【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:消費者の行動を考える(6)」から
2024/11/17
2024.11.15 日本経済新聞の記事「やさしい経済学:消費者の行動を考える(6)」から
消費で幸福感が高まる理由
コラムの著者 白井 美由里氏(慶應義塾大学教授)は、消費者のウェルビーイングの定義とそれがどんな要因に影響を受けるかについて考察している。
○自分の生活や選択に対してどれだけ幸福に感じているか
白井教授は、消費者のウェルビーイングを
「消費者が自分の生活や選択に対し、どれだけ幸福に感じているかという主観的で個人的な側面」
と定義している。このウェルビーイングにどんな要因が影響を与えるのか。
- 時間の捉え方:時間はお金と同様に貴重で有限。管理・節約しながら消費する一方で無駄遣いもする。幸福感はお金の多寡より時間に目を向けることで高まると言う。時間について考えると自己内省が生まれ、人生の時間の有限性を自覚するため、幸福感を得られる行動をとる。
- 商品販売では時間と関連づけて訴求すると、消費者は自己に関連づけて考え、結果的に消費の楽しみが増える。
- 持っているものでも購入金額より使用時間の長さに焦点を当てると、繋がりを強く感じて愛着が増す。一方、所有に価値を感じる高級品は逆で、購入金額を考えた方が愛着が深まります。
- 選択の多さ:選択では所有より経験の購入の方が幸福感は長続きする。製品の所有に比べ、経験は消費者自身が定義するもので、選択しなかったものと比較しにくい。快楽順応も経験の方が遅く、思い出として長く残る。たとえ、購入まで待たされても、経験はワクワクしながら待つのに対して、所有はイライラしながら待つので、幸福感に影響される。
- 満足度:幸福感は選択満足度にも影響される。複数の選択肢から選ぶ場合、それらの違いが知覚できない状態だと選択満足度は低下する。似たようなものからの選択は選択の実感が弱く、十分に楽しめない。
- 選択肢が多いと満足度も下がる。この場合、何らかの基準で分類されていると、分類基準の質に関係なく満足度が上がるという。より良いものの期待は今の選択評価を下げる。
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