宗教

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AIがアフリカを変える」から

2024.8.8 日本経済新聞の記事「グローバルオピニオン:AIがアフリカを変える」から

高成長のアジア地域に続く経済圏

コラムの著者 チリティ・マルワラ氏(国連大学長)によれば、かつては「希望のない大陸」と呼ばれていたが、この数十年で状況は一変しているという。ステレオタイプな認識は影を潜め、高い成長を続けているアジア地域に続く経済圏として期待されている。新型コロナウイルスの感染拡大と気候変動がアフリカ諸国へ甚大な悪影響を与えてきたのは確かである。しかし、AIの導入で多くの課題が解決されようとしているという。

○人工知能(AI)の導入によりアフリカ経済が抱える問題はかなり解決

マルワラ学長によれば、AIによりアフリカ経済の課題解決の事例は以下のようである:

  • 精密農業:AIとデータによる農業で、農家の収穫量を最適化でき、食料不安に対処。
  • オンライン診療:専門医と即時に連絡でき巡回診療待つしかなかった地方や農村部にヘルスケア革命をもたらす
  • AI主導のフィンテック:金融サービスへのアクセスを拡大できる。
  • AIによる輸送ルートの最適化:輸送コストを下げられる

総じてAIにより、アフリカ諸国の1人当たりの所得や労働生産性を向上させるために必要で、持続可能な経済成長を実現できる可能性を持っているという。

アフリカで問題である地域紛争の抑制にAIが役立つ。SNSなどの分析で紛争リスクを定量化して、紛争が起こる前にアフリカ連合(AU)が介入できる措置が取れる。人々が不満を抱えている問題を特定して、各国政府に政策の対応を促すこともできる。だが、現在のアフリカの経済成長率は執拗な貧困や失業問題を改善させるには低すぎるが、アフリカの人口は非常に若く、今後も増加する。教育分野におけるAIの導入が学習のギャップを埋め、若者が教育にアクセスできる機会を増やすことになろう。

AIの導入による利益を最大化し、リスクを最小化する配慮ももちろん重要である。現在アフリカには厳しいデータに関する規制がなく、知らないうちのデータが収集され悪用される恐れがある。AI規制はあらゆるレベルで検討すべきであると考えている。国際社会、AUやEUなどの地域、国家、産業界のそれぞれの規制を決め、技術の進歩と安全性の確保のバランスを取る必要がある。

AUは2002年に発足したばかりであるが、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の運用開始やアフリカ共通パスポートの導入などが進みはじめている。AIによってより経済統合は進むとみていると、マルワラ学長は語っている。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇿🇦🇰🇪🇪🇹🇸🇩🇪🇬🇬🇳🇨🇩


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:レイシズム、全体像を理解して」から

2024.7.30  日本経済新聞の記事「私見卓見:レイシズム、全体像を理解して」から

日本の国際標準からを憂う以上に大きな危険性もある歴史観

コラムの著者 村田 勝幸氏(北海道大学大学院教授、アメリカ史)によると、人気ロックバンド"Mrs. GREEN APPLE"の新曲「コロンブス」のミュージックビデオ(MV)を巡る論争が、見た目より厄介な問題を含んでいるという。その問題とは。

○人気ロックバンドの新曲のミュージックビデオが巻き起こした騒動

村田教授によれば、MVはコロンブスの衣装を着たアーティストが、押しかけた館で開いたパーティーで類人猿を啓蒙し、導くといった内容で、確かに入植者植民地主義やレイシズム(人種差別)を思い起こさせてしまうという。

今はコロンブスに対する歴史観は、アメリカ大陸の発見者ではなく、先住民支配の先駆者、つまり支配者第1号と捉える見方が定着している。そこに見る見方を政治的妥当性という観点で見た結果である。今回のMVの騒動は、人種的正義に関する認識で、日本が国際標準に比べて遅れていることを露呈してしまったことによる。

一方、当事国である米国ではそんな単純な結果ではない。近年米国での自国史において白人によるレイシズムが果たしてきた一連の影響や役割を学校で教えることを禁じる動きがあるという。その際に、批判の中心的な標的となっているのが、「批判的人種理論(CRT)」である。CRTでは、米国の歴史や社会構造の基盤にレイシズムがあると解く。これに対して、トランプ前大統領らは白人に罪悪感をもたらす分断的な主張だと、激しく批判を展開してきた。

興味深いことに、政治的妥当性に関する理解が米国では一定程度共有されている一方で、米国の歴史でレイシズムを教えることを禁じるという、一見矛盾したいるが、政治的妥当性の裏にレイシズムがあるというCRTととらえるなら、2つの対照的な動きは原因と結果として捉えることもできる。当該のMVを読者はどうと捉えるか。🎵🎶🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「テクノ新世 もっと人間らしく(2):牧師もブッダもAI、『生成された神』に祈れるか」から

2024.6.18  日本経済新聞の記事「テクノ新世 もっと人間らしく(2):牧師もブッダもAI、『生成された神』に祈れるか」から

教典8万点学習、信仰への技術の浸透をどこまで許すか

コラムの著者によれば、キリスト教、イスラム教、仏教までも今やAIを使い、科学技術の発展と反比例してきた宗教の影響力を取り戻そうとしているという。

○ブッダボットも登場

コラムの著者によると、古代インドの仏典を機械学習し、ChatGPTを介した現代風の言葉で質問に答える「ブッダポット」を京都大学の熊谷誠慈教授(仏教学)を開発したという。このAIボットは8万点ある膨大な原始仏典の学習を続けており、熊谷教授は、

「ブッタなら確実にこういう言うだろうというレベルに近づく道は見えてきた」

と語っている。仏教界では法事はおろか葬式ですら不要論が広がる中での危機感がある。

イスラム教もAIの利用に積極的である。教義に関する質問に答えるチャットボットの運用が今年3月からスタートしている。キリスト教ではウィーン大学の神学研究者ジョナス・シマーレイン氏は約1年をかけて、聖書を学び自然な言葉で説教をするAIを開発した。信者からは「悪魔崇拝者の所業だ」と批判があったが、一方で若い世代からは「神の存在を感じた」と好意的な意見もあるという。

近代以降、科学技術の発展は目覚ましく、それに反比例するように宗教の社会的影響力は弱まってきた。だが、AIを利用することで今度は宗教が存在感を高めようとしているという。さらにそれが進めば、2015年に元米Googleの技術者がAIを神格化した仮想の教会をネット上に設立し物議を醸し出した。果たして「生成された神」に人間がひれ伏すことへの懸念は宗教界にもある。くしくもG7でローマ教皇フランシスコは

「AIを適切に制御できるかに人間の尊厳がかかっている」

と述べた。まさにその時である。👶💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇩🇪🇺🇸🇮🇹


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「米コロンビア大デモを考える:教養教育が培う現実感覚」から

2024.6.3  日本経済新聞の記事「米コロンビア大デモを考える:教養教育が培う現実感覚」から

ガザ地区攻撃に反対するデモは米コロンビア大学から全米に

コラムの著者 佐藤 仁氏(東京大学教授、米コロンビア大学客員教授)は米コロンビア大学大学院で客員教授を務めている。この反戦デモの精神的背景に同大学の米国で最も保守的な教養教育があるという興味ある考察をしている。

○同大学が最も保守的な教養教育を維持していることも大学生の現実感覚を養ってきた

佐藤教授が東京大学と全く異なる視点にある米コロンビア大学について2つの点に注目している。

  • 教授会の議題に「困難な対話」という見出しでパレスチナ問題について学生とどう対話すべきかという論題である。
  • ガザで殺された大学教授や芸術家などの名簿が教室の廊下に張り出されている。

同大学は、1960年代のベトナム戦争以来、繰り返し学生デモの象徴的拠点となってきた。例えば、タバコ産業や化石燃料、民営刑務所などの分野からの大学の投資引き揚げなど、大学から具体的な譲歩を獲得してきた。今回も全米に反戦デモを拡大する拠点となった。佐藤教授が興味を持ったのは、同大学が、コア・カリキュラムと呼ばれる全米で最も保守的な教養教育を維持し続けている大学である点である。具体的には、大学生にアリストテレスの「二コマコス倫理学」やマキアベリの「君主論」といった西ヨーロッパの歴史、哲学、文学から選び抜かれた古典を読ませるといった教学体系である。

この教養教育の背景には大学生に現代世界を作り出した議論の幅に触れさせ、自分とは異なる意見を理解する能力を養うとともに、自分自身のアイデアをアップデートする機会を提供している。物事を善悪の二元論で判定するのではなく、自分と他者の間に広がる立場の幅の中に解を見出す想像力を鍛えるのだという。このような保守的なカリキュラムが鋭い現実感覚をもった学生以外の活動家による社会運動の拠点になってきたことは、大学が知の生産拠点である以上に、社会変革の拠点になることも示していると佐藤教授は指摘している。古典を遺物ではなく、生きた知識として教える伝統が、学生たちに正義感と現実感覚を醸成してきたのではないかとも佐藤教授は考えている。一見、現実離れした教養科目も、どこかで先につながっている。コロンビア大学が維持している教養教育のように激変する世界に反応する力の源泉が日本にも必要ではないか、と佐藤教授は指摘している。⚡️📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸🇮🇱🇵🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の記事「あすへの話題:アニメイテド・ペルソナ」から

2024.5.16  日本経済新聞の記事「あすへの話題:アニメイテド・ペルソナ」から

「今ここに誰かがありありといる」という感覚

コラムの著者 森岡 正博氏(哲学者)は、東日本大震災後、被災した人がテレビで取り上げられていて、津波で家族が行方不明になったと聞いた。「こうやって浜辺に出て風に吹かれていると、自分の家族がいまそばにいるとありありと感じることがある」と語ったという。

○現代科学の前では「錯覚」と受け取られるかもしれない

森岡氏によれば、行方が分からなくなった家族に対する愛情や思いが引き起こしたのだろうと思ったという。確かに現代の科学の前では、この話は「錯覚」でしかないのかもしれない。

だが森岡氏は、近代科学の「錯覚」という考えに必ずしも縛られる必要はないという。いなくなって会えない家族がいま風の中にありありといるという。この感覚は「錯覚」として否定されるべきものではないという。つまり、「このような家族の存在や気配を感じるのは、本当に何かがそこに現れている」という可能性も否定できないからである。

我々は、目の前に生きた人間の体がなくても、「ああ、いま誰かがここにありあるといる」という強烈な感覚を持つことがある。亡くなった親や子どもが自分のそばにいると感じる体験は、世界中で報告されている。ただ、霊魂や宗教でいう実体がそこに来るといった感覚ではないという。

このような体験を森岡氏は「アニメイテド・ペルソナ」と呼びでいてこれを説明しようとしてきた。だが、森岡氏には目の前にありありと迫ってくる紛れも無い他人の「こころ」であると感じるしかないという。👶💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵