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【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:『ひとり』が生む商機を逃すな」から

2024.8.16 日本経済新聞の記事「私見卓見:『ひとり』が生む商機を逃すな」から

他者情報の「接続過剰」に対するバランスをとるひとり生活

コラムの著者 内浜 大輔氏(博報堂生活総合研究所 上席研究員)は所属する博報堂生活総合研究所の調査を紹介している。2023年に20〜69歳を対象に調査した内容で、「みんな」より「ひとり」でいる方が好きという人が78%に上ったという。この結果から個人の生活に対する新たなマーケティング視点があると示唆している。

○ひとりを前向きに捉え、生かそうとする視点が大きなビジネスチャンス

内浜氏は、「みんな」といるより「ひとり」でいる方が好きな理由として、インターネットやSNSが生活に入り込む環境の下で、常に他人の情報を浴び、やり取りをする「接続過剰」があるのではないかと考えている。

ひとり時間の効用は多岐にわたっているが、ひとりだから何かに没入して体験・鑑賞したり、内省を通して自分の考えを再発見したり、身近に新しい挑戦ができたりできる。誰かと一緒では得られない積極的なものが多いという。

生活者のひとり欲求の充足は有望なマーケティングの対象と考えられるが、課題もあると内浜氏は指摘している。課題としては、先に示したような、ひとり行動の積極的な効用に適合したようなサービスがまだ少ないことである。前提は「みんな」である価格によって決められ、ひとりだからというプレミア価値を意識したところが少ない。オフィスでも大人数ではなく個別で1人で考えられる場所や住宅でも家族から一定の距離をもってひとり時間が楽しめる空間といった内容である。このようにひとりという状態を前向きに捉え、そこにプレミア性や活性する視点があれば新しい商機が見えてくるのではないかというのが、内浜氏の主張である。♨️🏢🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「経済教室:イノベーション経営の国際規格、価値創造へ自社を客観評価」から

2024.8.13  日本経済新聞の記事「経済教室:イノベーション経営の国際規格、価値創造へ自社を客観評価」から

既存企業でもイノベーション創出力が弱ければVBとの連携でも成果がでない

コラムの著者 西口 尚宏氏(上智大学特任教授)は、一国の経済成長と繁栄にはイノベーションの実現が必須であると説いている。スタートアップの成長性と既存企業によるイノベーション創出がその両輪であるという。スタートアップも既存企業も共にイノベーションを起こすことで社会への価値提供、経済成長、雇用増加が期待できる。西口教授は、欧州が主導で進めているイノベーション経営の国際規格を利用し、日本企業が競争力を向上させる方法について触れている。

○イノベーションが起きない企業には共通のパターンがある

西口教授によれば、日本の既存企業はイノベーションの創出力が弱いという。そのためにスタートアップと連携しようとするが、自社のイノベーション創出の強化とスタートアップ連携の両立させることが世界のイノベーション経営のトレンドだという。イノベーション創出力が弱い企業は、社会価値を自ら生み出せず、スタートアップ連携からも成果が出てこない。

さて、スイスのビジネススクールIMDの世界競争力ランキングで上位を占める欧州では米国のように一部の天才的な起業家の力に頼らず、組織的なイノベーション創出のためのマネジメントシステムの共通言語を構築し、欧州全体の競争力を高めようとしている。これを機に2013年国際標準化機構(ISO)を軸にイノベーション経営の国際標準化が開始された。欧州が急いだのは、GAFAMに代表される米企業の台頭への危機感であったと言われている。

標準規格の策定時に議論となったのは、イノベーションが起こらない企業には国籍を問わず共通のパターンがあったことである:

  • イノベーションに意欲的な社員の活動が属人的なもので終始し、組織的な活動に発展していない
  • イノベーションに本来必要な試行錯誤が許されていない、あるいは軽視されている
  • 教育や予算などイノベーション支援への経営トップの関与がない

が挙げられている。国際規格ISO59002では、このような状況が起こり得るとして、イノベーション活動の成功確率を上げるためにの経営システムのあるべき姿を示している。経営者の役割は特に重点的に描かれているという。

国際標準化で大きな議論は、インベンション(発明・技術革新)とイノベーション(価値創造)を区別する合意であった。日本ではイノベーションを技術革新と混同するケースが少なくないという。この2つを区別することで、発明・技術革新は新しい存在だが、それが価値を生むかどうかはわからない。一方、イノベーションは具体的な価値創造が実現している存在物(プロダクト、サービス、プロセスなど)と定義している。さらにこのイノベーションをを起こすプロセスも以下のように合意したという:

  • 機会の特定
  • コンセプトの創造
  • コンサプトの検証
  • ソリューションの開発
  • ソリューションの導入

である。この仮説検証を繰り返す非直線的なプロセスがイノベーションを起こすという。西口教授は今後認証を審査する人材育成やイノベーションを起こす起業家の存在が重要であるという。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:パーパス経営、多様性の尊重から」から

2024.8.14 日本経済新聞の記事「私見卓見:パーパス経営、多様性の尊重から」から

従業員の多様な価値とパーパスの重なりを増やす努力

企業の存在意義を軸にした経営を行う「パーパス経営」が注目されている。コラムの著者 坂本 隆氏(学習院大学経済学部非常勤講師)は、こういった経営に対して企業の不正や不祥事が後を絶たないという。その要因を経営者サイドと従業員サイドの双方から考察している。

○パーパスを通じて経営者と従業員の双方の理解が会社を大きく動かす

坂本氏は、企業の根幹であるパーパスに瑕疵があるのではないか、従業員への浸透ができていないことが要因であるとの仮説を検証している。

各社のパーパスを見渡しても不適切なものはない。そもそもパーパスは企業のいわば「志」であって誠実であることから不適切にはなり得ない。となれば、パーパスが従業員に浸透していないことが原因ではないかと経営者は考えてしまう。そこで経営者は、パーパスの浸透を図るが、そこで従業員の「個人の価値観」の違いが壁となるという。経営者も従業員も個人として人生で培われてきた固有の価値観がある。そこで企業と従業員の価値観がずれている場合、従業員は企業の考えている通りには動かない。そこで、経営者は「従業員の価値観をパーパスに近づけよう」と考える。だが個人の価値観の矯正は簡単ではない。軋轢を生み、企業活動の支障をきたすこともあり得る。経営者は企業行動の多くが従業員主体であることを認識すべきで、従業員の多様な価値観を尊重して大きく育て、自然とパーパスとの重なりを増やす努力をすべきであると、坂本氏は奨めている。

この重なりを増やすことは経営者サイドだけでなく、従業員サイドでも有用であるという。人生の中で勤務する時間は長い。長い時間を自分自身の価値観に沿って過ごすことは人生の充実を意味する。つまり従業員も企業のパーパスに真正面から向き合うべきであろう。経営者も従業員もお互いにパーパスを通じて多様な価値観を理解し合うことこそ、パーパス経営の本領発揮となるはずであると、坂本氏は指摘している。💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「社説:米巨大ITは生成AI活用の道筋を示せ」から

2024.8.12  日本経済新聞の記事「社説:米巨大ITは生成AI活用の道筋を示せ」から

生成AIへの先行投資が巨大IT企業の収益モデルに不一致

社説の著者によれば、ChatGPTなどに多くの投資家が先行投資をしたが、巨大IT企業も財務状況は堅調であるが、巨額投資に見合うだけの収益モデルが見えないとの不満が多い。また、一般企業や利用者に対する新技術のメリットがまだまだ見えていない。日本としてもインターネット、スマホに続くイノベーションとされる生成AIの本格導入時に、少子高齢化で拍車のかかった生産性の向上に活かすことは世界へのアピールにもつながるとしている。

○AIが収益に貢献するまで時間がかかると見た投資家が株価を押し下げている

社説では、生成AIへの投資家の成長期待が揺らいできているという。2年足らずでChatGPTなど生成AIは急速に普及し、多くの巨大IT企業が投資を続けている。だが、財務状況は堅調だが、多くの企業の株価は下落している。

その要因は、生成AIの先行投資が嵩み、投資に見合った収益モデルがまだ見えていないことである。市場の健全性も確保できていない。

米景気の減速が懸念される中で生成AIの開発や運用に必要なデータセンターへの巨大投資をIT各社は行なっている。ただ、多くの投資家が、収益性が出るまではかなり時間が必要であるとみて株価が下がった。

確かにChatGPTなどの普及は速かったが、企業や利用者はさらなる活用のメリットを実感したいと考えている。つまり。今後顧客企業との連携を深めて、業務の効率化やコスト削減といった具体的な成果が求められる。関連するスタートアップ企業の育成も促進し、技術の恩恵が社会に広がっていかねばならない。さらに健全な成長を促すために、エヌビディアに代表される高性能半導体の寡占やサプライチェーンの安定化が課題になる。データセンターも消費電力を抑え、再生可能エネルギーの積極活用も必要とされている。

AIの悪用や、巨大企業の独占的地位による優位性を武器にすることは各国の規制と当局の監視が不可欠となる。日本は少子高齢化でより生産性の向上が必要とされることからAIの積極的活用が必要である。必ずしも短期的な視点ではなく、中長期的視点での投資が必要であると社説は説いている。💴🎤🪐🚀💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「エコノミクストレンド:組織を変える越境学習人材」から

2024.8.13  日本経済新聞の記事「エコノミクストレンド:組織を変える越境学習人材」から

日本企業の7割が部門間コミュニケーションに課題を抱えている

HR総合研究所の調査によると、日本企業の約7割が部門間のコミュニケーションに課題を抱えているという。コラムの著者 若林 直樹氏(京都大学教授)は、その解決のキーとして越境学習人材に注目し、国際的な視点で考察している。

○組織の壁を越えて自主的に学習し知識移転を進める「越境学習人材」の育成と活用が不可欠

若林教授によれば、組織の壁は3つの事情があるという:

  • 働き方改革とオンラインコミュケーションの普及:社員のリアルな相互交流が停滞。
  • 人材の流動性の拡大:長期的な社員間のつながりを弱めている
  • 社内の管理の強化、手続き・規則の増加、組織構造の複雑化:部門間の壁が逆に強化

若林教授は、法政大学の石山 恒貴教授が説く「越境学習人材」の育成と活用に注目している。越境学種人材とは、組織の壁を越えて自主的に学習し、知識移転を進める人材を指す。最近の経営学では、「境界連結者(バウンダリー・スパナー)」と言われる、部門や組織の壁を越えて知識の共有と移転を進め、社内や組織間の協働を促す経営者や社員の役割が議論されているという。米ボストン大学のポール・カーリー教授によればバウンダリー・スパナーは、部門間や組織間で3つの活動を行うとされている:

  • 情報を流通させる「回路」:社内である程度理解されている情報に対する行動
  • 社内の理解に合わせて意味を「翻訳」:社内であまり馴染みがない知識に対する行動
  • わかる形へ知識を「変換」:社員たちがわからない知識に対する行動

このようなバウンダリー・スパナーの果たす知識移転の働きの重要性は、国際的にも多くの研究が進んでいる。若林教授は、その中で経営者や社員の境界連結者(バウンダリー・スパナー)の活動を活性化するための要因を示している:

  • 会社の内外の人材ネットワークの質と量:知識移転効果を左右。
  • バウンダリー・スパナーは新たに獲得した知識と既存の知識との対立・矛盾を受け入れて調和する態度を持つ必要がある。
  • バウンダリー・スパナーの動機付けの高さ:状況や時間の変化に抗して動機付けの高さが必要である。
  • バウンダリー・スパナーの行動を正当化するパワーや権限の裏付けが必要である。

最後に若林教授は、日本企業の多くが、組織の壁が強化された時に、壁を乗り越えようとするバウンダリー・スパナーを排除するのではなく、むしろ動機付けや正当性パワーを高めるべきであると示唆している。🔧🛠️💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵