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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoSalon:鉄道150周年、英国への恩返し」から

2022.10.19  日経産業新聞の記事「TechnoSalon:鉄道150周年、英国への恩返し」から

100年以上経って師匠へ恩返し

2022年で明治5年(1872年)に新橋と横浜を結ぶ鉄道が開通してから150周年となった。コラムの著者 山﨑弘郎氏(東京大学名誉教授)によれば、当時の最先端技術国の英国から鉄道技術を取り入れ、その後輸入先の日本が1964年に運行した新幹線で時代遅れの交通機関であったイメージを変えたという。

◯今や脱炭素で注目を浴びる鉄道

 山﨑教授によると、150年前は新橋=横浜間が53分、1日9往復という交通で、英国社製の蒸気機関車を導入したという。第2次世界大戦後、鉄道は自動車や航空機に押され時代遅れの乗り物と考えられていたが、日本の新幹線が1964年に定常運転となることで印象が変わったという。

CO2の排出量は、他の交通機関よりも有利であることから見直されている。1人を1キロメートル運ぶための二酸化炭素排出量は、鉄道で約25グラム、これは、

  • バスの1/3
  • 航空機の1/5
  • 自家用車の1/7

という。また、日本の鉄道技術は、師匠の国である英国に2000年以降輸出するほどにもなった。首都ロンドンと主要都市を結ぶ鉄道が老朽化し、刷新が計画された。だが、鉄道の開祖の英国にはもはや鉄道メーカーはそ存在しない。世界3大メーカーとされるドイツのシーメンス、フランスのアルストム、カナダのボンバルディアを相手に日本の日立製作所が競り勝ったという。

老朽化した鉄道網では難儀なことにさまざまな給電方式が使われている。25kVの交流電化の架線区間もあれば750vの第三軌条から集電する直流電化区間とさらに非電化区間もあって、給電もままならない。日立は、ディーゼル機関の発電ユニットを床下に配置し、給電方式によらず、どの区間も走れるように動力システムを開発した。さらに新幹線で実証済みのアルミ合金による軽量化も図り、車両約1000両を期日内に納品した。技術導入から100年以上かけて師匠の英国にまさに恩返しできた。🚅🚇⚡️💡😷🌍🤖💻🧠🍞🎓✏️🏙🌾🍓😅🏃‍♀️🏠😷🦠❄️🍅📖🔎⚡🌍happy01🇯🇵🇬🇧


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:食料品のネット販売、根強い『現物比較』志向」から 

2022.10.28  日経産業新聞の記事「横山斉理の目:食料品のネット販売、根強い『現物比較』志向」から

生鮮食品を日常的に食べる日本はマーケティングが複雑

ネットショッピングのシェアが世界的に増加している中で食料品のEC化は世界的にも遅れており、特に日本では顕著だという。コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授)は、その原因を探っている。

○同じ名前、同じ値段でも個体差がある生鮮食品

 横山教授によれば、農産物を対象にした研究では「触りたい」という要求が高い消費者は、農産物のECでの購買時に品質への高い懸念を持つことが知られているという(キューン、リヒター&クレイ 2020年)。世界で食料品のEC化率が高い国はイギリスであるが、それでも8%になるまでに25年以上かかったという。コロナ禍でロックダウンの8週間、15%まで上昇した。日本では、酒類・飲料を含めても2021年で3.8%(経済産業省調査)と低水準であるという。

横山教授の仮説では、日本でEC化率が低い理由を以下のように考えている:

  • 実際に検分して選びたい:
    • 生鮮食品の場合は日常的に消費する日本では実物を見ることは重要で、同一物、同一価格でも個体差があって鮮度や品質を確認する必要がある。
  • ネットと実店舗の利便性の差がそれほど大きくない:
    • 日本国内の食品スーパーやコンビニエンスストアは買い物に便利な立地で、品揃えも豊富であり、開店時間も海外より長い。
  • ECの配送コストを事業者および消費者が抱えきれない:
    • 店から家までの配送は、実店舗では消費者が無料で運び、ECの場合は事業者か消費者が配送費を負担しなければならない。
  • ECと小売店、コンビニエンスストアとの棚サイズが異なるといった課題がある:
    • ECなら商材の大きさはさほど問題にならないが、実店舗の場合は棚の横幅など陳列スペースや置き場所、高さなど複雑なマーケティングが必要となる。

横山教授はこのような日本市場を考えると、ECの絶対的な優位性はなく、実店舗でも消費者のニーズを今の所満たしているようだ。🍌🧅🥬🌽🍅🛒🧺🦠🖋🔑🚕🚗🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🗒📕happy01🌏🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「小野譲司の目:謎のファンタフレーバー、味推理で商品特徴を再認識」から 

2022.10.21   日経産業新聞の記事「小野譲司の目:謎のファンタフレーバー、味推理で商品特徴を再認識」から

顧客経験でブランドを再認識させ強化させる

コラムの著者 小野 譲司氏(青山学院大学経営学部教授)は、前回の顧客体験に引き続き、今回は日本コカ・コーラの炭酸飲料のブランド戦略について考察している。

◯「一体、何のフルーツ!?」で味を推理

 小野教授が紹介する商品は、同社の9月19日から限定販売の炭酸飲料「ファンタ ミステリーブルー」で謎のフレーバーと液色の「#WHATTHEFANTA」シリーズの日本初上陸商品である。このシリーズは東南アジアで2018年から始まり欧州でSNSで話題を呼び、2021年には多くの国と地域で最もよく売れたファンタフレーバーの1つとなった。

定番の商品はオレンジなどの果汁を含むものだが、この商品は青い液色のミステリーブルーである。香料でフレーバーが付けられ、原材料表記をみても何のフルーツか特定できない。

そこで消費者に何の味かを判定してもらおうという仕掛けである。ペットボトルのQRコードから特設サイトにアクセスして投票する。投票ボタンには54種類の果物が並ぶ。クイズも簡単なものではなく、難易度が高いという。桃なら白桃、黄桃、すももなど細かく品種が提示され、味覚の試験の様相だという。投票は1日1回のみで、特設サイトにはヒントが数日おきに示される仕掛けである。そこに、プレゼントキャンペーンや公式YouTubeのティーザー動画、著名なインフルエンサーなどの予測動画などが配信される。

商品のおいしさはもちろんだが、「家族や友達と一緒に盛り上がる」という経験価値が味推理で際立っており、判定に参加した人は味を当てる楽しさとともにファンタがフルーツフレーバーの炭酸飲料であることを認識してもらう狙いがある。同社の商品ブランドの再認識と強化につなげようとしている。🥤🍎🍑🍌🍓🍊🧴📷🥢🍜🍔☕️🍣🍜🍺🍞🍽😷🦠📱💻📒🛒🎓💳⚡️🌍happy01💡🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「いいモノ語り:マニュアルオブザイヤー、図と動画で注意点説明」から 

2022.10.19  日経産業新聞の記事「いいモノ語り:マニュアルオブザイヤー、図と動画で注意点説明」から

ネガティブ表現のタブーをきちんとNGと表現

 コラムの著者 高橋慈子氏(テクニカルライター)は昨年の発表に続き、今年の「ジャパンマニュアルアワード」(一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会主催)が10月5日に発表された内容について語っている。

○ユーザーが安全に確実に製品が伝える技術の進歩を伝える展示も開催

 高橋氏が紹介しているのは、優れた取扱説明書を表彰する「ジャパンマニュアルアワード2022」である。最優秀賞は、精密測定機器メーカーのミツトヨ(川崎市)のリニアスケール(直線測長器)のユーザーズマニュアルである。選定理由は、中原司郎実行委員長(パナソニックエレクトリックワークスクリエイツ)によると:

  • 近年増えてきた動画の使用説明で該当箇所にQRコードを記載して動画にわかりやすく誘導している。
  • 図解では、タブー視されてきたNGの文字をあえて使って、やってはいけないことが明確に伝わるようにしている。
  • 動画でも、注意すべき動作を丁寧に説明している

ということにあるという。これまで取説はNGというネガティブな表現は避け、「注意してください」といった表現にとどまることが多かったという。同社はそこに注目し、安全に使用できることを示している。

同アワードはコロナ禍でリアル開催を見送ってきたが3年ぶりに京都リサーチパークで最終選考や表彰、作品展示が行われた。展示も意義あるものでこれまでの受賞作に加え、過去20年間の受賞作から実行委員が注目すべき作品も並べ、解説ツアーも開催したという。技術の移り変わりとともに、ユーザーの安全を最重要に考え、確実に製品を使えるように「伝える技術」がどう進化してきたかが把握できる展示であったという。🛠🍖🍽👜🏯📗🖥👧👦🛌👧🏢🕛📈🏢💡⚡️🌍happy01🌳🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoSalon:日本に見る『選択と集中』の危うさ」から

2022.10.12  日経産業新聞の記事「TechnoSalon:日本に見る『選択と集中』の危うさ」から

日本企業の停滞の要因は選択の誤り

コラムの著者 山﨑 弘郎氏(東京大学名誉教授)は、諸外国の産業が成長を続ける中で日本企業だけが30年近くイノベーションに乗り遅れた要因は選択と集中の誤りにあったのではないかと語っている。

◯かつて選択を誤った半導体業界の行方

 山﨑教授の考察によると、他国におよそ30年もイノベーションが進まず乗り遅れた日本企業の要因は、選択と集中の誤りだと指摘している。

「選択と集中」はどの国の企業でも日常行われている。しかし、企業の成長につながるのは対象を正しく選択し、そこに経営資源を集中した場合である。誤った選択は進路を捻じ曲げ、集中は選択の誤りを強調してしまい、傷を広げる結果となる。

では、日本企業の停滞が選択の誤りであったとしたら、どうして選択を誤ってしまったのか。そこには過去の成功(選択の成功)にこだわり、それをもたらした組織体制を継続してしまったからではないか。

確かに経営トップに昇り詰めた人たちのとって、輝かしい過去の成功体験は誇りであって悪いことではない。問題は、社内に新しい事業の芽があっても目に留まらず理解されないで、興味を引かないまま埋もれてしまった対象である。多くの経営者は自らの成功体験が将来も続くと一方的に信じて、そこに選択と集中をやめなかったのではないか。

山﨑教授は、選択の誤りの事例として半導体産業をあげている。かつて日本の半導体メーカーは、世界市場のほぼ半分のシェアを押さえ、1980年代の日本の高度発展を支えてきた。ところが、日米半導体摩擦を機に急速に競争力を失ったという。

日本の半導体メーカーは当時、開発から生産までを一貫して担い、厳しい競争にあった。一方、米国など海外勢は、半導体産業の規模の急拡大に対して、異なる固有技術を持つ設計開発機能と生産機能を分離するようになった。開発部門がファブレス化し、生産はファウンダリーに集中する分業体制に変わっていった。

この分業化の選択を日本企業は行わず、一貫体制の維持にかけた。結果、需要が拡大し、継続的な巨額投資が必要となっても新しい方向性を見出さず、過去の体制維持にでた。やがて、過大な設備投資が経営を圧迫し、多くの企業が行き詰まり半導体製造から手を引くことになった。

需要の変化、技術の進歩が現代は劇的であり、その産業の行方を洞察し、過去の成功体験に拘らずに正しい「選択と集中」をしなければ企業の未来はない。今、半導体産業の再建が具体化しつつあるが、その行方に期待したいと、山﨑教授は語っている。📊⚡️💡😷🌍🤖💻🧠🍞🎓✏️🏙🌾🍓😅🏃‍♀️🏠😷🦠❄️🍅📖🔎⚡🌍happy01🇯🇵