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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:『鬼滅の刃』ヒット考、設定の斬新さが魅力」から

2020.11.6  日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:『鬼滅の刃』ヒット考、設定の斬新さが魅力」から

差別化の要因は物語の設定にあり

 コラムの著者 三浦 俊彦氏(中央大学商学部教授)は、映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」のヒットの要因について考察している。

◯物語構造分析でも裏付けられる自己移入と感情移入

 三浦教授によれば、アニメの隣接分野である小説の面白さを支える要因として、

  • 文章(描写力)
  • ストーリー
  • 構成
  • 設定(世界観/思想)
  • 人物(キャラクター)
  • 専門性(ウンチク)

の6つがあり、設定と人物が競合作品との決定的な差を生み出すと、「月刊公募ガイド(2017年11月)でも分析しているという。アニメについても同様で、文章(アニメなら絵やセリフ)は重要であるが、競合とは同程度に高い。ストーリーと構成も重要であるが、手順にすぎない。そこし凝ってもケッタイ的な差にはなりにくい。

そこで設定と人物であるが、差別化の要因になり得るという。実は、「ストーリーが面白い」というのはストーリーではなく、設定であると三浦教授は指摘している。設定とストーリーは別物で、斬新な設定(世界観/思想)を最初に作れば、その後にストーリーは自然に展開する。

「鬼滅の刃」では、最初の設定の斬新さがあるという。つまり、鬼に家族が殺された主人公が、鬼にされた妹を人間に戻すために鬼と戦うという設定が、ストーリーの魅力を生んでいるという。さらに物語構造分析の諸理論、とりわけドイツの哲学者ガダマーの解釈学によると、物語の訴求力(魅力)は、受容者(読者・視聴者)が

  1. 自己移入:受容者が物語の意味構造の中に入り込むこと
  2. 感情移入:物語の登場人物に心を重ねること

して、物語を再演することによって生まれるという。したがって、読者が自己移入したくなるようなるアニメの意味構造(世界観・設定)をつくり、さらに感情移入したくなるような魅力的なキャラクターをつくれば消費者のこころをつかむことができると考えられる。✏️🗒📽🎥💰🕶🚗🍷💻🏢⚡️📖🎓🔎🌏happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:オンライン講義は悪くない」から

2020.10.15   日経産業新聞の記事「眼光紙背:オンライン講義は悪くない」から

オンラインであれオフラインであれ学ぶ意欲が重要

 コラムの著者は、大学の後期授業の開始に伴って、新型コロナウイルスの感染防止でオンライン授業を開講することについての是非をめぐる議論が続いていることについて意見を述べている。

◯大学バッシングはお門違い

 オンライン授業の是非についてメディアの報道の多くは、

  • 大学のキャンパスに通えない大学生はかわいそうだ
  • オンライン主体なら学費を返せ

といった「お涙頂戴」か、大学バッシングが大半だという。

ところが、新型コロナウイルスの流行以前の日本の大学生はどうであったか。それほど真面目に通学していたのかというといささか疑問があるという。

大教室では後ろから埋まり、遅刻した大学生はやむを得ず、教員の近くの前の席に座るものの、スマートフォンを触り、机の上で顔を伏せて眠っている。もちろん、中には最前列で熱心に講義を聴いている大学生もいるが、日本の大学は何かを学ぶというよりも、単位をとることが通学の目的になってしまっている。ところが、コロナ禍でオンライン講義が始まった途端に、日本中の大学生が教室の最前列で熱心に学んできたような 仮想現実?の議論となっている。

すでに10年前には韓国・ソウルではデジタル大学が存在していた。ビルの中ではオンライン講義の撮影スタジオが並び、制御室やスクーリング用の教室があるだけであったという。数万人の学生を抱え、多くが勤労学生で、全面的なオンライン講義で正式の学士号も取得できる。韓国内で学生の満足度は高い大学であったという。問題は学ぶ意欲で、授業がオンラインであるかオフラインであるかには無関係だ。👨👧🎓💰🚑🩺🛠👖💳🍴🚲😷🦠💻🛠💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏🇯🇵🇰🇷


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「新風シリコンバレー:伝統メディアの変革」から

2020.10.6  日経産業新聞の記事「新風シリコンバレー:伝統メディアの変革」から

ネット広告と新聞メディアの変化が米国から日本へ

 コラムの著者 小松原 威氏(WiLパートナー)は、新型コロナウイルスがもたらした自粛生活で消費者のデジタルソフトが加速された影響が広告さらにメディアのビジネスモデルを変え、米国に止まらず日本の地域メディアにまで変革を起こしていることを示している。

○米紙ニューヨーク・タイムズに止まらず日本の地域メディア静岡新聞に飛び火

 コロナ禍が消費者のデジタルシフトを加速させたと小松原氏は語る。買い物や食事をする際に消費者にとって最初の拠点がモバイル、つまりスマートフォンなどデジタルになったことである。実際、米国でも米マッキンゼーのレポートでは、2019年までは10年間に毎年1%程度の増加であったものが、コロナ禍で一気に3ヶ月で34%まで急上昇した。ここまで急激なEC化が進むと、広告のトレンドも大きく変わった。企業の広告出稿控えで米Googleでさえ、検索連動型広告が減収となった。これに対してアマゾンに広告を出す「リテールメディア」の分野が急速に拡大した。この「リテールメディア」はアマゾンのスペースを1つのメディアと捉え、出稿する企業に貸し出す広告モデルである。

消費者の極めて近いECサイトのアマゾンに広告を出す利点が大きい。企業広告が新しいデジタルメディアにシフトを始めると紙媒体を筆頭とした既存の伝統メディアは厳しい経営環境に陥った。このような中で起死回生に成功したのが米紙ニューヨーク・タイムズである。すでに同社は2014年に社内資料であった「イノベーションレポート」を公開し、大きな反響を読んだ。デジタル化が進む新しい時代に柔軟に対応すべきとの景勝をならした。記事の内容にこだわるのではなく、デジタル化で読者を開拓し、関係性を深めていくことを提案してきた。収益源を広告からデジタルの講読料にシフトし、今年6月の時点で有料購読者数4000万人を獲得した。直近の四半期ではデジタル経由の収入がついに紙関連の収入を超えたという。

実はこのニューヨーク・タイムズ紙を参考にしてきた地域メディアがシリコンバレーの拠点に従業員を送り、米紙の変革を実体験させ、複数の新規事業を手掛けているという。日本の静岡新聞がそれで、米紙と同様、「イノベーションレポート」を公表し、社内外の大変革を起こしている。新しいビジョンは記者本位の記事を押し付けるのではなく、とことんユーザーファーストで生まれ変わることを宣言した。社員は七転八倒の中でも明るさを失わず、会社を変えること=社員が変わることとして宣言で退路を断ちながら変革を続けているという。 📰🗞💰💴📖✈️😷💺💻🛠⚓️💡🏢🏠📖🎓⚡️🌏happy01🌏💡🔎🦠🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「関沢英彦の目:『職住多層』の時代、家庭が複合空間」から 

2020.9.11  日経産業新聞の記事「関沢英彦の目:『職住多層』の時代、家庭が複合空間」から

家庭内に見つかる商品開発のヒント

 コラムの著者 関沢 英彦氏(発想コンサルタント)は、新型コロナウイルスの影響で増えた在宅勤務(テレワーク)から家庭のあり方にも変化を与えているという。

◯職住一体から職住分離、そして職住多層の時代へ

  関沢氏によれば、新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務が広がり、コロナ禍後も企業によっては継続するというところもあるという。自宅で働く人が増えることは、家庭のあり方にも影響を与えるようになってきた。企業に雇われる人が5割を超えたのは、1959年で、それ以前の大半の家庭は、店舗や作業場といった職場、つまり職住一体の時代であった。それが職住一体から職住分離へと社会は変わっていった。今や9割が雇用者で、職住は分離している。

在宅勤務の流れは、職住分離から職住一体に回帰とは言えるが、さらに、家庭での機能が増え、職住多層といった方が良いと、関沢氏は提案している。つまり、

  • EARN:稼ぐための生計の場
  • EAT:食べるなどの生活の場
  • EC:ネット通販による消費の場

といった3つのEに加え、さらに2つのEである、

  • EDUCATION:教育の場
  • ENTERTAINMENT:映画などの娯楽の場

がインテーネットを通じて家庭に入り込んできている。まさに家庭は今やいくつかの異なった機能を担う複合空間になってきた。

これに目をつける住宅産業などでは、性格の異なる機能が干渉しないように収納スペースなどを小さな個室にしたり、夫婦共働き用には2つの個室を設けたりするなど工夫をし始めている。テレワーク用に間仕切りやカーテン、家具などの販売も好調で、オフィス仕様でないキャビネットやホワイトボード、低カロリーの菓子、簡単調理のランチ素材、変化をつけるドリンク類、体調を整えるトレーニング機材、パソコンなどの短時間のお助け操作コンサルティングなどが登場している。職住多層では、家庭内の行動を観察することで、商品開発のヒントが数多く見つかると、関沢氏は示唆している。🎥☕️💺💻🏠👧👩😷🦠❤️🌍happy01🌎🇯🇵💡🌍🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「トレンド語り:テレビで何を見る、チャンネル検索順位に変化」から 

2020.7.22 日経産業新聞の記事「トレンド語り:テレビで何を見る、チャンネル検索順位に変化」から

根強い地上波選択

 コラムの著者 奥 律哉氏(電通総研フェロー)は、テレビの電源を入れた後どのチャンネルを選択するかを自社の調査をもとに考察している。

◯テレビでネット動画を視聴することは

 電通メディアイノベーションラボの「第3回テレビ受像機のネット動画視聴調査(2019年9月)」から奥氏は分析している。

この調査から、ネット動画が第2選択肢としての存在感は、無料BSと録画再生と僅差であるという。しかも、多くの第1選択は地上波であるという。9割が、第1選択とするものが地上波というのは根強い。ただ、奥氏の分析によれば、多くの人が時計代わりにテレビをつけていることを考慮すると、見たいものがそこにあるはずと考える優先順位は、偶発的な番組(コンテンツ)との出会いが左右することが多いともいう。

ここにネット動画の優位性が出てくることも今後注目すべきところであろう。📺🛍🍲🍵🏢📶📺🏢💡⚡️🌏happy01📂🌍🇯🇵