きるべきかを中山氏は考察している。

○過去、PCが米国を、スマホが米国、韓国、中国をの成長を牽引した

中山氏によれば、岡田教授の弱いロボットとは、

  • 自分だけでは作業が完結できない掃除ロボット
  • 子どもに読み聞かせをしている最中に「次どうだっけ?」と話を忘れてしまうロボット

といった、不完全で頼りない機械ばかりだが、健気で微笑ましい。岡田教授によれば、

「AIが何でもできてしまえば、人間はすることがなくなる。人間が機械を補完できるようにプログラムし、両者がゆるく依存し合う関係こそが社会をしなやかに保つ秘訣」

という。これに対して米国はトランプ次期政権で逆の雰囲気で強いロボットを目指している。最近の米国発のニュースにはストロング、スーパー、ハイパー、ギガなどの言葉で溢れていると言う。米モルガン・スタンレーによれば、AI学習などに使うクラウドコンピューティングへの世界の設備投資額は2025年に2887億ドル(約45兆円)に達し、人類を月に送った米アポロ計画への累積投資額を超えるという。さらに全体として生成AIへの開発投資はアポロ計画の約30倍に膨らむとの予測もある。

米国のみならず2位の中国も強いロボットを志向すると思われる。となれば日本企業はどうか。このまま強いロボット国から脱落するのか。

確かに強いロボットが万能かどうかは未知である。しかし、産業競争力を牽引することは間違っていないと、中山氏は説く。かつてのテレビやオーディオが日本を、ウィンテルのPCが米国を、スマートフォンが米国や韓国、さらに中国の成長を牽引してきた。やはり日本経済にも強いロボットが必要である。では、なぜ、次の技術がうまれないのか。

岡田教授によれば、弱いロボットを作っていたころの好奇心や冒険心を忘れてしまっているのではないかという。ホンダやソニーも創業時は、身の回りのありあわせや払い下げ物資まで活用して強いものを作り上げていった。競争から脱落しないためにも、弱かった時代の精神を遡るのも一手だと中山氏は勧めている。次に来る新しい価値観を先取りした米中に負けない、強いロボットを見出す時は今であろう。🤖🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇨🇳


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:スマホ依存がもたらす経済的帰結」から

2024.11.15  日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:スマホ依存がもたらす経済的帰結」から

学業や賃金に影響を与える「ショック」を利用して長期的スマホ利用の経済的影響を研究

世界的に多くのの国や地域で、未成年者のスマートフォンやネットゲームの利用すべきかどうか議論になっている。コラムの著者 渡辺安虎氏(東京大学教授)は、規制の是非や根拠を考える前に、スマートフォンの過剰な利用が利用者にどのような影響を与えるかを理解すべきだと言う。渡辺教授は、最近の米ウィスコンシン大学マディソン校と中国の経済学者が共同で発表した研究に注目しているという。

○スマートフォンの長期利用が成績を下げることは確認できた

渡辺教授氏によれば、この研究では、中国の大学生のスマートフォン利用データを取得し、個々の学生の授業出席や成績との関係、さらに将来の就職や賃金まで結びつけたデータを作成し、分析を行った。

分析の際に考慮しなければいけない点がある。学業や賃金に及ぼす影響を考える時、「逆向きの因果」と呼ばれる問題が発生することだと言う。スマートフォン利用の学業に及ぼす影響を測定したいも関わらず、逆に学業がうまくいかないからスマートフォンの利用時間が増えるという影響をとらえかねない。

こうした問題を解決するために、この研究では、学業や賃金に直接影響せず、スマートフォン利用を通じてのみ学業や賃金に影響を与える「ショック」を活用している点である。この研究では世界的大ヒットゲーム「原神」のリリースと中国政府による未成年者のゲーム導入規制を「ショック」として利用して、統計的因果推論を行なっている。

結果として、スマートフォンの長期利用が成績を低下させているということは確認できたという。興味深いのは、その影響の半分以上が友人からの間接的効果だという結果である。若年層のスマートフォン利用は、友人関係と想像以上に強い関係であることがわかり、また、成績低下は授業への遅刻や早退とも強い相関を示した。

さらに就職後の賃金も低下させており、大学生に週3時間のゲーム規制を実施すれば、約1%賃金が上昇すると試算している。スマートフォンのヘビーユーザーほどメンタルヘルスが悪く、就職の出願数も低下し、仕事に不満を持つこともわかったという。

今後も利用場面ごとに規制の是非やその具体的な形について議論が続くと渡辺教授はみている。これらの研究を集め蓄積し、具体的なデータやエビデンスに即した議論を行う必要があると示唆している。🛜📱📉📈🏭🥩🐟🥦🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇨🇳🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『胸突き八丁』の再生医療、課題残る条件付き承認」から

2024.11.17  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>『胸突き八丁』の再生医療、課題残る条件付き承認」から

製品開発と共に規制も革新を遂げると期待

コラムの著者 安藤 淳氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、再生医療技術の開発着手から安全性を確認した本承認まで1つもないことを取り上げ、日本政府が10年間に約1100億円を投じた見返りがなりと「胸突き八丁」の状態に差し掛かっているという。どこにそれほどの年月が必要となる要因があるのかを解説している。

○企業は開発費を回収できず厳しい経営環境

安藤氏によれば、今年7月日本政府が開いた創薬エコシステムサミットの会場で、政策決定にも影響力を持つ有力研究者から「iPS細胞なんかに金をかけているから日本の創薬力が低下した」と言い放ったという。

政府の長期間の多額な投資に対して、日本の技術やノウハウを使った「再生医療等製品」の開発の多くが「胸突き八丁」に差し掛かっている。すでに多くの企業や大学は、決定を下しているところもある:

  • 住友ファーマー:2024年10月、iPS細胞から製作した神経細胞を使うパーキンソン病治療薬の承認申請を「2024年度内」から「早ければ2025年度」に延期することを公表している。
    • 同社は「条件および期限付き承認」の申請を準備中。この申請は、安全性に問題なく有効性を推定できれば大規模な臨床試験を経ず市販が始められる承認である。市販後にデータを集め、有効性を示して本申請するものである。
  • 遅れの要因はデータの収集・解析の条件や方法を審査当局とつめるのに相当の時間がかかっているようだと言う。
  • 再生医療などに使う細胞は均質に作るのが困難で、有効性の評価にも時間がかかる。そこで、先の「条件および期限付き承認」を制度化した。だが、同制度を適用しても再生医療等製品は4件のみである。企業は開発費を回収できず、事業環境は厳しい。
  • テルモ:2024年7月、患者の筋肉の細胞から作り、重症心不全の治療に使う再生医療製品「ハートシート」の販売を打ち切った。大阪大学と共同開発し2015年に「条件および期限付き承認」を得たが本承認は得られなかった。
  • 田辺三菱製薬:アンジェスが開発し、「条件および期限付き承認」の取得を経て販売していた遺伝子治療薬「コラテジェン」は、本承認の申請を取り下げた。市販後の有効性を示す方法論が確立しておらず、当局と議論を続けても先行きがないと判断した。

国立医薬品食品衛生研究所の佐藤陽治薬品部長は

「最初から完璧な制度は作れない。製品開発とともに規制も革新する」

という。厚生労働省は3月に「条件および期限付き承認」制度を使いやすくるための手引きなどの改善を試みるが、スピード感や精緻さが不足していると言う。日本は創薬力を上げるためにスタートアップなどを育成支援するが、「出口」が見えないと製品化にはおぼつかない。いまはの重要な地点である。🧪🔬💊🎓💡♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『日本ブランド』を海外で生かせ」から

2024.11.15   日本経済新聞の記事「私見卓見:『日本ブランド』を海外で生かせ」から

日本の経済界は政府と共に日本ブランドの認証やライセンス供与する方法を示すべき

世界中で日本のあらゆるものに対する需要が高まっているという。訪日外国人数も2024年は過去最高となる。海外の書店では、現地の言語に翻訳された日本の漫画のコーナーがあり、日本のアニメも家庭で楽しまれている。スーパーマーケットには日本の食品や飲料が並び、日本食レストランも増えている。コラムの著者 ニック・カプール氏(ラトガース大学カムデン校史学部 准教授)は、その反面、海外から見て日本ブランドが棄損され、模造品や偽物、海賊版、日本に無関係な人たちによる偽日本食レストランなどが横行し、海外の消費者にとっても品質の低下や不利益を被り、日本企業も収益を減らすことになっているという。

○日本企業が海外市場に十分な関心がなかったためブランド棄損や模造品、海賊版が蔓延ってきた

ニック准教授によれば、北米の大学では、日本語は数少ない外国語に1つで入学者数は減少していない。米国の小学生に最も行きたい外国はどこかと尋ねると、日本は常にトップにあるという。特に若年層は幼い頃から日本文化に囲まれて育っており、日本文化をもっと享受したいと考えているようだ。

日本の製品は高品質で、細部まで気を配り、場合によっては「神秘的」な知恵を持つ国として世界中に認識されるようになっているという。消費者は「日本ブランド」の製品にかなりのプレミアムを支払うことをいとわない。

しかし、ニック准教授は残念なこととして、日本企業が海外市場に十分な関心がなかったためブランド棄損や模造品、海賊版が蔓延ってきたことだという。さらに今の日本は自国のブランド力がかつてないほど強固であるにもかかわらず、自信があるように見えないと言う。世界中で日本製品全般に対する需要が旺盛に伸びており海外進出も今が好気であろう。また、日本の産業界と日本政府は日本に真にゆかりのあるブランドを認証したり、ライセンス供与したりする方法を模索し、海外の消費者にどのブランドが真の日本製品であるかを示し、認識させるべきだと言う。これによって日本企業は収益がもたらされ、品質管理が確実となり、ブランド価値が毀損しにくくなる。🍜🍛🍣⚡️💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミクストレンド:『柔軟』『迅速』なシステムに」から

2024.11.12  日本経済新聞の記事「エコノミクストレンド:『柔軟』『迅速』なシステムに」から

社会情勢の変化が速く不確実な時代に必要な経済システムとは

コラムの著者 柳川範之夫氏(東京大学教授)は、現代はVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語)の時代であるという。政治情勢の国際的な不安定化、紛争の拡大、安全保障上の懸念など不安定な要素が山積している。また、生成AIを中心とした技術革新も経済環境を大きく変える要因だと言う。このような時代に日本としてはどのような経済システムを作るべきなのか、また企業レベルでは企業経営で何を軸にすれば良いのかを柳川教授は示唆している。

○暗黙知を客観化し、見える化することが柔軟性を生む

柳川教授はVUCA時代の経済や経営システムは柔軟であらねばならないと提案している。生じた変化に対して迅速に対応できる柔軟性をいかにシステムとして確保できるかが、日本に必要なことだという。

柔軟にまず対応すべきは教育や学びであるという。必要とされる能力やスキルが変化しているのに、教育内容が旧態依然としていては停滞してしまう。変化に合わせて、できるだけ柔軟に、教育内容やそれぞれの能力も変化させられるのが望ましい。先ごろ、近年の学校教育の改革が話題になったり、リスキリングやリカレント教育が重要視されているのも、社会の要求に対して柔軟に変化するためである。

日本社会の全体を見た時に柔軟性はどうだろうか。柔軟性を確保する上で大きく課題になるのが、規制やルールをどう柔軟かつ迅速に変えていくかが大きなポイントだと柳川教授は指摘している。しかも制度やルールが簡単に変えられないなら、技術環境が急速な変化を起こす時に追従できない。このとき結論の先延ばしや現状維持が幅を利かし、イノベーションに対するビジネスチャンスを逃すことになってしまう。今後は技術に対する規制やルールは迅速な改革が必要となる。

日本の企業では暗黙知の共有で、作り込みをして生産性を上げてきた構造があると言う。しかし、暗黙知の共有は、柔軟性に欠けるという致命的な弱点がある。やはり、暗黙知を客観化し、見える化を進めることで柔軟性を確保する工夫が必要だと言う。

これまでは動かないでじっとして外の嵐が過ぎ去っていく過越をすれば元の生活が帰ってきたが、これからはそうはいかない現実がある。嵐に伴って居場所も動いてしまうからである。その新しい居場所に向かって積極的に踏み出す柔軟性こそ、社会全体で求められていると柳川教授が推奨している。📉📈🏭🥩🐟🥦🏪🏬🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵