【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:スローライフを考える」から
2012/08/21
2012.8.9 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:スローライフを考える」から
スローライフ戦略の2つの流れ
コラムの著者 三浦俊彦教授(中央大学商学部)は、サントリー食品インターナショナルが2006年に発売した飲料の特定保健用食品(トクホ)である「黒ロ烏龍茶」の戦略とキャンドルナイトで過ごすことを比較して「スローライフ」について論じている。
【特定保健用食品(トクホ)の戦略】
トクホは、体の生理的機能に影響する成分を含み、体の調子を整えるのに役立つ表示を国から許可された食品である。飲料のトクホは、内臓脂肪の削減や血糖値の抑制など健康な生活への改善をうたうものが主流であった。
健康的な生活はしたいが、残業や接待での遅い飲食など不規則で不健康な生活を余儀なくしている我々にとって、黒烏龍茶は「大好きな脂っぽい料理を健康のために我慢する必要はありません。食事と一緒に飲んだください」というテレビ広告は、微妙な心理をうまくつかみ成功したと言える。
【キャンドルナイトの狙い】
ファストな現代生活に正面から意義を唱え、電気の照明を消し、ろうそくで過ごすスローライフ運動にキャンドルナイトがある。ろうそくで暮らした江戸時代のように、自然と一体のリサイクル社会に戻ろうというわけである。
ただ、江戸時代のリサイクル社会とは、単にモノを修繕し、ゴミを再利用するだけでなく、太陽エネルギーの恩恵を受けた植物などを利用して、資源が増減しない限り持続可能な社会を維持するといった徹底したものであった。現代の小手先のリサイクルとは異なる、と三浦教授はいう。つまり、365日をろうそくで暮らす生活を創るものである。
スローな時代の後、近代のファストの時代が生活を豊かにしたのは事実である。黒烏龍茶のようにファストを謳歌しながらスローな要素をいれていくか、江戸時代のリサイクルとは別のシステムを考えファストなシステム自身を変革するか、といった選択が必要だ、と三浦教授は指摘する。
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