事例

【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「中外時評:ロシア抵抗運動の火は消えず」から

2024.8.28  日本経済新聞の記事「中外時評:ロシア抵抗運動の火は消えず」から

ソ連崩壊で消えた地下出版物が再び

コラムの著者 坂井 光氏(日本経済新聞社 上級論説委員)が取り上げているのは、前世紀の遺物のような雑誌、サミズダートである。背表紙はなく、麻ひもで束ねられている。表紙を含め写真やイラストもなく活字のみ。しかも今は珍しいタイプライターで全て打たれているという。これが現代のロシアで読まれている地下出版物であるという。

○象徴性と芸術性のために前時代的な装丁の書物

坂井氏によれば、サミズダートの誕生はソヴィエト連邦時代に検閲を逃れるために反体制派によるものだという。発禁となったり、その可能性の高い内容を掲載している書物を手作業でつくり非公式なルートで流通させていたという。だが、ソ連崩壊でその役割は終焉を迎えたはずだった。

プーチン政権で姿を再び現したこのサミズダート雑誌「プロセス」の創刊号が発行されたのは2024年1月のサンクトペテルブルクである。国内外のロシア人9人による詩や散文、批評などが掲載され、筆者は40歳以下の若年層だという。内容は「半プーチン」、「反戦」で溢れているという。

「プロセス」の編集長、ミハイル・イシチェンコ氏は、そのタイトルの意味を過程という意味以外に読者に委ねているという。かつてのチェコスロバキア出身の作家カフカの「Der Process(邦題:審判)」を連想させるともいう。カフカのこの長編小説は不当に逮捕された主人公の不条理を描いたもので、いまのロシアと重なるという。前時代的な様式の雑誌に仕立てたのは「象徴的な意味合いと芸術作品として残したい」という。

ロシアでは2022年2月のウクライナ侵略を契機に過激になっていった。独立系メディアOVDーインフォによると、言論の自由やネット利用の制限する法律が約2年半で43も発効したという。政権や戦争に対する抗議運動は事実上禁止され、参加した2万人以上が拘束された。結果としてデモは姿を消した。

ロシアの内外に散らばる反体制派の活動やそれを支えにしている国民の行動は、現政権にとってささやかな抵抗であるだろう。それでもROAR(Resistant and Oposition Arts Review) のような地下メディアは自由をつかむまで発行を止めないという。その存在を、自由を信奉する世界では決して忘れてはならない。🪖🔫🏢🏠💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇷🇺


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「私見卓見:他社の営業秘密、侵害を防げ」から

2024.8.27 日本経済新聞の記事「私見卓見:他社の営業秘密、侵害を防げ」から

転職者を萎縮させることなく実力を発揮できる体制づくりのために

コラムの著者 石本 貴幸氏(KSIパートナーズ法律特許事務所 弁理士)によれば、転職者の増加につれて徐々に顕在化している犯罪が転職先で使用することを目的に前職の営業機密を不正流出(持ち込み)することが増えているという。前職の企業にとっても大きな損害にも繋がり、持ち込まれた企業にも転職者への対応がリスクを抱えることになる。このような事態が怒らないための対策について、石本氏は言及している。

○前職の営業秘密を無断持ち込み

石本氏によれば、顕在化した事例として、2つを紹介している:

  • 日本ペイントホールディングスから菊水化学工業へ転職者:日本ペイントの塗料の配合などの営業機密を不正に持ち込んだ。
  • ゼンショーホールディングスからカッパ・クリエイトへ転職した社長:ゼンショーホールディングスの取引先などの営業秘密を不正に持ち込んだ。

このような事案は氷山の一角で、転職者が増加するにつれてどの企業でも起こり得る状況だという。このような営業秘密の持ち込みに対する対策が求められる。まずは不正持ち込みを防ぎ、次にこれを使用することがない対策となる。

具体的な対策として、自社への転職者に「他社の営業秘密を持ち込まない」誓約書を求め注意喚起を行う。すでに転職者が持ち込んでしまっていたら、注意喚起では対策にならない。他社の営業秘密の不正使用は犯罪であることをセミナーなど人事教育を行う必要がある。また、他社の営業秘密の不正使用が気づいた場合、通報窓口を社内に設ける。また、上記のカッパ・クリエイトの事案のように、転職者が上司となり、部下に他社の営業秘密の不正使用を指示することもあろう。部下は上司の指示と犯罪行為との板挟みとなることも考慮して、通報窓口はこういった場合の積極的に関与できる体制をつくる必要があろう。

一方、他社から流入した情報が全て営業秘密であるとは限らない。特に技術情報には、公知の情報であっても気付かない場合もありうる。転職者からの情報が、営業秘密であるかどうかの判断も必要である。誓約書も人事研修も通報窓口も、自社のすべての従業員が萎縮することなく、自社内で実力を発揮するためのものであるという認識も重要である。👓💬👦👧📈💰📓🗺️🚢🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「子供の5割がPC『使わず』:校外利用、日本は先進国最低、デジタル人材育成に影」から

2024.8.26  日本経済新聞の記事「子供の5割がPC『使わず』:校外利用、日本は先進国最低、デジタル人材育成に影」から

日本では47%がPCを全く使わないと回答

記事によれば、OECDによる15歳の学習到達度調査(PISA)の2022年度の個票データを日本経済新聞者が分析し、PCやタブレットを学校以外で毎日使う子どもが日本は4割にとどまっていることがわかったという。OECD加盟国中、最も低い結果であるという。スマートフォンだけでは情報の受け身の消費にとどまり、生成AIなどデジタル時代の人材育成で世界に遅れを取りかねないという。

○学校で個人所有の端末を認める「BYOD(Bring Your Own Device)」の実現が課題

記事では、同調査の結果ではスマートフォンの浸透度はどの加盟国も差が大きくないという。PCやタブレットとなると日本は40%止まりで、米国は72%、英国は64%で先行している。日本では、PC離れが顕著で、47%が全く使わないと答えたという。米英では約1割程度であった。

「平日、自分のデジタルコンテンツの作成にかける時間」が1日1時間以上との回答は欧米の主要国だと3〜4割に上がる。日本は1割止まりで、「全く作らない」が7割近くと突出している。日進月歩の新技術との接点が普段の生活では乏しい様子がわかる。スマートフォンの普及はすでにあるコンテンツを消費する端末で、創作に向いていない。この点を専門家が指摘している。

日本政府は全国の児童・生徒に1人1台のコンピュータを配る「GIGAスクール構想」を進めてきた。問題は運用で、「先生がOKした以外の使い方をしない」というのが情報セキュリティーの観点から自由に使えない理由となっている。しかも、端末を学校以外に持ち出せないところも多い。インターネットが繋がらない家庭への配慮などさまざまな理由からである。

これまで児童・生徒ではなく教員による教育現場でのICT活用は日本は先進国であったが、今後が家庭での利用がキーになるという。学校でも企業のように、BYODを認める実現も課題であるという。次世代のイノベーション人材を育成するためにも、学校の現場任せではなく、対策を広く考える必要があると、記事では指摘している。🎤🪐🚀💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏happy01🇯🇵


【ヒット商品のネタ出しの会】日本経済新聞の記事「デンシバSpotlight 『エージェントAI』に高い関心:自律的な判断で業務を遂行」から

2024.8.26  日本経済新聞の記事「デンシバSpotlight 『エージェントAI』に高い関心:自律的な判断で業務を遂行」から

汎用人工知能(AGI)にエージェントAIの機能強化で移行する

コラムの著者 吉川 和輝氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、AIの分野でエージェントAIと呼ばれる技術に注目が集まっているという。ChatGPTのような生成AIでは具体的な指示を出す必要があるが、エージェントAIでは具体的な指示は不要で、AIが自らの判断で処理を進めていくという。ビジネスなどへの応用が期待される反面、AIが勝手に動いたり暴走したりしないように制御することも重要になるという。

○人間の意図しない行動を取らない仕組みも重要に

吉川氏によれば、すでに多くの企業でエージェントAIに近い技術を開発しようとしている。味の素が、3月から「未来献立」というWebサービスを始めた。例えば、「野菜を多く摂りたい」「塩分は控えめにしたい」といったリクエストに合わせて最大8日分の献立を提案するという。このWebサービスで使われたAIはラボロAIを開発したもので「献立作成エンジン」で、同社のCEOは最適な献立を作るために必要なデータをAI自身が見つけて提案するものでエージェントAIに近いという。

エージェントAIを開発する企業の多くが、ChatGPTなどの土台となっている大規模言語モデル(LLM)という生成AI技術を活用している。米オープンAIや米Googleなどは、LLM自体を改良する中でエージェントAIの機能を追加しようとしているという。Googleは5月にAstraと名付けたエージェントAIの開発プログラムを発表している。ユーザがスマートフォンやスマートグラスのカメラで撮影した内容について質問して、AIが音声で回答する仕組みを開発している。米MSもPC業務の支援機能であるCopilotに人間の監督なしに複数のステップのタスクを処理できるエージェントAI機能を追加しようとしている。

専門家は、これまでのAIでエージェントAIの機能を強化していき、汎用人工知能(AGI)と呼ばれる万能型AIに移行すると予測している。生成AIによる汎用的な能力とエージェントAIによる自律的な能力の掛け算で、その能力が急速な進化を遂げるという。確かに利便性や応用は広がるが、AIが人間の意図しない行動をとるリスクも増える。AIに「安全で常識的な判断」をしてもらう対策が必要となると、吉川氏は予測している。💬🎤🪐🚀💻💬⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌏happy01🇯🇵🇺🇸


【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>不登校対策も1人1台端末で、AIが教育『生態系』変革」から

2024.8.25  日本経済新聞の記事「<サイエンスNextViews>不登校対策も1人1台端末で、AIが教育『生態系』変革」から

学校や保護者でけでなく地域や企業を巻き込んだエコシステムを生んでいる

コラムの著者 久保田 啓介氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、日本政府のGIGAスクール構想で児童生徒に1人1台ずつ配られ学習端末の利用が広がり、学校にさまざまな変化を起こしているという。

○求められる技術標準

久保田氏によれば、GIGAスクール構想の主眼はICTを活用して一人ひとりの理解や進度に応じた「個別最適な学習」に取り組むことであったという。しかし、端末を使った応用は広がっている。子どもたちの心や健康管理、授業の出欠や成績などの把握が担任教師が行う支援まで広がっている。

さらに授業の出欠や成績などを合わせ、膨大なデータをAIで分析し、不登校の予兆などを掴んで未然に防ぐといった活用例もできてきた。

また学校教育でデジタル化は教育サービスの担い手にも変化をもたらしたという。学習プラットフォームを開発するハードウェア、ソフトウェア会社に加え、健康管理や心理分析などでノウハウを持つ企業も教育に参入してきている。これまで日本では義務教育は学校と行政が担い、「企業やビジネスの領域は学習塾や予備校、通信教育」という暗黙の了解があって、学校と企業の垣根は欧米に比べて高いと思われてきた。だが、デジタル化がその関係を変え、学校や保護者だけでなく地域社会や企業を巻き込み、新しい教育エコシステムを生んできている。

そこで問題になるのが技術標準だと、久保田氏は指摘している。児童生徒の名簿や成績表が紙からデジタルになっても、転校すると読み取れないのでは困る。デジタル教材もユニバーサルで機種の違った端末でも使える技術標準が必要となる。世界では1000以上の企業や教育・行政機関が参加する標準化団体「1EdTechコンソーシアム」がこの分野の標準作りを進めているという。国内でも2016年に日本1EdTech協会が設立され、日本勢が、新技術を提案する事例もあるという。

今後は学習端末やAIが学校と企業の垣根を払って、子どもたちの学びの環境を良くする好循環が生まれることを久保田氏は期待している。👩‍💻🎓🎸♪💬📻⚡️🏙️💡🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🩺💉🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍happy01🇯🇵