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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「風向計: ポテトチップス、異色の包装、選挙調査にも」から

2016.12.23   日経産業新聞の記事「風向計: ポテトチップス、異色の包装、選挙調査にも」から

英国で変わった包装の展開

コラムの著者 竹原 あき子氏(工業デザイナー)は、米国発祥のポテトチップスの袋菓子で英国でのパッケージについて注目している。

◯チップスの味を人の顔で表現

竹原氏によるとポテトチップスの発祥は偶然によって起こったという。米国で、ある客がコックにフライドポテトが気に食わないといったので、フォークを使わないで良いほどポテトを薄く切ったところ、大好評になったという。

ヨーロッパでは英国が最大の消費国で、竹原氏は販売成績第1位と第2位の商品のパッケージについて述べている。

  • 【ティレル社】英国1位;大人にしかわからない懐古趣味とユーモアがあるパッケージ。味も塩コショウと古典的。
  • 【リアル・クリスプ】英国2位;チップスの味を表現する男女の顔をクローズアップ。例えばチリソース味やハラペーニョ味などは髪を逆立てた男性の顔のクローズアップ。美男美女はなく、どこか訳ありの中年以上の男女が船乗り、パイロット、コックなどの衣装をきた異色のデザインであるという。手焼きで厚く、普通のチップより30%も脂分が少ないという、ハンドメードのよさをアピールしている。容量も歯触りのカリッと感を大切に少量の35グラムである。

おもしろいのは、2010年の英国の総選挙をパッケージの色で占った。英国3党のシンボルカラーである、赤、青、黄を背景に党首の顔写真を印刷したスペシャル版を出した。

この特別版を駅や大型商店の前で、投票日当日に消費者の手にとって持ち帰ってもらおうという企画。その持ち帰ったパッケージの数、党別に人気をリアルタイムでネットで公表した。

パッケージで選挙結果を占ったのか、単なる消費者の味の嗜好を調査したのかは不明。ただ、食品パッケージが選挙戦に使われたという企業のイメージ戦略である。🍟🍰happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:労災補償の副業リスク」から

2016.12.19   日経産業新聞の記事「眼光紙背:労災補償の副業リスク」から

労働改革にさらに問題が増える

コラムの著者は、労働改革はこれまでも重いテーマであったが、副業や兼業といったテーマがさらにこのテーマを重くしていると語っている。

◯就業規則の副業規定を緩和するだけでは解決にならない

議論として副業や兼業について活発化するのは問題ではないが、就業規則の規定緩和だけで乗り切れる問題ではないことをコラムの著者は指摘している。

その一例が労災認定である。その際の補償金の算定方法に現行では課題があるという。

例えば、本業の勤め先をA社、副業をB社としてみる。

  • 補償金算定の基礎となるのは、その人の得た賃金の額できまるので、一般的に、本業のA社が高いなら、B社の就業中に被災したら、補償金はB社の賃金で算定される。
  • 過労が原因で両社の仕事の双方に原因があっても被災場所であるB社の賃金が算定基準となる。
  • さらに、社会保険への加入も、1週間の所定労働時間が20時間以上ないと加入できない。
  • 複数の会社で兼業した場合、所定労働時間がどこも20時間未満だと雇用保険にも加入できない。

このように、現行法での解決だけでは課題は残る。政府が唱える働き方改革はどこまで真剣に取り組む姿勢があるのかが重要である。🏢camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の「眼光紙背:細分化する『住みたい街』」から

2016.12.15   日経産業新聞の記事「眼光紙背:細分化する『住みたい街』」から

これまでの調査手法では限界

コラムの著者は、日本全国の「人の五感に訴えかえる魅力のある街」ランキングなどの背景にある個人の嗜好の多様化を考慮した調査に触れている。

◯チェーン店の不振もこれが遠因?

このランキングは、「本当に住んで幸せな街」という著書(島原万丈氏著)による。人の五感に訴えかける弥勒のある街で、島原氏は「官能都市」と称している。

  • 庶民的でおいしい飲食店などの食文化が豊か
  • 公園など街を感じる空間がある
  • デートや路上キスなどのロマンスがある

など8つの尺度を使ったという。このあたりが、官能都市のゆえんのようだ。

さらにコラムの著者は、「あなたがいちばん似合う街」(三浦 展氏著)もとりあげ、その尺度が、

  • 既婚・未婚
  • 性別
  • 収入
  • 趣味

によっていかにランキングなどが変わるかを浮き彫りにしているという。つまり、

  • リッチになって高級品を持ちたい街か
  • 女性が紅茶やコーヒーを葉や豆からいれる割合が多い街か
  • ワインをよく飲む街か

といった視点である。

これまでの調査では、地価や利便性だけで街を捉え、消費者をひとくくりにしてきた手法があったが、これが限界であることが見えてきた。働き方の変化などで移動の減少と地域経済が活気付いてきたことも、街によってことなることがこれでうなづける。チェーン店の不振もこの流れに遠因があるのかもしれない。🏢camerahappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「TechnoOnline: イノベーションの捉え方、技術偏重の日本、米に学べ」から

2016.12.16 日経産業新聞の記事「TechnoOnline: イノベーションの捉え方、技術偏重の日本、米に学べ」から

日本は技術主導、米国は市場性主導

コラムの著者 志村 幸雄氏(技術評論家)は、1958年の経済白書でイノベーションを「技術革新」と訳出しそれが定着したが、米国ではさらに販路の開拓や新組織の実現も含めて市場性を重視することを指摘し、そこに日本のイノベーションの発展のヒントがあるのではと示唆している。

◯イノベーションに対する捉え方の違い

志村氏は後藤晃教授(政策研究大学院大学)の調査を示し、日米のイノベーションに対する意識の違いを説明している。

調査では30件近くの事例を出し、それがイノベーションであると回答する日米の割合を見ている。例えば、アンチウイルスソフトウェア会社が配信した新種のコンピューターウイルスに対応するウイルス定義ファイルの設問では、米国の32.2%に対して、日本は9.9%にとどまった。

調査から後藤教授も示唆しているように、製品自体に技術的にかなり突出していないとイノベーションとは認めない。一方、米国は、逆に技術的に大きな飛躍がなくても、製品自体に利便性や価格性能比が高くなればそれもイノベーションという。まさに日本が技術主導で米国は市場性主導と言える。

一方問題は、イノベーションの起こし方で、日本は、垂直統合化した大企業で展開し、研究開発から製品化、市場化までが一元管理される。そこに、自社のこだわりが強く、その反作用としてマーケティングや市場戦略が軽視される。米国では、80年代以降、研究開発の主体がVBや中小企業、大学、公的研究機関にシフトして、大企業はその果実を対価を払ってイノベーションする。研究開発と製品化・市場化を分離したかたちで、米国のイノベーションの足腰が強い要因にもなっている。

和洋折衷ではないが、日米のよきところを生かすこともイノベーション改革の焦点である。💡pchappy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「横山斉理の目:成城石井のスイーツ、ビジネスモデル隠し味」から 

2016.12.15   日経産業新聞の記事「横山斉理の目:成城石井のスイーツ、ビジネスモデル隠し味」から

ビジネスモデルでの差別化で競争優位に立つ

コラムの著者 横山 斉理氏(法政大学経営学部教授)は、成城石井のスイーツを事例に競合他社との差別化について語っている。

○あえて流通を自社に抱え込むモデル

スイーツが多様化しているという。これまでは、レストランかカフェで食べるかケーキ専門店などでのテイクアウトが主流であった。そこに、コンビニエンスストアが参入し、競争が激化し多様化したと横山教授は語る。

このような状況の中で、一線を画すのがスーパーマーケット成城石井の自家製スイーツである。価格帯は百貨店あどに出展するケーキ専門店よりも安く、コンビニエンスストアや洋菓子チェーンのスイーツよりは高い。コンビニやチェーン店に親しんだ消費者からみると「ぜいたくスイーツ」となる。

同社の大きな特徴は、多くが自社工場の職人が手作りしていることである。そのためコストパフォーマンスがよく、価格と品質を同時に追求する消費者に受け入れられた。

自社工場と独自の技術を持つ職人、直輸入で商品の仕入れも可能で、さらに高い売り場力をもつことで、顧客とのコミュニケーションもできる。調達・製造・販売のビジネスモデルで構築した差別化は、個々の商品の模倣などを跳ね返す長期的な差別化が可能であるという。cafehappy01