事例

【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「春秋:AIのネット犯罪」から

2024.6.1  日本経済新聞の記事「春秋:AIのネット犯罪」から

悪事に従えば、責めを負うのは人間

コラムの著者が日経新聞の「私の履歴書」で連載されている囲碁棋士、趙治勲氏がAIによる囲碁について語っているところを引用している。AIで学ぶ世代は形の悪い手でも打つが、趙氏自身はAIを使う気にはなれないという。AIに答えを聞いて学ぶより、自らの葛藤を繰り返すのが囲碁の醍醐味であると語っている。そのAIが詐欺などの犯罪に容易に使われる時代となっている。

○39年前の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」(村上春樹著)を彷彿

コラムの著者によれば、村上春樹氏のこの著作では情報を暗号化して守る「計算士」と情報を盗む「記号士」の仁義なき戦いを生成AIが普及している今から39年前に描き、驚きを隠せない。その生成AIを使ってコンピュータウイルスを作成したとして先ごろ警視庁が20代の男を逮捕した。容疑者はICTに詳しい今どきの若者と思ったが、専門知識は乏しい男だったという。道具もスマホなど身近な機材で、生成AIも一般公開されているものだという。

生成AIによってちょっとした知識で容易に詐欺などが起こせる「参入障壁」が低くなっているという。一方で、村上氏の著述ではないが、それに対抗する防御技術も生成AIで進化しているという。

結局、悪事に従えば、技術ではなく責めを負うのは人間である。先端技術には自覚をもって向き合いたいところである。💬📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の記事「あすへの話題:和辻哲郎と能面」から

2024.5.30  日本経済新聞の記事「あすへの話題:和辻哲郎と能面」から

能舞台で役者の能面に人格が現れてるのがペルソナ

コラムの著者 森岡 正博氏(哲学者)は、前回に引き続き、「アニメイテド・ペルソナ」について、20世紀前半に活躍した哲学者、和辻哲郎氏のエッセーから、物質にも「人格の座」となる現象があることに例に説明としている。 

○さらに広い対象であるアニメイテッド・ペルソナ

森岡氏によれば、和辻氏は「風土」や「倫理学」といった重厚な著作で有名であるが、短いエッセーも味わい深いという。中でも1935年に著した「面とペルソナ」というエッセーは驚くべきものであるという。

和辻氏は面をつけて舞う能役者を例にとって、次のようなこと例に出しているという。

「能面というのは、木でできた単なるお面にすぎない。しかし、役者が能面を顔につけて舞い始めると、その能面はまるで生きた人間のような表情と主体性を獲得する。能面はいわば『人格の座』となる。」

和辻氏は、この能面に現れた人格をペルソナと呼んだ。彼の思索が独特なのは、人格は人間だけでなく、木でっできた能面のような物体の表面に現れることができるという点である。その能面に現れた人格は決して錯覚ではなく、正真正銘の本物の人格であると、和辻氏は考えている。

森岡氏のアニメイテッド・ペルソナは、この和辻氏の思索に大いに影響を受けたという。アニメイテッド・ペルソナはさらに広い対象で、人形やマネキン、時には最先端のロボットに心つまり人格を感じることを示している。今話題のAIが人格や心を持つかという問いにも深く突き刺さる考えでもあるという。👶💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の記事「春秋:人間、機械を問わず大量の『作られた声』」から

2024.5.28  日本経済新聞の記事「春秋:人間、機械を問わず大量の『作られた声』」から

人の声は他者を楽しませ、安心させ、励ます力を持つからこそ

コラムの著者が立命館大学教授のグレーヴェ・グドウルン氏の研究テーマ、日本の「声」の文化に焦点をあて、今社会的な問題となっている生成AIによる音声合成について考察している。

○合成音声が自分の声に酷似していると訴えている米国の女優、スカーレット・ヨハンソン氏

グドウルン教授によれば、日本の「声」の文化は欧米とは異なっているという。日本語の聲(こえ)は楽器の音が耳に届く様を表しているという。対して英語やフランス語の語源は「よびかけ」で、ドイツ語には「票」の意味もあるという。つまり、欧米では声自体より声の主に重点を置き、日本語は声の音に重きを置く。

また、日本では大量に音声が使われている。デパートや野球場、選挙カーのアナウンス。家電を操作すれば、機械を通して細かい確認や指示をしてくれる。必要不可欠なものもあるが、利便性の向上が狙いのようだ。つまり、日本では、人間、機械を問わず大量の「作られた声」を日々聞いていることになる。

その「声」が生成AIの時代で問題となっている。米オープンAI社のChatGPTの音声機能の声が、自分の声に酷似していると、米国の俳優、スカーレット・ヨハンソン氏が同社を訴えている。彼女によれば「親しい友人でもわからないほど、不気味なくらい似ている」と、スカイと名付けられた問題の合成音声を聞いて「衝撃、怒りを感じた」という。まるで体の一部を奪われたように感じたのであろうと、コラムの著者は推察している。

声は他者を楽しませ、安心させ、励ます力も持っている。ある意味で声は一人一人の個性でもある。AI時代に個性の1つである声の扱いを慎重に、敬意をもって扱う必要がありそうだ。💬📕✈️👝🚗✒️📕🧑‍⚖️👩👨💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の記事「私見卓見:生成AIの使い方、大学で学べ」から

2024.5.27 日本経済新聞の記事「私見卓見:生成AIの使い方、大学で学べ」から

今こそ日本の大学は米大学の生成AIの活用を学べ

コラムの著者 渡辺 邦昭氏(ウィンワークス会長)によれば、日米で学問探究の進め方には大きな違いはあるが、特に生成AIの活用には大きな違いが顕著であるという。問題は将来的に日本に大きな遅れをとりかねない事態だという。

○日本の教育は知識の詰め込みと再生に重点を置き、技術を利活用して創造性を育成することには消極的

渡辺氏によれば、日本の大学は厳格で学生が独力で自分の知識で分析を進め論文を執筆することが求められる。このため多くの大学で生成AIの利用を禁止している。学生は膨大な時間をかけて資料を収集し、自らの構成と文章で執筆を進めることになる。このアプローチは知識の詰め込みと再生に重きをおいた伝統的な教育法である。

一方米国の大学でのMBAを学ぶプログラムでは、積極的に生成AIなどの最新技術を利活用する方法を教えている。ビジネスの経営戦略や意思決定で、生成AIをどのように組み込み活用することを学生に考えさせる。この時の情報活用能力、創造的思考力、問題解決に挑む能力が高まる。

渡辺氏は日本の大学も米国のように時代に即した教育に転換する必要があると提案している。知識を単に詰め込むのではなく、知識をどう活用してアイデアや問題解決に結びつけることができるかという方向転換である。AIツールはこういったプロセスを支援するツールの1つになる。

ご存知のように生成AIは単純な問いかけでは有用で必要十分な回答が返ってくるとは限らない。有効に活用する問いかけ(プロンプト)ができるテクニックが必要で、学生の頃からこういった技術を学んで身につけた米国の学生と生成AIに不慣れな日本の学生では卒業時に相当な能力差がでるのではないか。💬😴🛏️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品】ネタ出しの会 日本経済新聞の記事「Deep Insight:Open AI対オープンなAI」から

2024.5.28 日本経済新聞の記事「Deep Insight:Open AI対オープンなAI」から

多種多様な可能性の芽をつまない幅広い評価が必要

コラムの著者 村山 恵一氏(日本経済新聞社コメンテーター)によれば、ChatGPTを開発した米オープンAI社の幹部のゴタゴタに続き、生成AI関連のサービス、製品のお披露目が続いているという。しかし、企業間の主導権争いに巻き込まれてAIが急激に普及し、一握りの企業が支配的な影響力を持つ世界に向かうことは避けたい。村山氏はAI業界が、自らを律することも大事ではあるが、オープンソース勢力によって多くの開発者が安全性や機能の検証を行い改良を行う環境を整えるべきだと提唱している。

○多様な意見や価値観、文化を持つ人たちが知恵を出し合える透明度の高い開発環境が求められる

村山氏のコラムでは、米オープンAI社のゴタゴタも、製品に関する安全性や機能検証をあくまでも進めようとしたチーフサイエンティストとCEOの対立があったと報じるところもあった。斬新な技術ではあるが、その能力が安全性を軽視したものであってはならないだろう。

同社の元チーフサイエンティストによれば、AI会社が自らを律することは難しい。経営との意見の対立もあるだろうし、安全性を検証する目も少ない。そこには、オープンAIやGoogleのAi事業を支える大規模言語モデル(LLM)のソースコードが非公開(クローズド)であるための短所が浮き彫りになっている。クローズドに対してオープンソースのLLMはソースコードが公開され、開発者なら誰でも手を加えることができる。つまりAI開発に多くの人が参加できるという長所がある。

データ分析とAIを手掛ける米スタートアップ企業、データブリックスは3月にオープンソースのLLM、「DBRX」を発表した。オープンAIのGPT-3.5の性能を上回るデータも示した。同社はユニコーンランキングで6位。オープンAIが3位で、エッジAIも手掛ける米エヌビディアも出資している。同社の副社長は、大手のクローズドソースでは人類に大きな影響を与えかねないAIであり、ごく少数の開発者に問題解決を委ねる危険性があると指摘している。

また欧州連合(EU)では5月21日に初のAI規制法が成立した。個人の特徴などから信用格付けをしたり、潜在意識に働きかけて行動を促すAIを禁止している。逆に考えると、知らないところで差別や不利益を受けかねない怖さがAIには潜んでいるとも言える。それならいっそ、監視の目を利かせてAIを開発しようという動きも出てきた。国際組織AIアライアンスは2023年12月に立ち上がった。IBM、メタの米2社を中心に大企業やスタートアップ、大学が集い、オープンソースの手法でAIを普及させる。さらにツールの開発や教育も行う。ここには倫理的な利用、安全性、信頼性、透明性にAIが多くの疑問を抱えている状況から抜け出すことを狙っていると、参加しているIBMのアライアンス責任者も語っている。

現在、社会は急激にAIへと進化している。肝心なのは色々な意見や価値観、文化をもつ人たちが知恵を出し合える透明性の高い開発環境である。現時点ではオープンソースの思想やアプローチに親和性がある。

難しいのは、一方のクローズドソースも開発を厳格に管理し、スピーディーに成果を出せ、高い収益性を梃子に利便性の高いものが追求できる。ここで利用者としては、オープンAI対Googleのような狭い視点で注目することではなく、AI社会に多様な可能性の芽を摘まないで幅広い評価軸を持つことであると、村山氏は示唆している。💬😴🛏️🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵🇺🇸