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【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:初音ミクにみる集合知」から

2011.10.20   日経産業新聞の記事「三浦俊彦の目:初音ミクにみる集合知」から

現代の消費者が求める「表現の場」にイノベーションあり

コラムの著者 中央大学商学部の三浦俊彦教授は、仮想アイドルである「初音ミク」(▶参考)やクックパッド、ユーチューブ、ニコニコ動画などを取り上げ、集合知マーケティングについて言及している。

ここで言う集合知とは、特定の専門家でなく、一般の人々の知識を集合させて新たな知を生みだすという考えである。よく引用される事例が、リーナス・トーバルズ氏が始めた無償公開OSのLinuxがある。無償ですぐに使え、誰もが改良可能で、世界中の様々なセミプロたちが改良を重ね、用途も広がっている。

初音ミクも、DTM(PCの音楽制作ソフト)の女性ボーカルデータであったところを擬人化し、名前はもちろん、16歳、身長158センチ、体重42キロという設定でリアリティーを持たせた。これだけで細かい設定はせず、2次創作も公式に認めたところ、動画投稿サイトなどでブレーク。アニメやCGが生まれ、アマからプロまで多数が作品を公開し、今や3万曲にも上るという。同様に、多くのソーシャルメディアでは、表現の場として、新しい創作やイノベーションが生まれつつあると三浦教授は指摘する。人々の自由な発想が仮想世界だけでなく、現実世界の発想に拡がる可能性も出てきた。初音ミクはネット時代の集合知によるイノベーションの先鞭かもしれない。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:経営者たちよ、背中で語れ」から

2011.10.24  日経産業新聞の記事「眼光紙背:経営者たちよ、背中で語れ」から

厳しい時だからこそ経営者の質が問われる

コラムでは、パナソニックの創業者、松下幸之助と夫人の半生を描いたNHKドラマ「神様の女房」を題材に、現代のトップマネジメントの在りかたに批判を浴びせている。

ドラッガーの著書「マネジメント」を引用して、マネジメントこそが社会の要であり、社会の中核を担う崇高な存在だと指摘し、「神様の女房」で仕事一徹の松下氏と船場流儀の人材教育を実践した夫人にあって、今や失われたモノは、経営者の質だという。

松下幸之助氏を始め多くの創業経営者には自分に厳しい「背中で語る経営者」像があるという。昨今の無担保融資で使途も明確にしない某企業の経営者のように、崇高さがないという。確かにコラムの著者は厳しい口調だが、グローバルな企業を作った松下氏の実績からみれば、好景気のときだけ話題になった企業統治について語るのはおかしな話かもしれない。グローバルスタンダードから言えば崇高さなきマネジメントに対して、社会は許容はしないだろう。despair


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長①」から

2011.10.19 日経産業新聞の記事「体験的リーダー論、キヤノン電子・酒巻社長①」から

前任者の残したことを現状把握後、自分の判断レベルを上げて判断

コラムの著者 キヤノン電子社長 酒巻氏の経験からくる具体的なリーダシップの向上について語っている:

【あわてず長短所見極め】

・自分が優秀だと思っている人は、リーダーになると前任者のやってきたことを丸ごと否定しがちである。

・新たなリーダーとして「いいところを見せたい」という気負いがある。

・前任者が10レベルまで上げてきたのに、自分のやり方に固執してゼロからスタートしてしまう。結果的にレベルは前任者のレベルに達しない。

・悪いところだけを捨てて良い芽は残す。ゼロスタートではないので労力、資力、時間がかからない。しかし、一気にやるのではなく、1年ほどは現状把握に努める。2年目くらいから悪いところに手をつける。

・1年の現状把握は、自分の判断レベルが正しい判断を出すレベルにない場合があるための猶予期間。その間に努力する。また、判断に自信がないものは、拙速に判断せず、結論を一旦保留すること。じっくり観察するうちに、その大切さがわかる場合がある。酒巻社長のコラムの中で、カメラ部品のシャッターについて危うく判断を誤るところ、しばらく様子を見たことで、部品の大切さがわかり、判断ミスをしなくて済んだという逸話がある。

・前任者が残したことの見極めを誤ると経営改善には進めない。happy01


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「眼光紙背:ベルリンと幕張の間にあるもの」から

2011.10.18  日経産業新聞の記事「眼光紙背:ベルリンと幕張の間にあるもの」から

見本市でみたビジネスモデルの変化

コラムでは、家電業界のビジネスモデルの変革への挑戦を語っている。

8月31日~9月5日まで独ベルリンで開かれた世界最大の家電見本市「IFA2011」。多くはサムソン電子やLG電子など韓国大手メーカーが存在感をアピール。スマートフォン市場で先行している強みを家電事業に活かす戦略である。

一方、10月4日~8日まで幕張メッセで開かれた日本最大の家電見本市「シーテック・ジャパン2011」。存在感があったのは、華麗な音響・映像機器ではなく、環境・エネルギー製品である。パナソニックやシャープは、太陽光パネルや家庭用・自動車用蓄電池、エネルギーマネージメントを前面に出した。

どうやら日本企業は、ベルリンでは攻勢な韓国メーカーが得意とする単品販売が採算が悪化するモノとして考え、幕張では継続的な収益が得られるビジネスモデルに切り替えようという動きと捉えられるという。

売り切りから継続収入へのビジネスモデルの転換はグローバルに広がりそうだ。


【ヒット商品】ネタ出しの会 日経産業新聞の記事「『社会的責任』世界の視点⑬:国内金融機関が自主規範」から

2011.10.18 日経産業新聞集の記事「『社会的責任』世界の視点⑬:国内金融機関が自主規範」から

ガイドラインは拘束ではなく、ヒントを与えるもの

コラムの著者 損害保険ジャパン理事CSR統括部長 関正雄氏が解説するのは、同氏が起草者の一人である「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」である。(▶参考)10月4日起草委員会で採択され、11月以降に、銀行・証券・保険を始め日本の金融にかかわるあらゆる機関に広く署名を募るという。

この原則の策定は、環境省中央環境審議会の「環境と金融に関する専門委員会」の最終報告書において提言。その後、多くの金融機関などが参加した起草委員会を設置。1年間、環境省が作ったのではなく、自主的な原則として画期的なものである。

【金融機関が果たすべき役割】(同原則の全文より)

  • 社会の基盤はお金を媒介とした経済活動にある。社会を持続可能なものに変えていくにはお金の流れをそれに適したものに変える必要がある。

【金融機関の7つの原則(関氏の要約による) 】

  1. 果たすべき責任と役割を認識し、最善の取り組みを推進
  2. 持続可能な社会の形成に金融商品・サービスで寄与
  3. 地域コミュニティーの持続可能性を向上
  4. 多様なステークホルダーと連携
  5. サプライヤーを含む環境負荷の低減
  6. 取り組みの情報の開示
  7. 役職員の意識の向上

★上記の7つの原則はすべての金融業態に共通な原則である。この下に「預金・貸出・リース」、「運用・証券・投資銀行」、「保険」の業態別ガイドラインが具体的な取り組みの参考用として準備されている。

【国連関係など国際活動への参画促進】

・書かれていることが出来ていないから署名しないのではなく、不十分なところがあるから、署名して取り組みを強化しようというスタンスが理解されにくい

・ガイドラインは拘束するものではなく、創意工夫のヒント。また、

  1. 本業の商品・サービスの開発に持続可能性への配慮を組み込む
  2. 業務プロセスに持続可能性への配慮を組み込む
  3. 社会へ情報を発信し、様々なステークホルダー(利害関係者)に働きかける

このような3つの切り口がある。