ビジネスへの応用

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>人工光合成に『堂免スクール』系譜育み日本の強みに」から

2024.11.24  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>人工光合成に『堂免スクール』系譜育み日本の強みに」から

科学技術で強い分野を築くには研究者の系譜の有無が重要

コラムの著者 永田好生氏(日本経済新聞社)は、植物のように太陽光で水と二酸化炭素から有用な化合物を作り出す人工光合成の研究の系譜を追っている。永田氏が注目したのは、のちに多くの研究分野で第一人者を輩出する「堂免スクール」と呼ばれる堂免一成氏と門下生に注目している。

○2024年のノーベル物理学賞でも同様な系譜がみられている

永田氏によれば、堂免教授(信州大学特別特任教授、東京大学特別教授)は東京大学の博士課程に在籍した1980年代に「光触媒」という材料にこだわり続けたという。材料は酸化チタンが主成分で、水に浸し、太陽光を当てると水を酸素と水素に分解するという。この現象は「本多・藤嶋効果」と呼ばれ、1967年に日本で発見された。1972年に著名な科学雑誌に論文が掲載され、世界で人工光合成の研究が一気に著名になったという。堂免教授もその1人で、研究論文のみならず、実用的な技術にしたいと目標を掲げた。2024年の今も71歳を迎えたが研究に対する意欲は衰えず、日本国内の人工光合成プロジェクトの研究リーダーとして活躍されている。

門下生には、

  • 高田剛氏(信州大学・特任教授)
  • 酒多喜久氏(山口大学教授)
  • 工藤昭彦氏(東京理科大学教授)
  • 佐山和弘氏(産業技術総合研究所主席研究員)
  • 阿部竜氏(京都大学教授)

などがいて、先の人工光合成プロジェクトに高田教授、酒多教授、工藤教授が参画しているという。同プロジェクトは「光触媒を使う人工光合成研究で世界最強の布陣」と呼ばれている。同プロジェクトでは、総面積100平方メートルの光触媒パネルを屋外に設置し、21年に水素製造を確認し実験は成功している。

堂免教授の論文は、論文の被引用回数も多く、科学情報サービス大手のクラリベイトが2024年に同氏に引用栄誉賞を贈呈している。だが、研究が順風満帆であったわけではない。1990年代に入って苦しい時期が続いたと言う。その間、ニコンが研究を支援し、若手が研究室に加わって、思いを繋いだことが研究の継続の大きな要因だと、堂免教授はクラリベイトの受賞記者会見で語ったという。科学技術で他国よりも強い分野を築くには研究者の連綿とした系譜が重要だと永田氏は指摘している。光触媒では堂免教授を核に広がる「堂免スクール」の面々の活躍が支えている。同様の系譜が、2024年のノーベル物理学賞でも同様な系譜がみられたという。☀️🍃🌿💊🎓💡♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇨🇦


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:ウエアラブルvs.定期健診」から

2024.11.23   日本経済新聞の記事「Deep Insight:ウエアラブルvs.定期健診」から

定期健診の弱点を克服できる可能性も

21世紀に入りデジタル化は進んだが、「人とデータ」の関係は必ずしも良好であったとは言い難いと言う。コラムの著者 村山 恵一氏(日本経済新聞社 コメンテーター)によれば、そもそもウエアラブルでのデータの信頼性をどう担保するのか、データの個人情報としての保護も必要である。大量のデータに飲まれ、上下するデータに振り回されてはかえって健康を害することになり本末転倒であろう。ただ、健康・医療の分野で、適切なデータの使い方ができれば、個人にとっても社会にとっても息苦しいデータ社会に血が通うのではないかと村山氏は期待している。

○ウエアラブルで集まるデータは「連続」で「無痛」

村山氏によれば、人の健康を知るのに生体データが重要なことは古来から変わらない。ただ、ウエアラブルなデータには2つの特徴があるという。

  • 「連続」:健診日のみならず、ウエアラブルな機器を装着している間は常に計測される。時系列で変化を追い、データの意味するところを深掘りできる。
  • 「無痛」:定期健診の代名詞である血液検査はチクリと針をさす。老若男女でこれが苦手な人も多い。さらに検査には軽いとはいえ、苦痛を伴うものも多い。一方、ウエアラブルは、普段の生活の中でストレスなしにデータがとれる。

ウエアラブルから集まる膨大な生体データを読み解き、役立てる研究や開発は世界でホットなテーマであるという。東京大学は本田技術研究所、三洋化成工業などと連携し、シールのように皮膚に貼り、継続的に血糖値をモニタリングできる針状センサーを開発している。血液に成分が近く皮膚のすぐ下にある細胞間質液でグルコース濃度を測る。針は極めて短かく「無痛」に近いと言う。利用のハードルを下げ、測定の対象者を増やすことで、医療だけに限らない応用範囲を広げた。

このように、ウエアラブルによる健康・医療分野での応用で、予防意識の向上、病気の早期発見、医療の個別化、コスト削減、遠隔サービスの推進など、長く叫ばれていながら大きな進展のない分野にウエアラブルは突破口となる潜在力があると村山氏はみている。🤖⌚️🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:顧客起点の経営を目指せ」から

2024.11.21   日本経済新聞の記事「私見卓見:顧客起点の経営を目指せ」から

顧客満足を大前提に企業活動で顧客の力を生かす経営

コラムの著者 高田 優哉氏(コミューンCEO)が理想と考える社会は、組織と人の間にある垣根がなくなり、助け合う共創関係ができることだという。さらに、企業においては顧客との間にある垣根が消え、共創関係ができれば「顧客起点経営」が実現される状態にあることになる。高田氏は、顧客起点経営が今望まれる背景と多くの産業で実現できることを説明している。

○背景に日本の人口減少がある

高田氏によれば、顧客起点経営とは顧客満足を大前提の起点として、企業活動のあらゆるアクションに顧客の力を生かすことだという。例えば、高田氏によると、

  • 顧客の声を生かした製品開発
  • 顧客の声を生かしたプロモーション
  • 顧客の紹介により新規顧客を獲得
  • 製品の活用方法が顧客間で共有されて問題が解決する

といった事例である。

顧客起点経営が重要になってきている背景は、日本の人口減少で市場が縮小することと生産年齢人口割合の低下にあるという。つまり新しい市場から新たなニーズを創造するための人件費は年々上昇し、既存顧客やコアユーザーを起点として売上を創出することの方が優位になっているという。利益を維持するためには、多くの顧客に、より少ない社員で対応しなければならない。そこで、顧客満足を追うとともに、顧客の力を借りることでコスト減に繋げる経営手法が顧客起点経営となる。

高田氏は、顧客起点経営が、様々な温度感で、多様な思惑を持つ顧客全体をより広く捉えて、彼らを生かす取り組みで、あらゆる業種、業態に通用するとみている。👩🤝👨💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵💶


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「Deep Insight:強いロボット、弱いロボット」から

2024.11.19   日本経済新聞の記事「Deep Insight:強いロボット、弱いロボット」から

強いロボットは万能であるかは未知数だが、産業競争力は抜群

コラムの著者 中山 淳史氏(日本経済新聞社 コメンテーター)が、書店で思わず手に取ったのは「<弱いロボット>から考える」(岡田美智男(豊橋技術科学大学教授・ロボット開発者)著)であった。ストロング、スーパー、ハイパーやギガなどの横行する現代にアンチテーゼのような視点の著書である。むしろ日本は戦後、この弱さをバネにしてのし上がった。来るべき強いロボットの時代にどう生きるべきかを中山氏は考察している。

○過去、PCが米国を、スマホが米国、韓国、中国をの成長を牽引した

中山氏によれば、岡田教授の弱いロボットとは、

  • 自分だけでは作業が完結できない掃除ロボット
  • 子どもに読み聞かせをしている最中に「次どうだっけ?」と話を忘れてしまうロボット

といった、不完全で頼りない機械ばかりだが、健気で微笑ましい。岡田教授によれば、

「AIが何でもできてしまえば、人間はすることがなくなる。人間が機械を補完できるようにプログラムし、両者がゆるく依存し合う関係こそが社会をしなやかに保つ秘訣」

という。これに対して米国はトランプ次期政権で逆の雰囲気で強いロボットを目指している。最近の米国発のニュースにはストロング、スーパー、ハイパー、ギガなどの言葉で溢れていると言う。米モルガン・スタンレーによれば、AI学習などに使うクラウドコンピューティングへの世界の設備投資額は2025年に2887億ドル(約45兆円)に達し、人類を月に送った米アポロ計画への累積投資額を超えるという。さらに全体として生成AIへの開発投資はアポロ計画の約30倍に膨らむとの予測もある。

米国のみならず2位の中国も強いロボットを志向すると思われる。となれば日本企業はどうか。このまま強いロボット国から脱落するのか。

確かに強いロボットが万能かどうかは未知である。しかし、産業競争力を牽引することは間違っていないと、中山氏は説く。かつてのテレビやオーディオが日本を、ウィンテルのPCが米国を、スマートフォンが米国や韓国、さらに中国の成長を牽引してきた。やはり日本経済にも強いロボットが必要である。では、なぜ、次の技術がうまれないのか。

岡田教授によれば、弱いロボットを作っていたころの好奇心や冒険心を忘れてしまっているのではないかという。ホンダやソニーも創業時は、身の回りのありあわせや払い下げ物資まで活用して強いものを作り上げていった。競争から脱落しないためにも、弱かった時代の精神を遡るのも一手だと中山氏は勧めている。次に来る新しい価値観を先取りした米中に負けない、強いロボットを見出す時は今であろう。🤖🚗🚀🧑‍🔬👩‍🔬🔬👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇨🇳


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『公正な移行』、EUを参考に」から

2024.11.19   日本経済新聞の記事「私見卓見:『公正な移行』、EUを参考に」から

EUではすでに基金などをもとに支援実行フェーズ

来るべき脱炭素社会への移行を考えると、労働者や産業、地域経済への負の影響が出てくる。国際的にも2015年に採択されたパリ協定でも「公正な移行が不可欠」と記載され重要視されている。コラムの著者 栂野 裕貴氏(日本総合研究所 調査部研究員)は、欧州連合(EU)の状況をもとに、日本での公正な移行の進め方について提言している。

○日本企業にもGXの重要性は理解できるが、自治体などの実行支援が後手

栂野氏によれば、すでにEUでは「公正な移行メカニズム」を導入し、中核の「公正な移行基金」を設立して現在175億ユーロ以上となっているという。この基金は、域内の企業や労働者の資金供給となり

  • 中小企業の事業転換支援
  • 中小企業の研究開発支援
  • 労働者向け支援:リスキリング

が対象になっている。EUの移行メカニズムには次のような特徴があるという:

  • 脱炭素移行に伴う悪影響を強く受ける東ヨーロッパへの資金配分が大きい
    •   東欧には産炭地域が多いため、石炭需要の減少の影響が大きい。
  • 移行に対する課題や目標の達成に必要な事業を記した「公正な移行計画」を各地域が作成。欧州委員会による審査を受ける。審査を通じて、各地域の実情に即した支援が可能となる。
  • 地域に対する情報提供や能力開発の支援もある
    • 欧州委員会は申請に必要な情報や優良な事例をウェブで公開。各地域の公的機関や企業の計画遂行能力の強化に向けて専門家も派遣。

日本も欧州も脱炭素社会への移行は必須である。日本企業も産業構造の転換が不可欠であり、公正な移行への取り組みが必要である。しかし、現実は十分とは言えないと栂野氏は指摘している。特に中小企業は依然として少数にとどまり、多くの中小企業が資金・人材・ノウハウなどの支援を必要としている。さらに伴走型の支援が重要で、企業が立地する地方自治体に大きな役割が期待されているが、対応に限界がある。日本政府はEUを手本に脱炭素移行の悪影響が大きい地方自治体に的を絞って、移行計画や情報提供の強化、資金支援などで公正な移行の後押しをすべきと、栂野氏は指摘している。💨⚡️💡🐡⛰️🌾🏣❤️👦👧💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵💶