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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミクストレンド:組織を変える越境学習人材」から

2024.8.13  日本経済新聞の記事「エコノミクストレンド:組織を変える越境学習人材」から

日本企業の7割が部門間コミュニケーションに課題を抱えている

HR総合研究所の調査によると、日本企業の約7割が部門間のコミュニケーションに課題を抱えているという。コラムの著者 若林 直樹氏(京都大学教授)は、その解決のキーとして越境学習人材に注目し、国際的な視点で考察している。

○組織の壁を越えて自主的に学習し知識移転を進める「越境学習人材」の育成と活用が不可欠

若林教授によれば、組織の壁は3つの事情があるという:

  • 働き方改革とオンラインコミュケーションの普及:社員のリアルな相互交流が停滞。
  • 人材の流動性の拡大:長期的な社員間のつながりを弱めている
  • 社内の管理の強化、手続き・規則の増加、組織構造の複雑化:部門間の壁が逆に強化

若林教授は、法政大学の石山 恒貴教授が説く「越境学習人材」の育成と活用に注目している。越境学種人材とは、組織の壁を越えて自主的に学習し、知識移転を進める人材を指す。最近の経営学では、「境界連結者(バウンダリー・スパナー)」と言われる、部門や組織の壁を越えて知識の共有と移転を進め、社内や組織間の協働を促す経営者や社員の役割が議論されているという。米ボストン大学のポール・カーリー教授によればバウンダリー・スパナーは、部門間や組織間で3つの活動を行うとされている:

  • 情報を流通させる「回路」:社内である程度理解されている情報に対する行動
  • 社内の理解に合わせて意味を「翻訳」:社内であまり馴染みがない知識に対する行動
  • わかる形へ知識を「変換」:社員たちがわからない知識に対する行動

このようなバウンダリー・スパナーの果たす知識移転の働きの重要性は、国際的にも多くの研究が進んでいる。若林教授は、その中で経営者や社員の境界連結者(バウンダリー・スパナー)の活動を活性化するための要因を示している:

  • 会社の内外の人材ネットワークの質と量:知識移転効果を左右。
  • バウンダリー・スパナーは新たに獲得した知識と既存の知識との対立・矛盾を受け入れて調和する態度を持つ必要がある。
  • バウンダリー・スパナーの動機付けの高さ:状況や時間の変化に抗して動機付けの高さが必要である。
  • バウンダリー・スパナーの行動を正当化するパワーや権限の裏付けが必要である。

最後に若林教授は、日本企業の多くが、組織の壁が強化された時に、壁を乗り越えようとするバウンダリー・スパナーを排除するのではなく、むしろ動機付けや正当性パワーを高めるべきであると示唆している。🔧🛠️💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「春秋:『商家秘録』と東京市場」から

2024.8.8 日本経済新聞の記事「春秋:『商家秘録』と東京市場」から

騰落は「人力の及ぶところにあらず天地自然の道理なり」と説く

コラムの著者が触れるのは約250年前、江戸中期の米取引の指南書、「商家秘録」である。今も相場の教訓を数多く伝えているという。この騰落についても今も通じるところがあるという。

○株価急落とその後の乱高下には人力の及ぶ部分があるのかも

コラムの著者によれば、商家秘録には「まずは損銀の積もりをすべし」とあり、損切りの腹づもりを決めておくことが大切であると説いているという。引き際を見誤ると、さらに損を広げかねないとも説いている。

曰く、本業を蔑ろにして取引にはまってはならぬ、急がず時に待つことも必要だなど。教えの範囲は広いという。当時の価値で考えると巨額なお金が動く市場である。関わる人智や心理は今昔通じるものがある。また同時に、そうそう理想通りに物事は運ばないという難しさも示している。

このところの株式市場の乱高下には驚きがある。最近の新NISAなどで投資デビューしたばかりの人には損切りどころか、ただ呆気に取られていた状況であろう。江戸時代とは違い、騰落に投機筋やコンピュータによる高速取引など人力が及ぶところもあるのかもしれない。商家秘録は取引を航海に見立て、油断などを戒めた。日本政府も日本銀行も投資家も、このところは舵取りに気の抜けない状況となっている。🏃‍♀️🏠🚲🍼👶📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:革新を追い求める前にカイゼンを」から

2024.8.9 日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:革新を追い求める前にカイゼンを」から

革新や創造的破壊がすでにある解決策を蔑ろにしたり弱体化する犠牲を強いてはならない

コラムの著者 イェスパー・コール氏(マネックスグループ グローバル・アンバサダー)によれば、米国人は想像力を掻き立てる未来を示すコンセプト、アイデア、言葉を考えることには長けているという。特に日本人からは「イノベーション(革新)」と「ディスラプション(創造的破壊)」は称賛されている。これに対して、世界から日本人が称賛されるコンセプトは「カイゼン」であるとコール氏は述べている。

○イーロン・マスク氏の自動運転車は日本国内でどうなのか

コール氏によれば、1986年に来日して以来、多くの示唆を賢明で洞察力のある先生から受けたという。その中に高坂正堯京都大学教授が言われたことで覚えているという。丁度政策文書や論文を読み解きに苦労していた時だったので印象があるという。高坂教授は、こう言われた:

「イェスパー君、著者がカタカナを多用していたら、その内容や提言はあまり参考にしなくていい」

と。それ以来、日本が世界から称賛されることを求めていたが、日本文化を背景にした「カイゼン」がそれに匹敵することだという。これについて、コール氏は逸話を述べている:

何年か前に、コール氏は世界的なスーパースターとパネルディスカッションに参加したことがあるという。印象的なのは、スーパースターは公共交通の問題を解決する自動運転車の利点について熱心に説いていた。それを受けたコール氏は、東京と大阪にはすでに「チカテツ」という完璧に機能する自動運転車があると述べた。彼は激怒し、コール氏のことを何も知らないといって非難したという。このスーパースターはエンジニアである、イーロン・マスク氏であった。コール氏は一介の経済学者であったが、地下鉄と彼の自動運転車の違いは、後者は何人かを大金持ちにできるということに過ぎないと悟っていたからである。このように、イノベーションやディスラプションという概念がすでに存在している解決策をないがしろにしたり、弱体化させたりする犠牲の上に成り立つものだとしたら、社会も経済も悪くなる。

逆説的だが、コール氏はさらに米国の公共インフラが驚くほど非効率で貧弱なことはよく知られている。つまり米国人はより良い現在のために懸命に努力することよりも、より良い未来を夢見ることを選ぶからである。翻って日本は、優秀な公共サービスや利便性は未来の約束事ではなく、日々の現実である。経済的には効率が悪いかもしれないが、日本はよりバランスの取れた、便利で住みやすい国になっている。特に高齢化社会にはこのことは非常に重要なことである。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AIがアフリカを変える」から

2024.8.8 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AIがアフリカを変える」から

高成長のアジア地域に続く経済圏

コラムの著者 チリティ・マルワラ氏(国連大学長)によれば、かつては「希望のない大陸」と呼ばれていたが、この数十年で状況は一変しているという。ステレオタイプな認識は影を潜め、高い成長を続けているアジア地域に続く経済圏として期待されている。新型コロナウイルスの感染拡大と気候変動がアフリカ諸国へ甚大な悪影響を与えてきたのは確かである。しかし、AIの導入で多くの課題が解決されようとしているという。

○人工知能(AI)の導入によりアフリカ経済が抱える問題はかなり解決

マルワラ学長によれば、AIによりアフリカ経済の課題解決の事例は以下のようである:

  • 精密農業:AIとデータによる農業で、農家の収穫量を最適化でき、食料不安に対処。
  • オンライン診療:専門医と即時に連絡でき巡回診療待つしかなかった地方や農村部にヘルスケア革命をもたらす
  • AI主導のフィンテック:金融サービスへのアクセスを拡大できる。
  • AIによる輸送ルートの最適化:輸送コストを下げられる

総じてAIにより、アフリカ諸国の1人当たりの所得や労働生産性を向上させるために必要で、持続可能な経済成長を実現できる可能性を持っているという。

アフリカで問題である地域紛争の抑制にAIが役立つ。SNSなどの分析で紛争リスクを定量化して、紛争が起こる前にアフリカ連合(AU)が介入できる措置が取れる。人々が不満を抱えている問題を特定して、各国政府に政策の対応を促すこともできる。だが、現在のアフリカの経済成長率は執拗な貧困や失業問題を改善させるには低すぎるが、アフリカの人口は非常に若く、今後も増加する。教育分野におけるAIの導入が学習のギャップを埋め、若者が教育にアクセスできる機会を増やすことになろう。

AIの導入による利益を最大化し、リスクを最小化する配慮ももちろん重要である。現在アフリカには厳しいデータに関する規制がなく、知らないうちのデータが収集され悪用される恐れがある。AI規制はあらゆるレベルで検討すべきであると考えている。国際社会、AUやEUなどの地域、国家、産業界のそれぞれの規制を決め、技術の進歩と安全性の確保のバランスを取る必要がある。

AUは2002年に発足したばかりであるが、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の運用開始やアフリカ共通パスポートの導入などが進みはじめている。AIによってより経済統合は進むとみていると、マルワラ学長は語っている。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇿🇦🇰🇪🇪🇹🇸🇩🇪🇬🇬🇳🇨🇩


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『正義志向するAI』を国産で」から

2024.8.7 日本経済新聞の記事「私見卓見:『正義志向するAI』を国産で」から

偽情報が正しい情報を量的に圧倒し、有意義な情報が手に入らない状況も想定

コラムの著者 鳥澤 健太郎氏(情報通信研究機構フェロー)によれば、ChatGPTの公開以来、パンドラの箱を開けたように、さまざまな素晴らしい応用とともに、偽情報やマルウェアの作成など濫用が後を経たない。生成AIをめぐり人類は厳しい局面に立っていると言える。生成AIはデータとコンピュータがあれば質はどうであれ、誰でも作れ、開発者が不明な「野良AI」まで現れてきている。このような野良AIの攻撃に対処することは極めて困難となっているという。

○複数の異なる「正義のAI」を開発し、人間も介在して相互に検証し妥当な正義を実現する

鳥澤氏によれば、野良AIの恐ろしさは、膨大な偽情報を作成し社会にばら撒き、正しい情報を量的に圧倒することである。本当に必要な情報を手に入れにくくなる最悪の事態もありえるという。これまで近代以降、社会は「根拠ある、正しい」情報の共有を前提として動いてきた。偽情報を発せれば、発信者は信用を失い、罪と問われる。しかし、この共通規範が吹っ飛べば、その影響は甚大である。

鳥澤氏はこれに対抗するには、「正義を志向するAI」を開発して偽情報をチェックさせ、可能な限り根拠ある反論を行わせる以外に方法はないと考えている。ただし、正義の定義は人や集団、組織によって異なるので、「唯一」の正義のAIを主張しているわけではなく、複数の異なる正義のAIの出力を相互検証し、議論させ、人間が介在して、妥当な正義を実現できる可能性もあるという。日本としては、このような正義のAIを開発すれば、固有の文化を主張でき、そうならなければ、国のアイデンティティーが他国のAIによってかき消されることになろう。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵