【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ことりっぷ、緻密な市場調査で成功」から
2017/01/15
2017.1. 12 日経産業新聞の記事「西川英彦の目:ことりっぷ、緻密な市場調査で成功」から
仮説検証や課題意識が前提での調査は有効
コラムの著者 西川英彦氏(法政大学経営学部教授)は、緻密な市場調査が新製品を成功させる可能性があることについて述べている。
○ロングセラーの旅行ガイドブック「ことりっぷ」を事例に
西川教授は、ことりっぷ(晶文社の旅行ガイドブック)を事例に、緻密な市場調査が、課題検証や課題意識をあぶり出すのに有効であることを示している。
同ガイドブックは2008年の創刊時以来、累計1400万部の売り上げをほこるロングセラー商品で、「小(co)」「Trip」で小さな旅を意味している。
- 2007年に開発;経済的にも自由に行動できる28〜32歳の働く女性をターゲットに設定
その際の議論でガイドブックのような旅をターゲット顧客は行っているかという疑問があったという。そこで、ネット調査を実施。結果は、ガイドブックは参考にするが、自分なりの旅をしている実態が浮かび上がった。さらにガイドブックをよく購入し年に数回旅行する女性に絞りグループインタビューを実施して、課題の抽出を行った。
- グループインタビューでの気づき;持ち歩くのが恥ずかしい表紙はやめてほしい。情報過多でオススメがわからない。持ち運びたくない重さ。
この3大課題の解決に開発部は取り組んだ。結果、表紙は小紋で和風雑貨風にして手で持つと地名がそっと隠れるようにした。掲載情報も、関心が高い、アートや美容、カフェをキーワードに現地取材を重ね絞り込んだ。その効果として、軽量なガイドブックが出来上がった。
これらは常識外であったために社内では反対意見もあったが、これらの市場調査の結果が説得材料となり発刊した。
調査の前に十分な仮説検証と問題解決の意思がなければ、調査は商品の企画には役立たないと、西川教授は示唆している。📖